絢爛とか爛漫とか


自転車キンクリーツ『絢爛とか爛漫とか』☆☆☆☆

タイトルが全てをいいあらわしています。これだけ、けんらんとしてらんまんとした濃密な時間を過ごさせてくれれば何も云うことはありません。舞台の奥の庭の情景がきれいでした。部屋の中の展開につれていつのまにか夕方から夜へとたゆたう様を、溜め息をつきながら見詰めていました。みんなが去り、一人部屋に残り、何事かを考えている京さんの姿は昔の自分を思い出させてくれました。あんな風にぽつねんと転がり物思いにふけったことが確かにあった気がする。何を考えていたのか。今となってはもうああいう時間の過ごし方をすることはなくなりました。何が変わってしまったでしょう。何かを求め、何かに悩み、ぎりぎりまで自分を追い込んでいく生き方が少しもださくは無かった時代。そんな時代の文士たちの行き様をとおして、現代の私たちに語りかけてくるメッセージは空しく通り過ぎていくだけなのでしょうか。役者さんの仕種に大声を上げて笑う、一部観客の喚声が私の耳には痛かったです。


自転車キンクリーツカンパニープロデュース公演
『絢爛とか爛漫とか』☆☆☆☆

【作 】飯島早苗 【会場】THEATER/TOPS   
【演出】鈴木裕美 【期間】1993/8/11 〜 8/29
【出演】京 晋佑、吉田 朝、岡田 正、原川浩明
【連絡先】03-5489-4434
【観劇日】8/14 14:00

時かけ



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