2005年 1月

2005年1月10日(月)  NHKの各国語会話番組がおもしろい
 今日の「英語でしゃべらナイト」は阿川佐和子がゲスト。他に劇団ひとりがケビンコスナーにインタビュー。三島由紀夫の熱い語りなど。英語が学問ではなく技術として、ようやく料理番組などと同様に扱われるようになったのがおもしろくなった理由だ。いずれもアシストの若い女性がなかなか魅力的なのと、中心的な若い外国人の男性がクレバーで男性からみても好人物であることが番組自体の魅力となっている。英会話が技術といったが、視聴者はむしろゲストやレギュラー陣の人間性やコミュニケーションに引き込まれ、実はそういう能力を高めること自体が会話の目的であることをきちんと意識した番組だ。いまや英会話番組のオブジェクトは言語によるコミュニケーション能力の研鑽であり、学校の英語教育が目指す学問としての英語こそ手段に過ぎない。ちょっとほめすぎか。
2005年1月9日(日)  映画
三連休は映画を見ている。久々の映画評。
トスカーナの休日。2003年アメリカ。ダイアン・レイン
 離婚した女流作家が傷心を癒す旅にイタリアトスカーナへでかけた。そこで衝動買いした古い一軒家に住み、暮らしながら次第に知人や友人が増え、幸福を手に入れる。
レインマン。1989年アメリカ。ダスティン・ホフマン
 両親が亡くなった後、自閉症の兄がいることを知った弟。この弟は兄が相続した父の遺産をせしめるために兄を療養所から連れ出す。長時間のドライブ中に、さまざまなトラブルを経験しながら、純真な兄を兄弟として次第に愛するようになる。
マジソン郡の橋。1995年アメリカ。メリル・ストリープ、クリント・イーストウッド
 アメリカの田舎に暮らす主婦が、家族の旅行中に、地元の古い橋を撮影に来た中年の写真家と恋に落ちる。彼と一緒に旅立とうとするが家族が戻る日、彼女は家族のために家に残ることを決意する。彼女が死んだ後、子ども達が全てを知る。

 たまたま家族をテーマにした新旧の佳作を続けて見ることになった。「マジソン郡の橋」は、当時社会現象としていろいろ言われたが私は今回が初めての鑑賞である。マジソンが一番と思うが、これとトスカーナはいずれも原作が大ヒットしており原作のパワーである。マジソンはクリント・イーストウッド監督だが、メリル・ストリープがとにかく良い。恋に落ちる中年女性の心理を余すところなく見せる。「これは一生に一度の確かな愛だ」という男の言葉が、別れの言葉となった。
 レインマンは自閉症の兄をダスティン・ホフマンが演じるのだが、愚かな弟が兄の純真さを一層際だたせる。以前見た「レナードの朝」はロバート・デニーロが、半昏睡状態の障害者を演じており、障害者の側から見た悲恋の話だ。フォレスト・ガンプはトム・ハンクスが、軽度の知的障害がある主人公を演じ、強靱な肉体と意志によって、アメリカンドリームを実現するまでの物語。主人公の幸運さが不自然に見えないこと、観客がいつのまにか彼の成功を願いそれを喜ぶのは、彼の意志が富や名声のためでなく、間違いなく愛のためであることを信じられるからである。(そのほかの障害者の映画
トスカーナはご当地映画ではないが、明るく暮らすにはやっぱラテンということか。この中では三位だが上出来。エンタとしてはもっとも楽しめる。

2005年1月4日(火)  TUNAMI (昨年12月26日スマトラ島沖地震によって発生したインド洋津波)
 インド洋の津波は日毎に死者数が増え14万5千人(国連-3日)、食料支援を待つ被災者は180万人(国連-3日)とか。邦人の行方不明者は400人と言われており外国人の被害は5000人(ロイター4日)と言われている。

 インドネシアでは、1907年の津波の記憶を100年間言い伝えて、海の水が引いたら高台へ駆け上がれという言葉どおりに一斉に逃げたために、死傷者が6人で済んだ島があったという。だがそれがニュースになるほどに、他の国や地域や島は無防備だったということだ。インド洋沿岸諸国では国家としてのTUNAMIに対する教育や準備はもまったくなかった。

 住民の生命や財産を守ることが国家の重要な使命とすると、現在の世界のいわゆる「生命の危機」にはどのようなものがあるのか、原因別死亡者数を調べてみた。下記はいずれも年間死者数。

1.災害について。赤十字によれば2003年は世界各地で2億5,400万人が被災し、76,800人が死亡した。干ばつによる飢餓を含む。2004年は倍以上になるのではないか。
2.労働災害ではILOによると発展途上国を中心に2億5000万人が遭遇し、110万人が死亡している(1999.4)。適切な対策が講じられれば60万人が救われる、とされている。
3.交通事故では999,000人が毎年死亡している。
4.戦争50,2000人
5.HIV/AIDS 300万人(外務省)。感染者4000万人。感染者は毎年500万人増えており、半数強がアフリカである。
6.結核 200万人。発病者800万人。増大している。
7.マラリア アフリカを中心に100万人〜200万人。感染者は3億〜5億人と言われている。(JICA)。減少している。
8.妊娠または出産 50万人(世界銀行)
9.大気汚染による死亡者 300万人。これは疫学的な推計と思われる。

 インド洋津波の200万人近い被災者に投じられる今の20億ドルが、その内の1万人ぐらいの命を救うという現実があるだろう。しかしこうやって世界のクライシスを並べてみると、なにが重要でかつ緊急を要するのか、人やカネをどう使えば最適なのか、わかりにくくなってくる。アメリカは当初3500万ドルの援助表明をしたのだが、少なすぎるという米国内の批判を受けて3億5千万ドルに増額したが、日本は早々と5億ドルという高額の援助を決めた。国際貢献では、アメリカの援助はいつも露骨に自国の利益を反映した額になる。日本は鷹揚というべきか、国連常任理事国への支持を集め、アジアの盟主でありたいという威信というよりは体面を保ち、税金を払う日本人も正面だって反対しないとみてこんな大盤振る舞いになった。いつもながら、何が必要かということよりもまず金額ありきなのだ。
 2005.2.9全体的に文章が低調だったので、手を入れました。
END