2004年 4月

2004年4月15日(木) イランの日本人人質
 久々にイランの話題だ。
 外務省は入国を禁止していた。日本人3名がイランに入国して人質になったのは自己責任だ。死んでも仕方ないという意味ではなく、本人達自身がその覚悟で入国したのだ。そしてそうだとしても、日本政府の取るべき行動は全力を尽くして救出することだ。
 ついさきほど21時ごろ、3人が無事開放されたとの情報が伝わった。国内向けの政府の対応を見ていると、みんなが命を張ったシビアな状況のなかできちんと対応できているとはとても思えないが、おそらく日本政府では無いだれかがきちんとやってくれたのだろう。
 イラク戦争の様相は、さながらベトナムの始まりのようだ。ちょうと1年前のこのページでお伝えした「文明の衝突」がその予告だった。
2004年4月14日(水) マトリックスレボリューション(最近の映画の話題)
 マトリックスレボリューションはマトリックス3部作の最後である。くらげの化け物のような機械が、いわしのように群れて膨大な数で襲ってくるシーンとか、主人公ネオとおなじみスミスが空中に浮かんだり、すごいスピードでぶつかり合ったりするところが見せ場らしい。しかしどこかで見たようなシーンばかりだ。日本のアニメのシーンをつなぎ合わせたような想像力の無さ。
 一作目の、ネオが弾丸をのけぞってかわすシーンや、空中に胡座をかいて浮かんだ女性が相手を蹴飛ばすシーンなどはプロモーションで流されご存知と思う。このシーンの超スロー画面が、ワイヤー吊りで壁を走るスピードのあるアクションシーンの中に挿入されるからなおさら印象的だった。人類が一生カプセルの中でコンピュータに疑似体験を与えられながら飼われるという、あまりたいした事のない設定だが、凝った丁寧な画面と印象的なアクションシーンが見所だった。
 二作目も大勢のスミスが一人のネオと戦うシーンがCGを駆使した見せ場だが、一作目を超えるような才知が感じられなかった。CGに頼れば頼るほど、平凡な絵になったというわけだ。しかしPCの小さな画面で高圧縮の暗い画像を、何日もかけて細切れに見ているので素直に楽しめないのかもしれぬ。

2004年4月3日(土) 「アフリカと白球」 友成晋也著 兜カ芸社
 JICA(国際協力事業団 =Japan Internathional Cooperation Association)からガーナに派遣された野球好きの日本人職員が、ガーナナショナルチームの監督としてシドニーオリンピックのアフリカ予選に挑戦するまでのノンフィクション。ガーナに野球を根付かせるため、現地の中学校、高校に野球クラブを作ったり、スポーツ大臣と交渉したり、日本で資金集めをした話。国内のテレビ番組で紹介されたため、ご存知のかたもいるかも知れぬが、私はこの本を読んで初めて知った。
 援助慣れしたアフリカ人にBHN(Basic Human Needs=人間の基本的欲求すなわち、衛生的で安全な水、最低限の保健医療環境、食料、教育)だけでなく、野球という生きがいを提供している、そのことこそアフリカにとってもっとも大切なのだという。作者はアフリカの貧困と、援助組織の職員であるからこそ味わう無力感や、日本のテレビ局の表面的な関わり方を、間接的な表現ながらきちんと訴えている。選手たちとの交流やアフリカのことについて、決して耳障りが良いことだけを伝えたりしていない。野球という作者が子供時代から熱中してきたスポーツが、職がなくカネもないガーナ人達の目標や楽しみになってゆくストーリーにはちょっと感動する。本書はいわばガーナ人とその楽しみを共有できる本だ。
 アフリカは、最近年齢の近い叔母二人がキリマンジャロに登頂して来たこともあって、すこし近いところになった。ナイロビに別荘地を買った動物カメラマン夫妻(奥さんと古い知り合い)はその後どうしているのだろう。もう少しアフリカのことを聞いてみたい。
 
 アフリカ野球友の会 http://www.catchball.net TEL.03−3530−8089
 JICA(ジャイカ)は外務省管轄の特殊法人。途上国援助の実施機関。青年海外協力隊はJICAの事業のひとつ。H15独立行政法人国際協力機構に改称。

END