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ポチワンダーランド



楽器遍歴



ギターとの出会い

現在使用しているギターは1999年の夏、手に入れたハウザー3世。私の楽器の所有本数はギター歴の割には少ない方だと思う。
生まれて初めて触ったギターは、親父がタンスの中に入れていた楽器。表現は悪いが単に箱に弦が張ってあるだけの代物で、父は古賀メロディーを時々弾いていたが、お世辞にも良い音とは言えなかった。
何しろ表面版の木目がわからないほどペンキだか塗料が塗ってあったことだけは良く覚えている。
中学生の頃、父が買ってきた美空ひばりのレコードの悲しい酒のイントロ部のギターの音色がタンスのギターとは全く違う音だったので驚いた記憶がある。
量産ギター(春日)

初めてまともな楽器を手に入れたのは中学2年の時で、春日製の定価1万3千円のギターをお年玉で買った。
これで当時流行っていた長谷川きよしの別れのサンバを一生懸命レコードコピーした。
現在私の妹の家に置いてあるが、妹の長女が弾いているようだ。
中学3年になってクラブ活動をそれまで在席していたバレーボール部からフォークソング部に変えた。そこでクラブ顧問の英語の先生からPPM(ピーターポールアンドマリー)やらサイモン&ガーファンクル、ジョーンバエズ、ブラザースフォー、ビートルズ、ボブディラン等のレコードを聞かせてもらいフォークソングに夢中になった。
当時は、フォーククルセダースの「帰ってきた酔っ払い」や赤い鳥の「翼を下さい」杉田二郎の「戦争を知らない子供達」等数多くのヒット曲が生まれギターを抱えて歩くのが一つのファッションでもあった。余談だが私の卒業後、そのフォークソング部に泉谷しげるの妹が入り、私の妹と同学年だった。(目黒区立東山中学校)
部活顧問の英語の先生は、クラシックギターを先生について習っておられ、先生のご自宅で初めて本格的な手工ギター(製作者忘れてしまった)を弾かせてもらいその音色に随分感激した思い出がある。また先生宅ではじめてジョンウイリアムズの演奏をレコードで(リュート組曲4番のプレリュード)聴いたのも懐かしい。

初めての手工ギター(茶位5万円)


高校受験が終わり入学祝として念願の手工ギター、茶位の5万円の楽器を銀座のヤマハで購入したのが2台目。
今は長女の部屋にケースに入ったままセーターを着せられて飾ってある。時々娘が弾いているが。
茶位のギターは弦長が短く弾きやすい楽器だった。特に高音部は良く鳴る楽器。この間久しぶりに触ったらなんだかガタガタになってしまったなという印象。茶位は大学1年まで使用した。その後。大阪単身赴任中〔2004年4月〜2005年3月)に東京の自宅で大活躍・・


☆茶位で弾いたアルベニスの朱色の塔〜Torre_Bermeja(mp3)、マジョルカ〜Mallorca(mp3)



念願の河野を手に入れる

大学1年の終わりに河野の30号を手に入れ、この楽器を昨年夏ハウザー3世を購入するまでの23年間大切に弾き続けた。河野は当時御茶ノ水の下倉楽器で27万円で購入した。河野はギタリスト渡辺範彦氏が弾いていたことも有って、大変人気が高かった。1割引というのが相場だったと記憶しているがそれでもギターにそんな多額の金を出すのかと私の親戚中で話題になったほどだ。
当時NHK教育テレビのギターを弾こうという番組で、荘村清志、渡辺範彦氏らが講師として出演していた。
特に渡辺氏がレッスン終了後に弾く演奏を楽しみにテレビを見ていたが、教え方はいつも?でしゃべるのが極端に苦手な氏は、見ている方が気の毒になってくるほど。
大学のギター部の部室にはよく東京ミック(現ファナ?)の営業マンが楽器を持って遊びに来ていた。彼らが販売用に持ってきた楽器を弾かせてもらうのが楽しみで、これもまた懐かしい思い出の一つ。河野は、当時は30号が最上グレードだったが、渡辺範彦氏所有のカスタムメイドが50万ぐらいするらしいという噂を後になって聞いた記憶がある。
所有している河野ギターの状態は音量に関しては依然健在、ただ音の分離に不満があり、これはバッハ等の音楽を弾くようになってから特に感じるようになった。音の分離が悪いというのは言い方を変えれば和音が素晴らしく溶け合うということでもある。初めて河野を弾いた時は和音のまろやかな響きに特に惹かれた。ビラロボスの作品等を弾くとその心地良さがよく実感出来ると思う。
製作家の音に対する思想の違いなのかもしれない。河野を弾くとハウザーでは得られない柔らかな響き(特に高音で)がたまらない。プロギタリストでもないので飯の種という訳ではないが、河野には本当にお世話になった。ギターという楽器には出てくる音が演奏者の身体を包んでくれる独特の空気が有ると思う。自分はピアノも弾くが、ピアノの場合は空気が振動してから音が伝わってくるが、ギターの場合は音が身体全体を包んで自分の身体と共鳴して鳴っているような感じがする。河野の場合特に高音部でこの感覚が顕著に感じられ自分の世界に浸ることが出来る。


☆河野で弾いたポンセのバレー(mp3)〜Balletto



とうとうハウザー3世をゲット

現在の楽器ハウザー3世は音量や鳴りの面ではまだ不十分だが、それでも少しずつ楽器が変わって来たのが感じられるようになった。
特にハウザーに惹かれたのはピッチの正確さとかっちりした音の出方、バランスの良さ、弾きやすさ等である。
なにより20年前コンクールに出場した際、当時習っていた新堀の阿佐ヶ谷本院におられた季子先生からお借りしたハウザーが余りにも素晴らしくいつか自分もこんな楽器を手に入れたいと思っていた。御茶ノ水のアンダンテで手に入れた楽器。社長さんに値切って買ったせいかなかなか僕の言うことを聴いてくれません(^_^.)

☆季子先生にお借りしたハウザーで弾いたバッハのアレグロ〜Allegro(live 新堀ギター音楽院セゴビアホールにて演奏。小型カセットテープレコーダーの内蔵マイクで観客席で録音。pai3本で弾いてますがこの頃はまだ薬指の爪が剥がれていなかったのでアポヤンドで弾けました。)

昨今森林資源の枯渇が大きな問題になっているように楽器に使用される材料も今後益々制約が出て来る。ハガランダなどは既に伐採禁止になっており、業者や製作家の手持ちのストックが無くなればいずれは楽器の材料としては使われなくなるだろう。別に不動産のように投資として考えた訳ではないが、車のように購入1年で査定が半値になってしまうような買い物ではない。むしろ愛情を込めて弾き続ければそれに応えてくれるのが良いギターであり楽器とは本来そういう物だと思う。


(最後に誤解の無いように補足すると)ギターに対する僕の考えは必ずしも高価な楽器を最初から求めるべきだとは思いません。余程お金に余裕のある人を除けば、ギター一本に最初から何十万〜数百万ものお金を投じることの出来る人は限られるでしょう。10万以下のギターでも立派に音楽は出来るのです。僕自身ハウザーを手に入れるなどということは40歳を過ぎるまで思いもよりませんでした。高価な楽器を何本も所有している愛好家という方を沢山見かけますが楽器の性能を本当に引き出せている人は非常に少ないのが現実です。私自身、爪の病気のこともあり楽器の性能を十分引き出すだけのタッチで弾き込むことが出来ないでいます。もし幸運にも高価な楽器を手にすることが出来た方はギターを大切にしてあげて欲しい。大切にするということは毎日クロスで磨いて丁寧に扱うことを意味しているのではありません。毎日弾いてあげること。それが一番大切に扱うことだと思います。出来れば人前でその楽器を使って演奏すること・・それがその楽器を一番生かすことだと思うのです。

☆ハウザー3世で弾いたダウランド二曲〜My lady hunsdons puffe(mp3)、Fantasie(mp3)、バッハのBWV1005よりフーガ、チェンバロ協奏曲より第二楽章、メルツの愛の歌、タレガのマリア、ビラロボスの練習曲3番練習曲10番、イギリス組曲よりプレリュード

ハウザー3世のサウンドホール周り



これでお終いだと思っていたんだけど・・・
僕のギター遍歴にはまだ続きがありました。
2008年4月・・・・半休を取って立ち寄ったアンダンテで一本のギターと出会いました。
ホセ・マリン・・全く知らない製作家、期待せず弾いたスペイン製のギター
弾き始めて数分後・・・どうやってこの楽器を買おうか(家庭内工作の方法を)考えていた自分
その直前に弾かせて貰ったどの200万クラスのギターよりも心惹かれる響きがして
気がついた時には週末までに決めるからと購入の予約をしていました。
それから2日続けて会社帰りに立ち寄り試奏・・・
土曜日に2ステージ分ぐらい弾かせてもらって、とうとう買うことを決意しました。
今ではこちらがメインギター・・・ハウザー許せ



J.Marin Pulazuelo

面白いものでマリンを弾き始めてから今で気がつかなかったハウザーの良さを
再発見しています。揺るぎない安定感、弾いた感触、調弦・・どれをとっても
やはり違う。次元の違うギターです。制作者の思想、こだわりが
伝わってくるそんなギターが
ハウザーです。格調高い高級料亭がハウザーならマリンは気楽にくつろげる大衆酒場か・・


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