トラヴェロ


双数姉妹『トラヴェロ』☆☆☆

賛否両論(というか、ほとんど否ばかりのような気もするけど)の双数姉妹ですがRの量がいつもにくらべて並大抵ではないですね(^_^) いゃぁ、凄い凄い。(^_^) というわけで、ほんとはR、すっとばかそうとも思っていたのですが、参加することに意義がある、ということで、私も書いて見よっと(^_^)

最初の衝撃はやっぱり、明転になってから、いきなり池があらわれた時ですね。生きててよかったぁ〜、と思いました。わくわくしてしまった。明星さんも出てるし。でも、今回のは、場面が脈略なくあっちこっち飛んで、正直ついて行けなかった。飛んで行った場面で、細かい趣向が凝らされているのを楽しんでいました。出演者から糸をひっぱり、その先にいる役者が心の中の言葉を代弁するとか、学校のシーンで、他の出演者には見えない設定の役者が潜んでいて、時々、任意の役者と背中あわせになり、くるり、とまわると、入れ代わり、悪辣な発言をして周囲を混乱させたりするなど、おとぎ話の世界に想を得たようなアイデアの数々に、何にも考えずに楽しんでました。迷路の部屋に迷い込んだ二人。あっちいって、こっちいってくるっ回ると元の部屋。紅茶の量が増えている! あっちいって、こっちいって、あ、海がみえる。もう一回こっちいって、あっ、また元の部屋! いつまでたっても抜け出せない(;_;)  このシーンを見ながら何故か『惑星ソラリス』の宇宙基地を思い出していました。バーチャルな悪夢という所から連想したのかもしれません。

見終わってから、どうしてだか覚えてないのですが(^^;) 、「これは裏切られても裏切られても物語を紡ぎ続けなければならない、戯作者へのオマージュだ」と感じたのです。どこがそうか? と訊かれても自分でも分からないのですが。。。で、アンケートには、「これはお客さんに見せる芝居ではありませんね」と書きました。

で、まねきねこさんの感想を読んでて、はっと感じる所がありました。これも何処で感じたのかよくわからないけど。。。(私って、ちっとも論理的じゃないのね(;_;) )何か面白い事が起きている時、わくわくするような出来ごとがあるとき、ふと不安になって、今何が起こってるのかな、と我に帰ってしまう。でも一度確認してしまうと、それまでの「わくわく」が半減してしまうことってありますよね。その「わくわく」の中で、いつまでも楽しんでいればいいのに、それができないやるせなさ、みたいな物を描いていたのかなぁ、と。。例えば、とてつもなく素晴らしい発想があったとします。わぁ、凄いなぁと思って、文章に纏めようとする。でも、発想は逃げ水のように、一瞬、遠くに逃げて行ってしまう。。。あっれぇ〜、今、とっても凄い事考えていたのにぃ〜〜。そういうような事を描きたかったのかなぁ、と思いました。

なんだか、どんどん逸れていってますね(^^;) 。この辺で止めます。ラストですが、水が、ぱぁっと逆光で輝き、その前に役者が佇んでいるシーン。あれは、絵が美しい所から発想して作られたような気がしました。物語の展開からして、やや強引な感じは否めませんでした。必然性が感じられなかった。それが少し残念。


双数姉妹『トラヴェロ[再見]』☆☆☆
【作・演出】小池竹見
【会場】大隈講堂裏特設テント
【期間】7/12 〜 7/20 【観劇日】7/16

時かけ



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