2年 化学TB 資料25 酸化剤と還元剤
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酸化剤と還元剤
酸化還元反応をする物質のうち、電子を受けとって相手を酸化する物質を ( 酸化剤 ) 、
電子を与えて相手を還元する物質を ( 還元剤 )という。
銅と酸素の反応では、
2Cu + O2 → 2CuO
酸素O2が酸化剤、銅Cuが還元剤としてはたらいている。
酸化剤になる物質・還元剤になる物質
ヨウ化カリウムの酸性水溶液に過酸化水素水を加えると、ヨウ素
I2が生じて褐色の溶液になる。 ヨウ素I2が他の物質から電子を受けとる力(酸化力)は弱いので、この逆の反応は起こりにくい。
しかし、I2は、スズ(U)イオンSn2+のような強い還元剤に対しては酸化剤としてはたらく。
I2 + Sn2+ → 2 + Sn4+
物質が酸化剤や還元剤になるかどうかは、反応の相手によって決まる。
身のまわりの酸化剤・還元剤
家庭用の「塩素系」漂白剤やカビとり剤などは、次亜塩素酸ナトリウムNaClOを含む。
NaClOが酸化剤としてはたらき、有色物質や生体物質が分解される。
一方、トイレ用の酸性洗剤には塩酸が含まれている。酸性洗剤と塩素系の漂白剤を混ぜると、
次の酸化還元反応が起こって有毒な塩素ガスが発生する。
NaClO + 2HCl → NaCl + H2O + Cl2
単体の塩素Cl2も酸化作用があり、浄水場での殺菌に用いられる。
還元作用のあるチオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3、別名ハイポ)を水道水に加えると、
Cl2がCl−に還元され、魚にも無害な水になる。
水溶液中で強い酸化剤になる物質として、過マンガン酸カリウムKMnO4がある(水溶液中ではMnO4−として存在)。
過酸化水素は、普通は酸化剤としてはたらくが、のような強い酸化剤に対しては還元剤としてはたらく。
硫酸で酸性にした過マンガン酸カリウム水溶液に過酸化水素を加えると、次の酸化還元反応が起こって、溶液の赤紫色が薄くなる。
2MnO4− + 6H+ + 5H2O2 → 2Mn2+ + 8H2O + 5O2
赤紫色 淡紅色
酸化剤
O3 (オゾン) O3 + 2H+ + 2e− → O2 + H2O
Cl2 (塩素) Cl2 + 2e− → 2Cl−
H2O2 (過酸化水素) H2O2 + 2H+ + 2e− → 2H2O
KMnO4 (過マンガン酸カリウム) MnO4− + 8H+ + 5e− → Mn2+ + 4H2O
K2Cr2O7 (ニクロム酸カリウム) Cr2O72ー + 14H+ + 6e− → 2Cr3+ + 7H2O
HNO3 (希硝酸) HNO3 + 3H+ + 3e− → NO + 2H2O
HNO3 (濃硝酸) HNO3 + H+ + e− → NO2 + H2O
SO2 (二酸化硫黄) SO2 + 4H+ + 4e− → S + 2H2O
H2SO4 (熱濃硫酸) H2SO4 + 2H+ + 2e− → SO2 + 2H2O
還元剤
陽性の大きい金属 Na → Na+ + e−
H2 (水素) H2 → 2H+ + 2e−
H2S (硫化水素) H2S → S + 2H+ + 2e−
SO2 (二酸化硫黄) SO2 + 2H2O → SO42ー +4H+ + 2e−
H2O2 (過酸化水素) H2O2 → O2 + 2H+ + 2e−
KI (ヨウ化カリウム) 2I− → I2 + 2e−
FeSO4 (硫酸鉄(U)) Fe2+ → Fe3+ + e−
H2C2O4 (シュウ酸) H2C2O4 → 2CO2 + 2H+ + 2e−