「不思議な木」


12月25日・・・毎年毎年おとずれるクリスマス。
サンタさんからのプレゼントで、毎年毎年子供たちが笑顔でいっぱいになる日です。
動物達も、クリスマスにはみんなで集まってお祝をします。
今年もみんなでクリスマスを迎えたことを喜んで。
来年もまたみんなで迎えられるように願いをこめて・・・。


動物達はクリスマスにちょっとした工夫をしています。
「必ず違う場所でお祝をする」
その場所にあった演出で、クリスマスのお祝を。
毎年違う場所でのお祝・・・まるでその時だけのクリスマスをお祝しているよう。
そう、クリスマスが特別なお祝のように感じるのです。


今年の会場は、森の中にある小さな丘の上。
その丘にだけ1本だけ大きく立っているもみの木。
まるで、その木が特別な木のように感じさせます。
そんな雰囲気が動物達の心を1つにしました。
みんなしてその場所で行うクリスマスパーティーを楽しみに待ちました。
後は、当日の飾り付けとパーティーの準備だけです。




「誰かのいたずらかな?」

「なんでもみの木に、実がなってるの?」

「なんか、飾り付けみたい・・・」

「木はこのままにして、他の準備を始めようっ」



クリスマス当日。
動物達が会場になっている丘の上のもみの木へやってくると、不思議な出来事が起きていました。
最初、それは誰かが飾り付けを終わらせたのかと思いました。
でも、近付くにつれてそれが飾り付けではなく、木の枝から生えた木の実だと分かりました。
しかも、その木の実はまるで冬の寒さに負けないようにほんのりと光り輝いていました。





森の妖精が起こした、小さな小さな魔法。
なっている木の実はデタラメで他の木になるはずのものばかり。
しかし、そんな小さな間違いが今年だけの素敵な素敵な出来事になりました。
大人の心にも、子供の心にも残るたった1度だけのハプニング。
でも、ずっとずっと遠い未来・・・今の子供たちが大人になったとき、枕元で語り継がれる夢物語へとかわっていくのです。



「ずっとずっと昔・・・冬を迎えた森の中で起きた出来事だよ。妖精の森にいる女神様が妖精達に・・・」