■■■ アイドル棋士の「運と実力」(オロモルフ)■■■


◆◆◆ ▼アイドル棋士1 運と実力 ◆◆◆

 日本将棋連盟で主催している奨励会は、プロ棋士を目指す人たち(若い男性が中心)の研鑽の場ですが、ここに入会しても相当な成績をおさめないかぎりプロ入りは不可能ですから、じつに厳しい戦いの場でもあります。
 六級など下位の人でもアマ強豪の実力が有りまして、二十歳までに初段にならないと強制的に退会です。

 ついに三段になりますと、三段リーグというのが年に二回あり、上位成績の各二名(年に四名)が四段を与えられて、プロになります。
 三段はたくさんいますので、プロになるのはそのごく一部の人であり、大部分はなれずに終わります。そして年齢が二十六歳になりますと、退会となってしまいます。
 毎年、無念の気持ちで去ってゆく人がたくさんいるわけです。

 もともと奨励会に入るような人は、小学生時代から天才少年とうたわれて期待され、プロ棋士も認めて師匠になってくれた人たちですが、とにかく天才ばかりの集団ですから、そこから抜け出すのは大変なことです。

 四段になるのは、むろん実力が無ければ不可能なので、プロになった人はそれだけの実力が有ったわけですが、では、実力だけでプロになるならないが決まるかといいますと、必ずしもそうではないようです。
 つまり、同じ年に羽生さん森内さんのような超天才が何人もいますと、数年違えば四段になれたかもしれない人が、なれずに終わってしまう・・・そういう現象があり得るのです。

 まあ、奨励会の三段リーグを抜け出してプロの四段になる事が出来るのは、七〜八割の実力に二〜三割の運が伴った時ではないでしょうか。
 羽生さんのようにずば抜けた超天才(せいぜい日本全体で十数人)を除きますと、そんなところではないか――と思うのです。
「運+実力」でいろんな事が決まるのは、人生そのものと同じです。


◆◆◆ ▼アイドル棋士2 女流棋士の登竜門(育成会)◆◆◆

 女流棋士の世界は男性を中心とした奨励会とはだいぶ違いますが、それでも「実力」だけで全てが決まるとは限らず、プロになるには「運」に左右される面もかなり有るように思います。
 女の戦いもまた「運+実力」です。
 里見三冠のように、高校生でタイトルを三つも取ってしまった超天才少女を除きまして、その次くらいの人たちを見ますと、そう感じる事が多いです。

 数年前まで、女流棋士の登竜門は育成会と呼ばれている組織でした。小中学生の頃から天才少女だと言われて各種のアマ棋戦で上位に進出し、プロ棋士に認められてお師匠さんになってもらった少女たちが育成会の入会試験を受けます。
 入ってからの制度は、何度も変更になっていますが、1996年度後期から2003年度前期までは、B級でスタートして一位になるとA級になり、そこでまた一位になると女流棋士二級として認められました。
(女流棋士は二級からがプロです)
 またその後の2003年度後期から2008年度後期までは、全体でリーグ戦をして、一位に昇級点をつけて、それが二度になると女流プロ二級になるという制度だったようです。
(くわしい事は知りませんが)


◆◆◆ ▼アイドル棋士3 女流棋士の登竜門(研修会)◆◆◆

 その育成会が2008年で終了し、2009年から研修会に移行しました。
 制度の再三の変更は、プロになる女流の棋力がかなりばらついて、批判が出たためでしょう。事実、ほとんど勝てずに辞めてしまった人もいるようです。
 研修会は奨励会のいわば予備校のようなもので、男性が中心ですが女性も試験に合格すればいつでも入会できます。
 クラスは最下のF級から最高のA級まであり、昇級規程が細かく決められています。最下のFでもアマ二段くらいの力が無いと入れません。試験は男女同じです。
 女流棋士希望の女性の場合は29歳まで在籍する事が出来て、C1級まで上がると、女流三級が与えられ、プロではありませんが女流プロの公式戦に出場が出来ます。
 そしてそこで、年間にタイトル戦の数以上の勝ち星(現在は女流タイトル戦が六つですから六勝以上)すると、女流二級になって正式の女流プロとなれます。
 その最初の例が室谷由紀女流初段である事は前に写真入りで記しました。
(たぶんそれ以後はまだ出ていないと思います)


◆◆◆ ▼アイドル棋士4 女流棋士の登竜門(奨励会)◆◆◆

 あと、最初から男性と一緒の研鑽を目指して奨励会に入っている女性が、現在三名います(休業中を含めると四名)。これも前に(写真入りで)名前を出しました。二級が二名(加藤・伊藤)、四級が一名(西山)で、まだ若い十五〜十七の天才少女だちです。
 これらの人たちの棋力は、研修会を卒業したレベルであり、男性と平等な条件で対局して二級になった人たちですので、もし女流棋士を希望すれば、すぐに女流プロ二級になれる筈です。
(アマも参加可能なオープンタイトル戦にはマイナビ女子オープンやリコー杯がありまして、そういう所には今年からこの奨励会二級の娘たちが出ることになったようです。この人たちは里見三冠を破るほどの実力者ですから、その活躍が注目されます。米長将棋連盟会長が「期待する」と、テレビで述べていました)


◆◆◆ ▼アイドル棋士5 女流アマ強豪の「運と実力」◆◆◆

 毎週日曜の午前のNHKTV将棋番組で、NHK杯の他に中級者向けの企画「山崎隆之のちょいワル逆転術」というのをやっています。
 山崎七段が解説して、鈴木真里が生徒役兼進行役をする番組です。
 山崎七段は有名な棋士ですが、アシスタントの鈴木真里は、肩書きに「元女流アマ名人」とあります。愛想の良い美人アマ棋士として知られる人です。高校大学時代は将棋ファンのアイドルでした。
 過去にも、NHKに何度も出ており、大盤解説の質問役もこなし、講座の生徒役も巧みにこなしています。正月の余興番組で羽生名人と指した事もあります。
 スカパーの将棋番組では常連で、毎日のように顔を見ます。

 では、どういう棋歴の人なのかと言うと・・・。

 1984年生まれの現在27歳。東京都出身。少女時代からカワユイ天才少女として有名。
 1997年13歳で育成会入り。
 1999年15歳でB級一位になったが同率がいて昇級ならず。
 2000年16歳で連続B級一位になったが同率がいてまたも昇級ならず。
 2000年後期から2001年前期まで休会。
 2001年後期についにB級一位になってA級に上がり、プロ入りに期待がかかる。
 2001年秋に女流アマ名人戦で優勝し「女流アマ名人」となる。
(この称号を得た女流が何人もプロになっているので期待がかかる)
 同じ2001年に高等学校女子選抜で優勝。
 2002年にも高等学校女子選抜で連続優勝。
 2002年後期を最後に、育成会を退会。
 その後早稲田大学に入学して、大学女子将棋で活躍。
 2006年学生女流名人戦で優勝し「学生女流名人」の称号を受ける。
 2009年、1dayトーナメントで準優勝。
 その後はLPSA公認アシスタントインストラクターとしても活動。
 美人アマ棋士として知られ、テレビ写りの良さと話術のうまさでテレビ将棋番組の常連となる。

 昇級ならなかった年から一年間休会していますが、高校受験(桐光学園高校)のためかも知れませんし、昇級ならずでショックを受けたのかも知れません。育成会の退会は早大受験のためだと思いますが、きわどくプロになり損なった人であることが分かります。

 写真の上の二枚が鈴木真里さんで、対局中なので真剣な表情ですが、テレビ解説ではじつににこやかです。後に立っているのは、女流プロの最高段位六段を持つ中井女流です。

 では、この鈴木真里さんと同じ年に育成会に入って無事プロになった女流棋士にどんな人がいるのか、二人ほどご紹介します。


◆◆◆ ▼アイドル棋士6 アイドル棋士の「運と実力」甲 ◆◆◆

 私がスカパーの囲碁将棋チャンネルを見るようになってから、鈴木真里はずっと初級講座の生徒役をやっておりますが、先生役はすでに三回変わっています。
 ふつうは先生役が変わらず生徒が変わるのだと思いますが、鈴木真里は人気があるためか、先生が忙しいのか知りませんが、先生役の方が変わるのです。
 先生役の最初は鈴木環那女流初段、次が上田初美女流二段、現在が中村桃子女流一級です。

 鈴木環那は将棋ファンのサイトを見ますと「カンナタンカワユイ」などという書込が山のように見つかります(笑)。つまり女流将棋界のアイドルですね。
 写真の中が環那タンです。
 対局中なので真剣な表情ですが、テレビに出ると愛嬌たっぷりで話術もうまく、私に言わせると愛嬌有りすぎ話術上手すぎるほどですが、とにかく将棋の普及という面では貴重な存在です。
 1987年千葉県生まれの今年24歳で、鈴木真里と同じ1997年に10歳で育成会に入り、2002年――つまり鈴木真里が育成会を退会した年にプロ入りを果たし、2006年に初段になりました。

 はじめて鈴木環那と鈴木真里の掛け合いを見た時は、姉妹じゃないかと思ってしまいましたが、じつは育成会で優勝を争ったライバルで、棋界のアイドルとしてもライバルだったのですね。
 じつに人生は「運と実力」です!


◆◆◆ ▼アイドル棋士7 アイドル棋士の「運と実力」乙 ◆◆◆

 次の上田女流二段は、前に陣屋報告で私自身が撮った写真を含めて書いてありますので略します。昨日「女王」のタイトルを取りました。
 鈴木真里さんが現在初級講座で相手をつとめているプロ棋士は、中村桃子女流一級です。
 やはり「モモタン」と呼ばれて将棋ファンのアイドル的存在です。
 下の写真が対局中の中村桃子です。
 兄はプロ棋士の中村五段、弟や妹もアマ将棋界で活躍中という将棋一家の出です。
 環那や真里ほど派手ではありませんが、やはりテレビ写りの良い表情と話術のうまさで、男性プロ棋士の解説の聞き役としてスカパーの常連になっています。

 環那タンと同じ1987年の生まれで埼玉県出身。やはり鈴木真里や鈴木環那と同じ1997年に育成会に入り、環那より五年遅れて2007年にプロ入りしました。
 そして2009年に一級に。
 今年度に入って好調で、先日は矢内四段を破るという快挙を成し遂げ、今後に期待されています。
 先に鈴木真里の棋歴の所で、2000年に二度目のB級一位になったがまたも同率がいたので昇級ならず――と記しましたが、この時の同率者が、じつは中村桃子だったのです。
 鈴木真里はこういう中学生の天才少女たちと高校時代に競っていて、じつにきわどい所でプロ入りを逃し、アマに徹する事になったのですね。

 ですから私の家内は、この年下の元ライバル中村桃子を先生と呼ぶ鈴木真里を「悔しいんじゃないかなあ」といつも言っておりますが、別格のアマとしての立ち位置に満足しているのだと思います。

 女流将棋も「運と実力」だなあ・・・と感じる所以です。
 今日は美人が話題で、しかも早大将棋部の後輩でもあるので、力が入ってしまいました(笑)。


◆◆◆ ▼上から鈴木真里、鈴木環那、中村桃子 ◆◆◆

(三人とも対局中なので厳しい顔ですが、テレビでは愛嬌たっぷりで話もツボを外しませんし、礼儀正しく今風の変な言葉遣いもしません。ファンが多いのも頷けます)

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