2002年12月

2003年12月26日(木)  海水中のCO2固形化−26日付け日経産業新聞より
 化研(水戸市)は海水中に溶け込んでいるCO2を電界処理で固形化し海底に沈める新しい技術を開発した。国や電力会社などに同技術をベースに共同事業化を働きかけ、早期実用化を目指す。
 開発したのは[除炭酸システム」。海水に含まれるカルシウムイオンと炭酸イオンを海水中に設置した電解槽で電解反応させ不溶性の炭酸カルシウムを生成する。この課程で海水中の炭酸イオン濃度がCaCO3の生成量に比例して低下。CO2吸収余力を高めた弱アルカリ性の海水が大気中のCO2を吸収する仕組み。生成されたCaCO2粒子はそれ自体の重みで海底へ沈殿、海底千メートル付近に堆積させる。 同技術を実用化、メガフロートのような巨大装置を二千億円から四千億円かけて建設すれば日本が削減義務を負う年間のCO2量約一億八千万トンの削減が理論的に可能、という。発電によるCO2排出量1に対する固定化量は20なので電力を使う固定化処理のメリットは大きい。CO2を海底1000m付近に堆積させ鉱物化すれば海水に溶け込む心配はないと見ている。海水の電解処理に伴い、大量の水素資源を回収できる。C02一億八千万トンの処理で現在の市場価格で六千億円から一兆円の水素資源の回収が見込める。これにより水素の価格が下がり燃料電池の普及にも役立つと見ている。化研は前期の売上高8億円の環境・化学分析の会社。基礎技術と関連装置の特許を出願した。−以上日経産業新聞より

 環境税(CO2税)を創設してメガフロートの建設、運転を行えば良い。実に明るい話題だが検証すべき事は多いだろう。しかしわざわざ空気中の低濃度のCO2を回収するよりも、途上国のCO2発生源で捕捉するほうが低コストとなるだろう。援助によるCO2固定または排出量削減のための投資は援助元のポイントと見なされるはず。

2003年12月23日 利己的遺伝子
 私がこの言葉を知ったのは、10年近く前に出版された竹内久美子の「ワニはいかにして愛を語り合うか」「男と女の進化論」という新潮文庫の二冊の本による。品のない題名は出版社の浅知恵だろうが当時結構売れた。竹内久美子というのは京都大学の動物学教室の出身である。これらの本は動物の行動の事例や姿形の特徴を沢山挙げて、遺伝子の子孫を繁栄させることによって自分自身を存続させる、という強烈な自己保存の法則からこれらを説明したものである。この性質ゆえに利己的遺伝子と称しているわけである。
 本は多くの学者の長年にわたる研究の報告を平易な読み物にまとめたに過ぎない。ところが、これらは私の生物学への関心を大いに高めた。この少し前に出た元川達雄「象の時間ネズミの時間」(中公新書)以上にだ。その後確か岩波新書の「熱帯雨林」という、壮大な植物と動物の共生の物語があり、遺伝子のなせる進化の姿に感動したものだ。
 現在生存する生命は、生命誕生以来の膨大な年月にわたる生存競争の現時点での勝者だ。遺伝子の自己保存の強い力は、生き残った「原因」であるといえるが、多くの遺伝子が淘汰されつくした自然の選択による「結果」であるとも言える。生物学的には「人生の目的」は単純明快で、「子孫を作り自分の遺伝子を繁栄させること」なのである。ヒトは遺伝子に「生かされている」と言えよう。そしてヒトは一時的な勝者に過ぎないかもしれない。
 先の文庫本からもう一つ得たものがある。生命と生命、生命と環境との関係は絶妙なバランスを有するのだ。環境問題に対する繊細な感覚が身に付いたということである。環境は人間が制御できるものではなく、生命が大事だとするなら自然をなにより大切にすべきだということだ。現在の人類が環境にまき散らしている化学物質などは必ず次世代以降の人類を大いに苦しめることになるだろう。

2003年12月16日 先行減税1兆8000億円−14日付け日経朝刊
 減税項目では、企業の研究開発・投資減税が1兆2千億円。研究費総額の10%〜12%を法人税額から差し引く。中小企業は3年間15%を適用。証券税制では株式譲渡益、配当、株式投資信託の収益分配金にかかる税率を原則20%に統一し5年程度は一律10%に軽減する。土地関連税制は不動産売買による所有権移転にかかる登録免許税の税率を5%から2%に下げたうえで来年度から3年間は1%に軽減する。不動産取得税の引き下げ、特別土地保有税の課税凍結など。相続税と贈与税では65歳以上の親から20歳以上の子に生前相続する場合、いったん払った贈与税を親の死亡時に相続税額から差し引いて精算する「一体化方式」を創設。生前贈与の2千5百万円(住宅取得資金は3千5百万円)の非課税枠を設ける。増税項目では発泡酒とワインにかかる酒税を来年5月に10円ずつ上げる。たぼこ税を来年7月に1本当たり1円引き上げる。所得税は配偶者特別控除を2004年1月に原則廃止するが22歳までの子への特定扶養控除は存続する。課税最低限は現行の384万円(夫婦子供二人世帯)から325万円に下がる。赤字企業にも課税する外形標準課税は2004年度から資本金1億円以上の企業に導入する。消費税は中小事業者の納税免除の売り上げ基準を三千万円から一千万円に引き下げる。簡易課税制度を活用できる事業者の売り上げ高基準を2億円以下から5千万円以下に引き下げる。−以上日経朝刊より。
 
 日経では、シャウプ税制以来の改革という期待は裏切られたとしつつも、研究開発の恒久減税と証券税制の改革が部分的に進んだことの二点を評価し、今後の税制について法人税の引き下げとベンチャー企業を支援する税制、消費税の引き上げ、社会補償費抑制を主張している。このあたりが経済界の要請と考えて良いだろう。法人税の引き下げは外形標準課税とトレードオフとしてよいのかもしれぬ。消費税の引き上げや社会補償費抑制というのは、累進課税の是正と富の再分配の抑制、いわば富める者に有利な税制である。「がんばれば大金持ちになれる」というわけでもないから、この程度の税制改革で経済が活性化するとはとうてい思えない。税制と税の徴収について、まずは「公正さ」を目指すべきだ。

2003年12月11日(水) 「環境経営度調査」 製造業10日、非製造業11日付け日経産業新聞
 製造業ランキング。@日本IBM Aキャノン BNEC Cリコー D松下電機産業 Dソニー F九州松下電器 Gデンソー Hホンダ I富士写真フィルム Jトヨタ自動車 KTDK L日立製作所 Mコクヨ Nコニカ O富士ゼロックス P松下電池工業 Q松下電子部品 Rカシオ計算機
S松下冷機  /松下グループとトヨタグループが目立つ。評価項目:運営体制・情報公開、環境教育・社外貢献、ビジョン、汚染リスク、資源循環、製品・物流対策、温暖化対策。
 非製造業ランキング。@西武百貨店 A損害保険ジャパン B西友 C三菱商事 D岩谷産業 Eファミリーマート Eイトーヨーカ堂 GNTTドコモ H住友商事 Iセブンーイレブン・ジャパン Jトーメン K原信 Lニチメン Mイオン N東洋物産 O日立物流 Pムトウ Q東日本旅客鉄道 R日本マクドナルド R日本通運 /西武が高評価で2年連続トップだが、今年は金融、商社の躍進が目立つ。評価項目:運営体制、情報公開、啓発活動・サービス、ビジョン、リスク管理、資源循環、温暖化対策。 以上日経産業新聞より。
 
 アンケートへの回答による評価であるので、日経本紙でも扱わないのかも知れない。12年前、NECのさる部長と廃棄物処理学会のヨーロッパ視察旅行で知り合った。氏は機械の技術者であったが計量士の資格を持っておられた。NECでは環境委員会という社長直轄の独立組織があって、独自の基準を決めた上で全工場の抜き打ち監査を毎年実施していると聞いた。組織の不正を防止したり組織目標と異質な課題に取り組む場合は組織自体の自律に委ねることはできない。工場排水による公害問題が当時既にリスクとして十分に認識されていたにも関わらずNECの取り組みは先進的であった。
 私の知る某大メーカーにはそのような組織はない。環境を商売のネタと捕らえることはできても、装置にとらわれ未だに事業の芽がでない。自社内の環境への統一した取り組みすらできずに、他社に手を貸す事業が実現できるわけもないのだが。

2003年12月10日(火) 「財政再建に有効な税制改革とは」 井堀利宏(東京大学経済研究課教授)ダイヤモンド社「経」12月号より
 90年以降国民の税負担の総額は低下している。90年度の国税の税収総額は63兆円であった。10年後の2000年度は49兆円に減少した。中でも所得税は90年に50兆円在ったものが00年には26兆円とほぼ半減している。これは景気の低迷による減収もあるが多くが裁量的減税の結果である。消費税は97年度に3%から5%に引き上げられたこともあって税収は増加している。2002年の国税と地方税を会わせた税負担を国民所得との対比で見ると22%であり、90年以降で最低水準である。国際比較で見ても先進諸国では最低水準となっている。
 減税に見合う財源は公債の発行に依存された。人々の税負担を見ると減税のために発行された公債は償還のための増税が必要となり、その額はちょうど相殺される。(リカードの中立命題) だからといって減税政策が無意味とは言えない。限界税率(所得と共に税負担がどれだけ増加するか)と平均税率(所得と税負担の割合)の区別である。経済活動に悪影響を与えるのは、中長期的視点で言えば平均税率ではなく限界税率である。これは人々の労働供給や貯蓄、投資意欲にマイナスの影響を与える。しかし平均税率が高くても、限界税率が低ければ、経済活動にはあまり影響しない。
 小泉政権の是姿勢改革方針は、今後2年間で減税を先行させ、経済の活性化を図る。そのあとで税体系の抜本的な制度改正を行い、最後に財政赤字削減のために必要最小限の増税も検討するというシナリオである。当面のマクロ経済活性化のための減税は歳出の削減によって捻出する。従って公共事業の削減、あるいは特殊法人、たとえば道路公団の民営化等が主要な目標である。税収中立の制約の元でも課税ベースを拡大して限界税率を引き下げればマクロ経済の活性化にプラスに働く。特に法人税の引き下げは活性化に繋がる。しかしその結果2%程度の潜在成長率が実現したとしても、それで得られる自然増収が財政赤字を削減する効果は小さい。いずれは税負担の増加は避けられない。今の日本の租税負担率はアメリカ、ヨーロッパの人と比べると非常に低い。
 マクロの規模(対GDP比率)でみると日本の歳出規模はアメリカを少し上回っているがヨーロッパよりは遙かに低い水準である。国際比較で見てそれほど日本の歳出は大きくない。歳出をどんどん減らすと今の税負担に見合ったレベルの財政規模まで押さえる。そうすると極端に小さな政府になる。少子高齢化社会に社会保障の役割が極端に縮小することに、多くの国民が同意するだろうか。高額所得者は政府から受益をさほど受けていないので今よりももっと政府の歳出を減らしてでも税負担は減った方がよいと考える。結論として限界税率を引き下げ平均税率を引き上げることは不可避である。 −以上井堀利宏教授による。

 どうやらこれが現在本流の経済学者の意見と見て良い。前々記事の佐和京大経済研究所所長が批判する「80年代の英米で流行した市場原理主義者の素朴な信奉者」というわけだ。

2003年12月9日(月) 「第三の道は可能か」 佐伯啓思(京都大学教授・社会経済学)ダイヤモンド社「経」12月号より
 レーガノミックスやサッチャーリズムに代表される80年代は「新自由主義」の時代と言われる。戦後の経済成長を支えてきたケインズ主義や福祉国家が行き詰まったという反省が出てきたからである。この意識は製造業の生産性の低下に悩むアメリカと国有産業の非効率に悩むイギリスにおいてことのほか強烈であった。
 ところで、新自由主義は産業の近代化、効率化を達成するために市場競争を唱える「市場主義」と、社会秩序を重んじる「保守主義」という二つの立場を結びつけたものだった。この二つは小さな政府と自助自立の精神を強調する点で一致するが、保守主義が社会秩序と道徳の基礎としての地域コミュニティや教会、伝統的家族などを重んじた点では対立する。保守主義は経済成長が生み出す急速な近代化よりも伝統的な価値観を守った社会秩序を重視する面があり、これに対して市場競争はむしろ家族や伝統的価値を破壊しかねない。
 だが、市場主義、保守主義という柱は、「小さな政府」と「自立した個人」というプログラムにおいて一致した。両者の一致を可能としたものは「ケインズ的財政主義」と「ベヴァリッジ的福祉主義」はもはや成り立たないと言う認識だった。政府の肥大化は資源配分の非効率を招いて、結果として国力の低下をもたらし、また人々の政府への依存は自立した個人の努力を阻害するというのである。
 だが、共通の「敵」が退場すると新自由主義にある矛盾は顕在化せざるを得ない。市場主義はグローバル市場での自由競争やビジネスチャンスの拡大こそが決定的だと見なすのに対して保守主義はあくまで国家の競争力、経済の戦略的な建て直しに関心の中心があり、社会の安定という点から雇用の確保、物価水準の安定こそが重要な課題となる。高い利潤と報酬を求めて次々と職を変わる「自立した個人」は保守主義者の好みではなかろう。保守主義者にとって「自立した個人」とは、勤勉の精神と強い責任感を持って家族や企業のために働き、時には地域でボランティアをすすんで行うものなのである。
 ところで、近年、古典的福祉国家でもなく、また新自由主義でもない「第三の道」が主張されている。ギデンスの著書「第三の道−社会民主主義のリニューアル」があるが、そこには戦後のケインズ主義的財政拡張と福祉主義による経済成長路線は行きづまったという認識がまずある。保守陣営は新自由主義路線を提出したが、社民主義の左派は代替政策を提示できていないという危機感があった。ギデンスはグローバリズムを認めるという。彼は市場のグローバリズムだけでなく環境などNPOのグローバルな活動も想定する。犯罪を防ぎ社会生活の安定のためにはコミュニティ再建が不可欠とも言う。企業誘致や職業訓練などは「公的活動」が民間資本やNPOと強調して行うべきものである。福祉については「所得の再分配」ではなく、平等は「可能性の再分配」によって達成されるべきで、職業訓練や労働移動によって多くの機会を提供することによる、という。
 これらの主張はもっともであり特に問題とすべきことはない。しかし新自由主義に対する十分な対抗軸を作っているようには思えない。普通の人間にとってグローバルな自由の拡大よりもローカルな生活の安定の方が大事であり、自由の行使や利益の追求も安定して信頼になる家族や国家、コミュニテイに支えられていなければならない。「アクティブな市民社会の形成」「ポジティブ・ウェルフェアの確率」「社会の近代化」などという「第三の道」の標語でこの問題に答えることができるのであろうか。 −以上 佐伯啓思による。

 キーワードを外さずに要約するのは結構難しいが、下の文章よりもまとまった。「社会民主主義の逆襲」とは知らなかったが今後多少は期待してみよう。

2003年12月9日(月) 「所得税制と勤労意欲」 佐和隆光(京大経済研究所所長)ダイヤモンド社「経」12月号より
 経済システムの善し悪しを測る指標には「効率」と「公正」の二つがある。80年代には効率のみを追求すべきであるとの通念が支配的となった。効率化によって所得格差が広がっても最貧層にも成長のおこぼれがしたたり落ちるはずだというのが「トリックル・ダウン経済学」と呼ばれ、効率化が公正を犠牲にしないことを正当化するために欠かせぬ前提とされる。しかしながら、ポスト工業化社会では階層間の所得格差が果てしなく拡大する傾きが強い。トリックル・ダウンする所得は雀の涙程度である。
 「公正」の意味のひとつはフェアネスであり「ルールを守る」ことを意味する。もう一つは「平等」という意味である。「平等」には結果平等(所得分配の平等)、と機会平等という二つの意味がある。80年代以降、結果平等を志向すれば社会の活力は低下する(効率性が損なわれる)として、市場主義者達の批判の標的に据えられてきた。日本経済の長期低迷の原因の一つはこの国にはびこる平等主義のせいである、との言説が巾を利かせてきた。もうひとつの機会平等については二世議員、オーナー企業の世襲制、地方公立高校の進学不利などを見ると、少なくとも日本では機会平等とはとても言えない。
 だとすれば結果として生じた所得分配の不平等のうち幾分かは機会不平等に起因するのだからその分を累進所得税制によりつみ取るべきである。累進所得税制は「公正」な社会にとって必要な装置であることを認めざるを得ない。以上はハーバードのジョン・ケネス・ガルブレイス教授の説である。ところで日本のエコノミストの多くは80年代の英米で流行した市場原理主義者の素朴な信奉者が多く「所得税率の累進度をもっと緩和すべきである」と主張する。目下税制改革についての議論が盛んだが累進所得税制は社会の活力を低下させる元凶のように言われる。所得税率をできるだけ下げて、税収に占める消費税の比率を高めるべきである。言い換えれば税の直間比率を是正すべきである、と主張するエコノミストが多い。
 このような市場主義エコノミストは「勤労意欲の源泉は所得格差である」という命題を前提に据えている。そうでなく、人間は自分のやっている仕事の社会的意義を実感できるか否か。仕事に熱中できるか否か、等々が働きがいの決め手になる。保守(市場)主義者は機会平等さえ確保されていればそれで十分であるという。結果として生じる所得格差は個々人の能力や努力のたまものなのだから、それを累進所得税制でつみ取ることこそが「不公平」なのだという。他方、リベラリスト(ケインズ主義者)は機会不平等を補完させる役割を累進所得税制に担わせるべきだと言う。
 現在日本の最高限界税率(地方税を含む)は50%である。これが70%を超えていた80年代前半まで日本人の勤労意欲は貧しくなかった。「追いつき追い越せ」の情熱をたぎらせていたそのころまでの日本人は「働きがい」を実感できたからである。日本人の勤労意欲の低下は87年から90年にかけてのバブル経済期を経て後のことだった。目標がかなえられ達成感に酔いしれたことが日本人の勤労意欲の減衰の一因である。90年代に入って最高限界税率が大幅に下げられたが、勤労意欲が高まった形跡は見あたらない。総じて日本人はアメリカ人や中国人と違ってお金に無頓着である。中高生や大学生には「学び甲斐」を、勤労者にとっての「働き甲斐」をとりもどすこと、これこそが日本経済再活性化のための必要条件の一つだ。 −以上 佐和隆光「所得税制と勤労意欲」より。
 
 私は累進課税は不合理だと思う。国のサービスは税金を沢山払ったところで良くなるわけではない。だとすると「人頭税」で良いではないか。そして昔クロヨンとかトーゴーサンと言われた所得税の捕捉率の問題も相変わらず存在すると思うので、間接税のほうが公平だ。暴動や革命や犯罪を抗止するレベルの再分配は必要だろう。贈与税をうんと高くすることは機会平等だ。そうするとカネは滞留せず本人あるいは誰かのために使われる。資源に限りのある不動産も再分配ができる。
 働きがいについて。働くことの意味が分かりにくくなった。一生懸命米を作っても喜ばれない時代だ。100円ショップや安価な衣料が海外から輸入され、モノの価値が不明確になった。ただ額に汗して頑張ればだれかが喜び、自分も達成感が得られるような単純な世の中ではないのだ。誰かの役に立っていると信じうる仕事が果たしてどれだけあるだろうか。
 豊かな生活とはなにか。ヒトは何を求めているのか。結論として「アイ」も「カネ」も「存在の意味」も求めているんだろう。「カネのために働くに非ず」などと言ってはいけない。カネのために働くことを「働く」と言うのだ。存在はもちろんカネのためではない。偉い学者の分かり易い話に触発されてここまで自分で書いておきながらいささかうんざりしている私である。この学者の言を良く考えてみると、何の意味もない結論ではないか。

2003年12月6日(金) コンビニ各社、金融サービス強化 −6日日経産業新聞より
 セブンーイレブンは銀行業に進出、ローソンとファミリーマートはクレジットカード事業に参入した。−以上日経産業より。
 コンビニはPOS(販売時点情報管理)と24時間営業により都市若年層を顧客として業績を拡大し、全国展開と共に物流拠点としていわば「今様なんでも屋」としてさらに顧客を拡大しつつある。最大手のセブンイレブンは全国に8000店強の店舗数を有し、コンビニ全体では売り上げ6300億円/月、3万7千店である。県別分布では北東北、四国南部、北陸、山陰は全体として店舗数が少なく、鳥取、高知あたりでは100店舗程度なので市街地以外では利用が困難かもしれぬ。
 現在のコンビニの機能について。B項以下のサービスは売り上げにすると5%)
 @ 食料品販売(日配35%、加工35%)
 A 日用雑貨販売。書籍・CD・ゲームソフト販売。切手・収入印紙販売。(25%)
 B レンタルサービス
 C 宅急便受付、郵便ポスト設置
 D 公共料金支払い、各種料金・代金決済窓口
 E 自賠責保険契約
 F キャッシング、ATM
 G コンサート/スポーツ観戦チケット予約
 H 通販申し込み(ネット販売での商品受け取り)
 I コピー/FAXサービス、年賀状等印刷サービス
 K DPE
 L クリーニング
 M 宝くじ販売
 N 航空券、乗車券販売

 将来のコンビニの機能について。モノ、カネ、情報の個人側の私書箱機能が発展する。
 @ ファミレス、セルフガソリンスタンドなどとの複合施設への変化
 A 通販を主体とするサービス部門の拡大。特にネット店舗機能が拡大する。
 B 店舗の個性化。他店にない品揃えや特産品の販売。
 C リペアーショップ
 D 匿名私書箱機能
 E 調剤薬局、リモート病院
 F 地域情報のセンター(売りますかいます仲介、地域の掲示板)
 G 輸入代行
  
まとめ
  コンビニの抱える問題は現在と同じで、従業員教育とセキュリティである。小売店では百貨店、スーパー、ディスカウントストアが軒並み低調な中で唯一延びているコンビニエンスストアを概観してみた。小売りで延びているのはもうひとつ、百円ショップというのもあるがまたの機会に。

参考
 セブンイレブン http://www.7dream.com/ イトーヨーカドー傘下
 ローソン  http://www4.at-lawson.com/
 ファミリーマート  http://www.famima.com/
 AM/PM  http://www.ampm.co.jp/home.html
 日本フランチャイズ協会資料 http://jfa.jfa-fc.or.jp/pdf/cvs_2002_07.pdf

2003年12月5日(木) 働かない公務員とPFI
 一体公務員のリストラは可能か。某政令都市下水道局の現業職員は、働かなくてもクビにならず給料も変わらず。勤務中の畑仕事も黙認されているそうだ。人減らしや労働強化にはストでごり押し。管理不能の行政職の能力というか意欲も知れる。今のご時世なら世論を見方にしてまっとうな労使関係を作れそうなものだが。ラスパイレス指数106.7%(01年4月)と日本一、下水普及率99.9%のO市の現業職の実体である。
 PFI(民営化)は財政の逼迫した自治体が無理に公共事業を続けるためのカネを民間に求めようというものであるが、働かない労働者のために存在しているO市の労働組合を解体するためにも有効かも知れぬ。企業の不正には内部告発ばやりだが、役所の不正、不効率の内部告発を求む。情報公開、外部監査、他にもいろいろ手だてがある。

2003年12月5日(木) 日本新語・流行語大賞 −「現代用語の基礎知識」 選
 今年の流行語は「タマちゃん」「W杯(中津江村)」の二つが選ばれた。「拉致」などもあげられた中から大賞では明るい言葉が選ばれた。サッカーW杯ではこの国際的なイベントのパワーを見せつけられた。経済効果だけでなく、意気消沈している日本人のメンタルな部分にも大いに良い影響をもたらした。カネをかけずに元気の出るイベントをやりまくるだけで、案外日本経済が活性化したりして。

END