■□■□■ 日露戦争における日本海軍旗旒信号(オロモルフ) ■□■□■


 旗旒信号とは、マストを利用して大きな旗を(多くの場合複数)掲揚して、可視距離内にある他の艦船に情報を伝える方法である。
 一般に旗旒信号用の旗は、「〇〜九」「A〜Z」が色や模様によって決められており、それを組み合わせてマストに掲揚して信号として使う。

 一般には多くの旗を利用するのだが、それでは煩雑で見誤りも多いであろう。そこで二旗に限定して、それに実用的な信号をあてはめて便利に使えるようにしたのが二旗式旗旒信号である。

 日露戦争時の日本海軍の二旗式旗旒信号は、島田謹二『ロシア戦争前夜の秋山眞之』によると、開戦の前年の明治三十六年六月に、当時海軍大学校教官で戦中は東郷平八郎直属の参謀として活躍した秋山眞之が、それまでの経験を生かして従来の信号方式を徹底的に簡略化して提案し、それを軍令部の財部彪(山本権兵衛の女婿でのちの海軍大臣)が小修正して、他の多くの信号とともに『海軍信號書』としてその年の十月に初刷りが出来、主要な人たちに配布したとされている。これは他の資料によると『第五改正海軍信號書』と呼ばれていたらしい。
 財部への提案のとき最後に秋山眞之が、極限まで簡略化したZ一旒を「皇國ノ興廢コノ一戰ニアリ各員一層奮勵努力セヨ」そ示すものとして加えたとされている。

 著者の調査によると、秋山眞之によるこの二旗式旗旒信号の原型は、『軍艦信号書』の大幅な改訂として次の日付で艦隊に発布されている。
(文中「第七區」とは、信号書にある多くの種類の信号のうち七番目の種類という意味らしい)

(1)それまでの軍艦信號書の二旗信号を大幅に改訂した信号表の前半
〈旗秘第一〇五號ノ二二〉
 軍艦信號書第七區二旗信號ノ信文ヲ全削シ更ニ左ノ通リ追加シ當艦隊限リ使用セシム
   追テ本紙ハ信號書内ニ插入シ置クヘシ
  明治三十五年七月十四日
    常備艦隊司令長官代理内田正敏

(2)上の信号表の後半
〈旗秘第一〇五號ノ二八〉
 旗秘第一〇五號ノ二二、二旗信號ヘ別冊ノ通リ追加シ當艦隊限リ使用候條此段及報告候也
  明治三十五年七月二十五日
    常備艦隊司令長官代理内田正敏

(3)上の(1)(2)の改訂
〈旗秘第一〇五號ノ三〇〉
 旗秘第一〇五號ノ二二當隊限リ使用ノ二旗信号中左ノ通改正ス
  明治三十五年九月九日
    常備艦隊司令長官日高壮之丞

(島田謹二の著作にある二旗信号表は、これらの資料のうち(1)とまったく同じである。同著作によれば、明治三十五年に秋山眞之が當艦隊限りとして配布していた『軍艦信號書』の中の第七區を財部が小改訂して『海軍信號書』を策定し、これが日露戦争で使われたとされているが、それにしては著作に引用されている信号表には後半の(2)も改訂の(3)も無いし、財部が改訂した痕跡も無い。おそらくは、明治三十五年のものの一部を転載しただけだったのであろう。著者は明治三十六年十月に要人たちに配布されたという資料『第五改正海軍信號書』は未見であるが、島田謹二も未見だったのであろう。
(1)〜(3)の中身を読むと、きわめて分かりやすく合理的で、秋山眞之によるとされる日本海海戦時の無電緊急符号とよく似ている。また兵隊の命を大切にし、むちゃな攻撃などけっしてしないような命令群で構成されている。味方の犠牲を最小限にして、いかに勝つかを考え抜いた命令集である。
 以下は、(1)〜(3)を合わせたものである。これが実際に日露戦争に使用された二旗式旗旒信号に近いと考えられる。
 なお使用されている漢字や数字の字体は統一されていないが、極力原文にしたがった)


第七區

〔二旗〕平時緊急信号

【荒天】
〔〇+〇〕荒天準備(適宜錨鎖ヲ伸ハシ錨ヲ増加)ス/セヨ
〔〇+一〕荒天準備(適宜汽罐点火〔増加〕)ス/セヨ
〔〇+二〕捨錨出航ス/セヨ
    (地名ヲ示ストキハ其地ニ行クモノトス)
〔〇+三〕直ニ抜錨〔直ニ列ヲ觧キ〕適宜避難ス/セヨ
    (地名ヲ示ストキハ其地ニ行クモノトス)
〔〇+四〕至急汽罐点火ス/セヨ
〔〇+五〕蒸汽出来次第抜錨出港ス/セヨ
    (地名ヲ示ストキハ其地ニ行クモノトス)
〔〇+六〕艦ノ保安ノ爲メ適宜ノ處置ヲ執ル/レ
〔〇+七〕天候直ルヲ待チ此地(指示地)ニ来レ/ル

【故障】
〔〇+八〕機関故障アリ
〔〇+九〕機関故障アリ修理ニ(……)時間ヲ要ス
〔〇+J〕舵機故障アリ
〔〇+L〕舵機故障アリ修理ニ(……)時間ヲ要ス
〔〇+N〕運轉自在ナラス(列外ニ出ツ)
    (信号ノ下ルヲ待タス之レヲ実行ス)
〔〇+R〕適宜列外ニ出テ故障ヲ修理シ復旧次第速力ヲ増加シ列ニ入ル/レ
    (指示地ニ来ル/レ)

【觸底】
〔〇+S〕海底淺クシテ危険ナリ近ツクヘカラス
〔〇+V〕艦底海底ニ觸レタリ運轉ニ差支ナシ
〔〇+Y〕坐礁〔洲〕動キ難シ

【衝突】
〔一+〇〕危険ナリ機関ヲ停止ス/セヨ
    (信号ノ下ルヲ待タス之ヲ実行ス)
〔一+一〕危険ナリ全速前進ス/セヨ
    (信号ノ下ルヲ待タス之ヲ実行ス)
〔一+二〕危険ナリ全速後退ス/セヨ
    (信号ノ下ルヲ待タス之ヲ実行ス)
〔一+三〕危険ナリ面舵〔一杯〕ヲ取ル/レ
    (信号ノ下ルヲ待タス之ヲ実行ス)
〔一+四〕危険ナリ取舵〔一杯〕ヲ取ル/レ
    (信号ノ下ルヲ待タス之ヲ実行ス)
〔一+五〕危険ナリ吾カ前方ヲ横切ル勿レ
    (信号ノ下ルヲ待タス之ヲ実行ス)

【防水】
〔一+六〕直チニ全防水扉蓋ヲ閉鎖ス/セヨ
    (信号ノ下ルヲ待タス之ヲ実行ス)
〔一+七〕漏水甚シ助力ヲ要ス
〔一+八〕沈没免レ難シ
    (指示。分間支ヘ得ヘシ)
〔一+九〕總員本艦ヲ退去ス/セヨ
    (信号ノ下ルヲ待タス之ヲ実行ス)

【火災】
〔一+J〕火災起レリ
    (否信号旗ヲ添ユレハ鎮火セリ)
〔一+L〕火災大ナリ助力ヲ要ス
〔一+N〕直ニ防火隊ヲ火災艦(指示艦)ニ送ル/レ
    (信号ノ下ルヲ待タス之ヲ実行ス)

【溺者】
〔一+S〕溺者アリ(後續艦ハ直ニ端舟ヲ卸ロシ之ヲ救助セヨ/アリタシ)
     此信号ハ溺者ノ落チタル舷側ノ「ヤーダーム」ニ掲クルヲ例トシ信号ノ下ルヲ待タス之ヲ実行ス
〔一+V〕總端舟ヲ卸ロシ溺者ヲ救助ス/セヨ
    (信号ノ下ルヲ待タス之ヲ実行ス)
〔一+Y〕


戦時緊急信號(平時ニモ之ヲ利用スルヲ得)

【戰備】
〔二+〇〕合戦準備ナス/ナセ
〔二+一〕臨戰準備第一期(第……項)ヲ實施ス/セヨ
〔二+二〕臨戰準備第二期(第……項)ヲ實施ス/セヨ
〔二+三〕臨戰準備第三期(第……項)ヲ實施ス/セヨ
〔二+四〕戰闘部署ニ就ク/ケ
〔二+五〕戰闘部署ニ就キ其位置ニ休憩セヨ
〔二+六〕戰闘部署ニ就キ要具ヲ備ヘ了レハ其儘開散シテ休憩セヨ
〔二+七〕甲種水雷ヲ装填シ置ケ
〔二+八〕水上發射管ハ必要ノ時機至ルマデ水雷ヲ整頓セス/スヘカラス
〔二+九〕乙種水雷ヲ装填シ置ケ
〔二+J〕端舟ヲ卸シ海上ニ放棄ス/セヨ
    (数名信号ヲ掲クルトキハ其数丈端舟ヲ残シ置クモノトス)
〔二+L〕艦載水雷艇ニ点火シ直ニ之ヲ卸ロシ必要ノ人員ヲ配シ此附近(指示地)ニ止メ置ク/クヘシ
〔二+N〕艦載水雷艇ヲ卸シテ軍装シ炭水ヲ積載シテ襲撃ノ準備ヲナス/ナセ
〔二+R〕
〔二+S〕
〔二+V〕
〔二+Y〕

【警戒】
〔三+〇〕檣ノ最高部ニ哨兵ヲ配置ス/セヨ
〔三+一〕檣楼ニ将校見張リヲ配置ス/セヨ
〔三+二〕檣楼ノ哨兵ヲ増加シ四方ヲ分擔シテ見張ラシムヘシ
〔三+三〕特ニ前方〔港口〕〔指示方位〕ノ見張ヲ嚴重ニス/ニセヨ
〔三+四〕便宜(指示時刻迄ニ)水雷防御網ヲ張リ日没迄ニ總テノ警戒準備ヲ結了ス/セヨ
〔三+五〕今夜(指示時刻ヨリ)二直哨兵ニテ警戒ス/セヨ
〔三+六〕今夜(指示時刻ヨリ)四直哨兵ニテ警戒ス/セヨ
〔三+七〕今夜(指示時刻ヨリ)各砲ニ装填シ適宜砲員ヲ配置シ敵来襲セハ直ニ撃退スヘシ
〔三+八〕今夜(指示時刻ヨリ)探照燈ニ終夜当直員ヲ配置シ敵来襲セハ直ニ点燈シテ探照撃退スヘシ
〔三+九〕今夜(指示時刻ヨリ)探照区域規定ニ準ジ各艦終夜(指示時間)探照スヘシ
〔三+J〕今夜艦尾速力燈ノ外(碇泊中ナレハ之レヲ出サス)一切ノ燈火ヲ隠蔽シ發光信号ハ已ムヲ得サルノ外用ユヘカラス
     但シ必要ニ際セハ直ニ点出スルノ準備ヲ要ス
〔三+L〕
〔三+N〕
〔三+R〕
〔三+S〕
〔三+V〕
〔三+Y〕

【哨艦哨艇】
〔四+〇〕指示隊〔艦〕ヲ今夜(指示時刻ヨリ指示時刻マテ)前哨ニ任ス仍テ日没前迄ニ(第……)哨區ニ就クヘシ
    (別ニ哨區ヲ指示セサルトキハ港口ヲ意味ス)
〔四+一〕指示隊〔艦〕ノ水雷艇(水雷艇ナキトキハ汽艇)ヲ今夜(指示時刻ヨリ指示時刻マテ)ノ哨艇ニ任ス仍テ日没前迄ニ(第……)哨區ニ就クヘシ
     別ニ哨區ヲ指示セサルトキハ港口ノ方位ニテ艦隊泊地ヨリ六千米突ノ所トス
〔四+二〕旗艦(指示艦)ヨリ六千米突ノ距離ニ於テ其ノ指示方位ヨリ指示方位迄ヲ第……哨區トス
〔四+三〕指示地点ヨリ指示地点迄ノ間ヲ(第……)哨區トス
〔四+四〕哨艦(指示哨區ノ哨艦)ハ更ニ前方六千米突ニ其哨艇ヲ出シ警戒線ヲ二重ニ張ルヘシ
〔四+五〕前哨指揮官(司令官ナキトキハ首席将校)ハ其麾下各艦ヲ擔任ノ哨區内適当ノ位置ニ配置スヘシ
〔四+六〕火箭二連發發砲二連發(指示連發)ヲ以テ今夜〔哨艦、若ハ哨艇〕ノ警急信號トス
〔四+七〕哨艦〔哨艇〕敵ヲ發見セハ直ニ本隊ニ帰レ
〔四+八〕哨艦〔哨艇〕敵ヲ發見セハ直ニ豫定避退地点(指示地点)ニ集合ス/セヨ
〔四+九〕哨艦〔哨艇〕敵ヲ發見セハ直ニ本隊ノアラサル方向ニ避退シ我砲火ヲ妨ケサル如クス/セヨ
〔四+J〕哨艦〔哨艇〕敵ヲ發見セハ極力防戰ス/セヨ
〔四+L〕哨艦〔哨艇〕ハ終始探照燈ヲ点シ敵ヲ發見スルヲ努ムヘシ
〔四+N〕哨艦〔哨艇〕敵襲ニ際セハ敵味方ヲ識別スル爲メ總テノ航海燈速力燈ヲ点出スヘシ
〔四+R〕哨艦〔哨艇〕ハ常ニ航海燈ヲ点ジテ其哨區ヲ巡邏スヘシ
    (否信旗ヲ添フレハ哨區内適当ノ位置ニ碇泊スヘシ)
〔四+S〕當隊〔艦〕ハ未明(指示時刻)迄敵襲ニ對シ警戒スルカ故ニ其間当隊ノ彈着距離以内ニ近接ス可ラス
     若シ止ムヲ得ス近接スルノ必要アルトキハ航海燈速力燈ヲ点ジ問暗号ヲ示シ当隊ノ答暗号ヲ見テ近接スヘシ
〔四+V〕
〔四+Y〕

【搜索偵察】
〔五+〇〕指示隊〔艦〕ニ敵艦隊(指示艦船)ノ搜索任務ヲ命ス
    (否信旗ヲ添フレハ任務ヲ觧ク)
〔五+一〕指示隊〔艦〕ニ敵情(指示地)ノ偵察任務ヲ命ス
    (否信旗ヲ添フレハ任務ヲ觧ク)
〔五+二〕前方(指示方位)指示海里附近迄ヲ搜索〔偵察〕シ(指示時刻迄ニ)歸リ報ス/ゼヨ
〔五+三〕指示地点迄(指示地点ヨリ指示地点マテ)ヲ搜索〔偵察〕シ(指示時刻迄ニ)歸リ報ス/セヨ
〔五+四〕指示港〔湾〕内ヲ偵察シ可成速ニ(指示時刻迄ニ)歸リ報ス/セヨ
〔五+五〕劣勢ノ敵ニ遇ヘハ之ヲ撃破シ優勢ノ敵ヲ発見セハ直チニ歸リ報ス/セヨ
〔五+六〕敵ヲ發見セハ敵ト觸接ヲ保チ之ヲ見失ハサルヲ努メ一艦ヲシテ急報ス/セヨ
〔五+七〕敵ヲ發見セハ敵ト觸接ヲ保チ之ヲ見失ハサルヲ努メ當隊ノ位置ト四十海里(指示海里)ノ距離内ニ入リタルトキ一艦ヲシテ急報ス/セヨ
〔五+八〕敵ノ動静ヲ確認スル迄ハ敵ノ附近ニ止ル/レ
〔五+九〕指示時刻迄此地(指示地点)ニ於テ汝ノ敵情報告ヲ待ツ
〔五+J〕今(指示時刻)ヨリ豫定搜索運動ヲ開始ス/セヨ
〔五+L〕搜索列〔艦〕ハ日没(指示時刻)ニ至レハ各自ニ基準艦(指示艦)ニ向ツテ集合セヨ/ス
    (仝時ニ基準艦ハ停止ス)
〔五+N〕搜索列〔艦〕ハ日没(指示時刻)ニ至レハ各自ニ本隊(指示地点)ニ集合セヨ/ス
〔五+R〕搜索列〔艦〕ハ日没(指示時刻)ニ至レハ各自其位置ニ停止漂泊ス/セヨ
〔五+S〕搜索列〔艦〕ハ(指示時刻ヨリ)指示方位(指示地点)ニ向ヒ斜メニ並進ス/セヨ
〔五+V〕搜索列〔艦〕ハ(指示時刻ニ至レハ)再ビ旧針路ヲ執ル/レ
〔五+Y〕搜索列ノ各艦ハ日没ヨリ日出迄(指示時刻ヨリ指示時刻マテ)相互ノ距離ヲ五海里(指示海里)ニ短縮セヨ
〔六+〇〕此搜索中搜索列〔艦〕ノ距離ヲ(指示時刻ヨリ指示時刻マテ)指示海里ト定ム
〔六+一〕此搜索中搜索列〔艦〕ノ速力ヲ(指示時刻ヨリ指示時刻マテ)指示海里ト定ム
〔六+二〕此搜索〔偵察〕中勉メテ戦ヲ避ク/ケヨ
〔六+三〕
〔六+四〕

【通信連絡】
〔六+五〕指示隊〔艦〕ニ(指示時刻ヨリ指示時刻マテ)通信傳令ノ任務ヲ命ス
    (否信旗ヲ添フレハ任務ヲ觧ク)
〔六+六〕当隊〔艦〕(指示隊〔艦〕)ト指示隊〔艦〕トノ中間ニ在リテ通信傳令ニ従事ス/セヨ
〔六+七〕當隊〔艦〕(指示隊〔艦〕)ト指示隊〔艦〕トノ中間ニ在リテ無線電信ノ連絡ニ従事ス/セヨ
〔六+八〕當隊〔艦〕(指示隊〔艦〕)トノ信号連絡ヲ保ツ/テ
〔六+九〕當隊〔艦〕(指示隊〔艦〕)トノ無線電信ノ連絡ヲ保ツ/テ
〔六+J〕此地(指示地点)附近ニアリテ無線電信ノ連絡ニ従事ス/セヨ
〔六+L〕無線電信ノ通達距離以内ニテ適宜ニ運動スヘシ
〔六+N〕本艦(指示艦)ハ指示時刻ヨリ二時間(指示時間)ヲ其無線電信ノ發信時間ト定ム
     其他ノ諸艦ハ艦隊番号ノ順序ニ同時間ヲ發信時間トス
〔六+R〕今ヨリ無線電信ハ各隊ノ旗艦(指示艦)ノミニテ専用スルカ故ニ其ノ他ノ諸艦ハ許可アルマテ送信スヘカラス 但シ緊急ノ場合ニハ此限ニアラス
〔六+S〕指示隊〔艦〕ハ其無線電信ヲ以テ敵ノ無線電信ノ通信ヲ妨害ス/セヨ
〔六+V〕今(指示時刻)ヨリ我無線電信ハ敵ノ通信ヲ妨害スルニ用ユ
〔六+Y〕次ニ爲ス信号〔電信〕ヲ(指示地点ニ至リテ)指示隊〔艦〕ニ傳達セヨ
〔七+〇〕(指示地点ニ行キ)指示隊ニ艦隊命令(枝隊命令等)第……号ヲ傳達ス/セヨ
〔七+一〕(指示地ニ行キ)指示隊ニ現状ヲ急報ス/セヨ
〔七+二〕指示隊〔艦〕ニ本隊ニ歸レ(指示地点ニ行ケ)ト傳達セヨ
〔七+三〕(指示地ニ行キ)現状(次ニ爲ス信号〔電信〕)ヲ指示官職〔官衛〕〔艦船〕ニ電報ス/セヨ)
〔七+四〕指示地ニ行キ(指示官職官衛若クハ艦船ヨリ)当隊ニ来ルヘキ電報ヲ受取リ来レ
〔七+五〕通信艦〔艇〕ヲ定メ置キテ事有レハ直ニ急報ス/セヨ
〔七+六〕敵ヲ發見セハ〔敵出テ来ラハ〕直接当隊(指示隊)ニ急報ス/セヨ
〔七+七〕敵ヲ發見セハ〔敵出テ来ラハ〕艦艦相継續シテ当隊〔指示隊〕ニ急報ス/セヨ
〔七+八〕敵ヲ發見セハ特設警急信號ニテ急報ス/セヨ
〔七+九〕我ハ緊急ナル(指示官職官衛若クハ艦船ヨリ其艦ニ宛テタル)通信ヲ有ス
〔七+J〕「メガホン」ニテ交話シ得ル距離ニ近寄レ
〔七+L〕
〔七+N〕
〔七+R〕
〔七+S〕
〔七+V〕
〔七+Y〕

【集散離合】
〔八+〇〕日没後(指示時刻)ニ此地(指示地点)ヲ出發ス/セヨ
〔八+一〕当隊(指示隊)ハ(指示時間)後ヨリ出發ス/セヨ
     数名信号ニテ時間ノ数ヲ示ス
〔八+二〕未明(指示時刻)迄此地(指示地点)ニ止ル/レ
〔八+三〕当隊(指示隊)ハ(指示時刻)此地(指示地点)ニ在ル筈ナリ
〔八+四〕指示地点ニ至ラハ停止シ(指示時刻迄)当隊(指示隊)ノ来着ヲ待ツ/テ
〔八+五〕本日(指示ノ日)日没前(指示時刻ニ)此地(指示地点)ニ来レ/ル
〔八+六〕本日(指示日)日没前(指示時刻迄ニ)本隊ニ返ル/レ
〔八+七〕明日(指示ノ日)未明(指示時刻)此地(指示地点)ニ来ル/レ
〔八+八〕今ヨリ列ヲ觧ク各艦ハ潜行シテ未明(指示時刻)迄ニ指示地点ニ會合ス/セヨ
〔八+九〕豫定航路上ニ於テ當隊(指示隊)ニ會合ス/セヨ
〔八+J〕敵ニ我隊ノ位置ヲ覚トラレサル様迂路ヲ取リテ此地(指示地点)ニ来レ/ル
〔八+L〕本艦(指示艦若ハ指示地点)ヨリ指示方位指示海里ニ位置ス/セヨ
〔八+N〕本艦(指示艦若ハ指示地点)ノ附近ニ位置ス/セヨ
〔八+R〕本艦ト指示艦(指示地点)ノ中間ニ位置ス/セヨ
〔八+S〕
〔八+V〕
〔八+Y〕

【航行】
〔九+〇〕当隊ノ豫定航路ハ今逐次ニ掲クル地点ヲ連接セル直線上トス
〔九+一〕当隊(指示隊)ハ豫定速力(指示海里ノ速力)ヲ以テ其豫定航路ヲ航進ス/セヨ
〔九+二〕指示地点ヲ正横ニ見ハ(指示時刻ニ至レハ)指示方位ニ針路ヲ変ス/セヨ
    (此信号ト共ニ指示地点若クハ指示時刻並ニ指示方位ヲ数回示ストキハ示サレタル如ク逐次ニ針路ヲ変スヘキモノトス)
〔九+三〕未明(指示時刻)ニ指示地点ニ達シ(ヲ通過シ)得ル如ク航進ス/セヨ
〔九+四〕今(指示時刻)ヨリ最大(指示海里)ノ速力ヲ以テ航進ス/セヨ
〔九+五〕今(指示時刻)ヨリ指示地点迄……海里ノ速力ニテ航進ス/セヨ
〔九+六〕豫定航行日程ニ違ハサル様航進セヨ/ス
〔九+七〕豫定航行日程ヲ……時間早クス
    (否信旗ヲ添フレハ遅クス)
     適宜速力ヲ加減ス/セヨ
〔九+八〕後續隊(艦)ノ追附ク迄半速(指示海里ノ速力)ニテ航進セヨ/ス
〔九+九〕前續隊(艦)ニ追附ク迄最大速力(指示海里ノ速力)ニテ航進セヨ/ス
〔九+J〕當隊(指示隊)ノ前方十海里(指示海里)ニ在テ〔警戒〕航行ス/セヨ
〔九+L〕当隊(指示隊)ノ後方五海里(指示海里)ニ在テ〔警戒〕航行ス/セヨ
〔九+N〕当隊(指示隊)ノ右側五海里(指示海里)ニ在テ〔警戒〕航行ス/セヨ
〔九+R〕当隊(指示隊)ノ左側五海里(指示海里)ニ在テ〔警戒〕航行ス/セヨ
〔九+S〕当隊(指示隊)ノ指示方位指示海里ニ在テ〔警戒〕航行ス/セヨ
〔九+V〕今(指示時刻)ヨリ現隊形ノ儘漂泊ス/セヨ
〔九+Y〕

【敵情】
〔J+0〕敵見ユ(アリ)
     同時ニ数名信号ヲ以テ其隻数ヲ示スコトアリ
〔J+1〕敵ヲ見ス(ナシ)
〔J+2〕地平線上(指示方位)ニ煤煙ヲ認ム
〔J+3〕地平線上(指示方位)ノ煤煙〔敵影〕ハ敵〔敵艦隊〕ナリ
〔J+4〕近ツク舩ハ正シク敵ナリ
〔J+5〕敵ノ艦隊(指示隻)吾艦隊航路ノ右前方ニ見ユ
     同時ニ方位ヲ示スコトアリ
〔J+6〕敵ノ艦隊(指示隻)吾艦隊航路ノ左前方ニ見ユ
     同時ニ方位ヲ示スコトアリ
〔J+7〕敵ノ偵察艦一隻(指示隻)吾艦隊航路ノ右前方ニ見ユ
     同時ニ方位ヲ示スコトアリ
〔J+8〕敵ノ偵察艦一隻(指示隻)吾艦隊航路ノ左前方ニ見ユ
     同時ニ方位ヲ示スコトアリ
〔J+9〕敵ノ驅逐艦〔水雷艇〕(指示隻)吾艦隊航路ノ右前方ニ見ユ
     同時ニ方位ヲ示スコトアリ
〔L+0〕敵ノ驅逐艦〔水雷艇〕(指示隻)吾艦隊航路ノ左前方ニ見ユ
     同時ニ方位ヲ示スコトアリ
〔L+1〕敵ノ艦隊吾艦隊ノ後方(指示海里)ニ在リ
     同時ニ方位ヲ示スコトアリ
〔L+2〕敵ハ我艦隊ノ現位置ヨリ指示方位(指示海里)ニ在リ
〔L+3〕敵ハ(指示時刻)指示地点付近ニアリ(指示方位ノ針路ヲ取レリ)
〔L+4〕敵ハ我ニ(指示方位)向ツテ来ル
〔L+5〕敵ハ我ヲ避ケ(指示方位ニ)退却ス
〔L+6〕敵ハ吾艦隊航路ヲ左ヨリ右ニ(指示方位ニ)横切ル
〔L+7〕敵ハ吾艦隊航路ヲ右ヨリ左ニ(指示方位ニ)横切ル
〔L+8〕敵ノ兵力ハ今逐次ニ掲クル艦種艦数ナリ(万国艦船信号旗C、D、F、Gノ下ニ艦数ノ号旗ヲ加ヘテ掲ク)
       艦種 C……戰艦及一等巡洋艦
          D……二等巡洋艦以下
          F……軍艦
          G……駆逐艦又ハ水雷艇
〔L+9〕敵ノ主力ハ戦艦又ハ一等巡洋艦(指示隻)ナリ
     敵艦ノ舩名信号アルトキハ逐次ニ之ヲ示スコトアリ
〔N+0〕敵ハ駆逐艦(指示隻)ヲ伴ヘリ
〔N+1〕敵ハ水雷艇(指示隻)ヲ伴ヘリ
〔N+2〕敵艦隊ノ編制ハ……隊ニ区分サレアリト認ム
〔N+3〕敵ノ旗艦ハ……號ナリ
〔N+4〕敵ノ陣形ハ指示陣形ナリ(艦隊運動程式ノ陣形変換信号ヲ同時ニ示ス)
〔N+5〕敵ノ速力ハ……海里ト認ム
〔N+6〕敵艦隊ノ非戦側ニ水雷艇〔駆逐艦〕(指示隻)伏艇シ居レリ
〔N+7〕敵ノ水雷艇〔駆逐艦〕(指示隻)指示方位ヨリ其隊(艦)ニ向ツテ急進ス/セリ
〔N+8〕敵ハ……シツツアリ/アルカ如シ
〔N+9〕敵艦隊吾ヲ追躡ス
〔R+0〕敵ノ驅逐艦(水雷艇)吾ヲ追躡シツツアリ
〔R+1〕敵ノ駆逐艦(水雷艇)吾ヲ追尾セルモノノ如シ
〔R+2〕敵ハ陸戦隊ヲ上陸セントス
〔R+3〕敵ハ反装水雷ヲ試ミントス
〔R+4〕敵ハ探海ヲ試ミントス
〔R+5〕敵ハ掃海ヲ試ミントス
〔R+6〕敵ノ艦隊(指示隻)港外ニ出ツ(指示方位ニ航進ス)
〔R+7〕敵ノ駆逐艦(指示隻)港外ニ出ツ(指示方位ニ航進ス)
〔R+8〕敵ノ水雷艇(指示隻)港外ニ出ツ(指示方位ニ航進ス)
〔R+9〕敵ハ港内ニ入レリ
      右ノ四信号ハ主トシテ封鎖ノトキニ用ユ
〔S+0〕
〔S+1〕
〔S+2〕
〔S+3〕
〔S+4〕
〔S+5〕
〔S+6〕
〔S+7〕
〔S+8〕
〔S+9〕

【對敵】
〔V+0〕當隊(指示隊)ハ暫ク敵ヲ誘致スルノ運動ヲ取ル
〔V+1〕當隊(指示隊)ト共ニ敵ヲ叉撃スル如ク運動ス/スヘシ
〔V+2〕當隊(指示隊)ト共ニ敵ヲ挾撃スル如ク運動スヘシ
〔V+3〕敵ヲ右舷ニ見テ通過ス/セヨ
〔V+4〕敵ヲ左舷ニ見テ通過ス/セヨ
〔V+5〕敵ノ右方ヨリ其背面ニ迂回ス/セヨ
〔V+6〕敵ノ左方ヨリ其背面ニ迂回ス/セヨ
〔V+7〕戦闘距離ノ標準ヲ……千米突内外トス
〔V+8〕今ヨリ遠戰ス/セヨ
    (遠戰トハ四千米突以外ノ砲戦ヲ云フ)
〔V+9〕今ヨリ接戦ス/セヨ
    (接戦トハ一千米突以内ノ砲戦ヲ云フ)
〔Y+0〕敵ノ弾着距離以内ニ位置ヲ執リ適宜ニ運動ス/セヨ
〔Y+1〕敵ノ退路ヲ遮断ス/セヨ
〔Y+2〕敵ヲ追窮シ其行ク処ヲ確ムヘシ
〔Y+3〕敵ヲ長驅スルコト勿レ
〔Y+4〕敵ヲ指示時刻(指示地点附近)迄追撃〔逆撃〕ス/セヨ
〔Y+5〕敵ヲ追躡シ好機ヲ俟テ襲撃〔攻撃〕ス/セヨ
〔Y+6〕敵ト觸接ヲ保續ス/セヨ
〔Y+7〕敵ノ驅逐隊(水雷艇隊)ト觸接ヲ保ツ/テ
〔Y+8〕當隊(指示隊〔艦〕)ノ退却ヲ掩護ス/セヨ
〔Y+9〕追躡セル敵ヲ努メテ指示方向ニ誘致ス/セヨ

〔(縦)〇+〇〕聯合陸戦隊ヲ編制ス各艦ハ其既定部署ノ一舷?陸戦銃隊及砲隊ヲ出セ
〔(縦)〇+一〕聯合陸戦隊ヲ編制ス各艦(指示艦)ハ二箇小隊(指示箇小隊)ノ陸戦銃隊ヲ出セ
        小隊長二名、信号兵二名、看護一名之ニ属ス
〔(縦)〇+二〕聯合陸戦隊ヲ編制ス各艦(指示艦)ハ野砲二門(指示門)ヲ出セ
        工作兵若干之ニ属ス
〔(縦)〇+三〕指示艦ヨリ第……大隊長ヲ出セ
        大隊副官、傳令信号兵若干之レニ属ス
〔(縦)〇+四〕指示艦ノ艦長(指示職)ニ陸戦隊指揮官(指示職)ヲ命ス
〔(縦)〇+五〕指示艦第……中隊長ヲ出セ
        中隊下士、??下士之レニ属ス
〔(縦)〇+六〕指示二艦ノ小隊ヲ以テ第……中隊ヲ編制ス
〔(縦)〇+七〕敵前上陸ノ準備ヲ爲ス/セ
〔(縦)〇+八〕揚陸所ヲ築造スルノ準備ヲ爲ス/セ
〔(縦)〇+九〕聯合陸戦隊ハ直ニ(指示時刻迄ニ)旗艦(指示艦若クハ指示地)ニ集合ス/セヨ
〔(縦)一+〇〕聯合陸戰隊(指示艦ノ陸戦隊)ハ指示地点(當艦ヨリ指示方位ノ海岸)ニ上陸ス/セヨ
〔(縦)一+一〕陸上ノ敵ハ上陸点ノ指示方位(指示陸里)ニ在リ
〔(縦)一+二〕陸岸ニ敵アリ
〔(縦)一+三〕陸岸ハ抵抗ナシ


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(特別な一旒信号)

〔Z〕皇國ノ興廃コノ一戰ニアリ各員一層奮勵努力セヨ

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