令嬢桜子の憂鬱な朝


EX THEATER『令嬢桜子の憂鬱な朝』☆☆☆

 今日は花輪家にとって大切な、「おいらめの日」。だというのに、令嬢桜子がまだ起きてこない。仙台からやってきた親戚の桃や、三男の百合夫は気にするなというが、若くして後妻に来たかすみには、気になって仕方がない。どうしても花輪家の家族に遠慮してしまうのだ。やがて、大学院生の次男、梅成が帰ってきて、いろいろ詮索するがどうも原因がわからない。そのうち、桜子の部屋の窓に「腹減った。食事を持ってこい」という紙が張り出されるにいたって、事態が深刻なことに皆が気づき始める。「おいらめ」の儀式はあるし、勘当されている長男の菊助が帰ってくるしで、今日はいったいどんな一日になることやら・・・

 全く知らないユニットだったのですが、アンケートを見るとかなり歴史が古そうな感じがしました。「フェルメール・ブルー」という題名とチラシだけから、ずーっと気になっていた舞台をやったのも此処みたいです。「フェルメール・ブルー」というのは、贋作画家のお話で、フェルメール特有の青色をめぐるお話みたいで、シアターV赤坂でポスター見るたびに、垂涎ものの舞台なんですけど。さて、どうしてそのなんにも知らない劇団の芝居を見る気になったかというと、映画「ふたり」で、石田ひかりちゃんの親友役を演じていた、柴山智加ちゃんが出ているからなんですが、思わぬ拾い物でした。脚本がしっかりしている舞台を見るのは本当に心安らぐ物です。ゆったりと舞台に浸って楽しむ事が出来ます。花輪家の両親の離婚と再婚とか、長男の勘当の経緯とかがセリフで直接表現されていないのに関わらず、自然と推察できます。平凡な家族の一日から、花輪家の歴史が浮かび上がってくる、さわやかで、ほのぼのとした佳品です。

 柴山さんは、最初それと気づかなかったくらいで、1.5割増しの美しさでした。(^_^)


YASUSHI FUKUDA'S EX THEATER vol.2
『令嬢桜子の憂鬱な朝』☆☆☆

【作・演出】福田 靖 【音響】加藤一浩 【照明】木川達也
【出演】柴山智加、高木順巨、池田稔、高橋修宏、井ノ上優、他
【会場】OFFOFFシアター 【期間】11/14〜19
【観劇】11/16 19:00〜  満員(当日あり)

時かけ


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