電磁波
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テレビや電子レンジ、携帯電話など、身の回りの家電製品や送電線から発生する電磁波が、人体に有害ではないかという不安が最近でている。目に見えず浴びる時間が長いだけに、どうも気になる。実際のところはどうなのか。
有害説 電流が流れると、そこに電場と磁場が起きる。この2つが組み合わさり波として伝わるのが電磁波。家庭に送られる電気の60・50ヘルツの低周波からマイクロ波、太陽光、エックス線などの高周波までいろいろな種類がある。
火付け役になったのは1979年、米国の研究者が発表した疫学調査。送電線近くに住む子供は、そうでない地域の子供より白血病になるリスクが高いという結果だった。これに驚いた欧米各国で同様の調査が行われた。スウェーデン・カロリンスカ研究所が92年に発表した調査結果。60年〜85年の間同国内の高圧送電線(20万、40万ボルト)の300メートル以内に住んでいた全員(約50万人)を対象に、がんの発生率を詳しく調べた。すると、2ミリ・ガウス(地磁気の1/250)以上の磁気を浴び続けた子供が白血病にかかるリスクは、他の地域の2.7倍という結果が出た。送電線に接近するほどリスクが高まることもわかった。
何が危険なのか?
電磁波のうち、データに裏付けられた形で、その危険性が確認されているのは、非常に強い高周波のマイクロ波である。これは、電子レンジなどにつかわれているもので、被爆すると放射線浴びたときと同じような影響が現れる。
いちばん影響を受けるのは、新陳代謝の激しい細胞だ。毛根や胃腸、皮膚、生殖細胞など、どんどん新しい細胞が生まれる部分に悪い影響が出る。つまり、髪の毛が抜ける、胃腸障害が出る、子供ができなくなる。などである。
だが、さまざまな影響を訴える人たちも
アメリカでは40年以前前から、軍のレーダー関係者の間にガンや白血病の患者が多くでることから、レーダーが発する電磁波の影響を研究している。また、高電圧線周辺地域では、白血病の発生率が高い、という研究結果もある。モトローラ社の携帯電話を使ったために脳腫瘍になったとして訴訟をおこしたケースもある。日本でも昨年6月、ある私立大学に勤務する女性が「大学研究室での電磁波を使った実験で、胆のう腫瘍、子宮筋腫、耳鳴り、糖尿病を発病した」として労災の申請をした。国内では初めてのケースとして注目されている。
電磁波の影響で子供ができなくなるという説も根強い。日本でも「ゲームソフト制作会社の社員には、不思議と女の子しか生まれない」というウワサがあり、電磁波が生殖細胞になんらかの影響を与えているのではないかと不安を呼んでいる。
肩こり、目の疲れ 職場での肩こりや目の疲れを、OA機器などからの電磁波の影響と考える人も多い。
ストレス 電磁波が人間の精神に影響を及ぼしているという説もある。電磁波の強い場所にいると、人間は情緒不安定になり、周囲の人間といさかいを起こす。逆に電磁波の影響の少ないところにいれば、精神が安定し、アルファ波が出て、脳の動きが活性化する、というわけだ。
どこまでが本当なのか?
これは、いまのところ断定はできない。だが、高圧電線やレーダーなど、強い電磁波が出る施設のそばにいると、人体に悪影響が出るということについては、かなりの研究者などが認めつつある。だが、携帯電話や家電などの影響となると、まだまだ不透明である。電磁波というのは電子機器だけが発するものではなく、自然界にも存在する。携帯電話のような微弱な電磁波は、どんな田舎に住んでいても、必ず浴びてしまうものなのだ。と、いうことは、ちょっとした体調不良まで電磁波に関連付けて考えてしまうのはやや危険である。また、あまり神経質になると、電磁波自体が目に見えないものだけに、不安だけがどんどん増して、神経症になってしまう可能性もある。現に電磁波の危険性を訴える人の中には「どこどこの鉄塔から毒電波が撒き散らされている」「秘密の組織が有害電波を自分に向けて発している」と主張する人たちもいるのである。
とりあえず、いまの段階でできることは、1.電磁波を発する機器のそばに長時間いない、2.長時間いなければならない場合は、なるべく距離をとるというぐらいだろう。
携帯電話の電波ハザード問題