■□■□■ 建築設計偽装事件関係者の刑事責任(解法者)■□■□■

 耐震偽造問題について、国家責任に次いで、関係者の刑事責任がどのようになるだろうかを、解法者さまが解説してくださいました。
 勉強になりますので、どうかお読みください。
(オロモルフ)


◆◆◆ 建築設計偽装事件関係者の刑事責任(1)  投稿者: 解法者  投稿日:12月30日(金)01時03分59秒 ◆◆◆

 今回の建築設計偽装事件関係者は多数存在するが、一番関心があるのは、総合経営研究所、ヒューザー、木村建設の関係者だ。彼らの刑事責任を検討してみたい。未だ事実関係が解明されたとは言い得ないが、これまで報道されたことを前提に考えてきることにしたい。事実認定に強引なところがあれば、ご批判いただきたい。

1.総合経営研究所の内河健所長とチーフコンサルタント四ヶ所猛
 問題は「詐欺罪」、「組織犯罪処罰法違反」、「議院証言法違反」で立件できるか
である。
「建築基準法違反」などは微罪、これでしか立件できないようでは捜査当局の力量が問われる。

@ 詐欺罪
 これは、(1) 人を欺いて (2) 相手方を錯誤に陥らせ (3) 財産上の処分行為、をさせることによって成立する。
 本件においては、内河が建築設計偽装を知っていることが最大の問題となる。
 つまり、姉歯設計士あるいは木村建設が建築基準法違反を承知で建築確認申請をし、建築確認証の交付を受けたことを知っていたことである。
 これについては、内河所長の経営する総合経営研究所のチーフコンサルタント四ヶ所猛が、1級建築士であり、同研究所がホテル建設をコンサルタント(経営指導)し、これの建設を担当した建築会社に、こと細かく柱の削減およびその寸法などを指示していたことから、建築基準法違反を知悉していたことはほぼ間違いない。そして、この建築基準法違反の設計指示が四ヶ所猛独断であるとは考え難く、内河所長の指示によるものであることは十分に考えられる。
 したがって、内河所長はこの事実を秘しホテルの建築主に建築基準法に準拠したホテル(建物)であると<欺いて>誤信させ<錯誤に陥らせ>、その結果、建築主から経営コンサルタント料を総合経営研究所に支払わせた<財産上の処分行為>ことが認定され、したがって、詐欺罪が成立する。10年以下の懲役となる(刑法第246条)。
 なお、内河と四ヶ所は共謀共同正犯となる。


◆◆◆ 建築設計偽装事件関係者の刑事責任(2)  投稿者: 解法者  投稿日:12月30日(金)01時01分2秒 ◆◆◆

A 組織犯罪処罰法違反
 この犯罪は見慣れないと思われる方もいると思うが、これは平成12年に新設された「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下組織犯罪処罰法という)」という。
 これが新設された目的は、組織的な犯罪が平穏かつ健全な社会生活を著しく害し、および犯罪による収益がこの種の犯罪を助長するとともに、これを用いた事業活動への干渉が健全な経済活動に重大な悪影響を与えることにかんがみ、組織的に行われた殺人等の行為に対する処罰を強化し、犯罪による収益の隠匿及び収受並びにこれを用いた法人等の事業経営の支配を目的とする行為を処罰するとともに、犯罪による収益に係る没収及び追徴の特例並びに疑わしい取引の届出等について定めることにある(同法第1条)。
 これを総合経営研究所の内河健所長に当てはめてみると、彼はその支配する(実質的経営者)である「内河」、「栄光企画」、「丸安エビスビル」に過去5年間に1億4千万円を「木村建設」の子会社「平成設計」に設計を請負わせたとしてリベートを請求し、これを受けている。
 「平成設計」は姉歯秀次一級建築士にその構造設計を委ねており、彼の設計が建築基準法の要件に満たないことを知っていたと考えられ、さらに、その設計は総合経営研究所のチーフコンサルタント四ヶ所猛の指示に基づくものであるから(四ヶ所猛の先の指示先の一つが「木村建設」である)、総合経営研究所の内河健所長は、「平成設計」が違法(建築基準法の要件に満たないことを知悉)な行為によって収受した設計料の一部を収得し、これをいかにも無関係を装って総合経営研究所とは別組織の前記三社に請求・収受させたことは、犯罪収益を仮装又は隠匿したものであるから、組織犯罪処罰法第10条1項に該当し、5年以下の懲役若しくは3百万円以下の罰金に処せられることになる。本罪については、四ヶ所猛がその処理方法(犯罪収益の仮装・隠匿)を知悉していた場合に限って共謀共同正犯となる。なお、犯罪収益の仮装・隠匿していなかったとしても犯罪収益を収受していたことは疑いがないから、同法第11条により、3年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処せられることになる。
 「詐欺罪」が成立すれば、長期の1.5倍であるから、15年以下の懲役となる。
 短期は、総合経営研究所という団体によって組織的行われたと考えられるから、1年以上となる(同法第3条1項9号)。

 「組織犯罪処罰法」 この法律は今後たびたび報道されるから憶えておいた方がよい。


◆◆◆ 建築設計偽装事件関係者の刑事責任(3)  投稿者: 解法者  投稿日:12月30日(金)00時56分5秒 ◆◆◆

B 議院証言法違反
 これは「議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律」である。
 宣誓した上で偽証すると3月以上10年以下の懲役に処せられる(同法第6条1項)。重罪である。
 ここでは詳しく述べないが、まず、内河健所長と四ヶ所猛の双方とも虚偽の陳述をしていることは間違いないものと考えられ、本罪が成立しよう。
 先の犯罪(詐欺罪など)が成立すれば、これと併合罪の関係に立つ。
 したがって、「詐欺罪」あるいは「議院証言法違反」が立証できるかどうかが、最大の焦点となる。

C 建築基準法違反
 建物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること(建築基準法第20条1号)が要求されるところ、先のとおり、「平成設計」は姉歯秀次一級建築士にその構造設計を委ねており、彼の設計が建築基準法の要件に満たないことを内河所長の経営する総合経営研究所のチーフコンサルタント四ヶ所猛が知っていたと考えられ、さらに、その設計は総合経営研究所のチーフコンサルタント四ヶ所猛の指示に基づくものであることは疑いの余地はない。
 さらに、これは内河所長の指示によるものであることも認定できよう。
 したがって、建築基準法第20条1号に違反するのであるから、同法第99条4号に該当し、30万円以下の罰金に処せられる。
 両人とも共謀共同正犯の関係にある。

D 法人税違反
 先のこれを総合経営研究所の内河健所長がその支配する(実質的経営者)である「内河」、「栄光企画」、「丸安エビスビル」に過去5年間に1億4千万円を「木村建設」の子会社「平成設計」に設計を請負わせたとして、リベートを請求し、これを受けているが、これを申告しなかったときは、法人税違反などに問われる。

 捜査は、立証が比較的容易な「議院証言法違反」で逮捕し、これをキッカケにまず、「建築基準法違反」を認定し、「詐欺罪」、「組織犯罪処罰法違反」を追及していくものと考えられる。
 鈴木宗男衆議院議員のときがそうだった。


◆◆◆ 建築設計偽装事件関係者の刑事責任(4)  投稿者: 解法者  投稿日:12月30日(金)00時53分22秒 ◆◆◆

2.木村建設の木村盛好社長と篠塚明東京支店長

@ 詐欺罪
 これは、総合経営研究所のところで述べたことがそのまま妥当する。
 本件においては、木村盛好あるいは篠塚明が建築設計偽装を知っていることが必要となる。つまり、姉歯秀次1級建築士あるいは木村建設が建築基準法違反を承知で建築確認申請をし、建築確認証の交付を受けたことを知っていたことである。
 これについては、姉歯秀次1級建築士が木村建設の篠塚明東京支店長から圧力を受けたと証言していることもあり、それが篠塚明とは思われないことから、まず、両人とも建築設計偽装を知っていたと考えてよい。
 したがって、木村盛好社長はこの事実を秘しホテルなど建築主に建築基準法に準拠したホテル・マンションであると<欺いて>誤信させ<錯誤に陥らせ>、その結果、建築主から建設費を収受している<財産上の処分行為>ことが認定され、したがって、詐欺罪が成立する。10年以下の懲役となる(刑法第246条)。
 なお、木村盛好と篠塚明は共謀共同正犯となる。


◆◆◆ 建築設計偽装事件関係者の刑事責任(5)  投稿者: 解法者  投稿日:12月30日(金)00時43分52秒 ◆◆◆

A 組織犯罪処罰法違反
 木村盛好社長については、本罪は成立しない。
 本罪は犯罪によって第三者が得た金員などをもらい受ける(収受)することによって成立する犯罪であり、自ら犯罪を行い金員などを収受した場合には成立しない。つまり本罪はいわゆる「上納金」を罰するものである。
 木村盛好社長は自ら詐欺行為を働いて建築主から建設費を収受したが、第三者から、犯罪収益を収受したものではないからである。
 篠塚明東京支店長は姉歯秀次一級建築士からリベートを受けており、姉歯秀次が受けた犯罪収益を収受したことになるから、本罪が成立する。
 なお、総合経営研究所の場合と異なり、同法第10条1項の犯罪は成立しない。
 「詐欺罪」が成立すれば、長期の1.5倍であるから、15年以下の懲役となることは前に述べたとおりである。
 短期は、篠塚明東京支店長が個人として行なったもので、同法第3条1項9号は適用されない。短期は1月以上となる(刑法第12条1項)。


◆◆◆ 建築設計偽装事件関係者の刑事責任(6)  投稿者: 解法者  投稿日:12月30日(金)00時41分37秒 ◆◆◆

B 議院証言法違反
 これも、木村盛好社長と篠塚明東京支店長について、双方とも虚偽の陳述をしていることは間違いないものと考えられ、本罪が成立しよう。3月以上10年以下の懲役に処せられる(同法第6条1項)。
 先の犯罪(詐欺罪など)が成立すれば、これと併合罪の関係に立つ。
 したがって、ここでも「詐欺罪」あるいは「議院証言法違反」が立証できるかどうかが、最大の焦点となる。

C 建築基準法違反
 建物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること(建築基準法第20条1号)が要求されるところ、先のとおり、「平成設計」は姉歯秀次一級建築士にその構造設計を委ねており、彼の設計が建築基準法の要件に満たないことを、木村盛好社長と篠塚明東京支店長が知っていたと考えられ、その設計は両者の指示に基づくものであることと考えられる。
 したがって、建築基準法第20条1号に違反するのであるから、同法第99条4号に該当し、30万円以下の罰金に処せられる。
 両人とも共謀共同正犯の関係にある。

 これも、捜査は、立証が比較的容易な「議院証言法違反」で逮捕し、これを突破口にして、まず、「建築基準法違反」を認定し、「詐欺罪」、「組織犯罪処罰法違反」を追及していくものと考えられる。


◆◆◆ 建築設計偽装事件関係者の刑事責任(7)  投稿者: 解法者  投稿日:12月30日(金)00時38分46秒 ◆◆◆

3.ヒューザーの小嶋進社長

@ 詐欺罪
 これは、木村建設のところで述べたことがそのまま妥当する。
 特に、小嶋進社長については、民間確認検査機関「イーホームズ」の藤田東吾社長が建築確認の偽装を明らかにしたときのやり取り、およびその後でも欠陥マンションを販売したことから、当該マンションに関しては詐欺の意思は明確である。
 また、彼も単なる不動産会社ではなく、自ら建築主となってマンションを販売していたのであり、しかも販売したマンションはいずれも市価より大幅に安く、設計を担当していた姉歯秀次1級建築士が建築基準法違反を承知で建築確認申請をし、建築確認証の交付を受けたことを知っていたと考えてよい。
 したがって、小嶋進社長はこの事実を秘しマンションを建築し、建築基準法に準拠したマンションであると<欺いて>誤信させ<錯誤に陥らせ>、販売し、購入者から金員を収受している<財産上の処分行為>ことが認定され、したがって、詐欺罪が成立する。10年以下の懲役となる(刑法第246条)。


◆◆◆ 建築設計偽装事件関係者の刑事責任(8)  投稿者: 解法者  投稿日:12月30日(金)00時36分43秒 ◆◆◆

A 組織犯罪処罰法違反
 これも木村建設のところで述べたことがそのまま妥当する。本罪は成立しない。

B 議院証言法違反
 まだ、証言をしてないので、何とも言えないが、虚偽の陳述は間違いなくあると
考える。

C 建築基準法違反
 これも木村建設のところで述べたことがそのまま妥当する。

 これも、捜査は、立証が比較的容易な「議院証言法違反」で逮捕し、これを突破口にして、まず、「建築基準法違反」を認定し、「詐欺罪」、「組織犯罪処罰法違反」を追及していくものと考えられる。


◆◆◆ 建築設計偽装事件関係者の刑事責任(9)  投稿者: 解法者  投稿日:12月30日(金)00時34分56秒 ◆◆◆

4.姉歯秀次1級建築士

@ 詐欺罪
 設計料について成立する。

A 組織犯罪処罰法違反
 成立しない。

B 議院証言法違反
 虚偽の陳述はないものと考えるが、なお判明しない。

C 建築基準法違反
 これは、木村建設のところで述べたことがそのまま妥当する。成立は疑いがない。

5.藤田東吾イーホームズ社長および同社の建築主事
 罰則規定はないようである。


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