■□■□■ 記念艦「三笠」再訪記(オロモルフ)■□■□■

◆◆◆ オロモルフ号の航宙日誌2625『記念艦「三笠」1』◆◆◆

 5月22日、天気が良さそうだというので、家内に付き添ってもらって、横須賀の記念艦「三笠」に取材に行きました。
「三笠」見学はこれが二回目なのですが、前回は大失敗。
 まだデジカメは無いころで、使い慣れた一眼レフに広角レンズをつけて持っていったのですが、いくらシャッターを押しても、撮れません。
 やむをえず、売店で使い捨てカメラのストロボ付きを買って、とれるだけは撮りましたが、焦っていたのとフィルムが少なくて、断片的に撮れただけでした。
 この時の目的は、『国際通信の日本史』に使うためでしたが、いちばん必要な無電装置(のレプリカ)は、広角でないので全体像が撮れず、落胆して帰ってきました。本にも掲載しませんでした。
 しかしこの時も係員はとても親切で、普通は入れない撮影しやすい場所に入れてくれたり、この無電レプリカが出来た経緯を書いた本のコピーを呉れたりしました。
 で、帰ってから愚痴を言ったところ、SFファンのAkiさんが、「それは電池が消耗していたからでしょう」と教えてくれました。
 で、あわてて写真屋に行って電池を交換したら、直りました。このカメラは、普段はマクロレンズをつけて接写用に永く使っており、私がこれまでに制作したSF書誌の表紙写真は全てこのカメラで撮影していました。
 おかしい箇所を修理して広角レンズを買って、大和古墳群の撮影や伊勢神宮の撮影などあれこれ使用しているうちに、デジカメの時代になりました。
・・・・・
 というわけで、今回は『無線技術の日本史』を書くためなので、絶対に三笠の無電装置が必要ですので、デジカメを二種類持ち、電池も余分に持ち、メモリカードも余分に持ち・・・という具合に、準備して行きましたが、結果としては一つのカメラで十分でした。
 ただし撮っている途中で画素数をうんと減らしてしまうという失敗をしました。知らず知らずに押すべきでないボタンを押してしまったようです。
(私はメカに弱くて、必ず失敗するのです。ああ情けない)

 東郷元帥の像と三笠です。旗の見える右側が艦尾です。
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◆◆◆ オロモルフ号の航宙日誌2628『記念艦「三笠」2』◆◆◆

 で、今回も、係員にお願いして無電室に特別に入れていただきまして、「取材」という名目で撮影させてもらいました。
 説明板や回路図は前と違っていましたが、本体やデスクは同じでした。
 今回も係員は親切でしたが、とくに拙著『国際通信の日本史』を持って行って寄贈しましたところ(この本には三笠の無電の事がかなり詳しく書いてあります)、わざわざ事務局長さんが挨拶に見えて、とても親切にして下さいまして、あちこち案内までして下さり、十二分の取材が出来ました。

 展示室では、秋山真之が木村駿吉に当てた礼状が掛け軸の形になっているのを撮影しようとして探したのですが、見つかりません。
 前には確かに有ったのですが・・・。
 そこで事務局長さんやその部下の方に伺いますと、数年前の模様替えで倉庫にしまったので、出してきましょう――と、探し出して見せて下さいました。
 感激です。
 前にこの掲示板でも読み方が判らずにご質問した書簡です。
 じつはこの掛け軸には、私が発見した(?)ある秘密がありまして、それは「三笠」の係の方もご存じないようでした。
 それは、木村駿吉の著作『世界の無線電信』の巻頭にある書簡の写真と、この「三笠」に収蔵されている掛け軸とが、微妙に違っているという事です。
 著作のはもちろん真筆の写真ですし、「三笠」のは真筆そのものです。
 両者の文章はまったく同じなのですが、消して直してある箇所が違っていたり、一部の行頭行尾が少しだけずれていたりするのです。
 おそらく「三笠」の収蔵品は、後に展示用に依頼されて全く同じ文章を秋山真之が再度書いたのだろう――と推理しております。

 さて、展示室には、有名な艦橋の図があります。
 この図は描かれたあと関東大震災で焼失したのですが、その後ほとんど同じ構図で描き直されました。
 それが展示(たぶん原画そのもの)されております。
 写真に撮りました。
 左上がZ旗ですが、この位置は実際とは違います。実際はもっとずっと上です。降下途中という設定らしい。旗の色も違うようです。
 また手前の羅針儀は柵ぎりぎりのところにあります。
 この艦橋の様子を、事務局長さんが案内し説明して下さいました。
 それはまた明日・・・。
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◆◆◆ オロモルフ号の航宙日誌2629『記念艦「三笠」3』◆◆◆

[補足]
 先にここでも、火花送信機について質問しましたので、三笠に展示されている無電装置のその部分を示します。
 電極がたくさん直列に並んでいます。
 いま仮に一つの間隔が1センチとして、それが5つ有ったとすると、5センチの間隔で放電するのと同じ電圧が必要なのかどうか、どうも曖昧な理解しかできません。
 放電したあとは複雑な現象が生じるでしょうし、こういう方法でうまくゆくのかどうかも理解しにくい事です。
 たとえば、どこか一カ所で放電が止まれば、全体が止まるので瞬滅するようにも思えますが、その場合にはその一カ所に全電圧がかかるので、また放電が起こってしまうようにも思えます。
 各間隙の電圧は低くなるので電極の痛みは減るでしょうが、それにしてもクビを傾げることが多いのです。
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◆◆◆ オロモルフ号の航宙日誌2631『記念艦「三笠」4』◆◆◆

 さて、この絵画で有名な三笠艦橋ですが、前にも登ったことはあるものの、経路が判らなくなり、質問したら事務局長(三笠保存会理事)さんがわざわざ現場まで案内してくれました。
 その場所は、外から見ますと、この写真のような所です。
 艦首付近の写真ですが、マストの上部に小さく旗が見えます。これがZ旗です。
 このZ旗の真下に、柵で囲まれた台のような部分があります。
 これが、絵画に描かれた艦橋です。
 三笠の中でもっとも見晴らしの良い場所です。
 登ってみますと、海が遠方まで綺麗に見えます。
 白い大型の船が通るのが見えましたが、事務局長さんは「あのあたりが、砲撃戦が開始された約4000メートルの地点です」と言われました。
 意外に近くに見えるので驚きました。
 拙宅から最寄りの駅までが約1キロですので、その四倍ですが、とてもそんな距離には見えません。
 すぐ傍のように見えます。
 よほどの度胸がないと、先方から撃ってくるのに応戦せずに敵前大回頭など出来ませんね。
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◆◆◆ オロモルフ号の航宙日誌2632『記念艦「三笠」5』◆◆◆

 艦橋の部分を拡大してみました。
 右側に見える機械が測距儀で、左側が(たぶん)羅針儀です。
 艦橋はこういう場所ですから、その全体を写真に撮るのはヘリコプターでもないと不可能ですので、これで代用いたします。
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◆◆◆ オロモルフ号の航宙日誌2635『記念艦「三笠」6』◆◆◆

 この有名な艦橋に登りまして、説明を受けました。
 後部にありますのが測距儀です。
 1.5メートル離れてあるレンズから見る角度の違いから相手までの距離を推定するもので、イギリス製です。
 イギリス側の記録によると、これを120台日本に輸出したそうです。ロシアからの注文も有ったが売らなかったそうです。日英同盟のおかげです。
 この測距儀の能力は、ほぼ10000メートルまでのようですが、ある程度正確なのは数千メートルではないかと思います。
 ちなみに、戦艦大和に積まれていた測距儀は幅が15メートルもあり、40000メートルまで計れたそうです。
 もうひとつ面白い話を聞きました。
 ここで計った敵艦までの距離を、主砲だけでなく全副砲に、電気信号で連絡していたのだそうです。
 距離(=大砲の角度)を何らかの方法で表示したようです。
 電線は伝声管を通して配線したらしい。
 そのため、計った直後には全砲にその情報が伝達されたわけです。
 日本側の射撃がかなり正確だった理由の一つです。
 当時この方法は厳秘だったとか・・・。
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◆◆◆ オロモルフ号の航宙日誌2636『記念艦「三笠」7』◆◆◆

 艦橋の前部にあります羅針儀と伝声管です(ちょっと曖昧ですが、たぶん)。
 写真の左下の床に金属の小さな板がありますが、これが、東郷元帥の立っていた位置を示すもので、後ろの方には、他の要人たちの位置も示されています。
 前は英語で書かれていて素人には判りませんでしたが、現在の事務局長さんが日本語に書き換えたのだそうです。
 今回の二つの写真は、前の絵画と比較してください。
 絵画で想像するよりもずっと狭い場所です。
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◆◆◆ オロモルフ号の航宙日誌2639『記念艦「三笠」8』◆◆◆

 艦橋を案内してもらったあと、帰り支度。
 艦外への階段を下りていたら、上の窓から「事務局長と会いましたか?」と声がしました。
 最初に無電室に入れてくれた親切な係員でした。
 やっぱり旗艦「三笠」の乗組員は偉い。
 行ったのは22日ですが、まだ疲れがとれません。
 現在の私は、半日外出すると、一週間は疲れがとれないのです。
 むろん、タクシー代を一万円以上使って時間を最大限短縮しているんですけど、家から行きに二時間、帰りに二時間かかるのは辛いです。
 でも、画素数は減ってしまったとはいえ、写真が撮れたのは幸いでした。
 下は、全景ですが、これは最初に撮ったので、画素数は1600×1200でして、十分な精密度です。
(そのあとの写真は、なぜか640×480になってしまいました。そのため、秋山真之の書簡は、せっかく倉庫から出していただいて写真に撮ったのに、字がぼやけて読めません。ああ情けない・・・(涙))
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