2003年 12月

2003年12月2日(火) 天候と上下水道  (1/25一部更新)
 このテーマで考える気になったのは、このテーマで一杯飲むことを思いついた友人Yから誘われたのだが、当方の体調不良のせいで断ってしまったからである。
 しかし、一体何のために考えるのかを聞き漏らした。儲けたいのかT社の事業にしたいのかそのあたりが定まらぬことにはオチがつかぬ。であるがだらだらと初めてみる。(関連GAB:8/2)

□ 天候と水道
 水は天からの授かり物であるからまずは長期小雨による渇水。給水制限は貯水池の水位で決まるから、「貯水池長期水位予測」というのがあるがかなり難しい。短時間の降雨または豪雨では水道原水の濁度上昇や水質悪化があげられる。河川とうの表流水はむろん、伏流水も影響を受けるという。小規模水道の表流水では取水不能となる場合がある。降雨は洗濯用水の需要が減るため、需要水量にも大きな影響がある。しかしこれからは都市部マンションなどで乾燥機が普及すると変わってくるのかもしれない。
 日照は前塩素注入制御に影響あり。水温と残塩の関係もあったような気がする。もちろん需要水量には降雨の他、湿度、日照、温度も関連あり。
 水温は凝集制御に影響があり、低水温では凝集剤の注入率が増大する。
 春から初夏の強い日照によって藍藻類の影響で原水のpHが低下すると、凝集効果の低下や配水管の腐食や鉛管の鉛溶出などを招く。
 貯水池は一般に水質を悪化させるが、特に夏場の水温上昇時はカビ臭の原因となる植物性プランクトンの発生、淡水赤潮やアオコなどが増殖することがある。湖底の無酸素層による栄養塩類の溶出を抑制するためには深層と表層の水をゆっくり循環させるために間欠式揚水筒(レイクリフター)が設置される。貯水池の日照は、30%を遮光するとCODが半分になるという報告がある。
 日照は浄水場の越流板や濾過池表層にも藻を繁殖させるため、濾過池は覆蓋がされる。越流板は銅板が使用されることもある。
 主として春から秋にかけて、降雨により水田やゴルフ場の農薬が流出し水道原水を汚染することがある。

□ 天候と下水道
 下水道の役割は、汚水の処理と雨水の排除である。雨水をうまく排除するためには、地域別の降雨量の把握と、降雨量によるその地域からの流出量(流出解析)に基づく、初期雨水貯留槽や雨水ポンプ場への流達時間解析などが実現されている。降雨量の予測は短時間であればレーダーによる雨域と500mメッシュでの降雨強度の予測が可能である。初期雨水は水質が悪いためこれを貯水し処理することもある程度実施されている。降雨量や河川水位などは、我が国では既往最大主義といい、過去の実績が重要視される。河川や下水道の計画では過去の実績、例えば河川の既往最高水位は下水の放流条件となる。
 水道の需要水量は天候の影響が大きいが、一般に水道の給水量が増えると下水道の水量も増える。
 消化ガス発生量と気温は関連がある。気温が高い地域の方がガス発生量が多い。また消化ガスは温度管理のため加温されるが供給熱量は周囲温度による。気温や気圧は空気密度の変動であるから、下水反応槽の曝気風量やエンジンの性能と関係がある。
 アメリカアリゾナ州の大規模農場では地下水を大量に汲み上げて散水する。地下水は塩分を含んでいるため地表に塩分が蓄積し、降雨時流出する。このため河川水の塩分濃度が高まり下流域での飲料水や農業用水としての利用が困難になる。このためコロラド川ではメキシコとの国境手前のユマで河川水の全量を淡水化処理している。
 

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