ペガモ星人の襲来


立身出世劇場『ペガモ星人の襲来』☆☆☆☆

この芝居の主人公は音効さんです。したがって、開 演前には、コオロギの声とか、街の雑踏、水の流れ、などの効果音が流れ ています。音効さんを主人公にしたといえばまず思い出すのは、映画 「ミッドナイトクロス」ジョン・トラボルタが主人公で、女性の悲鳴がう まくいかないオープニングから始まり、音の収集中に事件音を拾ってしま い、巻き込まれる。そして最後は、愛する人と引き替えに、最高の「悲 鳴」を手に入れてしまう、という内容でした。日本映画では、「海に降る 雪」。地球の回る音を求め続ける男の物語。心の中の音という、あり得な い物を探し続ける行為は、しばしば愛を見失い、えてして、悲しい結末を 迎える事が多いようです。舞台では「ラジオの時間」かな。これは、ナマ ならではのドタバタもあり、ひとつの物をみんなで作り上げるという熱気 に溢れたお話でした。今回はこの二つの要素から成り立っていたように思 います。

なんといっても、物づくりの舞台裏というのは、興味深いものです。その 中でも特に面白いのは、効果音をつける作業ではないかと思います。最高 の映画と、最高のテレビドラマと、最高のラジオドラマがあったとした ら、ラジオが一番人の心にしみわたるんじゃないかと私は思います。だか ら、「ラジオからテレビに左遷された」という監督の気持ちはよくわかり ます。

このホンの構成も巧みです。現代の語り手であるプロデューサーがいて、 幻の台本「ペガモ星人の襲来」がある。その作品には現在の音効の大御 所、じんたさんが駆け出しの頃かかわっていた。で、駆け出しのじんたが 過去の語り手となり、実質の主人公ポキさんの話が展開していく、という お話です。それでもって演じられるのが、オーソンウェルズの「火星人襲 来」に触発された作品で、「火星人」が実現したのは、ハリウッドに最高 の音効技術があったからだ、となれば、ストーリーは必然的に発熱してい きます。。。

立身出世劇場は2度目だったんですけど、今回はほとんど遊気舎を見てい るみたいで(キャラクター)もヘンだし、とても楽しめました。後藤さん が演出したら、どこでも遊気舎になるのかしら。今度、大駱駝艦も演出し てもらおうかなー(^^;)ナンチャッテ


立身出世劇場「ペガモ星人の襲来」☆☆☆☆

【作・演出】後藤ひろひと
【会場】駅前劇場 【期間】4/28〜4/30
【観劇】4/29 15:00〜

時かけ



観劇印象レビュー[ TOP | 95年 ] 時かけ