データのFFT解析

ストレージモードで得られた最大1000k点のデータをFFT解析します
(HV400の有する機能です)


1.FFT解析について
FFTは得られたデータ列の規則性を求める方法の一つで、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform)のことです。基本的には、時系列データの周波数スペクトル分布を求めます。つまり、データ列(本装置ではストレージモードで得られたデータ)が変動している場合、その変動は、単振動の組み合わせとして表現されます。つまり、ある時刻tの変動量D(t)は
          n
     D(t)=Σ  G(i)sin(2πf(i)t+φ(i))
          i=0
と表されます。ここで、f(i)の周波数で振動する成分が強度G(i)を持つこととします。実際の変動においては、n値(解析する周波数の数)は必ずしも有限ではないのですが、解析する際には、有限であるとします。(解析による誤差発生要因の一つです)。この変動をFFT解析すれば、周波数f(i)にピークを有し、強度がG(i)に依存する分布を得ます。この解析により、どの周波数成分が変動において主たる成分であるかが知れます。
この解析により、変動量の観測では知れなかった物理現象としての変動原因を認識することができます。本装置のデータ数はこの解析において有効な点数となっています。

2.FFT解析処理
 残念ながら、FFT解析の結果は理想の値と異なります。これは、理想の値が無限時間のデータを用いることにあります。現実の有限時間の取得データは、取得する時間の前後はデータを持たない、つまりデータ値=0、を前提にしています。このデータ列の不連続が、理想の値からずらすのです。不連続性を表現するためには、解析値(スペクトル分布)は幅広い周波数成分を持たなければなりません。そこで、データ列の最初と最後で連続的に0値になるような関数(窓関数と呼ばれます)をデータ列にかけます。この窓関数により不連続性は無くなります。しかし、データを歪めたことにより理想値には到達できません。このように、窓関数を選んだとしても、FFT解析結果は真値とズレがあることを認識しなければなりません。
 本装置では、窓関数として
     Hanning窓
     Hamming窓
を用いており、窓関数を用いない場合と合わせて選択できます。

3.平滑化処理との関係
 データ列は平滑化処理を施すことで高周波成分を減少させることが出来ます。高周波成分には雑音部分も信号部分も含まれます。従って、平滑化したデータ列のFFT解析値は高周波成分の強度は小さくなります。また、平滑化を行うことで雑音振幅は減少しますが、FFT解析値のピーク値も誤差が発生(平滑化点数21点で2%程度)します。
 サンプリング時間間隔と平滑化(単純移動平均)点数により、強度が半分(−3dB)になる周波数は変化します。この周波数を次の表に示しました。(参考にサンプリング定理が示す上限周波数も示します。)

サンプリング時間/平滑化対象点数 3点 5点 11点 21点 41点 101点 上限周波数
  1  μs  210 kHz  122 kHz   55 kHz 28.8 kHz 14.7 kHz   6 kHz  500 kHz


「計測の対象物がどの程度の周波数成分を有するか」により、サンプリング時間、平滑化処理を決定する必要があります。

4.本装置の操作
本装置はFFT解析結果をPCのLCD画面上に表示します。解析の際の、選択項目については、該当の項目を参照してください


尚、FFT解析に関しましては様々な文献がありますので、詳しくはそちらをご覧下さい。
また、平滑化処理に関しましては、多項式適合法もあります。ソフトも用意しておりますので、必要な際はご指示下さい。しかしながら、本装置で発生する誤差の要因から考えますと、単純移動平均化法で対処できると思われます。

  HV400の画面に戻ります


      ”光で物理量を高精度に計測”

お問い合わせ、ご質問は下記までお願いします。
     株式会社フォトンプローブ    代表取締役 理学博士 平野雅夫
TEL 048−538−3993  本社
   電子メール photonprobe@asahinet.jp  
                       注意;2020年5月より、本社を移転しています。
                          旧本社の電話番号は使用できません