2002年9月

2002年9月29日(日) 私の視点−「ちょボラ」障害者は「施し」の対象?石川ミカ(バリアフリー推進コンサルタント−29日付け朝日朝刊より
 最近、テレビCMで「ちょボラ」や「指一本のボランティア」などの言葉が流れる。趣旨は、「障害者」や「高齢者」が社会の中で暮らすためのボランティアの啓発だ。あなたにも簡単にできる「ちょっとしたボランティア」がある、と呼びかけているのだ。ボランティア以外にもバリアフリーやユニバーサルデザインなどの言葉があふれているが、なぜそれが必要なのか、どのような社会を作るのかという本質的な論議が忘れられている。先のCMは結果的に「障害者や高齢者」だけに対する施しのように理解されるのでは無かろうか。「障害者や高齢者は社会的弱者」という烙印が押される危うさは無かろうか。
 障害者を助けることは、例えば先にエレベーターに乗った人が「開」のボタンを押して待つような、人としてのマナー、助け合いであり、それは倫理や思想の問題である。それをボランティアと言ってしまうなら障害者は小さくなって生きていかなければならない。障害者自身も、社会の現状を嘆くより周囲の理解を図るため、数多くのハードやソフトノ社会的障壁(バリア)に対する、当事者自らのメッセージの発信を忘れてはならない。スポットをあてるべきポイントを変えれば、自ずと「助け合い」が生まれ、「だれもが安心して暮らせるまちづくり」への問題提起につながるはずだ。−以上29日付け朝日朝刊より

 確かに、お年寄りに席を替わってあげたり、車椅子の人が電車に乗り降りするのを手伝って、なんとなく満ち足りた気分になるのは私だけではあるまい。しかし「良いことをした」のではなく、「やらねばならぬ事をしただけ」なのだ。筆者は「マナー」と言っているが、「義務」に近いのではなかろうか。このような「マナー」は子供の頃に家庭や小さな地域社会のなかで身につけられるべき基本的なものだ。大人になってその人の知性や、属する人間関係のなかで培われるようなものではないだろう。だがだれも子供の時に身障者に対する自然な態度などしつけられていないものだから、しかたなく今、テレビCMで大人達に基本動作のすり込みを行うしかないわけだ。だれもボランティアを「施し」だとは思っていませんよ。みんなが身障者に手を貸す時代の次に、筆者が言うような「マナー」となる時代がくるのだ。
 しかし「施し」という言葉を聞いてちょっと背筋が寒くなるのは、自分が同じ境遇に身を置かない限り全て相手に「施し」と受け取られかねないということだ。こちらの気持ちを相手に伝えるのは難しいが、常に対等の人間という意識があることが当たり前だが大事だ。
ps.例えば「席を替わってあげる」という表現も不快感を与えると思うが、大半の読者は違和感が無いのではありませんか。

2002年9月26日(木)  市町村合併について  −9月21日付日経朝刊より
 明治、昭和に次ぐ史上3度目の大合併。7月1日時点の法定または任意の合併協議会に参加している市町村は940。その前段階の研究会などに参加している市町村を含めると2495。合併特例法の期限2005年3月に間に合わせるには今年度中に合併を決断する必要がある。問題は地方財政の将来の姿が示されていない点。政府は合併のメリットとして行政の効率化やサービスの高度化などを訴えているが大合併の理念と言えるほどのものではない。小泉内閣は来年6月に国庫補助負担金の廃止・縮減、地方交付税を見直し結論を出す。市町村はその前に合併決断の期限を迎えるので順序が逆。財政の先行きが不透明なので判断に迷う。合併する市町村が実施する道路などの基盤整備事業には各省が優先的に補助金を付ける。また70%を地方交付税で穴埋めしてもらえる合併特例債の発行も認められる。財政再建のための合併推進策のはずが、当面は逆に財政膨張要因になっている。
 さらに問題は政府の推進策は住民自治の充実という視点を欠いていることだ。自治体は住民の合意形成や意思決定に基づいて行政サービスを供給している。政府が合併のメリットとして強調するのは、専ら行政のサービス供給の側面だ。合意形成の側面は忘れられている。人口10万から20万の規模になれば一人当たりの行政経費を減らせることは統計からもあきらかだし専門職をそろえることも可能になる。机上の計算では合併が行財政の効率化に役立つことは確かだ。しかし実際には計算通りには行かない。地域作りを担う主体の力量、つまり住民力は計算できない。旧市町村などで小さな自治を育てていかないと、市町村合併の進行は自治の弱体化を招きかねない。宝塚市や高知市は小学校区単位で住民参加による町づくり計画を策定している。群馬県は小学区単位の小さな自治を育てる研究をしている。川崎市では区の権限を強め将来は自治的な区にしていくことを検討している。6月にはこの分野を専門にするコミュニティ政策学会も発足した。住民自治には小さい方がいい。−以上9月21日 日経朝刊より

 市町村合併について。公共事業に関わる者として合併は商機である。昨年からそう言っているのに当時具体的な動きが全国で20件程度と少なく、反応が鈍かった。今も鈍いのでもうどうしようもないのだが、大多数の市町村が合併するのは間違いない。それで西東京市とか東大阪市のようなつまらん名前の市がぼこぼこできるのだろうが。
 日経記事は署名入りだが、前半は行政機構の効率性追求と合併推進策との矛盾をもっと掘り下げてもらいたい。後半の行政機構の広域化と自治や地域コミュニティの活性化とは次元の異なる問題である。合併により地域コミュニティの育成が困難になるのであれば大都市近郊の人口数十万の市はどうなるのだ。現在の行政区画が小さいから地域コミュニティが保たれているとは言えない。行政区画と地域の生活・文化は異なるのだ。ともかく東広島市とかいうのはやめて、例えば郡名を残したらどうか。地名は歴史と文化のシンボルであるというのに。

2002年9月26日(木)  群馬県は無登録農薬の使用者への罰則規定を定める。−26日付け日経朝刊より
 タイトルとは関係ないが昨夜の筑紫哲哉のTV番組より。中国人が日本の企業について言いたい放題言っていた。「日本の企業では服装や勤務時間など小さなことをうるさく言う」「日本の会社では言いたいことを言うなと言われる」「個性を尊重しない」「業績を上げても個人の評価にならない」「日本の企業は中国の国営企業と同じだ」「日本の企業では創造力を発揮できない」「会社の業績への貢献度でヒトを評価しようとしない」「ヒトを評価する客観的な尺度をもたない」「日本人は中国人を蔑視している」「中国駐在の日本人は閉鎖的だ」「10年たったら上海だけで日本に勝てる」。
 きっと日本は負ける。「業績評価を客観的なものにする」「個性や創造性を尊重する企業文化を醸成する」ためには、多くの管理者は自己否定を迫られる。日本の企業には管理者は大勢いるが経営者がいないということか。 

2002年9月25日(水)  都心地価、再び下げ基調  −23日(月)日経朝刊より
 基準地価は11年連続で下がり、商業地、住宅地共に下落幅が拡大した。下げ止まりの兆しがあった都心地でも再び下げ基調が強まってきた。商業地の地価は1979年の水準。住宅地は87年の水準まで落ち込んだ。東京都心では再開発ビルが開業ピークを迎える2003年問題があるが、団塊世代の引退に伴うオフィス就業者の5%減少、という2010年問題も指摘されている(ニッセイ基礎研究所) −以上23日(月)日経朝刊による。

 1995年ぐらいに国土庁から発表された、「2005年には在宅勤務が50%」という話はどうやら無いが、いずれ「通信手段の発達により都心への人口集中が減少する」はずだ。そして「勤労者は快適な住環境を求めて地方へ回帰する」というのが当時の私の報告の結論だった。心の奥では実は真っ先に自分がそうしたいという思っていたからかもしれぬ。
 地価は今でも高すぎる。商業地の適正な価格は投資の利息が経費負担可能な範囲で決められるべきだし、住宅地の価格は少なくとも平均的なサラリーマンが無理なく手に入れられる価格で有るべきだ。相続税を高くして循環させれば土地の需給は安定する。バブルの時企業は税金対策のために土地を買い込んだわけで、もともと50%ぐらいは法人所得税として国へ治めるべきカネなのだ。こんどは値下がりした土地を処分すればまたまた税金のがれができるというわけだ。土地は事業目的に照らして不要な資産なのだからこれは粉飾だ。
 (地価下落による「資産デフレ」は金融機関の不良債権を拡大し企業の銀行借り入れを困難にする)とは日経の中途半端な結論だ。モノやヒトの価値を見定められない銀行に重大な責任がある。

2002年9月25日(水)  英原発大手BEの経営破綻−23日(月)日経朝刊より
 1990年、英政府は国の中央発電局(CEGB)の分割民営化を開始した。送電を除く発電、配電、小売りの三分野での民営化を推進。95年、地域別に分けた配電12社の資本自由化。96年国営の原子力発電所を引き継ぎBE誕生。98年、一般家庭向けの小売り事業を自由化。2000年、卸売り電力の先物などを売買する電力取引所を開設。01年、卸売価格決定制度を見直し、顧客も参加できる完全自由化市場に以降、卸売り価格が30%下落。02年ドイツRWEがBEを買収。BEは原発2基が冷却系トラブルで運転不能になり、政府に資金援助を要請。−23日(月)日経朝刊より

 英の原発民営化のケースでは国策と関わりが大きいことが足かせになった。英の民営化が次々と破綻して行くのは、民営化が単に官の財源不足による新規投資を代替することが目的であったり、リストラなどの経営効率化だけを求めたものであったからか。事業者のリスクを明確にしてやらねばならない。それができないならば、結局官が管理し民が実施するというあたりに落ち着く。日本でも官はどうやらカネだけがご入用のようですので、このようなPFIもどきがたくさん発生するようである。

2002年9月24日(火)  第三回「行政サービス調査」の結果− 9月24日(火)日経朝刊より
 日経新聞社と日経産業消費研究所は全国675市と東京23区を対象に「公共料金や福祉・教育など行政サービスの水準を示す「サービス度」の総合評価を実施した。「サービス度」は公共料金、高齢化対策、少子化対策、教育、住宅・インフラの5項目による評価。「改革度」は公共工事公開などの透明度、行政評価の導入などの効率化・活性化度、パブリックコメントの制度保証などの市民参加度、図書館の閉館時間などの利便度の4項目による評価。
 「サービス度」では公共料金は埼玉の新座市、上福岡市、鶴ヶ島市など埼玉3市がトップ。高齢化対策では清瀬市、青梅市の次は松本市、駒ヶ根市、塩尻市。総合評価では1位武蔵野市、以下三鷹市、羽村市、刈谷市、千代田区、中央区、福生市、稲城市など東京勢が上位を占める。「サービス度」と財政の関係は、「高サービス財政悪化型」は横浜、京都など23市と東京で、リストラ要。「高サービス財政良好型」は富山、宮崎など11市。低サービス財政良好型」は福島、津など6市。「低サービス財政悪化型」は和歌山など6市。
 「改革度」では透明度では世田谷区、三鷹市、逗子市。最下位は加茂市。効率化・活性化度では宮古市、太田市、東金市。下位は村山市、中間市など。市民参加度では横須賀市、大和市、岡山市。利便度では上越市、宮崎市。総合評価では一位三鷹市、以下岡山市、板橋区、大和市、武蔵野市、杉並区、宮古市、横須賀市と続き、東京神奈川が目に付くがサービス度ほど東京に偏っていない。−以上9月23日(火)日経朝刊より

 行政サービスの内容を比較することは意義深い。本当に住民にとって必要な所に財政支出されているかどうかということをひとつづつあきらかにして行くことによってお役人の勤務査定をしたり議員や首長を選択すべきなのだ。元気なリタイアメント達のNPOの活性化によって、これからの地方自治は大いに良くなるというのはちょっと希望的観測すぎるか。
 

2002年9月23日(月)  一からわかる食品の残留農薬−9月23日朝日新聞朝刊より
・残留基準の決め方
 厚生労働省が農薬毎に定める。一生にわたって毎日食べ続けても健康影響が出ない「許容一日摂取量(ADI)」の8割を各農産物に割り振る。残り1割は大気や水から体内に入る分と見積もる。各農産物ごとの基準値は、どの食品を通常どのくらい食べるかという調査に基づきそれぞれの食品に基準近くまで農薬が残留したと仮定して割り振られている。
 中国産冷凍ほうれん草で問題になった殺虫剤クロルピリホスの場合、ホウレンソウや春菊では検出限界に近い0.01ppmとされている。枝豆やレタスは0.1ppm、小松菜やブロッコリーは2ppm、大根の根は3ppm。今回の違反ほうれん草の最高値2.5ppmはホウレンソウの基準値の250倍だが、大根であれば違反にならない。

・国外産品の検査
 検疫所では通常、輸入届け出の10件に1件程度の割合で、残留農薬や添加物、細菌などを抽出検査し違反があると抽出率を上げる。違反を繰り返す特定品には「検査命令」を出して全てを業者負担で検査させ、それが済むまで流通にまわらないようにする。ただし、加工食品には基準が無く検査の対象外。現在検査命令が出されているのは残留農薬だけで40品目以上。検査命令は今年4月以降報道発表されているほか個別の違反はホームページで公開されている。http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/tp0130-1.html
 中国産冷凍ホウレンソウでは、違反のあった個別の貨物の輸入しか止められないことが問題となり、今月7日施工の改正食品衛生法で違反の相次ぐ特定食品を包括的に輸入中止にできるようになった。検査命令後の検査が60件になった時点で5%以上の高率の違反があれば発動検討の対象になる。なお、国産の農産物は、店頭などで都道府県が抜き打ちで残留農薬を調べている。

・登録農薬について
 国内で農薬を販売するには農薬取締法に基づく「登録」が必要。健康や環境への影響のデータとともに申請され、環境省の基準を満たしたものを農水省が登録する。有効期間は3年。食用の農産物に使われる農薬は現在約350種類が登録されている。
 登録された農薬には、農水省が収穫の何日前までに何回使用できるかを定めた「安全使用基準」があり、これに基づき都道府県や農協が細かな指導をする。守ってさえいれば通常は食品の残留基準も超えない。
 使用が発覚したダイホルタンやプリクトランは発ガン性などの疑いで登録が失効していた。同法には無登録農薬使用の罰則がない。農水省は秋の臨時国会に改正案を提出する方針。農薬取締法に基づく登録と残留基準の設定はリンクしていない。登録農薬で残留基準が定められているのは約半数。一方で輸入食品取り締まりのため、国内で無登録でも残留基準があるものもある。基準のない農薬の残留は健康被害の恐れが高くない限り食品衛生法で取り締まれない。厚生労働省は来年度から一気に基準づくりを始め、将来は基準のない農薬を「残留禁止」にできるよう法改正する方針。農薬登録と同時に残留基準を設けることも検討課題になる。   −以上、9月23日 朝日新聞朝刊より

 ちょっと長いが農薬の規制について「使用」と「残留」の法規制の問題が良く解る内容なので記事のかなりの部分を引用した。この朝日の記事は問題点と省庁の動向までを含む丁寧なものだ。ただし、省庁の縦割り行政のちぐはぐさや大製薬会社の利益と大きく関わる農薬行政が簡単に消費者を向いたものに方向転換されるとは思えない。また、輸入食品の規制には国内生産業者の期待も見え隠れする。農薬や化学肥料は人間を含む現在の生物が数万年もの間進化してきた生存環境を大きく変化させるものだから、基本的には使用すべきでない。自然環境における将来にわたる影響が判明しているわけでないからなおさらである。一方化学肥料や農薬は農産物の生産のコストを下げ収量を増大させる。ここにも科学技術とリスクの問題があり、行政の関わり方の未熟さがある。

2002年9月16日(月)   死刑囚の臓器提供−9月16日(月)朝日新聞朝刊より
 臓器提供の意志を明らかにしたのは、強盗殺人罪で無期懲役となって服役し、仮出獄中に再び強盗殺人事件を起こして審理中の男性(49)。死刑は未決だがほぼ確定。現在は最初の事件の無期懲役刑囚。ドナー登録の手続きのため2時間程度の刑の執行停止を求めたところ、法務、、検察当局が認めない方針を固めた、というもの。現行では受刑者の臓器提供はむろん、献血さえ行われていない。理由は、「骨髄バンクに登録する高い必要性はない」「仮に罪を償うための行為でも自由を拘束している以上は認めるべきではない」、「受刑者の体に何らかの害が及ぶ可能性がある」、「認めれば別の受刑者に臓器提供などの圧力がかかりかねない」などというもの。−以上9月16日(月)朝日朝刊による。

 死刑囚などが新薬の実験などに志願することは認められていると思っていたのだが認められていないのかもしれない。医学的には死刑囚は生体のまま全臓器が移植できるという理想的なドナーだ。死刑囚から見れば、死刑と決まったら何程か誰かの役に立ったと思えれば本人も家族も幾分かは安らけく死を受け入れることができる。臓器提供を受ける側は、日本では臓器提供者が誰かと言うことは知らされない。法務・検察のあげたてた理由は朝日の周辺取材によるものと思われ、公式見解は公表されていないはずだ。朝日も他のマスコミの論調が揃わないと意思表明しないところがなさけない。こういう類は「チクリ記事」と称することにするが、昨今の記事はこればかりだ。
 話を戻して検察の真意を想像すると、「死刑囚には社会的な行為を行う自由がない」従って「死刑囚には臓器提供の自由もない」というところか。人道がらみの話になると責任者はでてこないし理由も公表されない。こういう官の習性とそれを許している民が、3流の行政を温存しているのだ。「刑とは何か」「死刑囚の自由とは何か」、この問題に限ればさほど難しい議論ではあるまい。官は決定権限を手放したくないだけのように見える。まるで子供である。

2002年9月13日(金)  関西再生−9月10日(火)日経朝刊より
 近畿二府四県の域内総生産が日本のGDPに占める割合は、2030年には2001年の15.1%から10.8%に下がる。ほぼ現在の九州沖縄8県の水準。関東大震災直後の1924年、大阪市とその周辺だけでも全国の23%を占めたが戦後は関西のウェートは下落。関西の人口のシェアはこの30年間横這いだが、生産年齢人口の全国シェアは18.0%から17.3%に低下した。2030年では16.7%と予測されている。−以上9月10日(火) 日経朝刊より
 
 最近の工場誘致の話では三重県のシャープ誘致の話が話題になった。しかし概ね役人のやったことはバブル前の計画を忠実に実行し地代の高い埋め立て地を作った程度である。大阪のみならず工場や人の誘致は難しいのだ。記事中にもあったが大阪では単身赴任者が増大している。嫁さんが大阪に住みたくない理由がわからぬはずがあるまい。
 公園や緑地が広く自然が豊富なこと。土地や住宅が安いこと。水や空気がおいしくて公害が少ないこと。海産物や野菜などが新鮮でおいしいこと。安くて品物が豊富な店舗が多く買い物が便利なこと。道路や交通網が整備されていること。文化体育施設が充実していること。教育施設が充実していること。医療施設が充実していること。災害が少ないこと。犯罪が少なく安全なこと。生活習慣や言語に親しみ易いこと。
 人が住みたいと思うような魅力的な町を作ることが行政の仕事だ。敗戦後から知恵を絞って、規制ではなく調和ある町づくりを進めることを怠ってきたからこうなった。もはや無理に大阪を再生する必要はあるまい。そして大阪が目指すのは東京型の洗練された都市モデルではなく、人間くさい活力に満ち雑多な文化の交歓や自由な商業活動や学問、芸術を守り育てることではないか。そのためにはさほどカネは必要ないと思う。ビジョンを作れ。

2002年9月12日(木)  自治体外部監査−9月10日(火)日経朝刊より
 弁護士、公認会計士らが都道府県などの行政をチェックする「包括外部監査」について、市民団体「全国市民オンブズマン連絡会議」は9火、全国の95自治体の監査を独自に査定した。評価は相対評価でK、AからEまでの5段階。A評価は宮城県、長野県、島根県、長崎県、鹿児島市、八王子市。Eは宮崎県、いわき市、金沢市、姫路市、倉敷市。いわきは2年連続。−以上9月10日(火)日経朝刊より

 全国の自治体では数年来の無理な公共事業の支出と税収不足のため、財源不足に陥っている。そこで多くの自治体では事業や組織の縮小を模索しているが、住民サービスの低下は議員や首長の選挙にひびき、人員削減や移動は組合の抵抗を招く。したがって外部の監査法人などに行政監査を委託して事業や組織の改革を進めようとしている。もっとも、ぬるい業務の実体があからさまになるのを恐れてか、行政監査という名目の内部監査程度にとどまっているようだが、いずれは外部監査を公開ということになるだろう。大手の監査法人は既にこの膨大なマーケットをにらんで動いている。会計監査の大手は、新日本、中央青山、トーマツ、朝日。トップの新日本の前年度業務収入は481億円(1087社)で、大手4社では1,680億円。国内の企業会計の監査ではほぼこの4社の寡占状態である。自治体の監査業務はブレーク寸前の巨大マーケットだと1年近く前から言い続けているのだが、既存の監査法人にみすみす渡してしまって良いのか。

 2002年9月10日(火)  取り敢えず記事のみ集めました。

 衛星ビジネス−9月10日(火)日経産業新聞
 宇宙開発事業団(NASDA)は10日H2Aロケットの3号機を打ち上げる。技術的には世界レベルだが「NASUDAが主導権をにぎってきた日本のロケット事業は技術にこだわる余り市場を見ていなかった」と言われている。ロシアのプロトンは打ち上げ費用は60億円から84億円。H2A標準型は85億円を目指している。H2Aは打ち上げ能力1トン当たり1600万ドル程度だが、今後予想されるロケットは打ち上げ価格が1トン当たり800万ドルに近ずこうとしている。安価で信頼性が高く扱いやすいことが衛星ビジネスの世界では重要だ。

 太陽光発電システム−9月10日(火)日経産業新聞
  三洋電機は欧州向けに太陽光発電システムの出荷を開始する。欧米各国が太陽光発電システムの導入促進策を相次いで導入したため。なお、三洋電機の太陽電池パネルは阿tんけっしょうのセルの上下をアモルファス(非結晶)の太陽電池で挟んだ構造をしており、他者のパネルより割高な反面、電気エネルギーへの変換効率が高い。
導入促進策 計画
ドイツ 発電した電力を市価の3倍程度の高額で買い取る 2004年までに累計300MWの太陽電池を設置する。
オランダ 太陽光発電システムの出力1W当たり3.4ユーロを助成する。 2007年までに累計250MWの太陽電池を設置する。
イタリア 出力1Wあたり8ユーロを上限に、投資コストの75%を補助する。 2003年までに累計50MWの太陽電池を設置する。

2002年9月8日(日)  広告税で雇用促進
 1日付けの本欄で500万人雇用すればよいとしたが、500万人雇用するためには年間30兆円が必要となる。国、都道府県、市町村が支出できるのは、雇用促進による税収の増加を前提にいくら頑張っても10兆円というところか。消費税は個人所得税と法人税の減税と引き替えに、いずれ欧米並に15%程度になると思われるが、さらなる税収と雇用を同時に増やす案がここで述べる、「広告税」を初めとする増税案である。
 自治体に対する補助金は、国の政策を推進し地方自治体の投資を国家の政策に沿ったものに誘導することにある。一方税制にも同様の機能がある。例えば持ち家の取得を推進するために住宅ローン支払い額の所得税からの控除が認められている。ただし個人や企業に特別な課税をすると徴収に手間がかかるという面があるためか、納める側の申告に依存してもっぱら緩和措置が多いように思う。消費税はいわゆる贅沢品(例えばLCA評価の低いものを贅沢品と定義する)にはさらに高い税率を設定すべきだと思う。貴金属、高級車、松坂牛など。商品毎に単価が一定以上の場合、税率が逓増するという方法が課税が容易だろう。
 車中の吊り広告、駅構内や道路脇の看板。ビルの屋上や壁面の看板やネオンサイン。アドバルーンや飛行船、宣伝カーや拡声装置を搭載した飛行機。街路や店頭で配布されるチラシ、ビラのたぐい。テレビやラジオ放送のコマーシャル、商店の外まで聞こえる音楽や呼び込み。インターネット広告、チンドン屋やサンドイッチマンなど。氾濫する広告は情報伝達という利便性を差し引いても、景観を破壊し騒音をまき散らし全体として不快感を与えている。外国と比較してもこのように無秩序に至る所に広告が氾濫している国は少ないのではないか。特にヨーロッパの風景と比べると、例えば我が国の幹線道路は無惨な状態である。
 さて、このような広告を忌避するひとつの提案が、「広告税」の創設である。例えば、一定サイズを超える看板は内容を問わず全てに広告税を適用するのだ。我が国の年間広告宣伝費は約6兆円である(注:広告調査ガイド http://member.nifty.ne.jp/meikou/index.htm#TOP)。消費税以外に20%課税するとして1兆2000億円で20万人の雇用創出となる。その多くは徴税人として雇用する。役人を増やすのではなく徴税システムは民間委託が可能だ。なお、広告税は例えば看板が掲げられている限り継続的に徴収されることにすると、撤去や更新を促進する面もある。
 こうしてみると、忌避したいものは他にもいろいろある。例えば景観を損なっており各国で規制されているものでは(規制実体は不明確)、自動販売機、テレビアンテナ、電柱および電線(電話線やCATVケーブルを含む)、高架水槽など。例えば建ぺい率違反の建築物や用途地域違反については固定資産税を割り増しする。農村地帯にある資材置き場や産廃仮置き場。都市では一定面積以下の区画。市街化区域の農地は宅地並課税というだけでは手ぬるい。用途地域や増税の内容は市町村レベルで住民が判断すればよい。現在の用途地域の不透明な設定の方法など、問題は山積みであるが。

2002年9月6日(金) 2002環境展
 (株)日報主催。行くかどうか迷ったが、只券を郵送してきたので昨日午後、インテックス大阪まで行ってきた。会社から中央線ですぐ近くなのでさっさと見てきたら2時間で戻って来られた。以前から環境展はイベント会社のカネ儲けで、モノ売りのための展示にしかなっていない、との印象を持っていた。その理由はセンセ(ここでは実力のある学者という意味)が絡んでいないからだ。ところが、今回大阪府立大など大学ブースが5つほどあって驚いた。
 東大生産研究所の安井教授のブースがあって、「100%木材パルプの紙と75%古紙の紙とでは、あなたはどちらを使うか」というアンケートをパソコンで入力させていた。回答すると発泡酒をくれるというので喜んで協力した。内容は、CO2、コスト、エネルギー、木材資源という4つの評価項目があって、コストとエネルギー使用量の2点で75%古紙の方が不利。他は有利と言う話を順番に提起して、あなたはどちらを選ぶか、と何度も聞いてくる。つまりあんたはなんもかもわかった上で判断してるのか。古紙再利用のことに限らず、もっと勉強せい、と言っているのだ。いやな感じのアンケートである。パソコンによるアンケートの回答を終えると「キリン極生」がもらえたが、「冷やしてお飲みください」と言う。これでは喉を潤すどころか、荷物になるだけではないか。なお、他の大学の展示も大した内容ではない。
 全体展示について。減容、梱包、選別、生ゴミ処理、小型焼却炉、搬送などの装置展示が大半。脱臭、廃水処理、ダイオキシン土壌汚染除去が少し。分析、計装、サービス、省エネ、CO2固定、フロン処理、PCB処理などはなし。BtoBで目先売れるモノが対象だ。環境ビジネスはこんなに底が浅いものではないだろうと思わせるような展示会であった。

2002年9月6日(金) 来春卒業予定高校生求人倍率が0.5倍 −日経9月6日(金)朝刊より
 厚生労働省の調査に依れば、来春卒業予定で就職を希望する高校生23万1千人(昨年比6.8%減)に対して求人数は11万5千人(24%減)で求人倍率は0.5倍(昨年同時期より0.11ポイント減)で過去最低となった。南九州が0.17倍、北海道と東北が0.2倍。京浜が1.43倍。同省が挙げる原因。@高校生の受け皿となっている製造業の工場が中国など海外へ移転している。A高卒者の離職率が高く企業から敬遠されている。B即戦力を求め、企業が大卒や中途の採用を優先している。同省の対策。@求人倍率が低い自治体では公共職業安定所(ハローワーク)の求人開拓推進員(全国で1,500人)のうちの半分を新卒者千人にする。A数ヶ月の試用期間を経て正社員への道を開くなどの期限付き求人も新たに開拓する。
 高校側。大阪府立高校教員「生徒側に対しては資格を取得させたり礼儀を教え込むなど地道な取り組みを続ける以外ない」。新設都立高校進路担当「フリーター施行の生徒は表面的には他にやりたいことがある、などと言うが、実際は就職活動のあまりの厳しさに、最初からあきらめてしまっていることが多いようだ。」
 今春の実績。今春卒業した高校生の6月末現在の就職率は94.8%。1974年の調査開始以来最低を記録した。求人数は昨年比11.1%減の24万人。特に製造業の落ち込みが激しく昨年の4分の3の8万人。18万4千人の就職希望者の内17万4千人が実際に就職した。昨年7月末の求職者数は24万8千人だったが今年6月末18万4千人に減少。6万4千人が、大学進学や激しい求職状況などを理由に就職活動を中止している。求人数を求職者数で割った今年六月の最終的な求人倍率は1.32倍。採用選考開始後求職者が減ることも倍率を上げる要因になっている。製造業以外で求人が落ち込んだのは前年比9.2%の建設業や、同2.7%の運輸・通信業など。卸売り小売業飲食店はプラス1.2%の微増だった。6月までに就職が決まらないと一般の求職者と同じ「未就業者」の扱いになる。新卒扱いされないため今後の就職活動は一層厳しくなる。−以上日経9月6日朝刊より。
 
 かって大企業は優秀な高校生を企業内学校に入学させカネとヒマをかけてじっくり育てた。一方ラインの単純作業の従事者ににも大量の新卒を採用し、ZD運動やTQC活動などを通じて世界一の生産技術と言われるほどの質の高い労働者に鍛え上げた。製造業でも中小企業や建設業などでは多くの仕事は熟練を要したので、新卒者は長年次かけて先輩や親方に育てられた。10年以上の下積みに耐え技術だけでなく精神力も鍛え上げられた者が残り、育てられた企業に大いに恩義を感じて、次代の企業や店を支えた。
 さて、現在では大企業は年功序列、終身雇用制を転換し、社員に忠誠と帰属意識を求めるのではなく業務に応じた能力を有する社員を都度雇用し、その能力に見合う賃金を支払うという雇用関係に変化しつつある。ラインの単純作業は国内ではロボットに取って代わられ、多くは中国に生産拠点を移した。中小企業は淘汰され、特殊な技術や特許を保有する少数の企業以外はひたすらコストの削減を要請され、大半は旧式の製造機械を使用し年輩者が低賃金で雇用されている。もはや未来はないから若年労働者を雇用する意欲がない。徒弟制度の中で受け継がれてきたモノ作りの伝統は、労働者の誇りと共に失われたのだ。
 今、企業は短期で流動的な労働力のほうがリスクが少ないので、新卒の正規社員を採りたがらない。雇用される側の立場で言うと、明確に自らの能力を評価し、それを鍛え、それを必要とする企業に売り込めることがこれからの労働者の資質だ。今の教育制度は社会のニーズに全く応えられていない。

2002年9月4日(水) 日経平均19年ぶり安値 −日経9月4日(水)朝刊より
 東京株式市場で3日、日経平均株価終値9,217円と、1983年9月以来19年ぶりの低水準でバブル崩壊後の安値を更新した。企業業績の悪化懸念や証券税制が複雑になることを背景に買い手不在の状況に陥っている。同日の米国株式相場も下落して始まった。市場では買い注文が少なく小口の売りでも相場が崩れやすい状況。東証1部の売り買い代金は今年1〜6月は1日平均6,000〜9,000億円だったが、8月中旬以降5,000億円を割る日が増えている。背景は米国株式相場の不安定な動き。米でも投資信託の解約増加など株離れの動きが見られ、これに合わせ日本株を売る動きが小口ながら継続している。外国人投資家の動きは鳴りを潜めた。米景気の先行き不透明感が強まったことで日本の輸出企業の業績への警戒感が台頭。経済界は株価急落で金融システム不安が強まることを懸念しており、ペイオフ解禁の延期論を始め証券税制の見直しや大手銀行への公的資金注入などの検討も政府に迫っている。−以上日経9月4日付け朝刊より。
 
 経済界は株価下落でお上におねだりしかできないようだ。企業の自立とモラルの向上が求められているというのに。それにしてもトヨタ、NTTなどのトップ企業は内向き過ぎる。企業や経営者の哲学や経営理念は企業業績の向上だけではあるまい。CSの先には「顧客の企業活動への共感」、そして究極的には「顧客の企業活動への積極的な支援」があるのではないか。顧客が理念や思想に喜んでカネを払う時代が目前と思う。「モノからハートへ」価値の転換が必要だ。

2002年9月3日(火) 長野県知事田中氏に聞く−日経9月3日(火)朝刊より
 今回の選挙結果について−「焦点は「公共事業の決め方」だった。ダムの計画中止に県民の多くが賛同したと言うことは、中央官僚、地元政治家、大手建設会社中心の土建業界が密室で取り決めている市民不在の税金の使い方にノーの意思表示をしたということ」 「中央依存でない自律的な地域経済確立の意欲の現れでもある。現状はダムや道路の建設は全てが中央官庁主導。、私は公共事業のやり方を根底から組建て直し、道路建設や治山などに県独自の基準を設ける」「新潟県境の長野県栄村は村道建設に独自基準を設け国平均の十分の一程度の費用で村道を建設している」「行政とは究極のサービス業だ。民間の人材を登用し奉仕者としての県職員の意識改革を一層進める」「例えば、50余ある県の外郭団体は半分に削減する。組織存続のために事業を営んでいる団体が多い。上下水道事業なども民営化する」「民間活力を使って秒速10ギガの高速光ファイバー網を整備。新技術や農業振興のため経済特区を活用する。県産材利用で顧客本位の視点を持つ民間企業との「協働」をすすめてゆく」−以上日経9月3日朝刊より。

 田中康夫に生理的な嫌悪感があるのは私だけでは無かろう。しかし知事になるずいぶん以前から浅田彰との対談を時折目にして「ペログリ」ばかりではないことは知っていた。「補助金を取ってくる」という首長(役人は「くびちょう」と読みます)の仕事を真剣にやればやるほど借金地獄という今日本のほぼ全ての地方自治が落ち込んでいる泥沼は、政治の無能と役人の無責任体質の結果だ。地方が言う事業費の大半は東京のゼネコンが取って行くというのはその通りだが、補助金の大半は都会の会社やサラリーマンが払った税金だ。地方自治の依存体質を脱却し、自分達の所の事業は自分たちでよく考えて効率よくやりたい、というのは至極まともな言い分だ。しかし問題は地域格差だ。単純にいうと、補助金や地方交付税は役人の中央集権機能の維持と地方代議士の集票という目的のために都会から地方へ流れている。これらを断ち切ると地方は全くカネが無くなる。地方の多くの建設業者の仕事が無くなり、農閑期の雇用が無くなるという痛みを伴うが、それが地方の構造改革だ。少なくとも田中康夫は私利私欲のために汗をかいているのではないという点で再選されたと思うが、県民の痛みはこれから始まる。

2002年9月1日(日) 「ピサ・ショック」−日経8月31日(土)朝刊より
 ピサとはOECD加盟31カ国が行った中学3年生の学力検査の事である。昨年末、この学力検査の国別平均値が明らかになった。
 数学能力1日本、2韓国、3ニュージーランド、4フィンランド、5オーストラリア、6カナダ、7スイス、8英国、9ベルギー、10フランス、(中略)29ルクセンブルク、30メキシコ、31ブラジル。
 読み能力1フィンランド、2カナダ、3ニュージーランド、4オーストラリア、5アイルランド、6韓国、7英国、8日本、9スウェーデン、10オーストリア、(中略)29ルクセンブルク、30メキシコ、31ブラジル。
 記事はドイツの学力低下(数学21位読み20位)に関して、社民党の教育政策下で学力格差が拡大したこと、ドイツ社会がかっての勤勉社会からレジャー社会になってしまったことを指摘している。−以上日経31日付け朝刊より

 現在の初等教育に求められているのは単純な試験で測られる学力だけではない。しかし基礎的な学力や在る程度の修練の技術は必要だ。 そして初等教育において本当に必要なことは、数学では論理性と抽象能力、語学では感受性とコミュニケーション能力だ。もちろん教育機会は全ての人類!に等しく与えられるべきだが、等しいというのは同じ授業をすることではない。排除も選抜も必要だ。排除とはクラスからの排除であり、彼のために新たなクラスを設定することを意味する。

2002年9月1日(日) 日本の総人口1億2647万人 日経8月31日(土)朝刊より。総務省30日発表
 前年比増加率0.15%増。出生者数117万1320人で過去最小。15才未満の年少人口は1811万9254人で前年3月末より0.17%減。15才から65才未満の生産年齢人口は8527万6195人で同0.38%減。65才以上の老年人口は同0.56%増の2308万3204人で、少子高齢化が一段と進んでいる。一世帯当たり平均人数は2.6人で過去最低。一方世帯数は1.3%増の4801万5251世帯。−以上日経31日付け朝刊より

 日本は少子老齢化でほんとに困っているのだろうか。生産年齢人口が少なくなって年金や健康保険料を納める元気な世代が少なくなっているのなら、家庭に引っ込んでいる女性や海外からの季節労働者を増やせばよい。あと20年間500万人ぐらいの雇用を創出すれば年金問題も健保問題も一挙に片づき、そして民需が増えるので景気も良くなる。だから雇用を増やす方法が問題である。公共サービスの本質を転換するのである。「モノからヒトへ」。つまり器を作る公共事業からヒトによるサービスを提供する公共事業に転換するのである。15人学級や国立公園レンジャー、林業者、棚田、造園など人手を要するサービスはいくらでもある。介護サービスもヒトのサービスに重点を置くのだ。雇用の創出についてはもう一度緻密に考えてみる。
 

END

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