ずばぬけてさびしいあのひまわりのように


つかこうへい事務所『ずばぬけてさびしいあのひまわりのように』☆☆

全体としては好感の持てる舞台でした。けれどそれゆえに、いくつか気に掛かる点があったのです。例えば、音楽で気持ちが盛り上げられた瞬間、すぐ次の場面に移る時、直前まで掛かっていた音楽が急速にフェイドアウトし、次のセリフと被ってしまう所とか、舞台上部が暗いままで演じられる場面が多かったので、空間が「芝居」で満たされていないなぁ、って感じた所など。照明に工夫がないためですけど、それでも役者の演技に、それを埋める程の迫力があれば気にはならなかったのでしょうが、銀之丞さんが出ているときと出ていないときの落差が大きく、また音楽なしでたんたんとセリフを聞かせる場面が多かったため、空間の隙間が気になってしまったのです。

主役の生方さんは、劇場全体を震撼させるような芝居をするには、まだ力不足だったようですが、これからどんどんよくなってゆく女優さんだと思いました。及川さんは、存在感と声がすばらしくいいのですが、十分力を出していないという気がしました。もったいないです。そのほかにも、いい役者さんが散見できました。

役者がつか事務所ということで、「つか芝居」をどうするのかと思っていましたが、かなり押さえていたようです。もう少しつかっぽくても良かったかもしれないな。でもその辺のさじ加減は、むずかしい所でしょう。また、再演(4/1〜15)があるようです。


俵万智第一回戯曲作品
つかこうへい事務所・シアターX特別公演
『ずばぬけてさびしいあのひまわりのように』☆☆

【作】俵万智 【演出】吉崎宏人
【出演】生方和代、山本亮、山崎銀之丞、及川以造、中込佐知子
【会場】シアターX 【期間】1994/1/20 〜 24 【観劇】1/22 I-18

時かけ



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