■□■□■ アーサー・C・クラークのノンフィクション(オロモルフ)■□■□■

 先日亡くなりましたA・C・クラークさんの業績を偲ぶ一助としまして、日本で翻訳出版されたクラークさんのNF(ノンフィクション)を集めてみようと思います。
 私が持っているのは一部に過ぎないでしょうから、クラークファンの応援をお願いいたします。

◆◆◆ NF1『宇宙の探検』◆◆◆

◎アーサー・C・クラーク/白井俊明(訳)『宇宙の探検』白揚社(昭和29年12月)

はしがき
1.夢の実現
2.地球と近くの星
3.ロケット
4.地球からの脱出
5.遊星への道
6.宇宙機
7.月世界旅行
8.宇宙航行と通信
9.宇宙機内での生活
10.月
11.月の基地
12.内側の遊星
13.外側の遊星
14.遊星探検
15.宇宙停留所
16.わが太陽系以外の太陽系
17.恒星へ
18.手段と目的について
索引

 原題は「THE EXPLORATION OF SPACE」
 訳者は理論化学専攻で東大教養学部勤務。ファラデーの『ろうそくの化学』、ガモフ『太陽の誕生と死』などの訳書があります。
 したがってSF作家としてのクラークさんには興味が無い方のようです。

『惑星へ飛ぶ』(下記)が好評で、計算が苦手な人たちもこの問題に興味を持ってくれたので、理論式的なことを省いて仕上げた――といった意味のまえがきがあります。
 原著は1952年となっていますが、クラークが前書きを書いた日付は1951年5月なので、初版は1951年かもしれません。
『惑星へ飛ぶ』と同様に工学的センスに溢れた内容ですが、数学的な解析は最小限にして、より具体的な事柄に重点を置いて、書かれています。
 それは、章の題名からも分かると思います。
 その後の宇宙開発について、おどろくほど予言的な内容です。

◎月の星空

 月には大気がないので、昼間でも星が見える――という通説がありましたが、アポロが月に到着したとき、この通説が誤りであると分かりました。
 朝日新聞はこの事を取り上げて「誰も気づかなかった」と書きましたが、クラークはずっと前のこの本の中で、「通説は誤りだ」と明記しています。
 そこで私は朝日に投書して、この事を示しましたが、返事はありませんでした。
(新聞の科学面での間違いを指摘したことは何度もありますが、朝日からは一度も返事がありません。産経は半分以上返事が来ます。来ないこともありますけど(苦笑))

◎書影
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◆◆◆ NF2『惑星へ飛ぶ』◆◆◆

◎アーサー・C・クラーク/久住忠男(訳)『惑星へ飛ぶ』時事通信社/時事新書(昭和38年3月)

第一章 地球の引力圏
第二章 ロケット
第三章 ロケットによる脱出の問題
第四章 地球衛星と月ロケット
第五章 月への旅行
第六章 惑星間飛行
第七章 核推進
第八章 宇宙船および宇宙ステーション
第九章 人間対宇宙
第十章 開けゆくフロンティア
付録(方程式)

 原題は「INTERPLANETARY FLIGHT」
 初版は1950年に出版。1960年に改訂版が出まして、これは改訂版の翻訳です。

 訳者は戦時中艦隊参謀として過ごし、戦後は国際軍事情勢研究をしていた人。そういう軍事問題の一環として宇宙ロケットに興味を持って勉強した人です。
 ですから、解説にクラークのレーダなど技術面の説明はありますが、SF作家という面は語られていません。
 宇宙技術の専門家ではありませんが、翻訳はさほどおかしいとは思いませんでした。

 いかにもクラークらしい解説本で、地球から惑星間の宇宙へ飛翔するのに、どのような知識が必要なのかを、科学的に、じつに要領よく記しています。
 常に本質を記すので、ニュートン力学に準拠するかぎり、その内容は何十年たっても古びるという事がありません。
 私もこの本でずいぶん勉強しました。

◎書影
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◆◆◆ NF3『宇宙文明論』◆◆◆

◎アーサー・C・クラーク/山高昭(訳)『宇宙文明論』早川書房/ハヤカワ・ライブラリ/ポケットブック形式(196508)

はしがき
宇宙時代の試練
真空の中での休日
地球光の下で
ほう、火星におでかけですか?
太陽系だけでは足りない
流星
賢者の星
皆はどこにいるのですか?
太陽
天候を左右できるか?
ああ、翼があればなあ・・・
星の海の彼方に
精神と物質
上はどっちだ?
第三惑星についての報告
質問時間
空中の物体
月面上の人々
電波宇宙
宇宙と精神


 原題は「THE CHALLENGE OF THE SPACESHIP」
 1953年から1959年にかけて、いろいろな雑誌類に発表したエッセイを、著者自らが集め編集した本です。
 原著の出版は1961年です。

 翻訳者の山高さんは、これ以後クラークの著作を多く翻訳された方ですから、解説はきちんとしており、クラークがSF作家としても知られている人物であることを、ちゃんと書いておられます。

 軽いエッセイ集のように見えますが、内容は重厚であり、本質をえぐった論考が印象的です。
 戦後の日本SF界に大きな影響を与えた本です。

◎書影
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◆◆◆ NF4『未来のプロフィル』◆◆◆

◎アーサー・C・クラーク/福島正実・川村哲郎(訳)『未来のプロフィル』早川書房(昭和41年9月)

序文
1 予言、この危険を冒すもの――勇気の不足
2 予言、この危険を冒すもの――想像力の不足
3 未来の輸送機関
4 空気に乗る
5 重力を超えて
6 速度の探求
7 距離のない世界
8 ロケットの復活
9 ここより永遠に?
10 宇宙、この征服しがたきもの
11 時間について
12 黄金の時代
13 アラジンのランプ
14 透明人間
15 リリパットへの道
16 空からの声
17 頭脳と肉体
18 廃物となる人間
19 薄明の時代
未来の地図

 英題は「PROFILES OF THE FUTURE」
 福島正実さんのあとがきによると、1958年から1962年にかけてアメリカの雑誌に掲載した未来予測エッセイをまとめたものだそうです。
 その一部は『SFマガジン』にも掲載されました。
 日本で出版された1966年は、未来予測が流行した時代ですが、この本の予測は、いかにもクラークらしい、本質をえぐるものです。
 クラークの名をSFファン以外の人たちも知るようになる原因となった本でしょう。

◎書影
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◆◆◆ NF5『人間と宇宙の話』◆◆◆

◎アーサー・C・クラーク(本文)/編集部(写真解説)/岸田純之助(日本語版監修)『人間と宇宙の話(ライフサイエンスライブラリーコンパクト版6)』タイムライフインターナショナル(昭和42年10月)

第一章 宇宙旅行――夢から現実へ
第二章 V−2号から始まった宇宙時代
第三章 アメリカの長すぎた春
第四章 衛星打ち上げのシーソー・ゲーム
第五章 人工の星がもたらすかずかずの恩恵
第六章 月に秘められた限りない利用価値
第七章 性質を異にした地球の仲間たち
第八章 地球人と宇宙生物との宇宙競争
付録 宇宙への道が開かれるまで
索引

 原題は「MAN AND SPACE」だと思います。
 原著の出版は1964年。
 タイムライフインターナショナルから翻訳版が出た有名なシリーズです。
 このシリーズは内容が分かりやすくて面白いので、何冊か買いましたが、その中の白眉がこの本でした。
(カール・サガンによる『惑星の話』などもありましたが・・・)

 それにしても、クラークの才能に感嘆する一冊です。

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◆◆◆ NF6『スリランカから世界を眺めて』◆◆◆

◎アーサー・C・クラーク/小隅黎(訳)『スリランカから世界を眺めて』サンリオ/サンリオSF文庫(198107)

1 セレンディピティのこと
2 宇宙時代の夜明け
3 使用人の問題――東洋的流儀
4 財宝の香り
5 運行する星々
6 宇宙をさぐるには
7 新鮮な真空のひと呼吸
8 二〇〇一年の世界
9 「いま、月はふたたび生命を・・・」
10 「タイム」誌と「タイムズ」紙
11 これからの二十年
12 衛星とサリー
13 シンドバッドの海
14 ウイリーとチェズリー
15 火星と人間の心
16 オリンポスの雪
17 アイザック・アジモフ紹介の辞
18 宇宙の生命
19 UFOに関する最後の(?)発言
20 「むかむか」の来襲
21 クラーク条令
22 科学技術と知識の限界
23 宇宙科学委員会
24 電話の新世紀
25 アユ・ボワン!

 原題は「THE VIEW FROM SERENDIP」
 1960年代から70年代にかけて書かれた軽いエッセイ集です。
 ――というよりも、これまでのエッセイ集に収録されなかった記事を集めた拾遺本とでもいうべきでしょうか。
 20番目の作品は、珍作SFともいえるもので、私はSF書籍データベースに入れなかったと思いますが、入れれば良かったかも・・・。

◎書影
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◆◆◆ NF7『アーサー・C・クラークの2019年7月20日』◆◆◆

◎アーサー・C・クラーク/酒井昭伸(訳)『アーサー・C・クラークの2019年7月20日』旺文社(198709)

第1章 はじめに:月面居住者からの手紙
第2章 1969年7月20日:2019年から見たアポロ宇宙船月面着陸の意義
第3章 病院の一日
第4章 ロボットの一日
第5章 学校生活:在宅授業
第6章 旅への誘い:2019年の交通機関
第7章 宇宙ステーションの一日
第8章 映画館での一夜
第9章 野球場の一日:2019年のスポーツ
第10章 自動化住宅での惨劇
第11章 オフィスの一日
第12章 診療台での午後:2019年の精神分析
第13章 寝室での一夜
第14章 生と死のはざま
第15章 戦争
エピローグ:国際連合・2019年
索引

 A4に近いB5判で、写真やイラストの豊富な大型本です。
 原題は「ARTHUR C.CLARKE’S JULY 20,2019」
 原書出版は1986年です。
 この本の内容は、アポロ月着陸から50年後の社会を、物語風に予測したもので、NFであるとともにSFでもあります。
 国際政治問題については、かなり悲観的な記述があり、印象的です。

◎書影
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◆◆◆ NF8『スリランカから世界を眺めて』◆◆◆

◎アーサー・C・クラーク/小隅黎(訳)『スリランカから世界を眺めて』早川書房/早川文庫NF(昭和六十三年四月)(198107)

1 セレンディピティのこと
2 宇宙時代の夜明け
3 使用人の問題――東洋的流儀
4 財宝の香り
5 運行する星々
6 宇宙をさぐるには
7 新鮮な真空のひと呼吸
8 2001年の世界
9 「いま、月はふたたび生命を・・・」
10 「タイム」誌と「タイムズ」紙
11 これからの二十年
12 衛星とサリー
13 シンドバッドの海
14 ウイリーとチェズリー
15 火星と人間の心
16 オリンポスの雪
17 アイザック・アジモフ紹介の辞
18 宇宙の生命
19 UFOに関する最後の(?)発言
20 「むかむか」の来襲
21 クラーク条令
22 科学技術と知識の限界
23 宇宙科学委員会
24 電話の新世紀
25 アユ・ボワン!

 原題は「THE VIEW FROM SERENDIP」
 その6でご紹介した同題名書の早川からの七年後の再刊です。
 題名のうちの「二〇〇一」が「2001」に変わっていた程度です。
 訳文に改訂があるかどうかは分かりません。
 解説が訳者の小隅氏から永瀬唯に変更になっています。

◎書影
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◆◆◆ NF9『楽園の日々 アーサー・C・クラーク自伝』◆◆◆

◎アーサー・C・クラーク/山高昭(訳)『楽園の日々 アーサー・C・クラーク自伝』早川書房(199008)

第一部 ベイツ(一九三〇〜三三)
1 ファースト・コンタクト
2 『現実の幻影』
3 ハードカバー
4 『月面の盗賊』
5 現実世界の間奏曲
6 『冷たい光』
7 『恐るべき深みから』
8 『権力と栄光』
9 『五次元カタパルト』
10 『月の裏側の世界』または『お先にどうぞ、ムッシュ・ラグランジュ・・・』
11 『消失点の彼方』
12 クレイトン家の崩壊

第二部 トレメイン(一九三三〜三七)
13 死と変容
14 『太陽から生まれたもの』
15 スター・ウォーズへの序曲
16 『薄暮』
17 『見よ!』
18 超新星ワインボウム
19 大いなる栄光、不愉快な悪夢
20 メカニカル・ボーイ
21 『近日点で』
22 テルスター打ち上げまで二六年――秒読みを続ける・・・

第三部 キャンベル(一九三七〜七一)
23 ジョン・W・キャンベル
24 ロケット戦争
25 『影が行く』
26 BIS
27 『鎮魂曲』
28 『ロケット協会の終局』
29 ヴェルナー
30 『野獣の地下牢』
31 『来訪者』
32 原子力
33 金星の等辺形
34 『武器店』
35 第三法則
36 きわめて平穏な戦争
37 最初の宇宙船
38 黄金時代の終わり

第四部 終章――アナログ
39 変貌
40 『蒸気力ワープロ――忘れられたヴィクトリア朝技術の叙事詩』
41 フランケンシュタインの父
42 『記世創』siseneG

 原題は「ASTOUNDING DAYS:A SCIENCE FICTIONAL AUTOBIOGRAPHY」
 原書の刊行は1989年。
 訳者は畏友の山高昭さん。無数のSF翻訳を手がけた方です。
 私が主宰するSF倶楽部にも入って下さり、講演などもして下さった方です。

 私がこの自伝を読んで嬉しかったのは、クラークさんがワインボウムを高く評価していた事です。
 私はワインボウムがとても好きで、日本ではあまり翻訳されないのを不満に思って、同人誌で英語に強い方に尽力していただいて、多くを紹介してきましたので、とても嬉しかったのです。
 また、キャンベルの薄暮など暗い遠未来の話なども紹介しましたが、クラークさんも衝撃を受けておられたのですね。

◎書影
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◆◆◆ NF10『アーサーCクラーク超常現象の謎を解く PART1』◆◆◆

◎アーサー・C・クラーク/森下泰輔(訳)『アーサーCクラーク超常現象の謎を解く PART1』リム出版(199111)

はじめに 科学の地平を超える真実を求めて
第一章 ポルターガイストの謎
第二章 幽霊との遭遇
第三章 霊媒たちの真実
第四章 前世の生活
第五章 生きている“呪い”
おわりに 人間の知覚が全てではない

 原題は『ARTHUR C CLARKE’S WORLD OF STRANGE POWERS』
 原著出版は1984年。

 この本は、イギリスのヨークシャーテレビが制作した“WORLD OF STRANGE POWERS”という超常現象を扱う番組のノヴェライズですが、テレビの企画そのものにクラークが携わっており、またのヴェライズに当たっても、クラークの筆が相当入っているそうです。
 クラークの超常現象に対する態度は、否定でも肯定でもなく、きわめて冷静で、自身がインチキを見破った場合でも、それを書く態度はとても控えめです。

『幼年期の終わり』は、当然作り話ですが、私はその序文に注意深く「この本に書かれている意見は著者のものではない」と書いておいたのです。そして私は今、本書の内容についても、全く同様なことを言いたいのです。

 このように序文に記しています。

 なお本書には以下の改訳版があります。

◎アーサー・C・クラーク/森下泰輔(訳)/荘田健一(改訳)『超常現象の謎を解く PART1』飯倉書房(199607)

◎元版の書影
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◆◆◆ NF11『アーサーCクラーク超常現象の謎を解く PART II』◆◆◆

◎アーサー・C・クラーク/森下泰輔(訳)『アーサーCクラーク超常現象の謎を解く PART II』リム出版(199111)

はじめに 不思議な現象は、あなたの心の中にある
第一章 キリストの聖痕の謎
第二章 物質を砕く超能力
第三章 未来を予知するパワーは本物か
第四章 心の無線・テレパシーの真実
第五章 不思議な杖[ダウジング]
第六章 神秘なる儀式[火渡り]
あとがき 結局、超常現象は存在する可能性のほうが高い

 原題は『ARTHUR C CLARKE’S WORLD OF STRANGE POWERS』
 原著出版は1984年。

 あとがきでクラークは、完璧な確信から完全な否定までの尺度をもうけています。
+5 確かに真実である
+4 高い可能性がある
+3 五分五分で真実の可能性あり
+2 可能性あり――調査の価値あり
+1 かろうじて可能性あり――調査の価値なし
0  わからない
−1 ほとんどありそうもない
−2 ほとんど確実に真実ではない
−3 あらゆる疑問の余地はなく、真実ではない
−4 完全に真実ではない
(起こらないとの証明は難しい。人間による判定は−3までで、−4は神のみが出来る。−5はありえない)

 こういう尺度でクラークは、次のように評価しています。

呪い:+4
ポルターガイスト:+2
予知:+1
念力:0
幽霊:+4
テレパシー:+2
聖痕:+4
火渡り:+5
ダウジング:+2
死後に生き残る霊魂:−2
輪廻:−2

 クラークにからかわれているような気もする本ですね。

 なお本書には以下の改訳版があります。

◎アーサー・C・クラーク/森下泰輔(訳)/荘田健一(改訳)『超常現象の謎を解く PART2』飯倉書房(199607)

◎元版の書影
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◆◆◆ NF12『地球村の彼方――未来からの伝言』◆◆◆

◎アーサー・C・クラーク/M.Kikuchi,M.Oana,H.Koga,K.Kuroyanagi and K.Hashikawa(訳)/小松左京(監修)『地球村の彼方――未来からの伝言』同文書院インターナショナル(199303)

序文
第1部
1 はじめに
2 テレグラフの登場
3 英仏海峡横断
4 偉大なアメリカ人
5 科学界の貴族
6 誤ったスタート
7 勝利と災厄
8 事後討議
9 成功の瀬戸際
10 満たされた心
11 海底での闘い
12 地球を囲む輪
13 海底の沙漠
14 ケーブルの核
第2部
15 喋りはじめた電線
16 アインシュタインの先駆者
17 空中の鏡
18 大西洋横断電話
19 夢の工場
20「ワイヤレス」
21 スペクトルの探求
22 電離層の彼方に
第3部
23 騎士のホールにて
24「君はグライド・パスにいるはずだよ」
25「いかにして私は何十億ドルもの金を無駄にしたか」
26「なにかメッセージがあったら・・・」
27 月を創る
28「バビロンを忘れない」
第4部
29 エコーとテルスター
30 シンコム
31 アーリーバード
32 地球合衆国
33 衛星とサリー
34 国連にて
35 クープ軍団
36 バチカンでの約束
37 ハッピーバースデイ、コムサット
38 クラーク賞
39 CNNの生中継
40 ピースサット
第5部
41 ケーブルのカムバック
42 光と話す
43 目に見える限り遠く
エピローグ
付録
あとがきにかえて(小松左京)

 原題は「HOW THE WORLD WAS ONE:BEYOND THE GLOBAL VILLAGE」
 原著出版は1992年。

 クラークは衛星通信の論文を世界で初めて発表したことでも分かりますように、通信問題について詳しく、いくつかの本を書いているようです。
 本書は、明治時代の世界通信網建設の歴史から近年の通信から未来の想像まで、一貫して通信問題を描いていますが、とくに大英帝国時代の海底ケーブルの歴史がひじょうに詳しく記されています。
 わたしは、海底ケーブルの歴史書である『国際通信の日本史』執筆中はこの本の事を知らず、だいぶあとでクラークがかくも詳しい事を知って驚き、改訂版にはその内容を活かしました。

 クラークの恐ろしさを知る一冊です。

◎書影
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◆◆◆ NF13『アーサー・C・クラークの火星探検 オリンポスの雪』◆◆◆

◎アーサー・C・クラーク/仁保真佐子(訳)/松井孝典(監修)『アーサー・C・クラークの火星探検 オリンポスの雪』徳間書店(199706)

プロローグ
序章

第I部
 第1章 火星への前奏曲
 第2章 幕開け
 第3章 火星への旅
 第4章 仮想探検

第II部
 第5章 オリンポスの雪
 第6章 暁の谷
 第7章 夜の迷宮

第III部
 第8章 永い春の訪れ「ディズニーマーズ」へようこそ
 第9章 火星へ行く目的とその手段

付録1 『火星プロジェクト――冷戦を越える旅』(スパーク・マツナガ上院議員著)より抜粋
付録2 火星へ行くんですって?
参考文献
謝辞
太陽系惑星基本データ

 原題は「THE SNOWS OF OLYMPUS:A GARDEN ON MARS」
 原著出版は1994年とのこと。

 クラークの火星への関心は、初期の傑作『火星の砂』でもわかりますように、若いころからのものです。
 そして、最初から、テラフォーミングの具体策を練っていました。
 本書は、そのクラークが、1994年としては最新の資料を基に、CG的な多数のイラストを使って、火星の近未来像を描いたものです。
 自分の予想が当たっていた――という自慢話もありますが、それは事実なので、嫌みではありません。
 驚くほど本質を衝くクラークの真骨頂です。
 CGはクラーク自身が相当関与して創ったらしい。
 A5判で全頁アート用紙の豪華本です。

◎書影
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◆◆◆ NF14『ASCENT TO ORBIT』(特別)◆◆◆

◎アーサー・C・クラーク『ASCENT TO ORBIT:A Scientific Autobiography / The Technical Writings of Arthur C. Clarke』John Wiley & Sons,Inc.(1984)

I  THE MARCONI INTERNATIONAL FELLOWSHIP
II  FIRST FLIGHTS
III  WAVES AND CIRCUITS
IV  THE BEGINNINGS OF SATELLITE COMMUNICATIONS
V  ROCKETS AND WARFARE
VI  AMATEUR ASTRONOMER
VII  INTRODUCTION TO ASTRONAUTICS
VIII ELECTRONICS AND SPACE−FLIGHT
IX  THE SPACE ELEVATOR− AND BEYOMD
X  MATHEMATICAL RECREATIONS
XI  BEYOND THE GLOBAL VILLAGE
POSTSCRIPT

 クラークのノンフィクションは、数多くあります。本書の資料欄によれば、この年1984年までに28冊出ています。SF小説が29冊ですから、フィクションとほぼ同数出ていたことになります。
 その後フィクションが増えたと思いますが、日本ではノンフィクションの翻訳は少ないので、クラークの科学解説者としての側面はごく一部しか知られていません。
 このシリーズは翻訳NFの紹介なのですが、最後に特別として、未訳の本書をご紹介します(サインのところで出しました)。
 フィクションと同じくらい出されてきたクラークのノンフィクションの中で最高峰とされる著書です。
 この年までにクラークが発表した科学技術に関する論考や論文を集めた本です。衛星通信の有名論文もあるし、電気回路理論の地味な論文もあるし、雄大な宇宙エレベータの論考もあります。
 A4ハードカバーの大型豪華本です。
 未訳なのにここにあえて記載しましたのは、最高峰とされている事、および、おそらくは永遠に翻訳されないだろう事が、理由です。

◎書影
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(完:クラークさんに感謝いたします。2008.05.12)


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