おいしい料理(delicious meal)とは何か
入院絶食絶望中の考察
2001.7.30作成
料理がおいしいと感じる条件をフィロソフィカルに考える。
「料理」のelement(要素)を、「味」、「香り」、「食感」、「盛りつけ」、「食べる人」の5つに分解して考えてみる。「食べる人」というのは料理の直接の要素ではないが、「おいしい料理」と言う場合には客体(味わう人)を含めるべきだろう。
料理とは何か。供すれば料理である。供仕方に供する側の何らかの意志があるから。すなわち素材に食するための意志が加わったものが料理であるといえるだろう。例えばトマトを自分でもいで食べればそれは料理ではない。しかし皿に載せれば既に料理である。
1.味 −舌で感じる恍惚度
味覚の種類。「甘い、辛い、塩辛い、酸っぱい、渋い、うまい」。ひとつ多いかもしれぬが。これらの言葉をどのように使っても「おいしい」という感覚を説明することは難しい。なお味がまずい場合には「塩辛すぎる」と言う具合に、これらの種類毎の上限をいうことはできる。「まったり」は単に複雑度を表している。
「うまみ」というのはいわゆる「出し味」のことだ。よくいわれる昆布の「グルタミン酸」、鰹の「イノシン酸」、貝の「コハク酸」、キノコのうまみはは何と言うか知らんが。
味の表現はワインの形容がもっとも語彙が豊かであろう。
良い味というのは、ひとつはバランスだと思う。
[注記] 味は舌全体に分布する味乳頭という場所で感じる。味乳頭は小さな赤い点状の器官で、舌全体にほぼ均一に分布する。味乳頭が感じるのは、甘味、塩辛味、酸味、渋味の4種類である。以前は甘みは舌先で感じるといわれていたが、現在では否定されている。味乳頭の数は個人差がかなり大きい。味乳頭が少ない人は味覚が乏しい。口に入れた物が栄養か毒物かという判断のために発達した感覚である。
2.香り ー鼻で感じる恍惚度
良いsmell(臭い)のことを、aloma(香り)という。
食するときは味とかなり一体化した感覚となる。
感じる対象は気体のみ。
悪臭については悪臭防止法でガスの種類と濃度が規定されている。
ドリアン。くさや。スウェーデンの腐った魚の缶詰。
そりゃあ焼き鳥は備長炭で焼いてもらった方が。
ブルーチーズは当然良い香りですよ。
[注記] 鼻の嗅覚機能には2種類あり、外部の嗅覚と口に入れた物の嗅覚である。一般に食物の味は味覚と嗅覚が一体となって経験される。
3.食感
歯ごたえ、舌触り、温度。のどごしというのも。
一般的には食材の大きさと固さ。キュウリが食感の王者かな。
なまこ。フカヒレもか。
躍り食いの白魚というのは食べ物ではない。食べないと死んでしまうから仕方なく食う。
4.盛りつけ
形や色、器。量も。そのほか変化や動きというものもあるだろう。
絵画的なセンス。
活け作り。私もこれはグロだろうと思う。豚の丸焼きはどうか。
5.食べる人
食べる人の経験、体調、気分。食べる場所、相手、演出も。宗教やトラウマというのもある。
演出とは、チャルメラの音=ラーメン。真夏の「カランカラン」という豆腐屋のカネの音で冷や奴、というのは音の演出例。今や自転車の豆腐売りも無くなってしまったが。なっと売りというのは知らない。
以上の5項目はおいしさの要素を重要と思われる順に挙げてみた。最後の食べる人というのがもっとも重要かもしれぬ。しかしレストランの選択とメニューの選択はあらかじめなされるのであるし、家庭では既に体調や習慣を熟知した家族が「作り手」でありさらにしばしば「今日は何が食べたい?」と聞かれるとすると「食べ手」の問題はやはり第5位というこの位置のような気もするのである。
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