■□■□■ 軍事特許対策の国際比較(オロモルフ)■□■□■

(以下は10年前に調べた件ですので、現在では改善されているのかもしれません)

『軍事特許に関する制度』

 重要な軍事特許を機密にしたり国が収用・制限したりする制度は、国の安全保障上大切なものですから、多くの国がそういう制度を持っています。
 日本も戦前戦中は――当たり前の話ですが――この制度を持っていました。

 現在の主要な国々の軍事特許についての扱いがどうなっているかを、尾上道雄編著の『万国工業所有権情報総覧(平成八年)』から調べましたので、かいつまんで記します。

 この本では50国の特許法が調査されていますが、そのうち、軍事特許に関する条文の有る国が46カ国。無い国が4カ国です。

◎有る国の例――
主要国では:アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス等々。
近隣国では:韓国、中国、台湾、マレーシア等々。
その他では:イラク、マウライ、ジンバブエ、キューバ等々。
(合計46カ国)

◎無い国――ドミニカ、パナマ、チェニジア、日本。
(合計4カ国)

『日本の無為無策』

 日本には自国の軍事特許についての条項は無いのですが、じつは、外国の軍事特許の機密を守る制度はあります。

 外国の秘密を守る制度は、次の協定によっています。
 すなわち――
 昭和二十九年五月一日に発効した、

《日米相互防衛援助協定》

 ――です。

 先般イージス艦関連でアメリカを怒らせたとされる自衛官による機密漏洩も、この協定《日米相互防衛援助協定》を実行するために作られた法律、

《日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保持法》(昭和二十九年七月一日施行)

によって規制されているのですが、この同じ《日米相互防衛援助協定》に基づいて、昭和三十一年六月六日に発効した、

《防衛目的のためにする特許権及び技術上の知識の交流を容易にするための日米協定》

 ――によって、アメリカで秘密とされている発明に係る特許出願は日本でも秘密とされているのです。

 この協定の一部をご紹介しておきます。

第三条
一方の政府が合意される手続に従つて防衛目的のため他方の政府に提供した技術上の知識が、提供国で秘密に保持されている特許出願の対象たる発明をあらわすものであるときは、その特許出願に相当する他方の国でされた特許出願は、類似の取扱を受けるものとする。

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 日本は、先のデータにありますように、世界50カ国中、自国の軍事特許の機密を守る法律の無い4カ国の中の一つなのですが、ところが、外国であるアメリカの軍事機密は、協定によってちゃんと守っているわけです。
 これを「倒錯」といわずして何というのでしょうか。

(日本は世界の情報を集めるのが苦手な国だと言われていますが、その理由の一つに軍事機密を守る法律の無いことがあげられています。
外国は何の苦労もなく日本の機密情報が得られるので、ギブアンドテイクで自分たちの情報を日本に知らせる必要が無いのです。
特許の場合、すべてCD−ROMになりインターネットでも公開されますので、スパイは日本に来る必要すらありません。何の苦労もなく日本の最新技術を知ることができます。そうかといって特許に出さずに秘密にしておくと、外国から同じ発明が出願されたとき、どうしようもなくなります)

平成19年6月7日


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