「梅雨」 |
ザアアアアアァァァァァ・・・・・ 少しばかり顔を覗かせていたお日様の姿が、暗く重い雲に隠れてからどれくらいたっ たでしょう? 冷たい雨が勢いよく降り続いています。 暖かかった空気も冷たく冷やされて、気持ちまで空のように重くなってしまいます。 「にゃああぁぁぁ、やまないかにゃぁ・・・」 切れ目のない雲を見上げ、ネコ君がぽつりと呟きました。 いつもの日課であるお散歩。 いろいろな発見が待っているお散歩。 でも、今日のお散歩は違っていました。 普段なら心がうきうきとするのに、今日は最悪・・・。 |
あっという間の出来事。 「お日様の光が無くなったかな?」そう思っていたら突然のどしゃぶり。 冷たい雨をさけるように駆け出すネコ君の体はどんどん濡れていきました。 「冷たいにゃあ・・・寒いよおお・・・」 草原の1本道、隠れるような所はどこにもありません。 雨に濡れた体がどんどん冷たくなり、走るのもつらくなりはじめたその時。 道の真ん中に、開いた傘が1本。 迷わずその下へ隠れました。 プルプルプルプルプルプル・・・・・・ 「助かったにゃ、誰の忘れ物だろう?」 体についた雨水を飛ばすと寒くならないようにまんまるくなります。 大きな傘はネコ君の体を隠すのには十分でした。 梅雨の時期、いつまでも降り続く冷たい雨。 外で遊ぶ事ができなくなってしまいます。 だけど・・・とってもとっても大切な雨。 梅雨のおかげで美味しい美味しいご飯がたくさん食べられます。 「いつまで降るのかなぁ・・・やんでくれないかにゃあ? もっとお散歩したい にゃあ・・・」 ネコ君のそんな思いも知らずに冷たい雨が暗い空からたくさん降り続きました。 周りの音をかき消しながら・・・。 しばらくして・・・。 「ん? ・・・雨・・・・・・やんだにゃ」 あれほど降り続いていた雨の勢いが弱まり雲の合間には少しずつですが青空が見え始 めています。 ものすごい勢いで雲が空を流れていて、弱かった雨がポツポツとさらに弱く。 真っ黒だった雲の色が灰色となりそして白へ・・・。 わずかにしか見えなかった青い空もしだいに雲をどんどんと押し退けるように増えて 行き、お日様の光がゆっくりと見え始めます。 ひゅうううぅぅぅ・・・・・・。 お日様の登場を知らせる暖かい風。 完全に暗く重い雲が無くなってネコ君の体がどんどん暖かくなっていきます。 草は伸びをするように雨水を大地に落とし、花はお日様に挨拶するように空をあおぎ ます。 辺り一面、お日様の光に包まれました。 「にゃあ、お日様にゃ・・・♪」 お日様の強い光に驚いて草むらの中に慌てて飛び込むカエルを見ながら、ネコ君は立 ち上がるとゆっくりと傘の下から歩き出しました。 眩しい光をいっぱいに浴びている草から緑の匂いがただよいます。 「にゃんっ♪♪」 |
いつものうきうき気分に戻ったネコ君。 お散歩の続きを始めました。 今日はどんな事が待ってるのかな? 嫌な事があった分、いつもより楽しい事が待っていそうです。 さあ、出かけましょう。 楽しい楽しいお散歩へ。 |