2年 化学T
B 資料27 電池2年 組 番 ( )
電池
電池に豆電球をつなぐと豆電球が光る。このエネルギーは、どのようにして生み出されるのだろうか。
酸化還元反応と電池
酸化還元反応が起こると、一般に、エネルギーが放出される。
このエネルギーを電気エネルギーとしてとり出す装置を、 ( 電池 ) という。
還元剤の出した電子が導線を経て酸化剤へ移るので、電流が得られる。
ダニエル電池
硫酸亜鉛水溶液に亜鉛板を、硫酸銅(U)水溶液に銅板を浸し、両板を導線でつなぐと、銅(U)イオン
Cu2+が酸化剤、亜鉛Znが還元剤となった電池ができる。 電子は導線を通って銅板に達し、銅板の表面でCu2+イオンがこの電子を受けとってCuになる。
(還元反応) Cu2+ + 2e− → Cu
全体では、次の酸化還元反応が進む。
この電池を ( ダニエル電池 ) という。これは、銅と亜鉛のイオン化傾向の差を利用した電池。
−
Zn|ZnSO4aq||CuSO4aq|Cu + 亜鉛板・・・ 負極 (電子が流れ出る電極)
銅板・・・・・ 正極 (電子が流れ込む電極)
電流が流れていないときの両極間の電位差を、電池の ( 起電力 )という。
ダニエル電池の起電力は約1.1
Vであり、電流を流しても、短時間で両極間の電位差が1.1Vから大きく下がることはない。ボルタ電池 1799年イタリア
亜鉛板と銅板を希硫酸に浸し、両板を導線でつなぐ。亜鉛板上ではダニエル電池と同じ
Znの酸化が、銅板上ではH+の還元が起こり、全体では次の酸化還元反応になる。実際の起電力は約1Vの値が得られ、電流を流すと、両極間の電圧は、すぐに0.4V程度まで下がってしまう。( 電池の分極 )
これは、電圧の一部がH+の還元に使われるからである。
分極が起こったのち、溶液にK2Cr2O7やH2O2のような酸化剤を加えると、両極間の電圧は再び約1Vまで上がる。
このとき正極では、H+でなく、加えた酸化剤自身、あるいはCuの酸化で生じた銅(U)化合物が電子を受け取っている。こうした酸化剤を ( 減極剤 ) とよぶ。
マンガン乾電池
還元剤として亜鉛Znを、酸化剤として酸化マンガン(W)MnO2を用いた電池で、起電力は、約1.5Vである。
− Zn|ZnCl2aq,NH4Claq|MnO2,C +
電解液はデンプンのりなどで練り合わせて、内容物がもれないようにしてある。
負極では、ダニエル電池と同じように、亜鉛が電子を放出してZn2+になり、
正極では、酸化マンガン(W)MnO2が電子を受けとる。
酸化亜鉛ZnOと水酸化カリウムKOHを電解質に用いたアルカリマンガン乾電池の使用量が急増している。この電池は、正極で反応するMnO2を、通常のマンガン乾電池の約2倍量まで充填してあるため容量が大きく、また、低温での性能もよい。
蓄電池
電池から電流を取り出すことを ( 放電 ) という。放電が進むと電池の起電力は低下する。そのとき、負極を外部電源の−極に、正極を+極につなぎ、放電と逆向きの電流を通じると、再び電池として使えるようになる電池がある。この操作を、 ( 充電 ) といい、
放電−充電を繰り返して使える電池を ( 二次電池 ) または ( 蓄電池 ) という。
これに対し、マンガン乾電池などは、一度完全に放電してしまうともはや充電できない。このような電池を ( 一次電池 ) という。
最もよく利用されている二次電池に、 ( 鉛蓄電池 ) がある。正極は酸化鉛(W)PbO2、負極は鉛Pbで、約30%の希硫酸(密度1.2〜1.3g/cm3)を電解液に用いる。
− Pb|H2SO4aq|PbO2 +
鉛蓄電池の起電力は約2Vで、放電のときに起こる反応は次のように表わされる。
(負極) Pb + SO42− → PbSO4 + 2e−
(正極) PbO2 + 4H+ +SO42− + 2e− → PbSO4 + 2H2O
硫酸鉛(U)
PbSO4は水や硫酸に難溶性の固体であるため、放電が進むと、両極の表面がPbSO4でおおわれてくる。しかし充電すると、もとの状態に戻る。鉛蓄電池の放電反応と充電反応を1つの式にまとめると、
放電
Pb + PbO2 + 2H2SO4 → 2PbSO4 + 2H2O
充電
小型の二次電池としては、ニッケル−カドミウム(Ni-Cd)電池などが普及している。(アルカリ蓄電池)
放電
負極 Cd + 2OH− → Cd(OH)2 + 2e−
放電
正極 2NiOOH + 2H2O + 2e− → 2Ni(OH)2 + 2OH−
放電
全反応 Cd + 2NiOOH + 2H2O → Cd(OH)2 + 2Ni(OH)2
新しい二次電池
充電式ニッケル水素(Ni−MH)電池
水素を吸蔵させた合金MHを負極、NiOOHを正極としてKOH水溶液に浸したもの。起電力は1.33Vで、放電反応は次のように表わされる。
MH + NiOOH → M + 2Ni(OH)2
リチウムイオン二次電池
Li+を吸収(インターカレーション)させた炭素LixCを負極、Li+が部分的に欠けた酸化物Li1−xCoO2を正極とし、Li+を(LiClO4などの形で)含む有機溶媒に浸したもの。起電力は4.1Vで、放電反応は次のように表わされる。
LixC + Li1−xCoO2 → C + LiCoO2
上記のものは化学物質の酸化還元反応を利用したもので、化学電池と総称する。
これに対して太陽電池(光電池)は、光吸収にもとづく半導体内部での電子移動を利用した装置であり、物理電池の一種である。