H13年の夏、北海道旅行中に私は厚岸にある道の駅「コンキリエ」に立ち寄った。
ここでは厚岸名産のカキを食べられるということで期待していたのだが、時間が遅くなっていた上、
レンタカーの返却時間の都合もあり、土産物屋を冷やかすくらいしか出来なかった。しかし!
その土産物屋でとんでもないものを発見してしまったのである。それが、この「かき飯の具」である。
普通なら缶詰など気にも止めないのであるが、こいつは私の目を釘付けにした。
なぜならパッケージが私のイチオシ駅弁である厚岸駅氏家待合所の「かきめし」にそっくりだったからである。
この「かきめし」という駅弁、実にうまい。風味抜群でプリプリしているカキはもちろん、
カキを煮付けたタレで炊いたご飯がまた絶品!弁当箱中からカキの香りがするのである。
「かきめし」のレッテルと中身
よくよく見てみると結構違いますね(^^;) でも淡い緑色で印刷された厚岸湾と神社。それに弁当箱がなんとも紛らわしい。
さて、「おうちでかきめし」ができるこの夢の缶詰。即買いと思いきや、少々悩んだ。
なぜかというとその値段である。約1500円するのだ。2合用だから2食分、駅弁「かきめし」は900円....
微妙である。というか「かきめし」2個買った方が確実においしいだろうと思う。
結局、「北海道行きたい病の発作を抑える薬」として購入することにした。
そしてH14年1月。別に発作は起きなかったが、来月北海道に行くことになったので缶を開けてしまうことにする。
開缶前に注意書きをチェックし、作り方を頭に叩き込む。
米は足りているか?電気釜は壊れていないか?水道は止められていないか?
開缶してから気がついたのでは目も当てられない。
いよいよ開缶である。片手で缶を押さえ、片手で缶切りを動かす。フタを切り進めるごとにかき飯の香りが漏れてくる。
缶の中身は予想に反して、ドス黒いタレがあるのみであった。ひじきが浮いている訳でもない
作り方に従い具を取り出す。底の見えない缶に箸を突っ込み探ると、なにやら大きなものの感触があった。
正に予想外。誰が缶詰の中に真空パックが入っていると予想しただろうか?
真空パックを出した後は何の感触もない。大量に入っていると思われたひじきはごく僅かであった。
パックを開封。一気に貝の香りが漂いだす。貝類の嫌いな人は走って逃げ出すであろう。
カキが5個、ツブ貝が6個、アサリが4個、フキとシイタケが少々。これが具材のすべてだ。
本物では、カキ3個、ツブ2個、アサリ3個であったからツブ貝の比率が高いのがわかる。
しかしなぜカキは6個でなく5個なのだろうか?2人前であることは明らかであるので、
これではカキ争奪戦の勃発必至である。まぁ、今回は幸か不幸か一人で食べるので問題ないが...
米とタレを炊飯器に投入する。タレを釜に入れてみると2合炊き時の水位線より若干低いので水を追加した。
蓋を閉め、スイッチを入れれば炊飯開始である。
スイッチが切れ、炊飯完了。蓋を開けると大量の湯気とともに甘いにおいが鼻をつく。(かきめしって結構甘口)
でも、なんかべちゃっとしてるなぁ、そういやふきこぼれも激しかったなぁ...
ということはひとまず置いといて具を載せて蓋を閉め、蒸らし工程に突入する。
ただの丼によそってはつまらないと思い、釜飯の釜に入れてみた。もうひとつは冷ましてから食べるためタッパーに。
色もそれっぽいし、いい匂い。でも実は....
いや、炊き上がりでちょっと不安だったんですけどね。ああ、ご飯ガリガリ....
でも味は良い感じだなぁ、ちゃんと炊けれてればおいしかったかもしれないです。
味が良くなじむせいか冷ました方がおいしい。炊き立ては香りがたちぎるみたい。
ちなみに一番うれしいのはおこげが食べられること。これは駅弁ではありえない。
というわけで、現地で食べるのが一番。でも、家で食べるのも一興というところ。
悪くないです、この缶詰。