すい臓がん    3月2日(金) すい臓ガン       竹越美代子さん死去の報が今朝の朝日新聞に載って  いた。すい臓ガンだそうだ。70歳である。竹越さん  はNHKテレビ・ラジオで「美容体操」を広めた人で  有名であった。僕と同年代なのでなつかしい。残念な  ことである。ところがお病気がすい臓ガンであると知  って,とたんに気になった。   僕は去年の夏ドックを受けた。そのとき,すい臓に  かげがあるから再検査が必要であると言われた。急を  要する事もなかろうと思い,冬休みを待って再検査を  した。その結果,先生は言いにくそうな顔をして,念  のため精密検査をした方がいいですよと言われる。今  度も春休みまで待って精密検査をすることにした。精  密検査はCTスキャンであった。   検査当日廊下で待つ。バリウムを300ミリリットル  飲む。胃の検査の時よりバリウムの濃さは薄いらしい  がそれにしても,やはりおいしくない。   検査室へ入る。反射的に上着を脱ぎ下着一枚になろ  うとしたが,   「そのままでいいですよ」と言われる。  メガネを外そうとしたら   「メガネはかけたままでいいですよ」  時計をはずそうとしたら   「時計はしたままでいいですよ」  と言う。   「そのままベッドにおあがり下さい」  と言われる。今度こそ,言われたとおりに「そのまま  ベッドにお上がり」した。     「息を吸ってください,吐いてくださいと    いう指示にだけ従ってください」  と言う。   以前受けたMRIの検査の時と同じように洞窟の中  にベッドが入る仕掛けだ。ただMRIの検査の時と違  って静かである。   目をつぶって指示どおり息を吸いたり吐いたりする。  しばらくして突然「Hさん」と呼ばれる。授業中,居  眠りの学生が先生から注意を受けたようにびっくりし  た。どうも注射をする前の本人であるかどうかの確認  だったらしい。   案の定ここで造影剤を注射される。体がほてる。ほ  んのりあったかくなる。さっき病院へ来るまでの道路 での寒さがウソのようである。   検査が終わって口をすすぎ,口の周りのバリウムの  あとを拭く。鏡を見る。今までに見たことのないほど  に血色がいい。耳まで紅潮している。とてもすい臓病  患者とは思えない。   1週間たってドクターに結果を聞きに行った。写真  をガラス板に何枚もあてて   「これがあばら骨ですよ。これが胃ですよ。    これがすい臓ですよ」  と親切に説明してくれる。   ふんふんと聞いているうち   「ここに黒いのがあるでしょう。    これが疑いなんです」  なるほど,すい臓に金魚の糞みたいな黒いものがハッ  キリと見える。5ミリぐらいかな。   「超音波(のお医者さん)とCTとでは意見    が分かれるんですよ」   「すい臓は見えにくいので我々はカリカリして    いるんですよ」  と言う。   結果は???   「まあ大丈夫でしょう。夏にまたいらっしゃい」  と余韻を残された。     夏が僕の誕生日だけど,72歳は迎えられるのだろ  うか。何だかんだ言ってる内にドックを受けてから1  年になってしまうではないか。年をとるとガンの進行  も遅いというからこれでいいんだろう。     竹越さんは70歳だった。 2001.3.2