■□■□■ 日本と韓国の苗字(オロモルフ)■□■□■

−−−目次−−−

■■■ 第一章 苗字の数の違いと文化の違い ■■■
 ◆◆◆ 第一・一節 まえがき ◆◆◆
 ◆◆◆ 第一・二節 韓国の苗字の数 ◆◆◆
 ◆◆◆ 第一・三節 韓国の二字苗字 ◆◆◆
 ◆◆◆ 第一・四節 日本の一字苗字について ◆◆◆

■■■ 第二章 韓国の苗字と同じ漢字の日本の苗字 ■■■
 ◆◆◆ 第二・一節 韓国の一字苗字と日本の一字苗字 ◆◆◆
 ◆◆◆ 第二・二節 韓国の二字苗字と日本の二字苗字 ◆◆◆

■■■ 第三章 日本の四字以上の苗字一覧 ■■■

■■■ 第四章 日本における一字苗字 ■■■

■■■ 第五章 韓国の代表的一字苗字と同じ日本の苗字の由来 ■■■
 ◆◆◆ 第五・一節〈金〉◆◆◆
 ◆◆◆ 第五・二節〈李〉◆◆◆
 ◆◆◆ 第五・三節〈朴〉◆◆◆
 ◆◆◆ 第五・四節〈崔〉◆◆◆
 ◆◆◆ 第五・五節〈鄭〉◆◆◆
 ◆◆◆ 第五・六節〈姜〉◆◆◆
 ◆◆◆ 第五・七節〈趙〉◆◆◆
 ◆◆◆ 第五・八節〈尹〉◆◆◆
 ◆◆◆ 第五・九節〈張〉◆◆◆
 ◆◆◆ 第五・十節〈林〉◆◆◆


■■■ 第一章 苗字の数の違いと文化の違い ■■■

◆◆◆ 第一・一節 まえがき ◆◆◆

 日本の苗字の数は100000程度とされ、こまかく分けると300000もあるという説もあります(丹羽基二)。
 一方韓国(および北朝鮮)の苗字の数は250ほどとされています。中国は500くらいらしい(同前)。
 大変な違いです。
 こういった苗字の数の違いや由来の違いが文化の違いを説明する一つではないか――と考えまして、保守系の掲示板あちこちに質問して回りましたが、明確な回答は得られませんでした。
 日韓の文化の違いにはあまり興味が無いらしいのです。
 そこで、自分で少し調べてみようと思い立ちました。

◆◆◆ 第一・二節 韓国の苗字の数 ◆◆◆

 インターネットに、韓国統計庁の「2000年人口住宅総調査 姓氏および本貫集計結果」からの引用が出ていました。
 それによると、苗字の数は286ですが、その中には一人というのもあり、実質250という丹羽基二先生の推定は正しいようです。
 また上のデータには、「その他1054(人)」「不詳7900(人)」とありますが、その他には最近帰化した人たちの苗字もあるでしょうから、たぶん無視していいでしょう。

◆◆◆ 第一・三節 韓国の二字苗字 ◆◆◆

 韓国の苗字の特徴は、大部分が漢字一字だということです。
 ほとんどが漢字二字の日本とは大変な違いで、これ自体が両国の文化の違いになっています。
 しかしその韓国苗字にも、わずかながら、二字があります。
 あげてみます。括弧内の数字は上記資料による人口です。

1.南宮(18743)
2.皇甫(9148)
3.諸葛(4444)
4.司空(4307)
5.鮮于(3560)
6.西門(1861)
7.獨孤(807)
8.東方(220)
9.長谷(52)
10.岡田(51)
11.魚金(51)
12.小峰(18)
13.網切(10)

 三字以上は無いようです。

 これら13種の二字苗字の全人口は43272で、全人口の千分の一以下です。
(中には、日本から渡ったと推理されるような苗字もありますね)
 一方一字苗字では、金が9925949人、李が6794637人、朴が3895121人などで圧倒的でして、金、李、朴、の三種で全人口の半分近くにもなります。
 二字苗字は、全部足しても一字苗字の69番目に過ぎません。

◆◆◆ 第一・四節 日本の一字苗字について ◆◆◆

 日本の場合は二字苗字が圧倒的ですが、中には一字もあります。
 すぐ頭に浮かぶのは、東、西、南、北や林、森などですが、二字苗字に比べれば、その数はわずかです。
 では、絶対数はどれくらいなのでしょうか?

◎出典
 日外アソシエーツ『苗字8万よみかた辞典』

 この辞典は、学問的にはやや杜撰なのですが、収録数では日本一だと思います。
 表記としては84000種。読みとしては130000種が収録されています。

 この中から一字苗字を拾い出すのはかなり大変で、一ヶ月くらいかかりましたが、何とかピックアップしました。
 ただし、この辞典に無い苗字も当然あるでしょうし(たとえば東国原は出ていませんでした)、また私のミスもあるでしょう。

 で、その数ですが、漢字の数にして計「2093」種ありました。
 つまり一字苗字だけでも韓国の約250に比べて圧倒的に多いのですが、日本の苗字の種類は漢字の数ではありません。
 その読みが重要でして、読みが違えばまったく別の苗字になります。
 漢字では同じ「東」でも、「ひがし」さんと「あづま」さんでは氏がまったく違うのです。そこで、読みを含めてその数を数えてみます。

(インターネットで苗字問題について調べてみますと、信頼できるサイトはごくわずかですね。でたらめな数字が平然と書かれていたり。邪馬台国問題でも同様です。私と同意見かどうかは別にしまして・・・)

 日本の一字苗字の、読みまで入れた数の計算ですが、必死でやりまして、何とか数字を出しました。
「4304種」でした。
 韓国の一字苗字の15倍以上です。
 韓国では大部分が一字苗字ですし、日本では一字苗字は全体の50分の1にすぎませんが、それでも15倍もあるのです。
 日本の苗字がいかに多様かが分かります。
 一つの漢字苗字にいくつもの読みがある――と書きましたが、これは、読みの種類が多いというより、日本語としての氏のいくつかが同じ漢字で表記されている――といった方が良いですね。
 一般に漢字には音読みと訓読みがありますが、苗字の場合はそれとはだいぶ違います。
 いろいろないわれがあって、じつに多様な読みがあるのです。
 たとえば「若」という一字苗字ですが、この漢字で表記する苗字には二種類が知られていて、それは「わか」と「みかずき(みかづき)」です。
「わか」はごく普通の訓読みですが、「みかずき」は知らないと読めません。これは、三日月は若い月なので「若月」と書く事があり、そういう苗字があり、それの月が消えて「若」一字で「みかずき」と言うようになったようです。
 このように、日本の苗字は、シナの苗字を直輸入したのではなく、大和言葉的ないわれがいろいろとあって、それに漢字を当てはめているのです。
 さらに興味深いのですが、「若」には音読みの「ジャク」や「ニャク」は見つかりません。つまり輸入された苗字ではないのです。
 漢字を自在にあやつって大和言葉をはじめとする多様な日本語を表現しているわけで、そのあたりが韓国とはずいぶん違います。韓国の場合は、日本の音に相当する発音がほとんどで、かつ、読みの種類は一種類が多いと思います。
「訓読みと当て読み」が日本の苗字を驚くほど豊富にしているのです。


■■■ 第二章 韓国の苗字と同じ漢字の日本の苗字 ■■■

◆◆◆ 第二・一節 韓国の一字苗字と日本の一字苗字 ◆◆◆

 次に、金、李など韓国の代表的な苗字と同じ漢字の一字苗字が日本にどのくらいあるかを調べてみます。
 人口の多い順に、韓国の苗字を並べて、それと同じ漢字で表記される日本の苗字の読みを記します。
「→有」が日本にも有るという意味で、「 」が日本の苗字の読みです。

1金(キム) →有「かにい」「かぬち」「かね」「きん」「こがね」「こん」
2?(イ)  →有「き」「すもも」「り」「りい」「りん」
3朴(パク) →有「えのもと」「すなお」「はく」「ばく」「ほう」「ほお」「ほぎ」「ぼく」
4崔(チェ) →有「がい」「がん」「さい」「さん」「ち」「ちえ」
5鄭(チョン)→有「うかい」「そん」「てい」「でい」「ぺい」
6姜(カン) →有「かん」「かんぐ」「き」「きょ」「きょう」「ぎょう」「きょき」「しょう」
7趙(チョ) →有「しょう」「ちょ」「ちょう」
8尹(ユン) →有「い」「いい」「いうん」「いし」「いん」「ゆうん」「ゆん」「わん」
9張(チャン)→有「ちょう」「はり」
10?(イム) →有「はやし」「りん」
11?(オ)  →有「う」「おお」「くれ」「こ」「ご」「こう」「ごう」「ごお」
12韓(ハン) →有「いが」「いがき」「いがらき」「から」「かん」「はん」
13申(シン) →有「しん」「もうす」
14徐(ソ)  →有「じょ」「じょう」「そう」
15權(クォン)→有「こん」「ごん」
16?(ファン)→有「おう」「こ」「こう」「ごう」「こうけい」
17安(アン) →有「あなし」「あん」「はだかす」「やす」「やず」「やすこ」
18宋(ソン) →有「そ」「そう」
19柳(ユ)  →有「やない」「やなぎ」「りゅ」「りゅう」
20洪(ホン) →有「きょう」「こう」

 少なくとも20位までは全て日本にも複数の苗字があることがわかります。
 訓ではほとんど読まない漢字だと韓国やシナと似た読みが多くあり、訓がよく使われる漢字だと大和言葉的な氏が多いという、当然の結果でした。
 それにしても、通常の日本文では滅多に使わない「尹」にこれだけの種類があるとは予想外でした。

◆◆◆ 第二・二節 韓国の二字苗字と日本の二字苗字 ◆◆◆

 前に記した韓国の二字苗字13種について、日本にもあるかどうか、あればどのように読んでいるのか――を、先の苗字辞書で調べてみました。

1.南宮→有「なんぐう」「みなみみや」「みなみや」
2.皇甫→有「こうほ」「こうぼ」「こうほう」
3.諸葛→有「しょかつ」「もろくず」
4.司空→有「しくう」
5.鮮于→有「せんう」
6.西門→有「にしかど」「にしじょう」
7.獨孤→有「どっこ」
8.東方→有「あがた」「とうかた」「とうがた」「とうほう」「とうぼう」「ひがしかた」「ひがしがた」
9.長谷→有「ながたに」「ながや」「はせ」「はつせ」「はや」
10.岡田→有「おかた」「おかだ」
11.魚金→無
12.小峰→有「おみね」「こみね」
13.網切→有「あみきり」

 ほとんど日本にもありました。
 ただ、辞書を見ただけでは、日本で発生したのか、韓国や中国から来たのか、それはわかりません。
 字面から安易に判断して、これは純国産だろう、これは外来だろう・・・と決めつけるのは危険です。
「魚金」という苗字が辞書に無かったのは意外でした。8万以上も集めた辞書に無いのです。しかしこの名称は、魚屋さんの屋号にいくらでもありそうですね。ひょっとしたら日本の屋号が元なのかもしれませんが、断言はできません。


■■■ 第三章 日本の四字以上の苗字一覧 ■■■

 韓国の苗字はほとんどが漢字一字で、二字が少しだけあります。三字は見つかりません。つまり完全にシナの影響下にあります。
 これに対して日本の苗字は、ほとんどが二字で、その数も桁外れに多く、シナや朝鮮とはまったく文化が違います。
 では、日本の苗字の中で、三字以上がどれくらいあるのか、興味がありますので、検討してみようと思います。
 三字は数えきれませんので、とりあえずは、四字以上をピックアップしてみます。
 じつは、四字以上でも大変な数になります。

阿久刀川「あくたがわ」「あくとがわ」
阿久良川「あくらがわ」
阿文字屋「あもじや」
阿世比丸「あせひまる」
阿武隈川「あぶくまがわ」
阿留多伎「あるたき」
阿留多岐「あるたき」
阿留多喜「あるたき」
阿斯能夜「あしのや」「あすのや」
阿欺能夜「あしのや」「あすのや」
阿賀比売「あがひめ」
閼伽井坊「あかいぼう」
伊太祈曽「いたきそ」
伊毛保利「いもほり」
伊波田支「いわたき」
一寸八分「かまつか」
一寸六分「かまずか」「かまずけ」
一天満谷「いてまだに」
一尺七寸「かまつき」
一尺二寸「かまえ」「かまつか」「かまのえ」「ままのえ」
一尺二寸五分「かまえ」「かまつか」「かまのえ」
一尺八寸「いかまつき」「かまえ」「かまずか」「かまつか」「かまつき」「かまのえ」「かもつか」
一尺八寸山「みおうやま」
一文字屋「いちもんじや」
一岐津崎「いきつざき」
一番ケ瀬「いちばかせ」「いちばがせ」「いちばけせ」「いちばんがせ」「いちまかせ」「いちまがせ」
一番合戦「いちばんがっせん」「いちまかせ」「いちまがせ」

 “一”まで終わりました。
 こうやって書き出してみますと、いろんな発見がありますね。
 これまでに見た最長の苗字「一尺二寸五分」が出てきました。なんと漢字六字です。しかも寸法です。これら寸法苗字の読みは、大工さんが木材を接ぐ時の継ぎ方の事らしい(あるいは鎌の柄?)。
 職業の得意技が苗字になった例です。
「一番合戦」というのは、真っ先に戦ったという誇りを苗字にしたのでしょう。
 これらを見ますと、日本の苗字の多くは日本独特の呼称にとりあえず漢字を当てはめたという感を強くします。シナとはかけ離れております。
(中国人を社保庁が入力係に雇ったなど、まったくナンセンスです。氏名を間違えるのは当たり前です)
 これらは韓国にも絶対に無い苗字だと思います。両国の文化は大きく違います。

右衛門左「よもさ」
右衛門佐「うえもんさ」「うえもんのすけ」「よもさ」
宇田小路「うだこうじ」
宇礼志野「うれしの」
宇多小路「うたこうじ」「うだこうじ」「うだのこうじ」
宇佐那木「うさなき」
宇治土公「うじとこ」
宇治山守「うじのやまもり」
宇和房地「うわぼうち」
宇津木沢「うつきさわ」
宇麻具多「うまぐた」
禹豆麻佐「うずまさ」
烏帽子田「えぼした」「えぼしだ」
烏帽子館「えぼしたち」「えぼしだち」「えぼしたて」「えぼしだて」
影田久保「かげたくぼ」
塩入ケ谷「しおいりがたに」「しおいりがや」
横屋垣内「よこやがいと」
音威音府「おといねっぷ」

 日本の地名の数の多さも有名でして、苗字の最大推定数300000より遙かに多いとされています。
 苗字と地名はとてもよく似ていますが、多くの苗字が地名から来ているといわれます。
 ここにあげ四字苗字からも、その事が推理できます。
“塩入ケ谷”など、まさに地勢から来た地名をそのまま採用したような苗字ですが、ここに使われている「谷」というのは珍しい読みを持っています。
 「谷」の訓は主として「たに」と「や」というかけ離れた二種類で、その他に「きわまる」とか「はざま」とかもあります。音(主として「コク」)の方が少ないようです。

下地頭所「しもじとうしょ」
下阿久津「しもあくつ」
下垣鳴海「しもがきなるみ」
下神納木「しもかんのうぎ」「しもかんのき」「しもこうのぎ」「しもこのぎ」「しもゆのぎ」
嘉祥寺谷「かしょうじや」
嘉祥寺屋「かしょうじや」
我宗我部「あそかべ」「かそかべ」
海老ケ瀬「えびがせ」
海老子川「えびこがわ」「えびすかわ」「えびすがわ」
鶴ケ久保「つるがくぼ」
勘解由小路「かげゆこうじ」「かげゆのこうじ」「かごのこうじ」「かでのこうじ」
敢臣族岸「あいおみぞくぎし」
韓白水郎「からあま」
紀ノ国谷「きのくにや」
紀伊国谷「きのくにや」
喜美侯部「きみこうべ」
喜美候部「きみこうべ」
吉弥侯部「きみこべ」
吉弥候部「きみこうべ」「きみこべ」「よしやこべ」
吉美侯部「きみこべ」
吉原斎藤「よしわらさいとう」
吉備品函「きびほんじ」

 容易に想像できる名前と、想像しにくい苗字がありますね。
 中に、韓国由来を想像する苗字があります。しかし韓国の苗字そのものではありません。
「きみこうべ」って、ずいぶんいろんな漢字で表現されていますね。

久多羅木「くたらき」「くたらぎ」「くだらぎ」
久寿米木「くすまき」「くすめき」「くすめぎ」
久寿野木「くすのき」
久志木野「くしきの」
久保ノ谷「くぼのや」
久保木園「くぼきぞの」「くぼきぞん」
久保河内「くぼこうち」「くぼごうち」
久保野谷「くぼのや」
久根之内「くねのうち」
久留井淵「くるいぶち」
久留栖野「くるすの」
久冨木原「くぶきはら」
久富木原「くぶきはら」
久須木家「くすきや」
巨勢斐太「こせのひだ」
巨勢斐田「こせのひだ」
許呂母別「ころもわけ」
狭々城山「ささきやま」
狭々貴山「ささきやま」
狭狭城山「ささきやま」
九十九田「つくもた」「つくもだ」
九十九谷「くしゅうくたに」「つくもたに」
九十九里「つくもり」「つぐもり」
九十九員「つるし」
九十九院「つるし」「つるしい」「つるしいん」
九十五員「つるし」
九寸五分「かずはた」「くずかた」「くずはた」「くずはな」
九良賀野「くらがの」
九足八島「くそくはっとう」「ろくろみ」
九足八鳥「くそくはっちょう」「ろくろみ」
九郎目川「くろうめがわ」「くろめがわ」
九郎明川「くろめがわ」
九頭竜坂「くずりゅうさか」「くずりゅうざか」
倶利加羅「くりから」
倶利伽羅「くりから」
見座垣内「みざかいと」「みざがいと」

 数字で始まる苗字には、じつに不思議な読みがたくさんあります。四字苗字も数字で始まるものが多いです。
〈九十九員〉と書いて「つるし」と読んだり、〈九足八島〉と書いて「ろくろみ」と読むなど、よほどの知識が無いと分かりません。
 寸法苗字も〈九寸五分〉「くずはた」などがあります。
 わたしもこれまで、名刺にふりがながうってある珍しい苗字の人に何度か会ったことがありますが、日本の苗字は凄いです。

言語同断「こくらだ」「てくら」「てくらた」「てくらだ」「てらく」「てらくだ」
言語道断「てくら」
源五郎丸「げんごろうまる」
胡摩ケ野「こまけの」
五ケ醜市「ごかいち」
五十山田「いかいだ」「いそやまだ」
五十公郎「いきみの」
五十公野「いきみの」「いぎみの」「いじみの」「いずしの」「いずみの」「いそぎみ」「いそきみの」「いつみの」「つずしの」「つずみの」
五十分野「いずみ」
五十君野「いくしの」
五十村橋「ありうばし」
五十里屋「いかりや」
五十物語「あいもの」
五十鈴川「いすずかわ」「いすずがわ」
五十旗頭「いおきど」「いおきべ」「いそきべ」
五反田屋「ごたんだや」
五月一日「あおきつき」
五月乙女「さおとめ」
五月七日「つゆり」

 書いていると面白すぎて時間を忘れます。
 日本の苗字に魅せられて研究をはじめる人が昔から多くいる理由も分かります。
〈言語道断〉という凄い苗字を「てくら」と読むとか、〈五十物語〉という短編集の題名みたいな苗字を「あいもの」と読むとか、〈五月七日〉を「つゆり」と読むとか・・・じつに面白いです。
 最後のものは、梅雨入りという意味なんでしょうか。

五百十部「いおきべ」
五百小竹「ゆざさ」
五百木井「いおきい」「いおきさ」
五百木部「いおきべ」
五百利部「いおりべ」
五百旗部「いおきべ」
五百旗頭「いおきだ」「いおきど」「いおきべ」
五百籏頭「いおきべ」
五里川原「ごりかわら」「ごりがわら」
五所垣内「ごしょかいと」「五所野尾「ごしょのお」
五竜神田「ごりゅうかんだ」
御子川内「みこがわうち」
御手犬養「みていぬかい」
御木具屋「みきぐや」
御堂河内「みどうこうち」
御菩薩木「みぞろき」「みぞろぎ」「みぼさき」
御麻生園「みょうぞの」「みょうどの」
御揩使河原「みだいがわら」
御裳濯川「みもすそがわ」
護摩都留「ごまつる」
護麗都留「ごまつる」
護魔都留「ごまつる」

 なぜこういう苗字が出来たのか分からない苗字と、なぜこのように読むのか分からない苗字と、その両方が分からない苗字がありますね。
 たぶんこれを書き換えたのだろう――といった推理は出来ますが、あくまでも資料に基づかない推理にすぎません。
 もうひとつ再三確認されますのは、日本語としての読みが先に出来て、それにいろんな漢字を当てはめている苗字が多いようだ――という先の推理です。
 最初の〈五百十部〉は、〈五百木部〉の木が十に変形したように思えます。読みは同じですから・・・。

江見川原「えみがわら」
香宗我部「こうそかべ」「こうそがべ」
香曽我部「かそかべ」「かそがべ」「こうそかべ」「こうそがべ」
香棟我部「かそかべ」「こうそかべ」
高志壬生「こしみぶ」
今久留主「いまくるす」
佐々木山「ささきやま」
佐々木原「ささきはら」「ささきばら」
佐々宇津「ささうつ」
佐々貴山「ささきやま」
佐久佐米「さくさめ」
佐佐貴山「さいぐいのやま」「ささきやま」「ささぐいのやま」「ささくさやま」
佐奈宜氏「さなげし」
佐野川谷「さのがわや」

 ここにはさほど珍しい漢字は見えませんが、そのかわり読みが凄いです。
〈佐佐貴山〉と書いて「さいぐいのやま」とは!

差ケ久保「さがくぼ」
最勝海浦「にねめうら」
三八木沢「みやぎざわ」
三刀屋川「みとやがわ」
三十七年「みなとし」
三久留部「みくるべ」
三斗九升「しとずと」「しとない」「ひとつて」「みとずと」
三斗九升五合「しとない」
三方一寸「くつわ」
三方一方「くつとた」「くつとだ」
三方一所「くつわ」「くつわた」「くつわだ」
三方一新「くつう」「くつわ」「くつわだ」
三木松平「みきまつだいら」「みつきまつだいら」
三右衛門「さんえもん」
三佐佐川「みささがわ」

 数字が頭に来る苗字って、じつに素晴らしいのがありますね。
 これまでも面白い数字苗字がたくさんありましたが、今回の〈三斗九升五合〉「しとない」というのも凄いです。六字もあって、それがお酒のくわしい量?になっています。それを「しとない(四斗は無い)」と読ませる!
 四斗買って計ってみたら五合不足していたという先祖の教訓を苗字にしたんでしょうか?

山田大路「やまずち」「やまだおおじ」「やまだおじ」「ようおうじ」「ようおおじ」「ようだおおじ」
山田小路「やまだこうじ」「ようだおじ」
山谷架橋「やまやかわ」
子子子子「すねこし」「ねこじし」
市ノ木山「いちのきやま」
四十九員「しずるつるし」
四十九院「しじふくいん」「しじゅうくいん」「つくしいん」「つるし」「つるしいん」「つるす」
四十九顆「よいなら」
四十九願「よいなら」「よそなら」
四十八朝「よいなら」「よそなら」
四十八預「よいなら」
四十八頭「やそなら」「よいなら」「よそなら」
四十八願「しじゅうはつがん」「よいかた」「よいなら」「よそなが」「よそなら」「よそはら」

 ついに出ました!
 同一漢字を四つ並べた苗字が!
〈子子子子〉と書いて「すねこし」「ねこじし」と読む。子の四つの読み方を並べた苗字なのですね。国語の勉強をしているみたいです。
 じつは同一漢字四つの苗字はまだ他にもあります。楽しみ(?)にしていてください。
 今回は「よいなら」とか「よしなら」とかいった苗字がたくさん出ました。
 とても不思議です。
〈山谷架橋〉と書いて「やまやかわ」と呼ぶのも不思議ですが・・・。

四十万谷「ししまや」「しじまや」
四十四院「しじゅうしいん」「つるし」「つるす」
四五百森「よいおのもり」
四日朔日「わたぬき」
四月一日「しがついちにち」「つぼみ」「わたぬ」「わたぬき」「わため」
四月朔日「つぼね」「つぼみ」「わたぬき」
七七五分「みつずき」「みつつき」「みつつぎ」「みつわた」「みみずき」「わつわた」
七寸五分「くずはた」「くずわた」「くつはた」「くつわた」「くつわだ」「くつわめ」「くろわだ」「しちすんごぶ」「つくはた」「つくわだ」「ともかく」「ともかわ」「はしかた」「はしわた」「みつつき」

 今回も興味深い苗字がたくさんあります。
〈四日朔日〉というのは、たぶん〈四月朔日〉が変形したんでしょうね。「わたぬき」という同じ読みがありますし・・・。
〈七七五分〉も〈七寸五分〉の変形でしょう。
〈四月一日〉を「つぼみ」と読み、〈七寸五分〉を「ともかく」と読むのも素晴らしいです。

七五三木「しめき」「しめぎ」
七五三掛「しめか」「しめかけ」
七五三野「しめの」「ないみの」「なみいの」
七五三縄「しめさわ」「しめなわ」
七五三懸「しめかけ」
釈迦弁尼仏「みくるべ」
釈迦尼仏「にくるべ」「にくろべ」「にくろめ」
釈迦牟仏「にくるべ」「にくろべ」「にくろめ」
釈迦牟尼仏「にぐらめ」「にくるべ」「にくろうべ」「にくろべ」「にくろめ」「みくるべ」
釈迦如来「にくるべ」「にくろめ」「にぐろめ」
狩留家野「かるかの」
寿々喜多「すすきた」

 今回は神道的な苗字と仏教的な苗字が並びました。
 注連縄(しめなわ)に七五三を当てるのは、注連縄の作り方の七筋、五筋、三筋によるそうです。おめでたい苗字です。
 つぎのお釈迦様系統の苗字の読みの「にくるべ」は、釈迦牟尼仏の別称で、如来部の来を訓読みして出来たらしい。
 それにしても、お釈迦様を苗字にしてしまったというのは凄いです。
 最後はじつに縁起の良い苗字ですね。

十一月二十九日「つめずめ」
十七夜月「かなう」「かのう」「じゅうしちや」
十二月一日「しわすた」「しわすだ」
十二月田「じゅうにがつだ」
十二月朔日「しわすだ」「ひずめ」
十二月晦日「ひずめ」「ひなし」
十二月晩日「ひずめ」
十二町目「じゅうにちょうめ」
十二神島「おちふるい」「おちぶるい」「おつふるい」「おつぶるい」「おつぶるし」「おつるい」「じゅうにしんしま」
十八女村「さかりむら」
十八成浜「くくなるはま」
十十六木「とどろき」

 数字苗字ってじつに面白いですね。
 距離とか容積とか長さとか、いろんな数字がありますが、月日というのも面白い。
 度肝をぬかれるのは〈十一月二十九日〉さんです。これを「つめずめ」と読むらしい。
 どこから来たのでしょうか。
〈十二月一日〉を「しわすだ(師走だ)」と読むのも素晴らしいですけど・・・。
 月日以外では〈十八女村〉の〈十八女〉を「さかり」と読むのも素晴らしい!

祝井沢口「いわいさわぐち」
春夏秋冬「ひととき」「ひととせ」
駿河小路「するがこうじ」
小右衛門「こえもん」
小四郎丸「こしろうまる」
小田満州「おだます」
小名木川「こなきがわ」
小志戸前「こしどまえ」
小茄子川「こなすがわ」
小長谷部「おはせべ」
小屋垣内「こやがいと」
小海老沢「こえびざわ」
小栗栖野「おぐりすの」
小根久保「おねくぼ」
小院瀬見「こいんぜみ」
小野ケ原「おのがはら」
小椎八重「こじいやえ」
小間物谷「こまものや」

 今回の白眉は〈春夏秋冬〉さんですね。これを「ひととせ」と読むのはじつに優雅。
 それ以外は土地の名前から来たものが多いように思います。

松七五三「まつしめ」
敞亀宮谷「べつらあや」「べつらや」
上中別府「かみなかべっぷ」
上之郷屋「かみのごうや」
上今別府「かみいまべっぷ」
上加世田「うえかせだ」「かみかせだ」
上打田内「かみうたない」「かみうちたうち」「かみうちだうち」
上宇津志「かみうつし」
上西川原「かみにしかわら」「かみにしがわら」
上西河原「かみにしがわら」
上抜井見「かみぬきいみ」
上赤生所「かみあかせしょ」
上阿久津「かみあくつ」
上高垣内「うえたかがいと」
上野入州「かみのいりま」
上野毛戸「うえのけど」

 これも土地の名前から来たらしい苗字が多いです。昔の国名を連想させる苗字も多くあります。
 音読みはほとんどないので、大和言葉に漢字を当てはめたものと思います。
 それと、これまでの表で気づきますのは、変化です。
 読みがいつのまにか変化してそれに漢字を合わせるために漢字も変化するとか、反対に漢字の書き間違えから苗字が変わってしまったらしいものとか、いろいろな変化が推理されます。

 日本の苗字の数の多さは知っていますが、漢字四字以上の苗字は流石にそうは無いだろうと思い、それを書き出しておこうとしたのですが、けっこうありますので、驚いています。
 とにかく日本の苗字の数は驚異です。
 ここまでで四字以上苗字を拾い出す作業はほぼ半分です。
 乗りかかった船なので、最後までやることにします。

織田大原「おだおおはら」「おたおおはら」
信濃小路「しなのこうじ」「しなのしょうじ」
津々木谷「つつきや」
津々木屋「つつきや」
津矢佐宇「つやそう」
新二日市「しんふつかいち」
新左衛門「しんざえもん」
新谷垣内「しんたにかきうち」「しんやがいと」
須ケ牟田「すがむた」
須受武良「すすむら」「すずむら」
井戸之瀬「いてのせ」
井手之瀬「いてのせ」
井手野下「いでのした」
井出之上「いでのうえ」

 大部分は地名から来ていると思いますが、〈新左衛門〉という苗字は先祖の名前から来たんでしょうか?
 名前が新左衛門という人が苗字が〈新左衛門〉という家に養子に行くと、凄い氏名になりますね!

西大立目「にしおおたちめ」「にしおおだちめ」「にしおおたつめ」「にしおおだつめ」「にしおおたてめ」「にしおおだてめ」「にしおおてめ」
西大須賀「にしおおすが」
西加治工「にしかじく」
西杢日野「にしもくひの」
西杢比野「にしむくひの」
蜻蚓狭間「こうろぎはざま」
千代反田「ちよたんだ」
千代西尾「ちよに」「ちよにしお」
千安太郎「ちやたろう」
千佐川辺「ちさかわべ」
浅見河原「あさみがわら」
茜ケ久保「あかねがくぼ」
祖母仁田「そぼにた」
曽々保利「そそほり」

 ここにも地名から来たらしい苗字が多くあります。
 日本の苗字はこまかく数えればほぼ30万種とされますが、日本の地名はそれより遙かに多いそうです。
 地名のいわれにもいろいろあって、それは風土記の時代から解説されていますが、地名の数やいわれを元にして諸外国との文化の比較を述べた本は無いでしょうか。

多々良岐「たたらき」
多久木田「かみくきだ」
多久佐利「たくさり」
替門垣内「かいもんかきうち」
大文字屋「だいもんじや」
大豆生田「おいまにゅうだ」「おおつきだ」「おおましょうだ」「おおまにいだ」「おおまにうた」「おおまにうだ」「おおまにだ」「おおまにゅうだ」「おおまみうた」「おおまみうだ」「おおまみゅうだ」「おおまめうた」「おおまめおだ」「おおむた」「おおむだ」「おおもうだ」「ほめまいきた」「ましえだ」「ましょうだ」「まにうた」「まにゅうだ」「まみやわだまみゅうだ」「まめおだ」「まめだ」「まめぶた」
大舎人部「おおとりべ」
大其河内「おおこうち」
大炊御門「おおいのみかど」「おおいみかど」「おおえのみかど」

 今回の白眉は〈大豆生田〉さんですね。なんと、25種類もの読みがあります。つまり同じ漢字で記す25種類の苗字があるという事です。
 その中には「ましえだ」とか「まめだ」とか、普通では読めないような苗字もあります。
そして「だいずいくた」のような普通の読みはありません。
 その他、皇室に仕えていた先祖の職業から来たらしい苗字もかなりあります。

鍛冶屋敷「かじやしき」
鍛冶ケ沢「かじがさわ」
鍛冶谷口「かじやぐち」
鍛治屋敷「かじやしき」
竹之木進「たけのきしん」
竹田川辺「たけだのかわべ」
茶谷垣内「ちゃやがいと」
茶屋垣内「ちゃやがいと」
中津川村「なかつがわむら」
中恵比須「なかえびす」
猪ノ子石「いのこいし」
長宗我部「ちょうそ」「しょうそかべ」
長者久保「ちょうじゃくぼ」
長南志見「ちょうなじみ」
長曽我部「ちょうそ」「ちょうそかべ」「ちょうそがべ」「ちょうとがべ」「ながそがべ」
鳥居大路「とりいおおじ」
鳥居小路「とりいこうじ」

 ここは比較的分かりやすい苗字が並んでいます。
 土地の名前から来たらしい、とか、専門家集団から来たらしい、とか・・・。
〈鍛治屋敷〉は〈鍛冶屋敷〉さんの変形でしょうね。
 昔は苗字の変形はたくさんあったらしい。比較的近い江戸時代でも、ある代の人が漢字を一字省略してしまったなど、私の親戚にもあります。
〈鳥居大路〉さんや〈鳥居小路〉さんって、じつに分かりやすい苗字ですね。

都野国屋「つの」
東上別府「とうじょうべっぷ」
東久部良「ありくぶら」
東杢日野「ひがしもくひの」
東御建田「ひがしみたてだ」
東嘉弥真「ひがしかやま」
唐津土井「からつどい」
桐ケ久保「きりがくぼ」
道祖瀬戸「さやんせと」
奈久留美「なくるみ」
奈良見館「ならみだて」
南波佐間「なばさま」「なんばざま」

 今回は発見がありました。
 前にmickさんから、半角読みした場合の長い苗字として
>東四柳 ひか゛しよつやなき゛
 ――というのを紹介していただきました。
 濁音を2字として読むと10字になります。
 それ以後「読みの長さ」に気をつけて見ていたのですが、たしかに、8字は時々あるし、9字もまれにあるが、10字は見つからないできました。
 ところが今回、濁音と半濁音を2字として読むと、11字というのに出くわしました。
〈東上別府〉さんです。
 とくに変わった苗字ではないのですが・・・。
 はたしてこれが最長かどうか、まだありそうな気もします。

二○加屋「にわかや」
二ノ井所「にのいしょ」
二ノ美屋「にのみや」
二十九里「ひずめ」
二十三屋「とうぐしゃ」「とうぐしや」
二十五里「ずいぴち」「ついひじ」「ついひち」「ついひな」「つゆひじ」「つゆひち」
二井屋田「にいやだ」
二文字屋「にもんじや」
二斗蒔田「にとうまきだ」
二所ケ関「にしょがせき」
二所ノ関「にしょのせき」

 数字が先頭につく苗字は、これまでも何度か出てきまして、その都度興味津々でしたが、今回もクビをひねる苗字がたくさんあります。
〈二○加屋〉は〈俄屋〉から来たのでしょうか。
〈二ノ美屋〉は〈二宮〉から?
 ・・・こういう推理は出来ますが、〈二十五里〉をなぜ「ずいぴち」と言うのか、など、想像すら出来ない読みがたくさんあります。
〈二斗蒔田〉は、種を二斗も蒔くほど大きな田なんでしょうか?

◆◆◆ 通平寺 投稿者:mick 投稿日:2008年 3月19日(水)23時18分10秒 ◆◆◆オロモルフ様
東四柳が10文字で最も長いというのは、子供の頃に読んだ学習雑誌の付録にあったものです。その後、共通一次受験の際に、願書の名前フリガナ欄(濁点半濁点1文字で記載)が、10文字までだったこともあり、私の個人的な経験からは、それなりに信憑性があると思っておりました。今回、オロモルフ様に東上別府の11文字があることを教えていただき、より正しい情報に記憶を上書きすることができました。不正確な情報を書き込んだことをお詫びするとともに、改めて感謝いたします。

二十五里の読み方は、「ずいぴち」も含めて「ついひじ」「ついひち」の転訛のように思いましたので、少し調べてみたところ、千葉市若葉区東寺山町字廿五里という地名があり、「つうへいじ」と読むそうです。その昔、通平寺氏が砦を築いたことにちなむ地名で、二十五里は、鎌倉から二十五里離れた場所にあるためだそうです。
この地名を、関東訛りで読むと、「ついひじ」になるのでしょうか?

◆◆◆ Re:通平寺 投稿者:オロモルフ 投稿日:2008年 3月20日(木)12時13分12秒 ◆◆◆
 mickさん、いつも貴重な資料をありがとうございます。
 いやどうも、驚きました。
 そうでしたか!
 鎌倉から二十五里のところに通平寺という氏族が住んでいたので、〈二十五里〉を〈通平寺〉と同じ発音で呼ぶようになり、それが昔の訛りで、「ずいぴち」「ついひじ」「ついひち」「ついひな」「つゆひじ」「つゆひち」のようになったのですね。
 日本の地名や人名は、その一つ一つが歴史の一こまですね!
 しかもそれが30万もある!
(地名は100万以上?)

日々羅木「ひびらぎ」
日ケ久保「ひがくぼ」
日中寿本「ひじもと」
日比野本「ひびのもと」
日那田瀬「ひなたせ」
日根野谷「ひねのや」
日陰茂井「ひかげもい」
日蔭茂井「ひかげもい」
入南風野「いりはいの」
入度田本「いりげたもと」
禰宜田谷「ねぎたや」
禰宣田谷「ねぎたや」

 ここにはさほど不思議な苗字はありません。むろん珍しいものですが・・・。
 なんだかとても風雅な感じがします。

波々伯部「おうかべ」「ははかべ」「はばかべ」「はわかえ」「ほうかべ」「ほほかべ」
波々佰部「おうかべ」
波々泊部「ほうかべ」
波々賀利「ははかり」
波多門部「はだかどべ」
波波々佰部「ほうかべ」
波波伯部「おうかべ」「はばかべ」「はわかえ」「はわかべ」「ほほかべ」
波波泊部「はわかべ」
波波賀利「はばかり」

 おもしろい苗字が並びました。
 何かは不明ですが大元の苗字から次第に変化していった様子がうかがえます。

背戸土井「せいどい」
背戸川内「せとこうち」
梅ノ木沢「うめのきさわ」「うめのきざわ」
伯々波部「ほおかべ」
八九十三「やくとみ」
八十八四「はぎはし」「やぎやし」
八十八間「はとやま」「やそはま」「やそやま」「やとやま」
八十八旗「とどろき」
八十八騎「とどろき」
八千古島「やちこじま」
八五郎丸「やごろうまる」
八文字屋「はちもんじや」
八日市谷「ようかいちや」
八日市屋「ようかいちや」
八月一日「はずか」「はっさく」「ほずのみや」「ほすみ」「ほずみ」「ほそみ」「ほそみち」「ほつみ」「もずみ」「やふみ」「やぶみ」「わたぬき」

 数字が頭につく苗字って、じつに面白い判じ物が多いのですが、この八もそうです。
〈八十八騎〉を「とどろき」と読むような、分かりやすい判じ物もありますが、「いわれがありそうなのだがわからない」という苗字もたくさんあります。
 八月は「はつき」ですから、〈八月一日〉さんの読みの前半は推理できるのですが、「やぶみ」とか「わたぬき」とかになると分かりません。
〈八十八間〉さんは〈鳩山〉の書換でしょうか?

八月一日宮「ほずのみや」「ほすみ」「ほずみや」
八月十五日「あきなか」「なかあき」「なかつき」
八月三十一日「ほずのみや」
八月朔日「はちがつついたち」「はっさく」「ほうずみ」「ほすみ」「ほずみ」「ほそみ」「ほそみち」「ほつみ」「やおみ」「やふみ」「やぶみ」
八月晦日「はつみ」「ほずみ」
八木ケ谷「やきがや」「やぎがや」
八木八四「やぎはし」「やぎやし」
八郎明川「くろめがわ」
八野木沢「やのきざわ」
八幡風呂「やはたぶろ」「やわたぶろ」

 八月のつく苗字って、一日から月末まで、いろいろとあるんですね。しかし一日でも三十一日でも同じ読みをするところが興味深いです。
 八幡神社のそばにあったお風呂屋さんが先祖のような苗字もあります。
〈八郎明川〉さんを「くろめがわ」と読むのも面白いです。〈九郎明川〉さんなら分かるのですが・・・!

◆◆◆ RE:日本と韓国の苗字 投稿者:解法者 投稿日:2008年 3月30日(日)11時44分51秒 ◆◆◆
 拝見しているだけで楽しくなりますね。
八月一日宮、八月晦日、八木八四、八郎明川 こんなの誰が考え付いたのでしょうね。
 発想の貧弱な私にとって思いもつかないのですが。
 読むだけでも大変で、学校の先生や相手方もさぞかし困ったでしょうね。
 名前の話ですが、友人で、娘はどうせ嫁に行くから、どの姓にも合うように「文子」、「純子」、「友子」とつけた者がいましたが、姓だったら選択できませんものね。
 家庭裁判所の審判例(新潟家庭裁判所)で「猿股」という姓が変なものを想像させるということで、改姓が認められたものがあります。

坂井野沢「さかいのさわ」「さかいのさわ」
幡多幡美「はたばみ」
比良左古「ひらさこ」
比良佐古「ひらさこ」
美土路美「みとろみ」
美賀濃部「みかのべ」
百千万億「つもい」「つもる」
不二の屋「ふじのや」
布也布枝「ふえふき」「ふやふき」
富士ケ根「ふじがね」

 ここにも凄い苗字があります!
〈百千万億〉さん! これを「つもい」と読む?

武士垣内「ぶしがいと」
武士垣外「ぶしがいと」
文殊四郎「もんじゅしろ」
文?魚越「あごこえ」
別当屋敷「べっとうやしき」
万万千野「たけまた」
万年青平「おもとのひら」
万年青年「おもとのひら」
万里小路「までのこうじ」「まりのこうじ」
満里小路「まてのこうじ」

 優雅な苗字が並びました。
〈垣内〉も〈垣外〉も同じ読み方!
〈万万千野〉さんが「たけまた」とは、どこから来た読みなのでしょうか。
〈万年青年〉という苗字もあるんですね。めでたい。あやかりたい!
 これは、「平→年」という変形なんでしょうね、たぶん。

牟田上西「むたかみにし」「むたがみにし」
牟田上東「むたかみひがし」「むたがみひがし」
牟田神西「むたがみにし」
牟田神東「むたがみひがし」
熊埜御堂「くまのみどう」
熊野御堂「くまのみど」「くまのみどう」「ゆやみどう」

 たしかに、上と神は同源の雰囲気がありますね・・・。

六月一日「うりはり」「うりわり」「くさか」「さいぐさ」「ほずのみや」「むりはり」「むりわり」「ろくがつついたち」
六月一日宮「ほずみや」
和久鬼毛「わくとも」

 数字が頭に来る苗字って、じつに興味深いです。
 その土地土地の歴史を感じさせます。
〈六月一日〉さんが、なぜ上のような読みになるのか、まったく分かりませんが、それぞれ面白い理由があるのでしょう。

 さて、四字以上の苗字の探索は、これで終了です。
 漢字でもっとも長い苗字は、たぶん、〈十一月二十九日〉さんではなかったかと思います。


■■■ 第四章 日本における一字苗字 ■■■

 日本の四字苗字についての一覧が終わりましたので、次に一字苗字について調べてみます。
 前に記しましたが、韓国の苗字のほとんどは漢字で書けば一字です。
 約250種類とされています。
 一方日本の苗字のほとんどは二字で、一字は割合から言えばごくわずかですが、それでも2000以上あります。
 それは、苗字の全体数が猛烈に多いからです。

 これからしばらく、日本の一字苗字を一覧にしてみます。
 漢字のあとの数字は、読みの種類です。
 読みが一種類の苗字が多いのですが、中には10種類以上のものもあります。
 出典は四字苗字と同じで、『苗字8万よみかた辞典』です。

 残念ながら、インターネットに出すと文字化けしてしまう漢字や、私のパソコンでは出てこない漢字がたくさんあります。
 そこでおおまかな話ですが、次のようにいたします。

(1)一太郎でうまく出せない漢字を●にする。
(2)それをまずブログにUPする。
(3)すると部分的な文字化けが生じるので、その文字化け部分の最初の漢字を▼にする。
(4)そうしてからブログに再UPする。
(5)すると、文字化けは無くなるが、中に潤んだ漢字がいくつか見つかる。
(6)掲示板にUPする前に、潤んだ漢字を▲にする。
(7)そして掲示板にUPする。
(8)それでもダメなら諦める。

阿5/●1/鴉1/愛1/悪2/●1/圷1/
安6/晏1/?1/庵5/菴1/●1/暗4/
鞍1/伊2/夷3/衣2/位2/囲3/怡1/
易4/威1/為1/●2/尉1/惟1/●1/
椅1/葦1/?1/意1/違1/維1/飴1/

●1/鮪1/懿1/鵤2/育1/c2/郁1/
澳2/一7/聿1/壱1/弌1/乢1/溢1/
鎰1/圦5/尹8/印1/因2/員2/殷1/
院1/陰1/?1/飲1/蔭1/隠2/于1/
右2/宇3/羽6/芋1/禹2/烏2/運2/

雲1/暈3/永2/泳2/英6/栄6/盈1/
瑛1/詠3/影1/衛3/嬰1/役2/益2/
駅1/悦1/越5/鉞1/円6/延4/炎1/
苑1/垣1/袁1/淵2/淹1/渕1/堰4/
焔1/園1/塩1/猿2/遠1/鉛1/鳶2/

縁1/燕3/薗1/閻1/鴛2/艶1/於3/
王5/央3/応1/汪1/往1/押2/旺1/
欧1/殴1/泓4/桜1/秧1/翁2/黄5/
奥4/?1/横1/鴨1/甕4/鶯2/屋3/
億1/憶1/●2/乙3/音3/恩1/温6/

下2/●1/戈2/火1/加4/可1/禾1/
●1/仮1/瓜1/何5/●1/花3/価2/
佳2/果1/河3/柯1/●1/哥2/●1/
夏1/家4/華2/掛1/菓2/谺2/葭3/
過2/嘉2/榎2/歌1/?1/樺4/稼1/

蝦1/糘1/鍋1/霞1/瓦1/画1/賀7/
雅2/鶚1/介1/会2/回4/灰1/改1/
芥2/廻2/恢1/海3/界1/皆1/桧1/
堺1/階4/開3/塊1/楷1/解2/魁1/
槐7/磑1/壊1/懐1/▲1/薤1/諧1/

檜3/▲4/蟹1/蠏1/刈1/外4/艾1/
崖2/崕1/涯1/街5/蓋2/鎧2/角10
格1/郭2/覚2/塙5/廓1/●1/赫3/
閣1/霍3/鶴1/●1/学2/岳5/萼1/
楽2/蕚1/額3/錺1/樫2/鎹1/●1/

綛1/恰1/葛13/滑2/蘰1/椛4/干1/
甘1/汗4/缶3/坎1/完2/官1/冠6/
咸2/巻1/柑3/栞1/莟1/●1/乾3/
勘1/患2/菅4/貫4/堪1/寒1/敢1/
湲1/間6/閑3/幹3/寛2/漢3/管2/

関2/舘6/?1/館5/環2/▲1/韓6/
簡3/観2/鰥1/鑑3/驩1/丸3/含1/
岸2/岩1/雁3/●1/鳫1/翫2/鴈4/
顔1/巌1/巖1/几1/伎2/机2/岐7/
忌1/奇2/季3/祈1/枳2/紀4/姫1/

 漢字一字とはいえ、〈角〉さんは10種類もの読み方があり、〈葛〉さんは13種類もの読み方があります。
 一番下の●は、山冠に品ですが、これは一太郎画面には綺麗に出るのに、掲示板では完全に消えてしまい、ブログではそれ以下の全漢字が文字化けするので、やむなく●にしました。
 ●漢字の苗字の人は困るでしょうね。

記1/起1/鬼3/基2/寄4/崎2/●2/
亀2/喜5/嵜2/期2/葵2/逵4/毀1/
暉1/旗1/榿2/箕2/綺5/嬉1/輝3/
槻2/●3/●1/窺1/諱1/▼1/徽2/
磯1/●1/鰭3/義2/儀1/礒1/魏3/

蟻2/曦2/●1/菊1/麹1/吉2/橘3/
却1/客3/久3/弓3/丘1/休1/朽1/
求2/糺2/邱3/糾2/宮1/救1/裘1/
厩1/鳩1/繆1/鮴1/▲1/牛2/巨1/
苣2/許3/渠2/筥1/裾1/鉅6/欅2/

魚4/漁8/叶5/叫3/亨3/杏5/享3/
京6/供1/姜8/峡4/拱3/狭2/脇1/
強1/梟1/郷3/喬1/卿1/境1/橋1/
興2/薑1/▲1/鏡2/競4/響1/饗1/
驚1/▲1/堯1/暁1/旭1/曲5/局1/

棘4/玉2/巾2/芹1/近2/金6/衾1/
●1/菫1/勤4/琴2/筋1/▲1/箟2/
槿1/錦3/崟1/銀3/九5/区2/栩2/
矩2/駒1/瞿1/具2/虞3/空2/隅1/
圷2/屈1/堀3/▲1/掘1/窟2/椚2/

粂1/君1/薫4/郡2/群2/刑4/圭1/
形1/系2/荊2/契2/●1/計2/奚1/
恵5/桂2/笄2/啓1/渓2/畦3/経3/
蛍2/敬1/軽1/●3/継3/禊1/閨1/
慶3/憩1/?1/薊1/髻2/谿1/繋2/

馨1/迎3/倪1/鯨1/?2/郤3/?1/
欠4/穴1/頁1/結2/蕨2/月2/●1/
件1/肩1/?1/建2/県2/研3/兼2/
剣2/軒1/健2/堅2/硯2/萱1/筧4/
絹1/蜷1/権2/劔1/憲1/謙1/鍵1/

懸1/鰹1/元3/玄2/言2/阮2/弦3/
彦2/原2/?5/現1/●1/源2/厳1/
己2/戸2/古4/呼2/固1/枦2/狐1/
虎3/孤1/胡5/炬1/袴1/扈1/壺2/
湖4/●1/賈2/鼓3/滬1/皷2/?1/

顧3/五2/互2/午2/伍1/呉8/吾2/
▼1/後5/梧1/碁1/語2/護1/口2/
工4/公2/勾3/孔3/巧1/広3/弘4/
甲7/亙1/向4/好1/光3/江4/考1/
行3/更1/宏2/杠4/孝1/幸6/岡1/

 単なる漢字の羅列のようですが、これらが全部日本人の一字苗字だと思いますと、その豊饒さに眼がくらみます。
 きわめて限定された韓国や中国の一字苗字とは大変な違いです。
 しかも、掲示板に文字化けせずに掲示できるのは、全体のほぼ9割です。
 今回の場合も、140字中12字が掲示不可能でした。
 要するにそれほどまでに日本の苗字は豊かなのですね。

岬1/▲2/▲2/厚2/▲3/▲1/巷3/
恒1/洪2/洸1/皇5/紅2/▲1/荒4/
虹1/香2/候1/晃1/▲1/桁2/浩1/
羔1/耕3/耿2/▲1/貢1/高4/鳳1/
崗2/康4/皐3/▲1/袷2/▲3/港2/

猴1/▼1/蛤1/鈎3/▲1/幌1/溝1/
▲1/蒿1/鉱2/鉤4/▲1/●1/▲1/
構2/▲1/綱3/▲1/▲1/篁1/篝2/
▲3/縞1/鋼1/糠1/藁1/鮫1/鴻7/
▲3/哈1/剛1/壕1/濠1/轟3/糀1/

凩1/克1/告2/谷10/国2/釛2/●1/
▲1/黒2/●1/▲2/込1/▼2/今3/
艮1/坤2/昆3/根2/混1/紺1/▲3/
墾2/懇1/●1/乍1/左2/佐2/沙3/
砂4/蓑1/才1/妻2/采2/斉5/柴3/

宰1/晒1/砦3/▲1/▲2/崔6/彩1/
採1/済2/猜1/祭2/斎8/細3/菜1/
犀1/裁3/▲1/●1/蔡1/際1/▲1/
鏨1/財2/榊4/●1/作1/柵1/柞2/
朔2/窄1/策1/酢1/簀4/●1/笹3/

扎3/札7/颯2/薩2/雑1/三1/山2/
杉1/閂1/桟2/産3/傘2/蒜1/算1/
酸1/▲3/繖2/残1/子4/巳1/支1/
氏1/市2/仕1/司1/史4/只1/此1/
矢2/糸1/至1/志1/私4/芝3/呰1/

枝4/姿2/思4/指3/施4/柿2/茨2/
師3/紙1/翅1/梓1/梔1/畤1/紫2/
▲1/粢3/覗1/觜1/嗣1/塒1/詩2/
雌3/飼2/幟1/髭2/篩1/鮨1/贄2/
鯔1/▲1/示2/次3/寺1/耳2/自3/

似1/児2/侍1/治2/峙2/時1/滋1/
慈2/蒔1/爾3/▲2/式1/竺2/室2/
蛭2/漆2/膝1/質1/櫛1/実4/▲1/
且4/社4/車2/舎1/柘3/紗1/▲1/
鉈1/謝1/蛇3/尺3/釈2/綽1/錫1/

若2/▲2/▲1/手3/雀3/主4/守3/
朱3/▲1/狩1/首5/株1/酒2/珠1/
種1/●1/●1/鬚1/寿6/▲1/竪2/
樹5/●1/舟1/秀3/周4/宗3/岫1/
拾2/柊4/秋2/修1/袖1/週1/▲1/

湫4/萩1/集2/楢2/楸1/蒐1/甃2/
▲1/穐1/鍬1/●1/襲2/鷲3/十11/
戎4/住2/重4/渋1/祝7/俶1/宿2/
淑1/粛1/縮1/出4/●1/戌2/俊1/
春2/儁1/鶉1/▲1/巡1/盾1/荀1/

純2/隼2/凖1/筍1/閏2/順1/楯2/
準2/詢1/潤3/処1/初2/所1/書1/
渚2/黍1/諸2/曙1/助1/徐3/除3/
舒1/鋤1/小3/升1/匠1/庄2/肖1/
床1/尚3/招1/昇2/昌4/松1/沼1/

邵1/咲2/昭1/宵3/将2/▼2/消1/
称1/秤1/●1/唱2/梢1/渉1/章3/
紹1/逍1/象3/晶2/勝9/椒3/焦1/
硝1/粧2/翔1/楫2/照2/彰1/摺1/
蒋2/樟5/璋1/箱1/霄3/樵1/蕭2/

篠2/鍾1/鐘1/鱶1/上4/丈2/仍1/
条3/乗2/城13/常2/場1/畳2/蒸1/
縄1/壌1/錠2/瀞1/襄1/擾1/聶1/
饒3/色2/食2/埴2/植1/殖1/触1/
飾1/▲1/餝2/織5/褥1/申2/伸1/

岑1/臣5/辛3/辰1/信4/津4/神10
真6/唇1/振1/晋2/秦9/針2/晨1/
深2/進2/森1/慎2/新9/榛1/審1/
震2/▼1/薪2/親2/人1/刃1/刄1/
壬1/仁2/尽2/▲1/侭2/陣1/尋1/

靱4/稔2/儘3/厨3/廚3/水2/吹2/
垂2/帥1/遂1/翠3/穂1/隧1/燧1/
崇1/嵩8/数1/鄒2/雛1/▲1/椙3/
寸1/世1/井5/丼3/正6/生7/成3/
西4/制1/姓1/青1/政3/星1/栖1/

情1/●1/清5/盛6/晴2/筬1/誠1/
聟1/静3/嘶1/請1/●3/税5/夕1/
石4/赤2/●1/昔1/席1/●1/迹1/
戚2/跡1/碩1/潟1/磧1/積2/切1/
折1/紲2/雪5/節1/緤2/薛3/舌2/

千3/川1/仙2/占1/▲1/亘4/先1/
尖2/舛1/阡1/串2/苫2/宣3/染1/
浅1/洗2/泉4/扇1/船2/釧2/揃1/
湶4/筌1/筅1/▲1/▼1/銭2/撰4/
箭1/選3/薦1/●1/簓1/鮮1/瞻1/

蝉1/全2/●1/前5/善2/禅1/髯1/
膳5/繕2/疋1/岨6/祖1/素2/曽2/
粗2/麁1/礎1/蘇7/蘓3/爪1/匝1/
争1/早2/宋2/▼2/走1/奏3/相1/
草5/荘3/倉1/桑1/曹1/淙1/窓1/

笙1/惣1/棗3/湊3/葱1/僧1/蒼1/
蛸1/箒2/粽1/総1/▲1/操1/薮3/
甑1/簇1/霜1/叢2/鎗1/藪3/竈1/
籔3/鰺1/造3/増1/蔵2/即2/束1/
足4/則3/息2/側5/測1/属6/粟2/

続4/杣1/存1/村1/邨1/●1/拵3/
孫2/栫7/巽1/噂1/墫2/樽1/▼2/
▲3/鱒3/太5/多6/佗1/侘1/舵1/
詑1/詫3/朶3/娜1/梛1/雫5/対2/
岱3/苔1/帯2/泰4/堆2/袋2/▼2/

黛3/戴2/大9/代2/台3/●1/宅5/
択1/沢2/卓2/拓5/託5/琢1/▲1/
濯2/鐸1/襷1/達6/●1/丹3/旦4/
▲1/坦1/担1/炭1/胆1/耽1/淡4/
▲1/湛4/▲1/端6/禅2/澹1/▲1/

 日本の一字苗字は、漢字の字体での区別をしなくても2000以上ありますので、こうやって書くだけでもけっこう疲れますが、同時に、「驚くほど豊富だ」という印象を、書くたびに覚えます。
(このリストでは、蔵と藏、沢と澤、続と續などの区別はしていないようですから、それらを厳密に区別すれば、はるかに増えるでしょう)
 ときどき、よく眼にする一字苗字に当たりますが、大部分は、あまり聴かない苗字です。
 今日もたまたまテレビで、じつに不思議な苗字(本名)の人が出ていましたが、いるんですね、そういう人!

鍛6/譚1/団1/男1/段1/弾1/談1/
壇1/檀1/灘3/池2/▲1/知1/胝5/
値2/智1/遅1/置3/雉1/馳1/▲1/
竹4/筑1/築2/秩2/茶1/着1/中4/
仲3/冲1/沖1/忠4/柱1/紬1/鈕1/

鋳1/疇3/佇2/莇3/猪5/著1/楮4/
樗4/箸1/丁12/庁4/兆1/町1/帖2/
長3/冢1/晁1/張2/彫1/窕1/釣2/
頂2/鳥1/朝2/塚1/腸2/楪1/徴1/
肇1/蔦2/趙3/澄1/潮2/蝶1/調7/

諜1/聴1/鯛1/直8/沈3/珍2/砧1/
陳3/椿1/椹4/碪1/鎮3/追3/椎1/
槌1/通1/栂3/辻1/▼2/汀3/呈1/
●1/定3/底3/邸1/帝1/訂1/貞2/
●1/庭1/釘1/梯5/堤4/提3/程3/

碇2/禎2/鼎2/碵1/綴3/鄭5/蹄1/
鵜1/蟶4/泥6/▲2/的10/荻1/笛1/
擲1/垤1/姪1/畷2/鉄3/銕1/轍1/
天2/店1/添2/淀1/転1/槇1/纏1/
田3/佃2/殿2/電1/鮎1/斗1/杜6/

 ブログが復活したので、だいぶ楽になりました。
 それにしても、ブログでは表示されて掲示板では文字化けの原因になる漢字が無数にあるとは、どういうわけなんでしょうか。
 前にも、「神道は祭天の古俗」を掲示板に出したとき、文字化けだらけになりましたが、本サイトの保存頁に出したら、文字化けしませんでした。
 表示されない漢字はありますが、その部分には「?」が出ますので、措置は楽です。
 インターネットって、不便な事がたくさんあります。

都4/渡2/登2/塗1/土2/奴1/度2/
刀3/●1/冬1/当6/▲1/東5/沓2/
垰4/迯1/党1/島2/唐3/桐1/桃3/
涛1/透2/釖2/兜1/桶1/陶4/釼2/
塔2/棟3/棹1/▲1/湯3/等2/答1/

筒1/統1/董2/塘3/●1/嶋1/嶌1/
樋5/稲3/▼1/嶝3/滕1/▼4/▲3/
橙3/頭3/▼2/磴5/櫂1/藤2/▲4/
鶫1/騰2/竇2/鐙1/籐1/鐺1/仂1/
同1/洞5/堂2/童1/道2/働1/僮1/

銅2/撓1/瞳1/峠4/禿7/得1/悳2/
▼1/徳1/篤4/栃1/突2/鞆1/屯1/
敦1/▲1/曇2/那1/内3/凪2/南5/
楠3/難1/二2/尼1/鳰2/匂1/宍3/
日1/入3/任1/忍6/禰1/涅1/棯1/

鯰1/衲1/能3/納7/巴2/杷1/波1/
陂1/派2/笆1/袙1/琶1/碆1/播2/
馬7/蟇1/坏1/拝2/杯1/背1/盃2/
配1/稗1/▼2/裴2/▼1/輩1/▲1/
皿1/貝2/倍2/唄3/梅2/媒1/買4/

楳2/煤2/▲2/▲1/白7/伯4/泊3/
狛1/迫6/柏5/陌1/栢1/粕1/博2/
璞1/薄8/麦2/漠1/硲6/籏2/畑4/
畠2/八1/鉢1/叭1/▲1/発5/秡2/
髪1/筏1/噺1/▲1/▲1/●3/反1/

半3/帆3/伴4/判2/坂4/阪2/釆1/
板2/范2/班1/畔5/飯2/幡4/潘4/
範1/繁2/藩2/攀2/挽1/晩1/番3/
盤3/磐2/蕃2/縵2/鑁1/鰻1/楾3/
比2/庇1/彼1/肥5/飛2/斐2/榧2/

碑2/緋1/鄙1/糒1/臂1/轡1/尾2/
弥2/弭2/美1/梶1/備2/▲2/●1/
鼻1/匹1/筆2/百5/皀3/驫1/鋲1/
氷2/表4/俵2/豹1/評4/馮1/標9
瓢4/苗3/描1/錨1/▲3/品1/浜2/

賓1/▼1/瓶5/閔1/不1/夫3/付1/
布1/巫3/府1/斧1/附1/阜1/浮1/
釜2/冨3/符1/傅2/富3/普1/椨3/
榑1/敷1/鮒1/武2/部1/舞1/蕪3/
風1/▲1/楓3/伏2/服4/副2/匐3/

幅2/腹1/福1/箙4/蔔1/複1/蝮4/
払2/仏1/物2/梺1/汾1/粉4/梵2/
▼1/文9/聞1/平4/兵3/並1/坪1/
岼1/泙2/●1/柄3/●2/屏2/萍3/
箆2/幣5/餅1/篦2/米3/碧2/壁1/

薛5/●1/別2/卞1/片2/辺7/返1/
鞭1/弁1/甫2/保4/浦2/畝3/蒲6/
舗1/鋪1/拇1/姥1/袰3/墓1/暮1/
▼2/方2/包2/芳2/邦1/奉1/宝1/
庖1/抱1/法1/苞1/俸1/峰1/峯1/

崩1/捧1/●1/萠1/蚫1/訪1/逢1/
彭2/棚1/蜂1/豊9/鳳2/蔀7/蓬2/
鋒2/鴇1/縫1/鮑2/寶1/鵬2/芒1/
坊1/防1/房2/茅1/眸1/棒3/貌1/
鉾1/甍2/蟒1/北4/卜2/?1/朴8/

牧2/睦2/墨2/穆1/▲1/本3/笨2/
凡6/麻2/磨2/毎1/幕1/柾2/枡1/
桝2/俣1/末1/秣1/麿1/万5/満4/
慢1/蔓2/卍1/未1/味2/密1/蜜1/
樒1/櫁1/?1/民2/夢2/霧1/名2/

 じつに興味深いです。
 生まれてから一度も見たことのない漢字が次から次への出てきます。
 字画の多い難しい漢字だけではありません。とても簡単なのに、見たことのない漢字が数え切れないほど出てくるのです。
 漢和辞典を見ているのなら不思議ではありませんが、それらの不思議な漢字がすべて一字苗字だというので驚くのです。
 不思議な漢字の大部分は●▲▼になってしまって画面に出ていないのが残念ですが・・・。

明8/茗1/冥1/掵1/●2/鳴3/銘1/
面6/綿1/茂7/孟1/猛1/網2/杢1/
木3/目7/籾1/門3/問1/夜1/埜1/
野4/役8/薬1/▲1/鑰1/鑓1/油2/
兪2/▲2/▲1/愈1/楡1/踰1/唯3/

又1/友1/尤2/由2/有1/邑2/勇4/
宥1/柚2/祐3/涌2/揖3/游1/猶3/
裕3/雄1/熊2/融3/優2/▲1/与3/
余4/畭3/預3/輿2/孕1/用2/羊1/
姚2/洋2/●1/要2/峪2/●1/揚2/

●2/葉2/陽6/暘1/腰1/楊4/漾1/
踊1/遙1/養1/●1/瀁1/燿2/鎔2/
耀3/靨1/鷹2/浴4/檍5/翼1/裸1/
螺5/羅3/蘿1/来2/●1/雷3/磊1/
蕾1/頼3/瀬5/▲1/●3/絡1/落1/

駱1/埒1/嵐2/●1/藍2/蘭3/欄3/
李5/利4/里2/莅1/梨2/犂2/裏1/
籬1/陸3/立5/律1/栗1/葎2/▲1/
柳4/流3/留2/竜3/笠4/隆2/溜4/
●1/瀏3/鰡1/旅2/廬4/●1/良4/

亮1/凌3/梁6/?1/菱3/陵3/量2/
椋5/?1/寥1/廖1/綾1/蓼3/寮2/
簗2/鬣1/力2/緑1/林2/厘1/淋1/
淪1/菻1/隣2/藺1/鱗1/●1/劉8/
礼2/励1/砺1/●1/鈴1/霊1/黎1/

嶺1/齢2/礪1/麗2/鱧1/歴1/檪4/
櫟6/櫪1/列1/埒1/烈1/連5/廉3/
漣3/蓮4/鎌1/簾2/呂2/芦2/路5/
蕗4/魯3/廬2/櫓1/蘆1/櫨1/露1/
轤1/鑪1/鷺1/鱸2/老2/?2/柆1/

朗1/浪1/狼2/廊1/楼1/滝2/螻1/
壟1/籠2/?2/六2/勒1/鹿3/?1/
?1/録1/?1/麓3/崙1/崘1/論1/
和12/倭6/窪1/隈5/枠1/腕2/湾1/
(以上)

 ついに終了しました。
 一字苗字の数は、『苗字8万よみかた辞典』によれば、漢字の数にして約2100でした。
 苗字は読み方によって別のものになりますので、その数は二倍以上に増えるでしょう。4000〜6000くらいになるだろうと思います。
 日本の一字苗字は、苗字全体の5パーセントていどしか無いと思いますが、それでも何千種類もあるのです。
 一方韓国北朝鮮の苗字は、全部合計しても数百です。
 大変な違いです。
 むろん多ければ良いという性質のものではなく、問題は圧倒的な数の違いはすなわち両国の文化の違いだ――という事だと思います。


■■■ 第五章 韓国の代表的一字苗字と同じ日本の苗字の由来 ■■■

 二本の一字苗字の一覧は終わりました(文字化け防御のための●▲▼が多くて恐縮でしたが)ので、次に、韓国における苗字のベスト10につきまして、それと同じ漢字で表される日本の苗字の歴史を、太田亮先生の本で調べてみることにします。
 また日本での読みの種類も(つまりは苗字の種類を)、『苗字8万よみかた辞典』で調べてみます。

 韓国の資料では、上位20は次のとおりです。
 全部一字苗字です。

1.?(金)キム:9 925 949
2.?(?)イ:6 794 637
3.?(朴)パク:3 895 121
4.?(崔)チェ:2 169 704
5.?(鄭)チョン:2 010 117
6.?(姜)カン:1 044 386
7.?(趙)チョ:984 913
8.?(尹)ユン:948 600
9.?(張)チャン:919 339
10.?(?)イム:762 767
11.?(?)オ:706 908
12.?(韓)ハン:704 365
13.?(申)シン:698 171
14.?(徐)ソ:693 954
15.?(權)クォン:652 495
16.?(?)ファン:644 294
17.?(安)アン:637 786
18.?(宋)ソン:634 345
19.?(柳)ユ:603 084
20.?(洪)ホン:518 635

 以下、読みについては『苗字8万よみかた辞典』、歴史については『姓氏家系大辭典(太田亮)』および『新編姓氏家系辞書(太田亮・丹羽基二)』によります。

◆◆◆ 第五・一節〈金〉◆◆◆

読み:「かにい」「かぬち」「かね」「きん」「こがね」「こん」
 つまり、〈金〉という漢字で表示される日本の苗字には六種類があります。うち「こん」は「こむ」とも書くので、これを数えると七種になります。
 太田亮の著作によれば後四種が古代からの代表で、とくに「こん(こむ)」が多い。
 したがって「こむ」の箇所にあります。

歴史:
(1)新羅族
 新羅王の氏、金閼智の後裔とされる氏族。

『続日本紀』の大宝三年(703)十月十六日に、「僧隆観還俗。本金。名財。沙門幸甚子也。頗渉藝術。兼知サン暦。」(僧の隆観を還俗させた。もとの姓は金で名は財。沙門幸甚の子である。占いに通じまた算術と暦法に通じていたからである)
 この年の記述には、金姓の使者が何人か新羅から来たことや、新羅から漂着した人を帰還させたことなどが記されています。

『続日本紀』の神亀元年(724)五月十三日に、「従六位上金宅良。金元吉並国看連」の姓を賜った――とあります。

『続日本紀』の延暦二年(783)七月十八日に、「左京人散位従六位上金律順賜姓海原連。右京人正六位上金五百依海原造」(左京の金律順に海原連の氏姓を賜り、右京の金五百依に海原造の氏姓を賜った)とあります。

『続日本後紀』の天長十年(833)四月八日に、「投化新羅人金礼眞等男女十人貫附左京五條」とあります。

 この他万葉集などにも。
 さして高い位ではありませんが、都やその周辺に新羅王族の末裔を名乗る〈金〉姓の人たちがいたことが分かります。

(2)武蔵の金氏
 新羅族とされる。

『続日本紀』の天平五年(733)六月二日に、「武藏國埼玉郡新羅人徳師等男女五十三人依請爲金姓」(・・・男女五十三人、請願によって金姓となす)
 このあたりには新羅人がかなり移住していたらしく、新羅郡(新座郡)がある。

(3)金公
 拾芥抄に見える。

(4)金臣
 姓名録抄、拾芥抄に見える。「こがね」と読む。

(拾芥抄は鎌倉時代に成立したとされる百科全書。姓名録抄は群書類従などにあるようですが未詳。いずれも見たことありません)

(5)阿倍氏流
 阿倍氏は古代の天皇にまで遡る著名氏族ですが、奥州の阿倍氏の系統に金爲時、金爲行、金則行・・・など多くの〈金〉が見えます。
〈金〉氏がもっとも栄えた地が奥州らしい。
 ただし史書に名が残る金・・が新羅系なのか、阿倍の末裔なのかは不明らしい。
 子孫は〈金野〉、〈紺野〉など・・・。

(6)気仙の金氏
 阿倍氏流の金爲時の家。
 後世の気仙城主は〈金野〉、〈今野〉、〈紺野〉など。

(7)岩代の金氏
 金新右衛門という文書がある。

(8)磐井の金氏
 阿倍氏流の金爲行が当郡によったため。〈今野〉の記録も。

(9)陸奥の金氏
 九戸郡久慈氏は、金氏(また今、昆)。本苗は昆なり――との文書。

(10)出羽の金氏
 田川郡平形に金氏あり。先祖は安倍という。

(11)小野姓横山党
 金氏に関係するらしい。

(12)下総の金氏
 小金本土寺過去帳に金弥三郎と名がある。

(13)雑載
 丹後国加佐郡に金荘という所。
 羽後、薩摩日置郡に高麗人裔金氏あり。

(14)その他
 今、昆、紺は金より。

(おわりの方はよく分からなくなりましたが、金氏は奈良時代から記録があり、新羅系とされ、のちに奥州に栄えたようです。朝廷が東北地方に移住させたからでしょうか)

◆◆◆ 第五・二節〈李〉◆◆◆

読み:「き」「すもも」「り」「りい」「りん」
〈李〉という漢字で表示される日本の苗字には五種類があります。
 もちろん、李+◎という苗字は、〈李山(すりやま)〉〈李川(りかわ)〉〈李木(すもも)〉・・・のようにたくさんあります。

歴史:
(1)李姓
 倭漢氏の族にして、坂上系図に
「姓氏録、第二十三巻に曰ふ、阿智王・譽田天皇(應神天皇のこと)の御世、七姓の漢人等を率ゐて帰化す。七姓とは云々、次に李姓、是れ刑部史の祖也」
 とあり。アヤ(漢)、坂上等の條を見よ。
 ・・・以上のようにあります。
 漢や坂上の項目にいろいろと書かれていますが、それらは後で記します。

(2)李氏
 唐族にして、後に忌寸姓を賜ふ。
 天平勝寶二年紀に「唐人正六位上李元環」等見ゆ。
 ――とあります。
『続日本紀』の該当の年を見ますと、たしかにそのようにあります。同年二月十六日の條です。
 このころは、ハチマキおじさんの道鏡問題で話題になる孝謙天皇の御代です。

(倭漢氏の祖については、事典によって説明がずいぶん違うので、難しいです)

(3)李忌寸
 李元環の後にして、天平寶字五年十二月紀に「唐人外従五位下李元環に、姓を李忌寸と賜ふ」と見ゆるより出づ。
『続日本紀』の当該年を見ますと、たしかに、天平寶字五年十二月十六日の條にそのようにあります。淳仁天皇の御代です。
 なお忌寸は「いみき」と読むらしい。

(4)紀伊
 朝鮮慶尚道道霊山の人李一恕、文禄の役帰化し、紀州候に仕ふ。
 儒教にくわしい学者だったようで、その息子も学者だったらしい。

(5)肥前
 李参平、慶長の役、帰化して、鍋島氏に仕ふ。後金江氏と称し・・・。

(6)薩摩
 日置郡にこの氏あり。

(7)肥後
 原田氏が出自を尋ねて李氏に改めた。朝鮮王族李宗閑より出づとぞ。

**********

 李氏は、金氏ほどではありませんが、あちこちに一族がいたようです。

 太田亮先生の本にの〈李〉の項目に、漢(あや)、坂上を見よ――とありますので、ざっと見てみました。

(8)漢(あや)
 朝鮮半島を経由して日本に帰化した漢人の末裔。
 漢武帝が朝鮮半島を植民地にして楽浪郡、帯方郡などを置いたときに、大陸から移住した漢人の子孫の一部が後に日本に渡って帰化した。
 楽浪郡の王氏は河内を根城にして西漢人と言われ、大和にいた漢人は東漢人と言われた。
 この子孫に坂上姓を賜った一族がいたらしい。
 また直という姓を賜った一族の東漢直は史上有名で、その一人、蘇我馬子の子分だった東漢直駒は、馬子の命で崇峻天皇を暗殺するという大事件を起こしました。
〈漢〉といわれた人たちは、朝廷や大伴一族や蘇我一族の尖兵として軍事面で活動していたようです。やりすぎて天皇から諫められたという話もあります。
 ただ、佐伯先生の本では、漢人の末裔というのはそう名乗っていただけで、実際には半島系であり、同じ半島でも大和朝廷が支配していた任那近辺地方から渡来したのではないか――とされています。
(両方本当のような気がします。植民地支配とともに移住した漢人たちも混血するでしょうから。大陸半島系の帰化人は古代から危ない仕事をしていたらしい。崇峻天皇暗殺という大事件のあと、史上初の女性天皇である推古天皇が即位されます)

(9)坂上
 東漢氏族の宗家として栄えたらしい。
 その系譜に、應神天皇の御代に七姓漢人らを率いて帰化したとされ、その七姓の中に李姓があり、刑部史の祖となったとされているそうです。
 ・・・どうも掴みきれませんが、漢〜坂上一族に関係の深い〈李〉というわけです。

 なんだかとても判りにくいのですが、なにしろ卑弥呼の時代にまで遡る話なので、よく判らないのはしかたありません。
 むしろこれだけ判るのは凄い――と思わねば!

◆◆◆ 第五・三節〈朴〉◆◆◆

読み:
「えのもと」「すなお」「はく」「ばく」「ほう」「ほお」「ほぎ」「ぼく」
 八種類が知られているようです。
 韓国では「パク」と言うらしいですが、日本にはそういう読みはありません。
 たぶん昔は有り、次第に消えていったのでは、と思います。
 今のハヒフヘホは古代はパピプペポだったという話をどこかで読んだような気がします。
〈朴〉に木だの井だのをつけた苗字はたくさんあります。

歴史:
(1)百済族
 承和三年紀に見え、貞宗連を賜ふ。「其先百濟國人也」と載せたり。
 ――とあります。
 承和三年は仁明天皇の御代で西暦836年。
『続日本後紀』にある筈ですが、なにしろ見にくくて長いので眼がかすんでしまって見つかりませんでした。
(2)雑載
 土佐の高知に、長曽我部氏征韓のおりに帰化した朴好仁の裔とか。
 その他薩摩、武蔵などにも見える。
 しかし、〈金〉や〈李〉に比べて、ひっそりとした感じでして、有力氏族でもないし豪族に従って活躍したという記録も無いようです。

 参考までに、朴木と朴井について――

(3)朴木「ほほのき」
 伊勢の豪族で、武藏にも存す――とあります。
 したがって半島系の〈朴〉とは無関係のようです。

(4)朴井「えのい」
 榎井の変化らしい。
 主として物部系の一族とされる。
 東漢の流れもあるらしい。
『日本書紀』にも断片的に出ている。

 ・・・ざっとこんなところです。
〈金〉や〈李〉とはたいぶ違います。

◆◆◆ 第五・四節〈崔〉◆◆◆

読み:
「がい」「がん」「さい」「さん」「ち」「ちえ」
 六種類があります。
〈崔〉に他文字がついた苗字としましては、
〈崔山〉〈崔本〉〈崔村〉の三種が知られています。

歴史:

(1)唐族
 元慶元年六月紀に、「是より先、貞觀十三年八月十三日、太政官處分し、唐人崔勝をして、右京五條一坊庶人伴中庸宅地・三十二分の八に寄住せしむ。是に至り崔勝言ふ、歸化の後、茲に二十八年を經たり牟、云々。私宅と爲さんと。詔して之を賜ふ」と見ゆ。

 これは『日本三代實録』の元慶元年(877年)六月九日の條に見つかりました。陽成天皇の御代です。
 全文は以下のとおりです。
「先是。貞觀十三年八月十三日、太政官處分。令唐人崔勝寄住右京五條一坊庶人伴中庸宅地三十二分之八。至是崔勝言。歸化之後。二十八年於茲牟。未有立錐之地。曾无處身之便。平生之日。無復所愁。身亡之後。妻孥何頼。請永給此宅。以爲私居。詔賜之。」
 貞觀十三年とは清和天皇の御代で西暦871年です。
 意味は判断がつくと思います。
 なんだかとても庶民的な願いです。
 しかしこの〈崔〉の子孫については何も記されていません。埋没してしまったのでしょう。

(2)薩摩の崔氏
 高麗歸化族なり、ノシロコ條を見よ。

 このようにありますので、ノシロコを見てみますと――

〈苗代川〉「のしろこ」氏は薩摩日置郡下伊集院村大字苗代川発祥。
 秀吉の朝鮮出兵の際の捕虜を多数ここに住まわせたが、その中に〈崔〉もいたということらしい。
 明治維新後はみな氏名を変えた――とあります。

〈崔〉は半島では有名な苗字ですが、日本では埋没してしまったようです。

◆◆◆ 第五・五節〈鄭〉◆◆◆

読み:
「うかい」「そん」「てい」「でい」「ぺい」
 五種類があります。
 半島ではチョンと読むらしいですが、そういう読みは日本にはありません。
 また、この漢字の下に別の漢字のついた苗字は見られません。
 これは日本の苗字としては異色です。

歴史:

(1)帰化姓也。
 有名なる鄭成功は明人鄭芝龍の子、母は田川氏。
 書かれているのはこれだけです。
 母親は平戸の田川氏の娘ですが、田川氏は各地に日本古来の豪族がおり、その一部には高麗族もあるようですが、鄭成功の母親の田川氏は日本の豪族の流れらしい。
〈鄭〉という苗字は鄭成功という個人で有名なだけですが、沖縄にはあるらしい。
 また〈崔〉と同様薩摩に集まった朝鮮出兵時の捕虜の中にもいたらしい。
 いずれにせよ日本では珍しい苗字で終わっています。

◆◆◆ 第五・六節〈姜〉◆◆◆

読み:
「かん」「かんぐ」「き」「きょ」「きょう」「ぎょう」「きょき」「しょう」
 ――の八種類があります。
 その中に半島と同様な「かん」もありますが、これは珍しいことです。
 姜の下に別の漢字をつけた二字苗字としましては、〈姜又〉〈姜山〉〈姜本〉〈姜田〉の四種類が知られています。

歴史:
 薩摩。ノシロコ條を見よ。
 ――とだけあります。
 つまり、〈崔〉と同じく、薩摩の村に集まった秀吉の朝鮮出兵時の捕虜の中にあった苗字というわけです。
 このときの捕虜の苗字として、伸・李・林・鄭・車・姜・崔・盧・沈・金・白・丁・何・朱などが記録されているそうです。

 そういうわけで、古代からの有力氏族の中には見られないようです。

◆◆◆ 第五・七節〈趙〉◆◆◆

読み:
「しょう」「ちょ」「ちょう」
 ――の三種類があります。
 この漢字が頭につく二字・・・苗字は見られないようです。

歴史:
 太田亮先生の三巻本には見つかりませんでした。
 新編姓氏系辞書の方に、一行だけありました。
[漢帰化族]孝徳紀に趙元寶など以下の書に多く見える。

 で、『日本書紀』をひいてみますと、出ていました。じつは別の連載のときに引用した箇所でした。
 孝徳天皇五年二月の條。
「別倭種韓智興・趙元寶、今年共使人帰。」
(別に日本人との混血韓智興・趙元寶は、今年使者とともに帰国した)
 これは犠牲者の多かった遣唐使の報告の末尾の文章です。

 結局、帰化人の中にいることはいるが、とても珍しい苗字になっているようです。

◆◆◆ 第五・八節〈尹〉◆◆◆

読み:
「い」「いい」「いうん」「いし」「いん」「ゆうん」「ゆん」「わん」
 ――の八種類があります。半島での読みは「ゆん」らしい。
 この文字を頭にした苗字としては、〈尹在(いんざい)〉〈尹部(いんべ)〉の二種が知られています。

歴史:
 太田亮先生の三巻本には見つかりませんでした。
 新編姓氏系辞書の方にも見つかりませんでした。
〈尹〉は〈伊〉と違って日本ではほとんど使われない漢字であり、近現代の人名事典でも探すのは困難です。
(来日して活動した半島人の中にはいますが・・・)
 そういうわけで、似た漢字の〈伊〉を探してみますと――

 百濟帰化族なり、天平寶字五年三月紀に「百濟人尹志麻呂、姓を福地造と賜ふ、」と見ゆ。萬葉集九に伊保麻呂とあるも此族なるべし。

 ――のようにあります。
『続日本紀』をひいてみますと、たしかに淳仁天皇の天平寶字五年三月十五日の條に、それに近い文言があります。
 また万葉集の巻第九の1735に、伊保麻呂の歌というのがあります。
 しかし、〈尹〉→〈伊〉のように変形したのかどうかは不明です。
 むろん、八種類もの読みがあり、これを頭に持つ二字苗字もありますから、そういう人がおられる事はたしかですが、それと古代の帰化人との関係が判らないのです。

 ためしに、白川静先生の辞書で、尹や伊を引いてみます。
(1)尹(イン)
 手に神杖を持つ形で、それを持つのは聖職者。杖は神霊の憑りつくもの。のち尹は官名となり、儀礼の執行者となった。
(2)君(クン)
 尹に祝祷の器を加えたものが君で、卑弥呼のような女巫・女君をいう。
(3)伊(イ)
 伊は上のような女君を助ける聖職者のこと。古くは固有名詞のみに用いられた。(そこからいろんな歴史があって)神の憑りつく呪杖を持つ人を意味した。

 日本で馴染みのあり伊より尹の方が位が上みたいに見えます(笑)。

◆◆◆ 第五・九節〈張〉◆◆◆

読み:
「ちょう」「はり」
 ――の二種類が知られています。半島での読みは「ちゃん」らしい。
 この文字を頭にした苗字は、数十種類もあります。
 半島的な感じのする漢字ですが、この漢字が頭に来る苗字はありふれておりまして、半島系とは限らないようです。

歴史:
 三冊本に次のようにあります。

 多くは帰化姓也。
(1)唐族
 天平寶字八年八月紀に「張禄満」また萬葉集巻五等にも見え、猶ほ正倉院天平神護元年正月文書に「少初位上張○万呂、右京人、」と云ふもあり。
 此の族にて延暦三年に嵩世忌寸を賜へる者あり、其の條を見よ。
(『続日本紀』で天平寶字八年八月を見ましたが出ていません。一冊本を見ると十月と書いてありますので十月を見るとありました。十月七日の條に、
「正六位上張禄満。」
 ――と書かれています。
 つぎに万葉集巻五を見ますと、薬師張氏福子(くすりしちやうじのふくこ)の歌として、
「烏梅能波奈 佐企弖知理奈波 佐久良婆那 都伎弖佐久倍久 奈利尓弖阿良受也」
 旺文社の万葉集訳で、
(梅の花 咲きて散りなば 桜花 継ぎて咲くべく なりにてあらずや)
〈梅の花が咲いて散ったなら、桜の花がその後をついで咲くようになっているではないか〉
*薬師:医師/正八位上相当。張氏は大陸系の帰化人

 ただし、旺文社の本の巻末の解説では、次のようになっています。
 張氏は一説にハリシ、またハリウヂ。福子は一説にサキコ、またフクシ。張氏は尾張氏ともみられる。
 系譜は不明。帰化人か。『続日本紀』の張禄満と同一人か。また『武智麻呂伝』に見える方士張福子か。
 経歴としては天平初年太宰府の薬師。)

(2)張朝臣
 姓名録抄に見ゆ。

(3)後世の張氏
 漢高祖の臣張良の裔と称す。張忠の子思朝は毛利輝元に仕ふ。
 また近江彦根の人に○家張月樵あり。

 古代からの有力氏族ではないため、あいまいな資料しかありませんが、淳仁天皇の天平寶字八年(764年)に正六位上張禄満という記録は正史ですから、奈良時代にこういう人物がいたことは間違いありません。
 本当に帰化系かどうかはいまいちはっきりしませんが・・・。
(近現代に半島から来た人たちには、張が頭に来る苗字(張本など)を名乗る人がかなりいるようです。私の知人にもいました。しかし古代からの氏族としては傍流のようですし、帰化人系以外の張氏も沢山いたようです。尾張の変形もあったらしい)

◆◆◆ 第五・十節〈林〉◆◆◆

読み:
「はやし」「りん」
 ――の二種類が知られています。半島での読みは「いむ」らしい。
 日本でもなじみの多い漢字であり、この文字を頭にした苗字は、84種類もあります。
 容易に想像できますが、日本にも昔からある苗字のようです。

歴史:
 三冊本には、多数の〈林〉が書かれています。
 日本の苗字は地名から来ることが多いとされますが、太田亮先生も、この〈林〉の項では、日本各地の地名をあげています。
 それだけでかなりの行数です。
 そして次に、文献にあらわれる〈林〉を列挙していますが、その数はなんと101に及んでいます。
 100番目は台湾の林家で、101番目は雑載でして、その中にいくつもの〈林〉があります。
 漢字の林は複数の樹木の形だと思いますが、日本語としての「はやし」は、「生やす」の名詞形で、これも理解しやすい語源です。
 なお、「賞し」「映え」「逸る」「囃す」などとも関係するらしい。
 そういうわけで、日本に昔からある苗字ですが、太田先生があげた101項目の中に、半島系がいくつくらいあるか、数えてみます。
 百濟:4
 高麗:1
 倭漢:1
 結局、ごく一部が半島系の〈林〉で、大部分は日本古来の〈林〉のようです。
(〈林〉は、韓国の苗字一覧の、上から十番目です)

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 これで、「日本と韓国の苗字」を終わります。
 両国の苗字のあり方の違いは際だっており、それは250対300000という数の違いによっても判りますが、古代からの流れによっても判るようです。
 韓国(+北朝鮮)の場合は、金や李に集中します。
 これに対して日本の場合は、時代とともに拡散します。
 かつて強大な権力を手中にした藤原家の出を誇る氏族は無数にありますが、それらは次々に別の苗字に変化しています。
 オロモルフの先祖も、言い伝えでは、藤原が大元で、それが工藤になり内藤になって、さらに戦国時代になると、嫁さんの実家の苗字を取り入れて現在の苗字になってしまいました。そして明治になっても、決して昔の有名な苗字に戻ろうとはしていません。
 明治初期に苗字の創設があった時も、有名な苗字を我も我もとつけようとはしなかったらしい。
 むしろ、聞いた事もないような苗字をつけた人が無数にいたようです。
 苗字の集中と拡散は、両国の文化の違いを示していると思います。


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