焼酎飲み比べ賞玩録

葭森圭介
2005,05,05

 最近のいわゆる本格焼酎(乙類)は10年前に比べ生まれ変わったように旨くなったものが 現れています。10年前はこれら乙類の麦、芋焼酎は特有のくさい匂いとピリピリした味でとても味わって 楽しんで飲むという代物ではありませんでした。そこに出てきたのが大五郎に代表される甲類の焼酎で、焼酎特有の匂いがなく 大五郎、楽などはピリピリ感も少なく比較的マイルドな味で安心して飲める気がして愛飲してきました。
 しかしこれらとても、単独で水割り、お湯割り、或いは冷やしてストレートで飲めるものではなく、果実酒、レモン、麦茶 などで味付けをする必要がありました。このようにして飲めば十分楽しむことはできるのですが、納得するまで飲むと 夜中に口の中がからからに乾き、心臓はどきどきして目を覚ましお茶か水をがぶがぶ飲む必要がありました。
 これで不安になり乙類を再度トライしてみたところ、うれしい驚きに出会うことができました。以下はこれら 焼酎の飲み比べ賞玩録です。特に焼酎は悪酔いしないという定評がありますので、この点に重きをおき、一晩に同一 銘柄水割り(冬はお湯割り)四杯〜七杯(焼酎1.8合〜3.2合)を味わいながら味と香りと悪酔い度を評価しました。ただ悪酔い度(酔醒め評点)は その日の体調などに影響されますので、今後の結果により変更されることがあります。

週間晩酌メニュー2007年7月

 月曜は休肝日、火曜〜日曜までの私の晩酌メニューは下記の通りです。近所の店で古薩摩が手に入らなくなったので代わりに白波を入れました。 ”黒甕”と”のさる”はそのままで、”白波”は山椒、”本にごり”は月桂樹を3週間入れて取り出したものです。
 50ccを水割りで火曜〜金曜は19時〜21時に4杯〜6杯、土曜、日曜は15時、16時からゴルフ、相撲などを見ながら酔って寝込むまで 7杯〜10杯を飲みます。悪酔いの心配なしにこれだけ飲めるのはすべての酒の中で、手作りの月桂樹入り無砂糖果実酒しかありません。
 

総評ー2006年3月10日時点


 2005年8月から2006年3月にかけ休肝日の月曜日を除き毎日平均375cc(2合強)を水割り、お湯割り で飲み比べ賞玩した結果は以下の通りです。
芋焼酎と麦焼酎を比較すると、麦の方が癖がなく一般向けすると思いますが、芋の風味は昔の臭みの面影はなく 今では麦にはない味わいを楽しむことができます。さらに概していえることは、芋焼酎のほうが麦焼酎よりも 悪酔いが少なく酔い醒め感に優れています。  総合的に順位をつけると;

1位 黒甕
2位 古薩摩
3位 のさる、ほんにごり


 特筆したいのは、自家製の果実酒です。味、香りはメーカー物の本格焼酎に一歩を譲りますが、多く飲んでも悪酔いが 少なく、土曜と日曜の午後は仕事を休みますので、どうしても酒量が増えます。そこで今ではこの日は もっぱら果実酒を心ゆくまで楽しむことにしています。
 最後に触れておかざるを得ないのは、4,000円クラスの高額焼酎です。どれも最初の1杯、2杯の口当りは はよく、芋焼酎特有の味がなく、さらっとして麦焼酎に似た感じですが、どれもこれも悪酔いしがちで、中には ひどいものがあります、どうしてでしょうか?悪酔いしない酒は安心して味わうことができ、味も香りも心地よく楽しむことができます。

総評ー2005年8月31日時点

 2004年11月から2005年8月にかけて毎月1.8L×5〜6本、30銘柄を飲み比べた結果、麦焼酎では深野酒造本店”のさる”が 味、香り、酔い覚め感のすべてで満点で総合トップでした。価格を考慮した場合は”紙パックいいちこ”が、味、香り、酔い覚め感のバランスがとれておりお勧めできます。 また、ほどほどに飲むのであれば若松酒造の”うまか麦”も安い価格ではありますが捨てたものではありません。
 芋焼酎では神酒造の”黒甕”が、味、香り、酔い覚め感ともに良く推奨品です。次にくるのが五代(黒紙P、黄紙P)、無双、ゆかり(紫)が並びますが ゆかりは価格が割高です。麦焼酎の”いいちこ”に相当するのが”さつま白波”といえます。
全般に芋焼酎のほうが麦焼酎よりも高価ですが酔い覚め感は芋焼酎が優れていますが中にはひどいものがあるので注意が必要です。
芋焼酎がまずい時代には、黒糖焼酎、蕎麦焼酎、泡盛などを愛飲していましたが今では芋焼酎、麦焼酎の良いものはこれらよりも遥かに旨く 酔い覚め感も優れているといえます。


酔醒め評点 夜中口中の渇き、動悸が発生しない限度。水割り1杯:焼酎50cc
 5:水割り6杯以上、4:水割り5杯、3:水割り4杯、2:水割り3杯  
焼酎飲み比べ賞玩録
銘柄 メーカー 原料 アルコール度数 価格(1.8L) 酔醒め コメント
琥珀の夢 薩摩酒造 麦 25° 1800 4 4 4 味は甘美にして芳香あり
奄美 奄美酒類 黒糖 30° 2000 3 3 3 華やかさはないが地味な味と香り
田苑ー金ラベル 田苑酒造 麦 25° 1800 3 3 4 ピリピリ感多少あり。
うまか麦 若松酒造 麦 25° 2700(5L) 夜中の口中渇きなければ安くてうまい酒 甲乙混合
OLD PAR Magdonald Greenlees 43° 価格 5 5 3 明け方口中の渇きと心臓の動悸あり
ラズベリー酒 自家製 ラズベリー+ホワイトリカー35° 980 5 3 4 冷蔵庫で冷やしたストレートはどの酒にも勝る
鉄幹 オガタマ酒造 薩摩芋25° 2280 5 4 4 ピリピリ感まったくなく、マイルドでやさしい香りに癒される
天照 神楽酒造 蕎麦25° 1730 3 3 3 明け方口中の渇きと心臓の動悸あり
二階堂 二階堂酒造 麦25° 1530 味、香りともに淡白。夜中軽い口中の渇きと動悸あり。

焼酎飲み比べ賞玩録
銘柄 メーカー 原料 アルコール度数 価格(1.8L) 酔醒め コメント
いいちこ(壜) 三和酒造 大麦、大麦麹25° 1,430 Sweet & Fruity
一刻者 小牧醸造 薩摩芋、芋麹25° 2,680 芋焼酎特有の強い味と香り
黒甕 神酒造 薩摩芋、米麹25° 1,980 マイルドでやさしい香り
久米仙 久米島の久米仙 米、米麹30° 1,830 10年前と同じ泡盛の味と香り。
朝日 朝日酒造 黒糖、米麹25° 4,880 腐った薩摩芋の味
紅乙女 紅乙女酒造 麦、米麹、胡麻 2,010 こげ味、薄味、酔い早い

焼酎飲み比べ賞玩録
銘柄 メーカー 原料 アルコール度数 価格(1.8L) 酔醒め コメント
海童 濱田酒造 薩摩芋、米麹 25° 1,580 香りよし。
ほほえみ芋 寿海酒造協業組合 芋、米麹25° 1,480 芋味薄く甲類の味。
ほほえみ麦 寿海酒造協業組合 麦、麦麹25° 1,390 甲類にも劣る味。いいちこの方が遥かに上。
のさる 深野酒造本店 米麹、麦25° 1,980 深みのあるまろやかさ。酔い醒めの良さ
豊後の里 萬力屋 麦、麦麹25° 1,540 ”ほほえみ”よりは良い
ゆかり(紫) 種子島酒造 種子島紫芋、米麹25° 2,360 味と香りは普通だが酔醒め感は抜群。

焼酎飲み比べ賞玩録
銘柄 メーカー 原料 アルコール度数 価格(1.8L) 酔醒め コメント
一瞬の閃き 光武酒造場 芋、黒麹 1,960 3.5 味と香りは淡白。
ゆず酒 自家製 ゆず+ホワイトリカー35℃ 980 5 3 5 思い切り飲んでも(水割り7杯)夜中口中の渇き、動悸なし。
さつま白波(紙パック) 薩摩酒造 さつまいも、米麹25° 1,620 4 4 5 辛口、芋本来の味、うまい。
蔵の守り神 寿酒造協業組合 白芋、黒麹25° 2,380 5 5 4 ほほえみと同じメーカーとは思えぬ。
雲海 雲海酒造 そば、麦麹、米25° 1760 4 3 3.5 口当たりのよいさらっとした味。夜中口中の渇きあり。
五代・特黒(紙P) 山元酒造 芋、米麹25° 1,630 4 5 5 白波より味はまろやか。香り良し。

焼酎賞玩録
銘柄 メーカー 原料 アルコール度数 価格(1.8L) 酔醒 コメント
いいちこ(紙パック) 三和酒造 大麦、大麦麹25° 1,380 4 4 4 壜詰より塩辛いが酔い覚め感は良い。
岩川醸造 薩摩芋、米麹25° 1,880 4 3 3.5 味は辛い。
小鶴くろ(紙P) 小正醸造 薩摩芋、米麹25° 1,580 5 5 3.5 味、香りに比し酔覚め感にがっかり。
五代、黒(紙P) 山元酒造 芋、米麹25° 1,630 5 4 5 白波より味はまろやか。
五代(黄色紙P) 山元酒造 芋、米麹25° 1,630 味、香りは黒甕に一歩譲るが酔い覚め感意外に良い。
無双 さつま無双 芋、米麹25° 1,620 味、香りは黒甕に一歩譲るが酔い覚め感意外に良い。

焼酎賞玩録
銘柄 メーカー 原料 価格(1.8L) 香り 酔醒 コメント
Royal 15 サントリー 86proof 歳暮 5 5 4 味、香は10年前に比しうまくなっている。
ビール アサヒ、キリン 原料 価格 5 3 3.5 350cc×7
ブルーベリー酒 自家製 ホワイトリカー35度
ブルーベリー
1,000 3 3 5 味、香りは失敗作
ちょうちょうさん 長崎大島醸造 薩摩芋、米麹25° 1,800 4.5 ほんのりと甘い
古薩摩 吹上焼酎 薩摩芋、米麹25° 1,900 合格
メローコズル 小正醸造 麦、麦麹、米、米麹25° 1,903 4.5 4/TH> 4.5 ”のさる”のほうがよい

  
焼酎賞玩録
銘柄 メーカー 原料 アルコール度数 価格(1.8L) 酔醒 コメント
本にごり 小鹿酒造 薩摩芋、米麹25° 1,630 4.5古薩摩の方が総合で上
宝山 西酒造 薩摩芋、米麹25° 4,580 芋焼酎の風味なし。麦焼酎に近い。
千亀女 若潮酒造 薩摩芋、米麹25° 4,380 4.5 無味無臭
わか松 若松酒造 薩摩芋、米麹25° 1,761 4.5 クリアな味、にがみなし。
天誅 白玉醸造 米、薩摩芋、米麹25° 3,980 まさに天誅、悪酔いの恐怖。
かりん酒 自家製 かりん、ホワイトリカー35° 1,000 4.6 お湯割で飲むと酔醒は5点

焼酎賞玩録
銘柄 メーカー 原料 アルコール度数 価格(1.8L) 酔醒 コメント
ラズベリー酒 自家製-06年6月仕込み-熟成1年 ラズベリーホワイトリカー35°月桂樹 1100 味香り良し。酔い覚め感抜群
能登千年 日本醗酵化成(株) 麦、麦麹 15年熟成 父の日の贈物 昔の味が懐かしい、柔らかい味
梅酒 自家製-06年6月仕込み-熟成1年 梅ホワイトリカー35°月桂樹 1100 4 4 熟成壜の機密性悪く酸化の可能性あり


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