他人や大勢の前で「××を知らない」というのはけっこう恥ずかしいことである。 バカにされるんではないだろうか? 呆れられてしまうんじゃないだろうか? 「こんなことも知らないの?」と言われたら? いろいろと頭の中を考えが巡り、最終的に出てくる答えはたいてい次のように決まっている。 「それぐらい知ってるさ・・・」 しかし、そういう行動をする人の姿は第三者からしたら大体「おいおい・・・」という行動をして心底呆 れさせてくれる♪ そう、知らなくて当たり前なのだ、変に恥ずかしがることはない。 「聞くは一瞬の恥、聞かぬは一生の恥」 という素晴らしい言葉もあるように、恥ずかしいと思ってもほんの刹那・・・。 あるいは自分だけの世界で悩んでいても、実は周りの人は全く相手にしていないのである。 そんなちょっとした見栄をはったが為に面白い行動をする人達を今まで何人か見てきた。 場所は関東内で電気の街として有名な「秋葉原」。 最近では「電気の街」というよりも「パソコンの街」に変わってきているが、そのパソコンが、話の主体となる。 私は仕事柄カレンダー通りの休みというモノが無く、なおかつ24時間働く変則勤務の仕事をしている。 その24時間勤務のおかげで朝に仕事の引き継ぎをすませば仕事は全ておわり、あとは全て自分の時間・・・と言う日が存在し、帰宅中に途中下車して秋葉原による事がある。 たいていは雑誌などを買って終りなのだが、時々気まぐれでパソコンコーナーへと立ち寄りこのKAMIU's Worldの掲示板の書き込みをチェックしたり、Mac・Win関係なく「こんなソフトが入ってるんだぁ〜」とか「この設定はどこで変えるんだっけ・・・」といじりまわすのだが、そんな時に見かれたのが以下のような人々である。 その1・中年おじさん戸惑う。 ある日掲示板の書き込みをチェックしていた時である。 その建物全館Mac専門売場で1階のスペースでは今人気のiMacやiBookが展示してあり、中でもiMacはインターネットに接続されネットサーフィンを体験できる。 チェックも終わりiBookの方へと歩み寄った私は今度はそちらの方をいじりはじめた。 「むむ、トラックパッドの周りの凹みがなくなったから、下手に触るとカーソルが動いちゃうなぁ」 「これでもっと画面の解像度変えられればいいのに・・・」 そんな事を考えながら買う予定もつもりも無いまましばらくいじっていたら、二つ隣のiBookの前に中年のおじさんが立ち止まり、真剣な眼差しで見つめて始めた。 「気になるのかなぁ・・・それとも会社でパソコンの知識が必要だから下見? それともインターネット始めるのかな・・・」 iBookの事などそっちのけでそのおじさんがあんまりにも真剣なので気になってしまった。 しばらくして勇気を振り絞ったように右手をiBookの方へと伸ばしたそのおじさんは、iBookのすぐ右隣に置いてあった丸い形をしたモノを掴み、一生懸命に動かしはじめた。 「・・・・・・、お、おじさん・・・それちゃうやん」(^^;) そのおじさんは掴んだ物体を一生懸命に動かした後、不思議そうにその物体を見つめると、また画面を見ながら動かす・・・。 マウスだと思っておじさんが掴んだもの・・・ヨーヨーを薄くしてもっと大きくしたような形をしているiBookの電源コードを収納する部分だった。 マウスは繋がっていないのだが、若干パソコンの知識があった事と、きっと始めてこんな形の電源パーツを見たのであろう、そのおじさんは一生懸命に動かしていたのだった。 「おじさん、ちゃうんよ・・・それはマウスじゃないよぉ・・・」 私の心の叫びが通じたのか、そのおじさんは首をかしげながらちょっと不機嫌そうな顔をしその店を後にした。 その2・お前は何様じゃ? 秋葉原にある大形電気店××電気の本店3階、ここでWinパソコンをその日はいじっていた。 「Winのパソコンって本当に似たり寄ったりでわけ分からないなぁ・・・初心者の人が買う時戸惑うはずだよ」 そんな事をいいながら×ONYのバイオコーナーの前に差し掛かった時、同じタイミングで一組のカップルが現われた。 男性は茶パツ・ロンゲで肌はこんがり小麦色、女性はごく普通のおとなしい人だった。 彼女の方が先にパソコンに興味を示して、分からないながらもいじりはじめ、偶然ソフトを起動させては嬉しそうにしていた。 一方彼氏の方はと言えば、そんな彼女の後ろで腕組みをして仁王立ち。 「何かありそう♪」 そう感じた私は反対側のコーナーへと移動し、パソコンをいじるフリをしながらそのカップルの行動を見始めた。 「ねえ、××みてよ・・・できたできた♪」 「なんだよ、んな事で喜んでんのか・・・お前、※※※って知らないだろ?」 「?? 何それ、どうやんの?」 「そこの◯◯◯◯の中の・・・」 彼氏の方は相変わらず腕組みをしながら、顎を使って場所を指定して行った。 ・・・・・が、すぐにおかしな行動が始まり出したのである。 「ねえ、ないよぉ」 「それじゃねえよ、そっちのだよ、よく聞けっての」 「そっちのってどれよぉ?」 「だからソレだよソレ」 「?・・・コレ?」 「ああ、ソレだよ・・・」 彼氏の方は指で場所を指してあげるような事もせず、顎で場所を示しながら「アレ」とか「コレ」とか曖昧な事しか言わないのだ。 しかも、探す場所全部に探し求めているモノは無い。 当然の事・・・彼氏の言うモノはS×NYのパソコンはおろか、どこのパソコンにも入っていないもの。 なんてったって、パソコンのパーツの名前なんですから・・・どうやったって見れませんよねぇ。 「・・・無理してるなぁ、知ったかぶりしてないでさっさと別の場所にでも無理矢理つれていっちゃえばよかったのに」(笑) 喧嘩・・・とまではいかなかったがちょっとした言い争いをしながらそのカップルが店から消えていった後、広いフロアの中で大笑いしたいのを必死で我慢している私が居ました。(T▽T) その3・破壊5秒前♪ やはり大形電気店××電気の本店3階、今度はMacを見ていた時の事。 上位機種のPowerMac G4をいじっていたら向かい側に並んでいるiBookの前にやはりカップルが現われた。 彼女の方は、当時出たばかりのiBookスペシャルエディションを見るなり彼氏の腕を引っ張りその前にやってきた。 「ああー、ねえねえiBook・・・ほんと可愛い♪」 「知ってる? これ最近出たばかりのヤツだぜ」 自慢げに話を始める彼氏と、その彼氏の話を楽しそうにiBookをいじりがら聞いている彼女。 こちらの彼氏の方は全くの初心者というわけでも無く、ある程度の事は知っていて彼女の前でプレゼンテーション・・・彼女の彼氏を見る目はよりいっそう愛情がこもっていたに違いない。 と、ふいに彼女の方が向かい側・・・つまり私のいる方に並んでいるPowerMac G4を見るとまた彼氏の腕を引いて移動してきた。 「iBookと同じ色した大きいパソコンだね♪」(⌒▽⌒) 「こっちはPowerMacっていって・・・」 話が始まると彼女は彼氏の言う通りにマウスを動かしてはアプリケーションを起動させたり、QuickTimeの画像を見て喜んでいた。 「いいねぇ、楽しそうで・・・彼氏の株もあがってるんじゃないかな?」 じつに幸せいっぱいのカップル。 邪魔をしちゃいけないかなと思い移動しようとしたその時、ついに起こってしまいました。 「そうそう、PowerMacってCD使う時にふたがガパッて開いて中が飛び出してくるんだよ」 「へぇ・・・なんかすごそう、どうやんの?」 「んーとね、ここがCDが入る場所なんだけど・・・」 と、彼氏は右手を伸ばすとCD-ROMドライブの一段下、拡張スペース部分のカバーを触りはじめた。 「・・・・・・・・・・えっ?」 私の頭からは無意識のうちにその場に留まるよう足に命令が下された。 「あれっ? へんだなぁ・・・ココがガパッて開くんだよガパッて・・・」 「・・・開かないの?」 「うん・・・本当ならココが開くんだけどねぇ・・・」 緊張しているのかどうかは分からないが彼氏は何を思ったのか今度は爪をカバーのつなぎ目に引っ掛けて無理矢理開こうとしていた。 「あんた・・・店頭の品壊れちゃうよ、やめなって・・・」 カッ・・カリッ・・・カッ、カッ・・・。 カバーを時々引っ掛かった爪で歪ませながらもしばらく格闘した後、「きっと壊れているんだよ、ずっと展示しているし」という結論で納得した2人はエスカレーターの方へと消えて行った。 カチッ・・・・・ガアアァァァ・・・・。 「一つ上のボタン軽く押せばいいのにねぇ」(- -;) 正規の方法で、私は自分のいじっていたMacのDVD-ROMドライブを動かしました。 秋葉原で繰り広げられる人々の小さな戦い。 それは誰かに見られているかもしれないし、全く見られていないかも知れません。 でも、分からないならいいチャンスだと思って知っておきましょう。 ね、そこの「知ったかぶりさん♪」。 だれだって、「初めて」はあるんですよぉ〜。 |