涼み舟

(本調子)

夏の涼みは両国で
行き逢う船のさざめ唄
月あかり見ればおぼろの
つめ弾き姿忍び逢う夜の首尾の松
うろうろ舟の行き逢いに
「エエ水瓜はいかが豆や枝豆」
影芝居まず銅鑼の音
セリフ「しがねえ恋の情が仇」
命の綱の切れたのを
どう取りとめて木更津から
めぐる月日も百餘歳
今の両国は鉄の橋
にごった浮世に黒い水
お江戸なつかしいとは思いませんかヨ


稽古日 平成二十七年八月八日
春日小唄集 二十一頁
昭和二十八年六月 渥美清太郎作 春日とよ曲