2年 化学TB 資料22 中和反応

  2年    組    番 (                                )

中和反応

 酸と塩基は、反応して互いの性質を打ち消す。
この反応を利用して、酸や塩基の濃度を決める方法を知ろう。
 塩酸と水酸化ナトリウム水溶液を混ぜると、

     HCl + NaOH → NaCl + H

の反応が起こる。このとき、Na+とCl−は反応の前後で変化していない。変化する部分を次式で表す。

      + OH → H    イオン反応式

このように、酸の水素イオンと塩基の水酸化物イオンとから水ができる反応を( 中和または中和反応 )といい、同時に生成する塩化ナトリウムNaClのような物質を( 塩(えん) )とよぶ。

中和の量的関係

 1価の酸であるHCl 1molと、1価の塩基であるNaOH 1molとの割合でちょうど中和する。
 2価の酸HSOと、1価の塩基NaOHは、次のように中和する。

  HSO  + 2NaOH    → NaSO   + 2H
(2molのH) (2molのOH)  硫酸ナトリウム  (2molの水)

このように、酸からのHと塩基からのOHの物質量が等しいとき、酸と塩基はちょうど中和する。

  (酸の価数) × (酸の物質量) = (塩基の価数) × (塩基の物質量)

問い HNOとBa(OH)との中和を化学反応式で表し、2.0molのHNOを中和するのに必要なBa(OH)の物質量を求めよ。

 

中和滴定

モル濃度〔mol/ l 〕の価の酸の水溶液〔ml〕と、モル濃度’〔mol/ l 〕の’価の塩基’〔ml〕とがちょうど中和したとする。そうすると、次の関係が成り立つ。

  × ( × 1000 ) = ’ × ( ’ × ’/1000 ) つまり mcV = m’c’V’

 これに着目すれば、
濃度が不明な酸(塩基)の水溶液の一定量に、濃度が正確にわかっている塩基(酸)の水溶液を加えていき、ちょうど中和したときの体積から、酸(塩基)の濃度を求めることができる。
このような操作を、( 中和滴定 )という。

例題 濃度不明の希硫酸HSO 30.0mlを中和するのに、 0.360mol/ l 水酸化ナトリウムNaOH水溶液 25.0mlを要した。希硫酸の濃度を求めよ。

解) 希硫酸の濃度をc〔mol/ l 〕とすると、中和するとの物質量〔mol〕の関係は次式で表される。 

   2 × ( c × 30.01000 ) = 1 × ( 0.360 × 25.01000 )
      〔 酸からのH 〕            〔 塩基からのOH 〕

 c = ( 1 × 0.360 × 25.0 ) / ( 2 × 30.0 ) = 0.150  (答) 0.150 mol/ l

問い 0.192 mol/ l の水酸化バリウム水溶液 15.0 mlを完全に中和するのに必要な 0.200 mol/ l の塩酸の体積はいくらか。

 

中和滴定曲線

0.10 mol/ l の塩酸 10mlに、0.10 mol/ l の水酸化ナトリウム水溶液を滴下すると、滴下量 10mlでちょうど中和が完了する。これを ( 中和点当量点) ) という。 
 滴定中の溶液のpHをpHメーターではかると、pHは最初は低く(約
1.0 )、中和点の前後で急激に変化して、中和点を過ぎると高い値(10以上)になる。このようすをグラフに表した曲線を ( 中和滴定曲線 ) という。

 中和滴定曲線の形や中和点のpH値は、用いる酸や塩基の強弱で変わる。これは、中和で生成する塩の水溶液の性質によるものである。

 したがって、指示薬を用いる場合は、酸・塩基の種類に応じて適切な指示薬を選ぶ必要がある。

 

酸性食品 と アルカリ性食品

 食品の酸性度とは、食品100gを燃やしてできた灰を蒸留水に溶かし、その中和に必要な1 mol/ l の水酸化ナトリウム水溶液の体積(ml)と定義されている。アルカリ性度は、1 mol/ l 塩酸で中和したときの体積(ml)である。
人体の血液のpHはほぼ 
7.4±0.1 に保たれていて、食べた食品の種類(酸性食品やアルカリ性食品)で変動するおそれはない。