成型肉、人工霜降り肉、増量肉の作り方 2006.11.11作成
出所: GAB 2006年4月23日(日) 成型肉、人工霜降り肉、増量肉の作り方 [副題:アミノ酸の入った食材は控えよう]
フォルクスは内臓肉などを接着し型枠で形を整えたものをビーフステーキとして売って、公正取引委員会から排除命令を受けた。この成型肉の年間生産量は
1000トン程度と言われ、小売りのサイコロステーキ、コンビニのすき焼き弁当、スーパーのやわらか加工肉などに使われている。作り方は、内臓肉や脂身を
かき集めたトリミングミートに牛脂などをまぜ、全体量に対して約3%の酵素結着剤を加える。それをアルミのバットに打ち出し瞬間凍結させ結着、その後カッ
トして出荷する。脂比率の多い悪質なものだと焼くと半分に縮んだりぼろぼろに崩れることもある。
成型肉に代わって人工霜降り肉というのが浮上しつつあり、市場全体規模は6000トンとみられている。シェア6割を握る食肉加工会社ホクビーでは「メル
ティーク」と名付け宣伝しており、ファミレスのサーロインステーキやホテルの宴会、飲食店などで使われているが、外食ではメニュー表記が進んでいない。表
示義務が無いからだ。作り方は、筋を取り除いた赤身肉がコンベアで運ばれ針山の下で止まる。すると100本近くの針が一斉に赤身肉に刺さり、コンデンスミ
ルク状に乳化された牛脂が、重量に対して20%打ち込まれる。これを成型し冷凍庫で寝かすと水分は肉中に、脂はサシとなって残る。原料肉は豪州産のカウ
ミート(搾乳後の牛)である。
04年にハム、ソーセージで使われた肉は42万トン。対して実際の生産量は50万トン。大豆タンパクを混ぜているから多くなるという。原料の豚ロース肉
にゲル状の調味液を針で一斉に打ち込む。この調味液の中に肉と水とを結着させる各種タンパクの粉が混ぜ込まれており、仕上がっても水分が流れ出ない設計で
ある。大量の水分を打ち込むため本来の味が薄まるので、アミノ酸などのうまみ調味料を加える。1kgの肉はゲル液を含んで1.5kgになり、加熱によって
水分が蒸発して1.2kgのハムに仕上がる。高加水ハムは日本ならではのもので、仕上がりに対して加水率が50%以上になると海外の装置では対応できない
そうだ。日本では贈答用の高級品以外の殆どがこの加水ハムであるとのこと。健康に対しては、高級ハムに対して増量ハムはカロリーが1/2と少ない。
唐揚げを油で揚げてもジューシーさを保つ秘訣は軟化剤である。鶏肉を軟化剤につけうと水分を吸い込んで20%以上膨らむ。これを油で揚げれば歩留まり100%以上の唐揚げが完成する。
ハンバーグは、もっとも安いカウミートとトリミングミート(内臓、腕その他の肉)に豚や鶏の端肉とパン粉代わりの大豆タンパクを混ぜれば安くて柔らかいハンバーグの出来上がり。ビーフエキスで味を調えれば大豆50%のビーフハンバーグとなる。
[増量ハムのからくり]
タンパク加水分解物(味付け。仕上がりに対して1〜2%添加)、調味料(アミノ酸など。味付け)、酵母エキス(味付け)、リン酸塩(結着、保水)、増粘
多糖類(打ち込み液の均一化)、食塩、カゼインNa(保水、乳化、結着。打ち込み液に対し3〜6%添加)、コチニール色素(着色)、発色剤(亜硝酸Na。
発色)、酸化防止剤(ビタミンC)、卵タンパク加工品(結着、保水)、乳タンパク(保水、食感改善。打ち込み量に対して適量)、糖類(水飴、砂糖、ブドウ
糖)、豚ロース肉、大豆タンパク(決着、保水、乳化。打ち込み液中に2〜6%)卵タンパク(結着、保水、食感改善、高いゲル性。仕上がりに対し1〜2%、
ポークエキス(豚分量が少ないときに味の増強に使用)
関連記事では、食品添加物のうち、毒性が高く使用基準が厳しく定められている添加物は極力避けるべき、とし以下が挙げられている。
合成着色料(赤102、赤3、黄4、黄5、青1、青2)、発色剤(亜硝酸Naなど)、合成甘味料(サッカリンナトリウム、アスパルテーム、アセスルファ
ムKなど)、合成防止剤(BHT、BHAなど)、合成保存料(ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸ブチルなど)、防カビ剤(OPP、TBZなど)
以上は週刊東洋経済2006.3.11から抜粋。確かにレトルトの唐揚げはやたらに柔らかい。安物のハムやレトルトのハンバーグは不味いが、不味い理由
が良くわかった。インスタント、レトルトも良くないようだ。ファミレスも怖いのだなあ。ファーストフードは不味いだけでなく危ないということだ。
良く思うことは、高校までの学校教育では、生活に即した知識を与える教育が必要と思うのだ。たとえば食品に関しては、新鮮な野菜や魚の見分け方とか、添加物の知識、カロリーや栄養価を考えた献立、ラベルの見方、保存の方法や衛生のことなど。