光測定の利点欠点は?


光計測の利点欠点をご理解の上、利用してください。

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次の3点です。
(1)高精度
(2)変化追随性が高い
(3)非接触・無侵襲


これらにつき説明します。
(1)高精度
測定する際はものさしとなる量が存在します。光計測の場合、ものさしは波長と光速度です。波長をものさしとして測定すれば,μm以下のnmが基準となります。光速度を用いれば、これより反応の速い伝達手段はありませんから、時刻遅れのほとんどないタイムリーな測定ができます。計測時間は有限ですが、許す限りゼロに近づけることができます。時間的にもずれのない測定ができます。
(2)変化追随性が高い
ほとんどの物理量は、刺激に対して、その反応が生じるまでに、ある程度の時間ずれがあります。いわゆる反応速度、レスポンスは有限時間必要です。この反応速度は、物理現象で大きく異なります。ミクロになればなるほど、早い反応になります。しかしながら、光より早くその反応を検出することはできません。電気信号も、電磁波の一つとして速いはずなのですが、実際は電子回路内を伝播するため、表皮効果などにより、伝達周波数、伝達速度は遅くならざるを得ません。つまり、光計測は最も早く物理量の変化に追随して測定できる手段なのです。
(3)非接触・無侵襲
フォトンが被測定物質に照射されたとき、物質表面にどのような影響が生じるかが問題となります。光圧力・温度上昇・振動や超音波発生・化学物質変化が考えられます。
(a)光圧力は?
一つのフォトンの運動量はhν/cで与えられます。633nmのHeNeレーザの場合、この値は約10^−27[J・s/m]です。1Wのレーザ光から1秒間に、(20%の変換効率で)、約6×10^18個のフォトンが出射されます。この光が100μm径内に照射されれば、圧力として約0.2[N/m^2]。材料や構成によっては影響が出るかも知れませんが、1mW以下の光で測定する場合では、0.0002[N/m^2]以下となり問題になる圧力ではありません。
(b)温度上昇は?
上記で計算した条件をそのまま利用する。1Wレーザから照射されたフォトンがすべて吸収されると、約2[J]の吸収。照射された領域(200μmの立方領域とする)に熱が留まれば、比熱を0.1とすると、約600度の温度上昇を生み出す。1mwレーザでは0.6度程度となり、熱拡散を考えれば問題ではなくなる。測定レーザパワーが大きい場合は、問題として注意が必要です。


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次の3点です。
(1)試料表面の状況に依存する
(2)装置のメンテナンスが必要
(3)安全対策が必要


これらにつき説明します
(1)光計測は試料に照射された光の中に試料に関する情報が含まれているため、反射光が必要になります。この反射光が有効に得られない環境では、測定ができません。たとえば、まったく反射しない物質とかです。透明体でも、幾ばくかの表面反射(素ガラスでは約4%の反射率)があり測定できます。反射方向が食い違っていても、光検出器を反射方向に設置することで測定できます。乱反射の場合でも、レンズ系を用いて集光することで測定できます。試料表面状況に合わせた測定系を用意すれば、この欠点も防ぐことができます。
(2)光を用いているため、測定系の温度や振動等によるずれを勘案しなければなりません。逆にそれほどまでに高精度計測ともいえます。
(3)レーザは直接目に入れば失明の恐れがあります。安全管理に十分注意を払う必要があります。


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