水の駅-2


転形劇場『水の駅-2』☆☆☆☆(11/20,草月ホール)

 もっと芸術色の強い、理解しにくい物語かと思っていましたが、結構わかりやすい表現のお芝居でした。セリフは一言もありませんが、舞台前面にゆっくり出てくる出方とか、視線とかで、人間関係がすんなりと理解できます。今、何が起こっているのかもたやすく理解できるでしょう。では、全体として何が語られていたのかという事になると、なんだかよく解りません。見る人によっていろんな見方があるでしょう。「神の不在がテーマなんだよ」と語っている観客もいました。私はといえば、上から落ちてくる水の側で、いろんな人が集い、悩み、迷い、真情を吐露し、葛藤し、現実の重さを知り、別れ、去っていく様をただ理解しようとしていただけで、どんなテーマが語られていたのかは、わかりませんでした。
 この物語からなんらかの命題を摘出するのは、私にはまだ荷が重いことです。なにしろ降ってくる水の前では、人生の全ての出来事が起きるのですから。

 最初に水の前に歩いてきて、最後も一人水の中にたたずむという、なかなか重要な役で、サンシャインボーイズ「罠」にも出た、谷川清美さんが出演していました。どこかで見たことある気がしていたのですが、配役表見るまで気がつかなかった。体の動きとに制約が多く、全ての動きに気のゆるむことの無い芝居を、見事にこなしていて驚きました。役者さんなんだから、当然と云えば当然なんですが。

時かけ


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