■□■□■ 男系継続の確率計算――皇統問題の基礎――(オロモルフ) ■□■□■

(注:系図は乱れて見えるかもしれませんが、一太郎などに複写すれば、正規に戻ると思います)

■■■ 1.男系継続の確率計算 ■■■


◎計算の前提条件

 第四章で「万世一系」の思想について語りましたが(略)、一方遺伝的な側面では、初代からずっと男系――すなわち男性の天皇の皇子が天皇になることを基本とする男性の血統――が続いている、と言えます。
 女性の天皇は何方かおられますが、すべて男系であり、女性天皇が皇族外の男性と結婚して生まれた御子(つまり女系)が天皇の位についた例は、一度もありません。
 これは、現在の皇室典範改定の議論の中で、大きな問題となっているようですので、ここで「男系が継続する確率」を計算してみます。
 よく「国家百年の計」という言葉が聞かれますが、天皇家の歴史は推定二千年以上といわれますから、皇統の永続を願うとすれば、最低でも「国家二千年の計」を考えるべきでしょう。
 そうしますと、「男系の問題は確率の問題」になります。
 そこで、男系継続の確率計算を試みることにいたします。
 確率の計算には、いくつかの前提条件が必要です。

一 あくまでも一般論であって、現在の個々の皇族に当てはめた計算ではない。
二 側室無しとする。実質側室に等しい医学的手法も用いない。
三 ある時点での一組のご夫婦から出発する。
四 生まれる子供の数は平均値ではなく、どの代でも確定しているとする。つまり子供が三名という仮定の場合、どの代にもかならず三名が生まれるとする。つまり不妊難妊、主義による避妊などは無いとする。
五 生まれた子供は、全員かならず無事に成人して、次の子孫をもうけるとする。そしてそれがずっと続くとする。
六 男女生み分け技術など近未来的な医学は用いない。

 これは現実にはありえない甘い条件ですが、計算が楽ですので、このようにいたしました。


◎子供の数をパラメータにした男系継続の確率計算

〈1〉どの代にも一人の子供ができると仮定した場合
    男系が四代続く確率は十六分の一
    男系が八代続く確率は二百五十六分の一
    男系が十六代続く確率は六万五千五百三十六分の一

〈2〉どの代にも一・五人(二人と一人が交互)の子供ができると仮定した場合
    男系が四代続く確率は七分の一
    男系が八代続く確率は五十分の一
    男系が十六代続く確率は二千六百分の一

〈3〉どの代にも二人の子供ができると仮定した場合
    男系が四代続く確率は三分の一
    男系が八代続く確率は十分の一
    男系が十六代続く確率は百分の一

〈4〉どの代にも二・五人(三人と二人が交互)の子供ができると仮定した場合
    男系が四代続く確率は二・三分の一
    男系が八代続く確率は五・四分の一
    男系が十六代続く確率は二十九分の一

〈5〉どの代にも三人の子供ができると仮定した場合
    男系が四代続く確率は一・七分の一
    男系が八代続く確率は二・九分の一
    男系が十六代続く確率は八・五分の一

〈6〉どの代にも四人の子供ができると仮定した場合
    男系が四代続く確率は一・三分の一
    男系が八代続く確率は一・七分の一
    男系が十六代続く確率は二・八分の一


◎確率の考察

 現在一般に、一人の女性が一生のうちに生む子供の数は、二人を大きく下回っており、平成十五年に一・二九人というデータがあります。
(おそれおおいことですが、皇室でも平均すると二人以下です)
 仮に甘く考えて、平均一・五人としましても、実際にはその中に病気や事故があるでしょうし、不妊難妊の方もあるでしょうし、やむを得ない事情もあるでしょうから、実質上はほぼ一人でしょう。
 ですから先の計算で、四代続く確率はわずか十六分の一です。
 このような場合は、たまたま男子が二人生まれたときに分家をつくったとしても、その分家もすぐに断絶してしまいます。

 少子化が是正されて、平均して二人の子供を生んで育てるようになったとしましても、似た理由で実質は一・五人またはそれ以下でしょう。
 だとしますと、四代続く確率は七分です。
 平均三人という昔の日本に戻ったとしましても、実質は二人またはそれ以下でしょうから、四代目には家系数は三分の一またはそれ以下になってしまいます。
 分家を積極的につくれば多少は改善しますが、それでも抜本的な対策にはなりません。
 分家を含めたシミュレーションは次節でしますが、もともとこのようなケースでは、人口それ自体が減りますので、分家は多少の改善にしかならないのです。

 甘く考えても右のとおりですから、側室無しの男系継続がいかに困難かがわかりますが、それは自分の家系を調べてみれば納得できるでしょう。
 日本の戸籍制度は優秀ですから、幕末まで遡れます。
 私の場合は、曾祖父が婿養子で孫は女系です。したがって男系は曾祖父の子供から数えて、祖父・父・私・息子と四代で終わりです。
 男性の知人に聞いた範囲では、最長で五代、最短で一代でした。
 庶系無しですと、多くの家で二代か三代で終わっている筈です。


■■■ 2.男系継続のシミュレーション ■■■


◎シミュレーションの前提

 前の節で、ひとつの代の夫婦にできる子供の数を一人から四人まで変化させて、男系が継続する確率を計算しました。
 三人以上にしますと、継続の確率はかなり良くなりますが、実際にはこれは有り得ない数字です。
 一人の女性が生涯に産み育てる子供の数を「合計特殊出産率」というそうですが、この数値がどうなっているかを記します(日本国勢図会)。

 一九三〇年 四・七一
 一九四〇年 四・一一
 一九五〇年 三・六五
 一九六〇年 二・〇〇
 一九七〇年 二・一三←この数字が人口が減らない限界。
 一九八〇年 一・七五
 一九九〇年 一・五三
 二〇〇〇年 一・三六
 二〇〇三年 一・二九

 人口が減らない限界はほぼ二・一と言われておりますから、これは大変な事態です。
 一組のご夫婦がなんとかして二人または三人育てれば――という問題を超えているのです。
 この数字は、結婚しない女性の分も含まれておりますから、結婚したご夫婦としては、結婚しなかった方の分まで頑張らないと、平均が二・一以上にはならないのです。

 前節の確率は、分家を含んでいませんでしたから、この節では、分家を含めた男系継続の様子を、乱数を用いたシミュレーションで求めてみます。
 仮定として、「本家」「分家」ともにどの代も必ず二人のお子さんが産まれ、結婚するまで必ず無事に育ち、必ず次のお子さんを産む――とします。
 これは現実には有り得ない甘い仮定ですが、とりあえずこのようにいたします。

 本家から直接分かれた分家を「一次分家」とし、そこからさらに分かれた分家を「二次分家」とし、さらにその先を「三次分家」としました。
 子孫がどこまで続くかのシミュレーションは「二次分家」までとし、「三次分家」は何家発生するかの数だけを数えました。
 一般社会では「一次分家」の子供は「本家」の子供から見れば従兄弟従姉妹ですから、顔なじみが多いでしょうが、「二次分家」となりますと、名前も顔も知らない――というケースが増えると思います。
 まして「三次分家」になりますと、霧の向こうの人たちになってしまっている筈です。

 乱数によるシミュレーションは百のケースを試み、用いた乱数の数は、約二二〇〇個でした。

 まず最初に、具体例を三ケース示します。
(1)初代で終わってしまうケース(もっとも多いケースです)。
(2)本家が九代続くケース(かなり稀なケースです)。
(3)二次分家まで含めて四十代続くケース(このシミュレーションでもっとも男系   が続いたケースです)。

 なお、前節の計算では、計算の都合上初代の子供を一代目と数えておりますが、ここでは初代を一代に数えます。


◎(1)初代で終わってしまうケース

〔本家〕



初代──┬女
    │
    └女

 このケースがもっとも多く、確率論では二十五パーセントですが、シミュレーションでは二十九パーセントありました。
 つまり幸運を期待する以外に方法が無いのです。


◎(2)本家が九代続くケース

〔本家〕

1    2   3   4   5   6   7
初代──┬女  ┌男──┬女  ┌男──┬男──┬男*
    │   │   │   │   │   │
    └男──┴男a └男──┴男b └女  └女

    7    8   9
    男*──┬女  ┌男──┬女
        │   │   │
        └男──┴女  └女


〔一次分家/abの二家〕

3    4   5   6   7   8   9
男a──┬男──┬男──┬男──┬男──┬女  ┌男*
    │   │   │   │   │   │
    └女  └女  └男A └女  └男──┴男B

    9    10   11   12
    男*──┬女  ┌女  ┌女  ┌女
        │   │   │   │
        └男──┴男──┴男──┴女

5    6   7   8
男b──┬男──┬男──┬男──┬女
    │   │   │   │
    └男C └男D └男E └女


〔二次分家/ABCDEの五家〕

6    7   8   9   10   11
男A──┬女  ┌男──┬女  ┌男──┬男──┬女
    │   │   │   │   │   │
    └男──┴男ア └男──┴女  └男イ └女

9    10   11
男B──┬男──┬男──┬女
    │   │   │
    └男ウ └男エ └女

6    7   8   9   10   11   12
男C──┬男──┬男──┬男──┬男──┬女  ┌女
    │   │   │   │   │   │
    └男オ └女  └男カ └女  └男──┴男*

         13   14   15   16   17
        ┌男──┬男──┬男──┬男──┬男*
    12   │   │   │   │   │
    男*──┴男キ └男ク └男ケ └男コ └女

    17    18
    男*──┬男──┬女
        │   │
        └男サ └女


男D──┬女
    │
    └女

8    9   10
男E──┬男──┬男シ ┌女
    │   │   │
    └女  └男──┴女


〔三次分家/アイウエオカキクケコサシの十二家〕

 これを総合しますと、
◎本家は九代。
◎一次分家は、a(十二代)とb(八代)の二家。
◎二次分家は、A(十一代)、B(十一代)、C(十八代)、D(七代)、E(十代)
 の五家。
◎三次分家は十二家。
 ――という事になります。
 二次分家まで含めた最大は十八代です。
 このケースはかなり長く続く運の良い家系で、めったにありません。
 百のケースの中で、これより代数の多いのは七ケースしかありませんでした。

 つぎに、百ケースの中で最大だった超強運の家系を記してみます。


◎(3)二次分家まで含めて四十代続くケース

〔本家〕

1    2   3   4   5   6   7
初代──┬男──┬男──┬男──┬男──┬男──┬男*
    │   │   │   │   │   │
    └女  └男a └女  └女  └男b └男c

    7    8   9   10   11
    男*──┬男──┬男──┬男──┬男──┬女
        │   │   │   │   │
        └男d └男e └男f └女  └女


〔一次分家/abcdefの六家〕

3    4   5
男a──┬男──┬男──┬女
    │   │   │
    └女  └男A └女

6    7
男b──┬男──┬女
    │   │
    └女  └女

7    8
男c──┬男──┬女
    │   │
    └男B └女


男d──┬女
    │
    └女


男e──┬女
    │
    └女

10    11   12   13   14   15   16
男f──┬男──┬女  ┌男──┬男──┬男──┬男*
    │   │   │   │   │   │
    └男C └男──┴女  └男D └女  └男E

    16    17   18   19   20   21
    男*──┬女  ┌男──┬男──┬女  ┌男*
        │   │   │   │   │
        └男──┴男F └男G └男──┴男H

    21    22   23   24   25   26
    男*──┬女  ┌男──┬男──┬男──┬男*
        │   │   │   │   │
        └男──┴男I └男J └女  └女

    26    27   28   29
    男*──┬男──┬女  ┌男──┬女
        │   │   │   │
        └女  └男──┴男K └女


〔二次分家/ABCDEFGHIJKの十一家〕

5    6   7   8   9   10
男A──┬女  ┌男──┬男──┬男──┬女  ┌女
    │   │   │   │   │   │
    └男──┴女  └男ア └女  └男──┴女

8    9   10
男B──┬男──┬男──┬女
    │   │   │
    └女  └男イ └女

11    12
男C──┬女  ┌女
    │   │
    └男──┴女

14    15   16   17   18   19   20
男D──┬男──┬男──┬男──┬女  ┌男──┬男*
    │   │   │   │   │   │
    └男ウ └女  └男エ └男──┴女  └女

    20
    男*──┬女
        │
        └女

16    17   18
男E──┬女  ┌男──┬女
    │   │   │
    └男──┴男オ └女

18    19
男F──┬男──┬女
    │   │
    └男カ └女

19    20   21   22   23
男G──┬女  ┌女  ┌男──┬女  ┌女
    │   │   │   │   │
    └男──┴男──┴女  └男──┴女

21    22   23   24
男H──┬男──┬男──┬男──┬女
    │   │   │   │
    └男キ └女  └女  └女

23    24   25   26   27   28   29
男I──┬男──┬男──┬女  ┌男──┬女  ┌男*
    │   │   │   │   │   │
    └男ク └女  └男──┴男ケ └男──┴男コ

    29    30   31   32   33   34
    男*──┬男──┬女  ┌女  ┌男──┬男*
        │   │   │   │   │
        └女  └男──┴男──┴男サ └女

    34    35   36   37   38   39
    男*──┬男──┬女  ┌女──┬男──┬女
        │   │   │   │   │
        └女  └男──┴男  └女  └男*

    39    40
        ┌男──┬女
        │   │
    男*──┴男シ └女

24    25   26   27
男J──┬男──┬男──┬女  ┌女
    │   │   │   │
    └男ス └女  └男──┴女

29    30   31
男K──┬男──┬女  ┌女
    │   │   │
    └女  └男──┴女


〔三次分家/アイウエオカキクケコサシスの十三家〕

 これを総合しますと、
◎本家は十一代。
◎一次分家は、a(五代)、b(七代)、c(八代)、d(八代)、
       e(九代)、f(二十九代)の六家。
◎二次分家は、A(十代)、B(十代)、C(十二代)、D(二十代)、E(十八代)、
       F(十九代)、G(二十三代)、H(二十四代)、I(四十代)、
       J(二十七代)、K(三十一代)――の十一家。
◎三次分家は十三家。
 ――という事になります。

 二次分家まで含めた最大は四十代に達しました。
 これは今回の試行で最長の家系であり、百のケースの中で、これより代数の多いケースは一つもありません。
 いわば、例外と考えた方がよいケースです。


■■■ 3.シミュレーションのまとめ ■■■


 前節では最短と最長を含む三つのケースを例示しましたが、つぎに、百ケースの結果をまとめてみます。
 試行が百では、まだ確率計算から隔たってはいるでしょうが、極端な違いは無いだろうと思います。


◎〈1〉本家の二代目の男女の並び方

  男男・・・百分の十九ケース
  男女・・・百分の二十三ケース
  女男・・・百分の二十九ケース
  女女・・・百分の二十九ケース

 確率理論で得られる百分の二十五との最大差はマイナス六、すなわちマイナス二十四パーセントです。
 ちなみに、試行数を二十としてみますと、確率理論との最大差はマイナス四十パーセントですので、試行数の増大によって理論値に近づいている傾向が見られます。


◎〈2〉本家のみの代数

 本家のみで男系が何代まで続いたかを調べてみます。

  (初代で終わるケース)→二十九
  (2代で終わるケース)→ 十九
  (3代で終わるケース)→ 十一
  (4代で終わるケース)→  六
  (5代で終わるケース)→  七
  (6代で終わるケース)→  四
  (7代で終わるケース)→  五
  (8代で終わるケース)→  六
  (9代で終わるケース)→  五
  (10代で終わるケース)→  〇
  (11代で終わるケース)→  二
  (12代で終わるケース)→  三
  (13代で終わるケース)→  〇
  (14代で終わるケース)→  一
  (15代で終わるケース)→  〇
  (16代で終わるケース)→  二
  (17代で終わるケース)→以下〇

 これについて簡単な検討をしてみます。
▽男系が二代までで断絶するケースは、四八/一〇〇=四十八パーセント。
 (理論は四十四パーセント)
▽男系が四代までで断絶するケースは、六五/一〇〇=六十五パーセント。
 (理論は六十八パーセント)
▽男系が八代までで断絶するケースは、八七/一〇〇=八十七パーセント。
 (理論は九十パーセント)
▽男系が十六代までで断絶するケースは、一〇〇/一〇〇=百パーセント。
 (理論は九十九パーセント)

 本家だけでの男系継続が極めて困難――というよりも不可能――である事がわかる数字です。


◎〈3〉一次分家まで含めた最大の代数

 つぎに、本家と一次分家の中で男系がつづく最大の代数を調べます。

  (初代で終わるケース)→二十九
  (2代で終わるケース)→ 十四
  (3代で終わるケース)→  九
  (4代で終わるケース)→  七
  (5代で終わるケース)→  七
  (6代で終わるケース)→  二
  (7代で終わるケース)→  八
  (8代で終わるケース)→  五
  (9代で終わるケース)→  四
  (10代で終わるケース)→  二
  (11代で終わるケース)→  二
  (12代で終わるケース)→  一
  (13代で終わるケース)→  一
  (14代で終わるケース)→  二
  (15代で終わるケース)→  〇
  (16代で終わるケース)→  三
  (17代で終わるケース)→  〇
  (18代で終わるケース)→  〇
  (19代で終わるケース)→  〇
  (20代で終わるケース)→  一
  (21代で終わるケース)→  〇
  (22代で終わるケース)→  〇
  (23代で終わるケース)→  〇
  (24代で終わるケース)→  〇
  (25代で終わるケース)→  〇
  (26代で終わるケース)→  一
  (27代で終わるケース)→  〇
  (28代で終わるケース)→  〇
  (29代で終わるケース)→  一
  (30代で終わるケース)→  一
  (31代で終わるケース)→以下〇

 これについても簡単な検討をしてみます。
▽男系が二代までで断絶するケースは、四三/一〇〇=四十三パーセント。
(本家のみのシミュレーションでは四十八パーセント)
▽男系が四代までで断絶するケースは、五九/一〇〇=五十九パーセント。
(本家のみのシミュレーションでは六十五パーセント)
▽男系が八代までで断絶するケースは、八一/一〇〇=八十一パーセント。
(本家のみのシミュレーションでは八十七パーセント)
▽男系が十六代までで断絶するケースは、九六/一〇〇=九十六パーセント。
(本家のみのシミュレーションでは百パーセント)

 本家だけの場合にくらべて男系継続の代数は増えますが、大幅な増加は見込めないようです。
 初代のみで終わってしまうケースの数が変わらないのは、分家が出来ないうちに断絶するので当然のことです。


◎〈4〉二次分家まで含めた最大の代数

 つぎに、本家と一次分家と二次分家の中で男系がつづく最大の代数を調べます。

  (初代で終わるケース)→二十九
  (2代で終わるケース)→ 十四
  (3代で終わるケース)→  八
  (4代で終わるケース)→  六
  (5代で終わるケース)→  七
  (6代で終わるケース)→  一
  (7代で終わるケース)→  八
  (8代で終わるケース)→  三
  (9代で終わるケース)→  二
  (10代で終わるケース)→  三
  (11代で終わるケース)→  五
  (12代で終わるケース)→  二
  (13代で終わるケース)→  〇
  (14代で終わるケース)→  〇
  (15代で終わるケース)→  〇
  (16代で終わるケース)→  三
  (17代で終わるケース)→  〇
  (18代で終わるケース)→  二
  (19代で終わるケース)→  一
  (20代で終わるケース)→  〇
  (21代で終わるケース)→  一
  (22代で終わるケース)→  〇
  (23代で終わるケース)→  一
  (24代で終わるケース)→  〇
  (25代で終わるケース)→  一
  (26代で終わるケース)→  一
  (27代で終わるケース)→  〇
  (28代で終わるケース)→  〇
  (29代で終わるケース)→  〇
  (30代で終わるケース)→  〇
  (31代で終わるケース)→  〇
  (32代で終わるケース)→  〇
  (33代で終わるケース)→  〇
  (34代で終わるケース)→  一
  (35代で終わるケース)→  〇
  (36代で終わるケース)→  〇
  (37代で終わるケース)→  〇
  (38代で終わるケース)→  〇
  (39代で終わるケース)→  〇
  (40代で終わるケース)→  一
  (41代で終わるケース)→以下〇

 これについても簡単な検討をしてみます。
▽男系が二代までで断絶するケースは、四三/一〇〇=四十三パーセント。
(本家のみのシミュレーションでは四十八パーセント)
(本家と一次分家のシミュレーションでは四十三パーセント)
▽男系が四代までで断絶するケースは、五七/一〇〇=五十七パーセント。
(本家のみのシミュレーションでは六十五パーセント)
(本家と一次分家のシミュレーションでは五十九パーセント)
▽男系が八代までで断絶するケースは、七六/一〇〇=七十六パーセント。
(本家のみのシミュレーションでは八十七パーセント)
(本家と一次分家のシミュレーションでは八十一パーセント)
▽男系が十六代までで断絶するケースは、九一/一〇〇=九十一パーセント。
(本家のみのシミュレーションでは百パーセント)
(本家と一次分家のシミュレーションでは九十六パーセント)

 本家と一次分家の場合にくらべて男系継続の代数は当然増えますが、やはり大幅な増加は見込めないようです。
 初代や二代のみで終わってしまうケースの数が変わらないのは、二次分家が出来ないうちに断絶するので当然のことです。
 検討結果を見ますと、代数が増えた場合の継続するケースは増えてはおりますが、もともと一次分家まで含めても、たとえば十六代つづく確率はとても小さいので、増えるのは当然のことです。
 つまり、分家の寄与に期待しすぎると失敗するという事です。
 側室無しの男系永続はとても大変なことなのです。


◎〈5〉一次分家の数

 側室無しの少子化という条件のもとでは、分家が頼りになりますので、この試行でできた分家の数を数えてみます。
 最初は一次分家の数です。

  一次分家無し→五十五ケース
  一次分家一家→二十七ケース
  一次分家二家→  七ケース
  一次分家三家→  五ケース
  一次分家四家→  二ケース
  一次分家五家→  三ケース
  一次分家六家→  一ケース

 つまり、半数以上のケースで、分家が出来ないうちに断絶しました。
 男系永続の困難性が実感できます。


◎〈6〉二次分家の数

  二次分家無し→七十五ケース
  二次分家一家→ 十一ケース
  二次分家二家→  二ケース
  二次分家三家→  四ケース
  二次分家四家→  二ケース
  二次分家五家→  三ケース
  二次分家六家→  〇ケース
  二次分家七家→  一ケース
  二次分家八家→  〇ケース
  二次分家九家→  〇ケース
  二次分家十家→  〇ケース
  二次分家十一家→ 一ケース
  二次分家十二家→ 一ケース

 全体の三分の四のケースについて、二次分家は出来ておりません。
 これもまた、男系永続がいかに困難かを物語っております。


◎〈7〉三次分家の数

三次分家無し→八十一ケース
三次分家一家→  五ケース
三次分家二家→  四ケース
三次分家三家→  二ケース
三次分家四家→  〇ケース
三次分家五家→  三ケース
三次分家六家→  一ケース
三次分家七家→  〇ケース
三次分家八家→  〇ケース
三次分家九家→  〇ケース
三次分家十家→  二ケース
三次分家十一家→ 〇ケース
三次分家十二家→ 一ケース
三次分家十三家→ 一ケース

 全体の八割以上のケースで、三次分家は出来ておりません。
 三次以上の分家が出来るのは幸運な家系のみなのです。


◎〈8〉男系の平均継続代数

 この百ケースにおいて、男系が継続する平均の代数を調べてみます。

▽本家のみの場合
 四・二代

▽一次分家まで含めた場合
 五・四代

▽二次分家まで含めた場合
 六・三代

 つまり、二次分家まで含めても、本家のみと比べて五割しか数値は上昇しておりません。
 先に、何人かの知人の家系を調べてもらったところ、本家のみの男系は五代が最高で、たいていは数代以下であると記しましたが、それはこの数字からも納得できます。


◎〈9〉とりあえずの結論

 以上は、あくまでも一般論として、確率を計算したり簡単なシミュレーションを試みたりしたに過ぎませんが、その結果はきわめて悲観的なものでありました。
 著者はこの問題の専門家ではありませんし、まして皇室問題の専門家でもありませんから、結論を述べるような学識は無いのですが、とりあえず頭に浮かびましたことを列挙してみます。

〔一〕ありえない前提
 ここでの計算に用いました、
「どの代も(遠い分家まで含めて)かならず二人の子供を産んで成人するまで育て、その子供たちがかならず結婚してかならず二人の子供を産んで育てる・・・」
 ――という前提は、現実にはありえません。
 それは、つぎのような理由からです。
  ◎病気や事故や災害でお子さんが亡くなることもある。
  ◎さまざまな理由(病気や主義など)でお子さんが結婚しないこともある。
  ◎最近では不妊難妊の人がひじょうに増えていると言われる。

〔二〕楽観的に過ぎる計算
 以上のことから、「どの夫婦もかならず二人」という前提は、実際には、「どの夫婦も四人か五人を目指す」という家系でなければ、おそらくは実現できないでありましょう。
 しかも、出発の時点ですでに分家が数家ていどないと、永続の保証は得られないでしょう。
 つまり、ここの計算そのものが楽観的に過ぎるのです。
 そしてその「楽観的に過ぎる計算」ですら、男系永続はきわめて困難なのです。

〔三〕女系を許しても断絶
「合計特殊出産率」は二〇〇三年で一・二九であり、二〇〇五年はもっと減っているでしょう。
 ですから、もし現在の日本人の平均値を前提としますと、たぶん「どの夫婦もお子さんの数は一人またはそれ以下」としなければならないでしょう。
 この前提での計算はとても簡単で、瞬く間に男系は断絶してしまいます。
 女系を許してもなお早期に断絶いたします。

〔四〕旧宮家の復帰
 本章の検討を強いて現皇室に当てはめますと、旧宮家を数家ていど皇族に復帰頂いたとしても男系は近未来には断絶する――という推定になってしまいます。
(著者は旧宮家復活は現時点では最善の策だと考えますが、長期的にはそれでも男系維持は困難だと心配しています。戦後皇族から離れた旧宮家も、男系が現在まで継続している御家は半分以下だそうです。これは戦後の制度と風潮下における男系維持がいかに困難かを示しています)

〔五〕天皇家の男系が維持できた理由
 天皇家のこれまでの長い歴史において、男系が継続できたのは奇蹟とも言えますが、少子化以外の過去と現在の最大の違いは「側室制度の有無」であります。
 これまでの天皇のほぼ半数が側室の生まれとされますから、庶系天皇がもし許されなかったとしたら、男系の皇統は、かなり初期の段階で終わっていたでしょう。
 つまり、側室無しでの男系永続は、一人の女性が十人近く産むのが珍しくなかった多子の時代でも、無理だったと思われます。
『記紀』の古代の既述からの推理は困難ですが、側室無しで皇統が十世紀まで継続したかどうか大いに疑問です。
 お金持ちや名家に側室が多数いた時代でも、断絶はしばしば起こっております。
 明治天皇にはお妃が何人もおられ、皇子皇女は十五人もおられたのですが、皇男子で成長されたのは病弱の大正天皇ただお一人であり、危機一髪でした。
 また昭和天皇も、今上天皇が降誕されるまで四人続いて内親王であり、側室復活の声が高まったのです。

〔六〕不妊難妊の問題
 最近では男性側の不妊難妊がとても増えていると聞いております。
 あくまでも一般論として、側室が有用なのは、不妊難妊の原因が女性の側にあるときのみです。
 言いにくい問題が多いのですが、いずれにせよ、不妊難妊に関する医学の大幅な進歩とその適用が望まれます。

〔七〕少数意見でしょうが
 今のところ少数意見でしょうが、先端医学を用いて男系断絶を防ぐ方法も真剣に考慮するべきだと思います。
 本章でなした計算は、著者の見解ではなく理論結果ですから、その前提をくつがえすような抜本的解決をはからないかぎり、男系永続は無理だからです。

〔八〕一般国民と皇室との関係
『皇室典範』改変問題に関連して、いろいろな意見がありますが、男系死守を主張する方々の間でもあまり話題にされないことを指摘したいと思います。
 私は皇室ウオッチャーではありませんが、昭和に入ってからの皇室史を調べてみますと、「皇族方の生き方は国民全体の生き方に沿っておられる」――という事に気づくのです。

  ◇昭和のはじめ、国民の一組の夫婦が持つ子供の数が平均五人ていどで、かつ男   子が産まれるまでは出産を続ける風習があったとき、昭和天皇/三笠宮殿下の   御子の数は七人/五人で、かつ皇子が誕生なさるまで出産をお続けになられま   した。
  ◇昭和二十年代以後、国民の一組の夫婦が持つ子供の数が二〜三人となりますと、   今上天皇の御子の数も三人となりました。
  ◇第一・五節に記しましたように、戦争直後に国民がキリスト教に傾いたとき、   皇族方もキリスト教に傾きました。
  ◇第一・六、七節に記しましたように、昭和三十年代から左翼史観が国民の間に   広まりますと、三笠宮様などの左翼的発言が増えました。
  ◇その後一般国民の間で少子化が進んで、一組の夫婦の持つ子供の数が二人を切   りますと、皇族方のお子さんも平均二人以下になりました。
  ◇さらに、一般国民の間で、女子が一人か二人生まれれば、男子が産まれなくて   も満足して出産を中止するようになりますと――つまり民間が男系を放棄する   ようになりますと――皇族方も男児にこだわらないようになりました。
  ◇またさらに、一般国民の間で結婚年齢が高齢化しますと、皇室でもそのように   なりました。

 ・・・というわけですから、男系を死守するためには、まずは我々国民が少子化を克服して、男の子が生まれるまでは頑張って出産を続けるような努力をいたしませんと、皇室にだけそれを期待したり、また数家程度の旧宮家を復活いただいたりしても、本章の計算でわかりますように、いずれは断絶してしまうでありましょう。

 逆に申しますと、
「一般国民が各家庭で少子化克服と男児誕生に向けて努力することは、皇統における男系永続の最低の条件である」
 ――と言えるでありましょう。

 そもそも、国民一般が少子化克服や男系継続に無関心で安易な生活をしているのに、皇室にだけそれを期待するのは、おかしな事だと思います。
 近現代史から、以上のことが言えそうな気がいたします。

〔九〕議論を架空世界のものにしないために
 著者は、はじめのうちは男系か女系かについて明確な考えはありませんでしたが、日本の古代史を勉強しているうちに、「日本の伝統を守るために天皇は男系でなければならない」という説に賛成するようになりましたし、また男系の男性天皇を主とする説にも賛成するようになりました。
「万世一系」とはまさにそのことなのでありましょう。

 しかし、いくら男系賛成を叫んでも、確率論からいって少子化克服と側室制度(あるいはそれと同等な医学的方法)を前提としないかぎりそれは困難――という理屈は変わりません。
 この理屈を正面から受け止めて方策を練りませんと、「男系を死守せよ」との主張は架空の世界に入ってしまうと思います。
 現行の制度と少子化が続くかぎり、女系を認めた場合でさえ、皇統断絶の確率がかなり高いのですから・・・。


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