昔から社会での女性の地位というのは低く見られていました。
ありきたりな事を書けば、お茶くみ、書類整理、受付業務、雑用・・・etc。
昔からある「男尊女卑」がいまだに残っている為にどうしても社会に出た女性にはこういう片寄った業務が付きまとってしまい、実力があるにも関わらずそのチャンスをつかめずにいる人がたくさんいます。
そんな社会的差別を受けた女性が団結し、社会的地位の平等を勝ち取るため運動を起こしたおかげで「男女雇用均等法」なるモノも一応形として出来上がり、女性の社会にも少しは明るい光がさしてきました。
そして、この法律の影響で逆に今まで女性だけの独壇場だった世界にも男性が進出する事になりました。
また社会で活躍する女性が増える中、逆に男性が弱くなったとの意見もではじめ、「男女逆転化」なんて言う言葉も聞こえるように。
強い女性というイメージがではじめている中、この言葉をちょっと勘違いして受け止めている女性がいるようです。


いつだったか見た雑誌に書いてあった記事の事。
とある居酒屋で口論を始めたカップル。
興奮した女性の口からこんな言葉が出てきたそうです。
「アンタなんか私よりも収入少ないんだから黙って言う事きいてればいいのよ」
で、この言葉をきいた男性の方は怒る事もなく「はい」と素直に返事をしたとか・・・。


最初にも書いたように確かに女性の社会的力は大きくなってきて良い傾向にありますが、ちょっと待ってください・・・本当にそんな事を簡単に言ってしまっていいのでしょうか?現在女性が結婚しなくなった理由の一つに昔に比べるとはるかに収入が多くなったという意見があります。
その為、自分の時間と収入を好きなように使える一人暮らしにはしる女性も。
それはそれでとてもいい事だと思うし、社会的にも家庭的にも自立しているのだからわざわざ他人様から文句をいわれる筋合いもないでしょう。



けれど・・・。


だからといって収入の多い少ないで男女間の地位を決めつけて相手の身分を決めてしまうのはどうでしょうか?
しかも、相手は好意を持っておつき合いしている男性。
たまたまこの話の場合相手がおとなしく、そう言われてもかまわないという男性だから良いものの、これが気の強い男性だったら・・・口論だけで済む事はないでしょう。


ハッキリいって男性はプライドの固まりのような存在です。
その傾向が強いのが昔の団塊世代の人達
だからこそこういった言葉が口を割ってできます。
「誰のおかげで飯が食えると思ってるんだ」
「誰のおかげでこんだけの生活ができてるんだ」
「身を粉にして働いて養ってやってんのに、なんだその態度は」
「口先ばっかり達者なくせして、何にもできやしねえ」
などなど。


今社会に出て働いている人ならばお給料を貰い、手取額で20万ものお金を得るのにどれだけ大変かという事を知っているはず。
ましてやその額が大きくなれば大きくなるほどより仕事がきつくなり責任が大きくなる事も。
だからこそ「私はこれだけの仕事をしてこれだけの収入を得ている」という意識を持ち、いつしか自分よりも収入の低い人に対しては、仕事量と収入料をものさしとし
地位を決めつけるようになってしまいます。
また、自分が経験してきた事だから「なんでそんな事にこんなに時間をかけてるの?」とか「なんでこんな事もできないの?」と見下すような態度にもでてしまいます。


そんな様々な事情からそのカップの女性は「収入が低いクセに・・・」といった言葉を出したのでしょうけれど、その後別れてしまったら後悔しても遅いですね。
まあ、収入で相手の地位を決めつけるような人ならば「金も持って無い・・・」と逆にあっさりしているかも。(笑)


収入が多い人は本当に地位が高いのでしょうか?
必ずと言っていいほど「納税者ランキング」等という者が発表されていますが、私の見る限りそういったランキングのトップに立つ人ほどロクでも無い人が多いような気がします。そして、収入が多い少ないなんていう事を持ち出して他人との差別を測る事が良い事でしょうか?


世の中には働きたくても働けない人がたくさんいます。
出産をする為に会社を休んでいた女性が復帰したとたんに、以前の仕事をさせてもらえなくなったという事もありますし、同僚の女性が「私なんて結婚まで捨てて働いているのに、なんで出産で休んでたあんたが今まで通り働けるのよ」と同じ女性の間でも「仕事や収入による差別化」が起きています。


女性は子供を産むだけの道具でしょうか?
結婚を捨てた人が結婚した人を妬んで逆恨みする権利がありますか?
収入が少ない男性は奴隷のようなモノなのでしょうか?
お金を運んでいるだけの男性が、はたして父親と言い切れるのでしょうか?


答えは全て「NO!」ですね。
そんな事だけで人を差別するのは馬鹿げています。



女性は子供を産むだけ

その女性に支えられているのは誰ですか?



結婚を捨てた人が他人を妬んで逆恨み

人を選ばず仕事を選んだのでしょ?



収入が少ない男性は奴隷

そんな人に愛情を求めているのは誰?



お金を運んでいるだけの男性が、はたして父親

定年離婚を経験しているのは誰でしょう?



他人の地位を決めつける行為というのは、こんなふうにも考えられませんか?

女性は子供を産むだけと考えている人、あなたは種子をまくためだけの存在ですよね。
結婚している人を恨んでいる人、あなたは結局その人をうらやましいと思っていますよね。
男性を奴隷のように思っている人、あなたはその奴隷のような人を求めているんですよね。
養ってやっているという人、家族がいたから働けたのですよね。


間違えないでほしいのは、世の中のすべてにおいて他人よりも地位を低くしなさいという事ではなく、たとえどんなに収入が多くても、たとえどんなに経験があっても、 他人よりも高い社会的地位を手に入れたという勘違いをして偉ぶるのは間違いだという事。


他人の地位や存在を決めつけるのは、自分の地位や存在も決めつけているという事。
それに気付きそんな馬鹿げた行為を辞めて、互いを認め合えばどんなに素敵な事でしょう?
「しょせんアンタなんか・・・」とか「しょせん××なんでしょ」なんて言葉を使わなければ相手とのいざこざは無くなるし、言ってしまったために嫌な思いをしてストレスをためる事も無くなります。


外に出てもし嫌な事があって相手の身分を決めつけようとした時、ほんの一呼吸おいてちょっとだけ考えてみて下さい。
あなたの一言は、あなたの身分も決めているのですよ。
そして・・・自分が決めつけた地位から落ちてしまった時、誰からも相手にされず、はるかに年下の人からもバカにされるのは誰でもない当人です。


最後に、たくさんの富と名声を手に入れても他人との格差を表さず、謙虚にふるまう人ほど社会の中で尊敬され、信頼を得て行くものです。