■□■□■ 明治二十九年の臨時招魂祭並ニ例大祭々式次第(オロモルフ)■□■□■

 明治二十九年の五月、日清戦争の戦死者や殉難者の合祀に伴う臨時招魂祭並びに例大祭が行われましたが、その際の式次第書がありますので、往時を偲ぶ意味で掲示いたします。
 案の段階での修正の入った手書き文書と配布用に印刷された文書がありますが、後者を入力いたしました。
 ただし漢字は苦手なので現今の字体にしてあります。
 小さな活字での注書は( )に入れました。
 こういう文書の保存頁への保存が何らかの意味を持つものなのかどうか、わたしには分かりませんが、往時を偲ぶ参考にはなると思います。
 皇后陛下の行啓を仰いでおりますが、行啓を仰ぐまでの陸海軍と宮内庁のやりとりの文書なども残されていて興味深いです。
 なおこの時代の靖国神社宮司は第二代の賀茂水穗翁です。
 この文書類が保存されているのは防衛省研究所です。

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 臨時招魂祭並ニ例大祭々式次第
  五月五日清祓ノ式
午後第三時神職神殿ヲ装飾シ祓場ヲ設ク
同 第四時陸海軍両省掛官(陸軍武官ハ正装海軍武官ハ正服)
 祓場参向席ニ着ク
次宮司以下神職祓場ニ参着ス
次宮司進テ再拝拍手迎神ノ式ヲ行フ(此時諸員起ツ)
次神饌(三膳)ヲ供ス(禰宜以下奉仕)
次宮司進テ再拝拍手
次主典玉串ヲ宮司ニ呈ス宮司玉串ヲ奉リ祓ノ詞ヲ
 読ム竟テ再拝拍手本席ニ復ス
    此間諸員起ツ
次主典両人潮水及祓串ヲ取テ祓ヲ行フ(此時諸員起ツ)
次掛官拝礼
次神職神拝
次神饌ヲ撤ス(禰宜以下奉仕)
次宮司進テ再拝拍手送神ノ式ヲ行フ(此時諸員起ツ)
次退下
   清祓執行ノ儀ヲ本殿ニ告ク
同時陸海軍両省掛官本殿ニ参向
次宮司以下神職昇殿席ニ着ク
次宮司進テ再拝拍手
次開扉(宮司奉仕)殿取(二名)従フ(此時諸員起ツ)
次神饌(十五膳)ヲ供ス(禰宜以下奉仕)
次宮司進テ再拝拍手
次主典玉串ヲ宮司ニ呈ス宮司之ヲ神前ニ奉ル
次主典祝詞ヲ宮司ニ呈ス宮司之ヲ奏ス竟テ再拝拍
 手本席ニ復ス
    此間諸員起ツ
次掛官拝礼
次神職神拝
次神饌ヲ撤ス(禰宜以下奉仕)
次宮司進テ再拝拍手
次退下

  同夜招魂祭ノ式
同日午後第八時三十分前招魂場左右ニ庭燎ヲ焼ク
午後第八時三十分儀仗兵一中隊参着
午後第九時陸海軍両省掛官並両省各局各官衙勅奏
 任官総代及判任官総代(陸軍武官ハ正装海軍武官ハ正服)
 招魂場参向席ニ着ク
次宮司以下神職招魂場ノ席ニ着ク
次宮司進テ再拝拍手招魂ノ式ヲ行ウ(此時諸員起ツ)
次神饌(十膳)ヲ供ス(禰宜以下奉仕)
        此間軍楽ヲ奏ス
次宮司進テ再拝拍手
次主典玉串ヲ宮司ニ呈ス宮司之ヲ神前ニ奉ル
次主典祝詞ヲ宮司ニ呈ス宮司之ヲ奏ス竟テ再拝拍
 手本席ニ復ス
    此間諸員起ツ
次官員拝礼
次神職神拝
次宮司陸海軍両省掛官ト共ニ本殿ニ参向
次宮司進テ再拝拍手
次主典祝詞ヲ宮司ニ呈ス宮司之ヲ奏ス竟テ再拝拍
 手本席ニ復ス
    此間諸員起ツ
次神饌ヲ撤ス(禰宜以下奉仕)
    此間軍楽ヲ奏ス
次宮司霊璽ヲ奉戴シテ本殿ニ奉遷ス自餘ノ諸員之
 ニ従フ(此時庭燎並ニ灯火ヲ滅ス)
次宮司昇殿内陣ニ入リ霊璽ヲ安置シ奉ル(此間諸員起ツ)竟テ
 再拝拍手各席ニ着ク
次神饌(二十五膳)ヲ供ス(禰宜以下奉仕)
    此間軍楽ヲ奏ス
次宮司進テ再拝拍手
次主典玉串ヲ宮司ニ呈ス宮司之ヲ神前に奉ル
次主典祝詞ヲ宮司ニ呈ス宮司之ヲ奏ス竟テ再拝拍
 手本席ニ復ス
    此間諸員起ツ
次官員拝礼
次神職神拝
次神饌ヲ撤ス(禰宜以下奉仕)
    此間軍楽ヲ奏ス
次閉扉(宮司奉仕)殿取(二名)従フ(此時諸員起ツ)
次退下

  五月六日例大祭々式
先ッ早旦神職神殿ヲ装飾ス
午前第四時庭燎ヲ焼ク
午前第八時陸海軍両省掛官(陸軍武官ハ正装海軍武官ハ正服)
 及宮司昇殿禰宜以下神職之ニ従フ
次開扉(宮司奉仕)殿取(二名)従フ(此時諸員起ツ)
    此間軍楽ヲ奏ス
次神饌(五十膳)ヲ供ス(禰宜以下奉仕)
    此間軍楽ヲ奏ス
次午前第九時皇族(武官)陸海軍両大臣将官同相当官
 陸海軍両省勅任文官(陸軍武官ハ正装海軍武官ハ正服文官ハ大礼服)
 昇殿自餘ノ将校同相当官並ニ奏任文官同時幄舎ニ着ク
次宮司進テ再拝拍手
次主典玉串ヲ宮司ニ呈ス宮司之ヲ神前ニ奉ル
次主典祝詞ヲ宮司ニ呈ス宮司之ヲ奏ス竟テ再拝拍
 手本席ニ復ス
    此間諸員起ツ
次 皇后陛下奉迎ノ為メ諸員殿ヲ下ル
午前第十時 皇后陛下行啓
    此時皇族(武官)陸海軍両大臣ハ中門内
    陸海軍両省勅奏任官ハ中門外ニ於テ奉迎ス
    此間軍楽ヲ奏ス
著御陸海軍両大臣御先導階上椽側左右ニ伺候ス
 宮司神前 御拝座ニ御先導上段ノ下ニ伺候ス
還啓ノ時陸海軍両大臣宮司御先導階下ニ伺候ス
    此時諸員奉送奉迎ノ時ノ如シ此間軍楽ヲ奏ス
次陸海軍両大臣拝礼
次皇族(武官)将官以下順次拝礼
次掛官拝礼
次神職神拝
次陸海軍諸隊順次拝礼(此間遺族昇殿拝礼但今回合祀セラレシ遺族ニ限ル)
    右畢テ諸人ノ参拝ヲ許ス
次神饌ヲ撤ス(禰宜以下奉仕)
次宮司進テ再拝拍手
次閉扉(宮司奉仕)殿取(二名)従フ(此時諸員起ツ)

  五月七日直会ノ式
午前第十時陸海軍両省掛官(陸軍武官ハ通常礼装海軍武官ハ軍服)
 及宮司昇殿禰宜以下神職之ニ従フ
次宮司進テ再拝拍手迎神ノ式ヲ行フ(此時諸員起ツ)
次神饌(五膳)ヲ供ス(禰宜以下奉仕)
次宮司進テ再拝拍手
次主典玉串ヲ宮司ニ呈ス宮司之ヲ神前ニ供ス
次主典祝詞ヲ宮司ニ呈ス宮司之ヲ奏ス竟テ再拝拍手本席ニ復ス
    此間諸員起ツ
次掛官拝礼
次神職神拝
次宮司進テ再拝拍手送神ノ式ヲ行フ(此時諸員起ツ)
次直会執行ノ儀ヲ本殿ニ告ク
次宮司進テ再拝拍手主典(二名)御翠簾ヲ掲ク(此時諸員起ツ)
次神饌(十五膳)ヲ供ス(禰宜以下奉仕)
次宮司進テ再拝拍手
次主典玉串ヲ宮司ニ呈ス宮司之ヲ神前ニ奉ル
次主典祝詞ヲ宮司ニ呈ス宮司之ヲ奏ス竟テ再拝拍手本席ニ復ス
    此間諸員起ツ
次掛官拝礼
次神職神拝
次掛官並ニ宮司以下神職直会ノ神酒神饌ヲ賜ハル
次神饌ヲ撤ス(禰宜以下奉仕)
次宮司進テ再拝拍手
次閉扉(宮司奉仕)殿取(二名)従フ(此時諸員起ツ)
次退下
   以 上

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(御遺族への案内文)

右ハ今般靖国神社ヘ合祀ニ付来る五月六日祭典執
行相成候間此段及御通知候也
 追テ当日参拝ノ遺族ハ此報知状ヲ遺族接待掛受付ヘ持参相
 成度然ルトキハ神酒供物ヲ贈呈シ且ツ興行物縦覧ニ付可成便宜
 ヲ与ヘ可申候

  明治二十九年四月 日

        陸海軍両省掛員

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[以上]
注:日清戦争による合祀は13619柱だったそうです。


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