「夏の終り・・・」


チチチチチチ・・・・・・・


夏の静かな朝。
お日様が東の空からゆっくりと登りはじめます。
夜におしゃべりをしていた、たくさんの虫達も眠りにつくためにその姿を土の中へと
隠しはじめます。
日中に活動を始めるセミたちの声もない、静かな静かな朝。
暑さを忘れられるほんの一時。

うさぎ
「涼しいねぇ〜、風が気持ちいい♪」

シーマ
「みんなー、おはよう!」

ぎん
「シーマ、こっちだよぉ・・・早くぅ」

きつね
「オゼ、木の上に何かあった?」

オゼ
「ううん・・・なんにも。鳥さんがまだ寝てた」







夏の猛暑の中でも動物達は元気に今日の遊びの計画をたてます。
川へ遊びに?
森の中でかくれんぼ?
雪の残る山まで冒険?
海へ泳ぎに?


何をして遊ぼうか・・・飽きる事のない遊びは次から次へと浮んできます。
時間はいくらあっても足りないくらい。
でも、「夏」は待ってくれません。
だから、遊び残しのないように動物達は一生懸命に考えます。
今年の夏は1回きりだから・・・。
そんな事を話しているうちにも、お日様はゆっくりと登り、しだいに暑くなっていき
ました。




***  ***  ***  ***  ***  ***  ***  ***




きつね
「うわああぁぁぁ・・・こっちくるなぁ!!」

シーマ
「はあっ、はあっ、はあっ・・・待てぇぇぇ〜! えいっ」

ぎん
「今度はきつね君のオニだぁ!」

うさぎ
「みんな逃げろぉ!!」

オゼ
「ふふふっ、しばらくココに隠れてよーっと」

へび
「早く逃げなくちゃ・・・」







西の空には赤くなったお日様の姿が・・・。
それでも動物達は夢中になって遊んでいます。
その場に合った遊び方で。


いつ頃からでしょう?
夕方に涼しい風が吹くようになりはじめていました。
夜にはきれいな虫の音も聞こえるように・・・。
そして・・・夕方のお日様の色もゆっくりと赤みを増していました。


ゆっくりと夏から秋へと変わっていました。
いろいろと変わる事がたくさんあるけれど、たった一つだけ変わらない事が。
動物達はいつでも一生懸命に遊びます。
昼の時間が長くなっても、夜の時間が長くなっても・・・。
子供でも、大人でも・・・。


だから、いつでも元気です。




きつね
「はっ、はっ、はっ・・・・・・踏んづけたー!! 逃げろ〜ぉ♪」