試料まで離れているが?
プローブから試料まで離れている場合、注意しなければならない点は3つあります。
(1)プローブを支えるベースと試料を支えるベースが一致しているか。レンズ系のベースはどうか。
(2)プローブと試料面の間の空間はどのような状況か
(3)光軸をあおり調節できる素子は何か
です。
これらにつき説明します。
(1)すべてが共通のベース上にあることが光計測の大前提です。もし独立のベースならば、ボルト等を用いて機械的に結合してください。この場合でも、ベースからプローブや試料が高い位置にあり、それらを棒状の器具で固定しているとしたら、やむをえない場合を除き、変更を検討してください。市販の棒状の固定冶具では片持ち梁の理論と同じで、振動が発生し、外部からの振動を吸収して振動します。
(2)プローブと試料の間が真空である場合を除き、空気が存在しますと、空気の屈折率(n)の温度圧力依存性が予想以上に影響します。理科年表によると、633nm波長で標準状態(s状態)で、n=1.0002765です。エドリンの式によると、空気の屈折率(n)は、温度(T)および圧力(P)で次のように変化します。
ここで、Tは℃単位、PはTorr単位です。
台風が近づいた夏の日(970hPa,33℃)と、冬ばれの日(1025hPa,5℃)では空気の屈折率は、それぞれ、1.00024906,1.00028997、となります。差は5×10^−5で問題がないように見えます。さらに、測定中、このままの温度圧力で推移すれば何も問題が起きません。
しかし、朝から夕方に向かい台風も遠ざかったり、天候が崩れたりした場合、このわずかな差が問題になります。プローブと試料の距離が30cmの場合、往復で60cmですので、光路長から見ると、標準状態からの差で前者の場合、−16μm、後者の場合、8μmの差となって現れます。これらの値は極めて大きな値です。この値をどうやって取り除くかを検討する必要があります。
弊社の相対測定は、測定光も参照光も同時に同じ影響を受けるので、キャンセルすることができます。是非に相対測定を行ってください。
(3)実際の回路を組み立てて、調整する段になって、いきなり問題になる事項です。
反射光を如何に検出するかは、プローブに戻す光の角度調整度合いに依存します。これはSNにも関係しますので、微調したいところです。できれば、試料側に調整機構があることが望まれます。形を設計する際には是非気に留めていただきたい事項です。
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