冬のカムチャッカ(その8)
  1999.12.23--12.30

12月30日(木)
 8時過ぎにタクシーの依頼を24日におばさんの運転手にもらったメモを見
ながら部屋から電話した。24日に乗ったおばさんではなく、男の人が出た。
300ルーブルという値段と11時半にウラジオストクホテルに来て、空港ま
で送って欲しいと言うことだけ話してこちらの名前も言わずに電話を切った。
まだ外は暗く、9時頃明るくなってから散歩に出た。ホテルの前に広がる凍っ
たアムール湾では、氷に穴を穿けて魚を釣っている人が数人いた。

    
凍ったアムール湾           ウラジオストクホテル

 ウラジオストクには雪はないが、寒い。マイナス10度くらいだ。革命広場
にはヨールカ(クリスマスツリーのようなもの)や新年のために用意された滑
り台、簡易スケート場がある。水を撒けばすぐに凍り、靴をはいたまま滑り台
が滑れるし、スケートもできると言うわけである。

  
革命広場のヨールカ      即席の氷滑り台

 広場の端の方では家庭用のヨールカのためのもみの木が売られていた。


もみの木売り

 市電もいろいろな種類の電車が走っており、絵が描かれた電車の写真を撮ろ
うとウラジオストク駅前の電車の停留所で待っていたが、お目当ての電車は来
なかった。


きれいな?絵が描かれた市電

 このときに、パスポートをホテルに預けたまま出てきたのを思い出し、それ
からはやたら警察官に出会うような気がして、なるべく目を合わせないように
してやり過ごした。最後の最後に、パスポートを持っていないということで1
00ドルも罰金(といっても警察官の個人的な収入になる)をとられたのでは
たまらない。シベリア鉄道の始発駅やモスクワまで走る「ロシア号」の写真な
どを撮る。ロシアの駅は改札口がなく、直接ホームへ行けるので列車の写真も
自由に撮れる。

  
ウラジオストク駅           モスクワ行きのロシア号

 ロシアのタバコを通りでおばあさんが売っていたので、一箱だけ買う。値段
は5ルーブルくらいからあり、私は一番高かった「ピョートル一世」というタ
バコを9ルーブル(45円)で買う。そのおばさんの後ろに、大きなレーニン
像が建っていた。手入れされていないらしく、薄汚れていた。


レーニン像

友人に頼まれていたロシアのグループ歌手のCDを探していくつかの店を回っ
てみたがなく、最後の店で中古CDのようなものを出してきたが、それしかな
いと言うので買う。ウラジオストクホテルは朝食がついていないので、何か食
べようとうろうろしていると、肉まんを売っていた。1個5ルーブル50カペ
イカ(28円)で、大きな肉まんだったので、これ1個で十分だった。

 ホテルに戻ると入り口の所で24日に空港まで送ってくれたガリーナが他の
男の人二人といた。今朝電話したのはこの男の人だと紹介された。どうも数人
で個人タクシーをやっているような感じだ。まだ10時45分なのでもう少し
待ってくれと言ってホテルの中にはいると、ロビーに置かれたヨールカの周り
で女の人たちが仮装して踊っていてちょうど終わったところだった。ジェート
・マロース(サンタクロースみたいなもの)と一緒に家族連れが写真を撮って
いた。6階に行くと、さっき下で踊っていた女性がいたので、写真を撮っても
良いかと聞くと、他のメンバーも呼んで、ジェジュールナヤ(各階にいる鍵係
のおばさん)も一緒に写真撮った。

 
ホテルの6階で            1階で踊っていた女性達と

 11時15分くらいに荷物を持って下に行き、タクシーで空港へ。運転手の
話によるとウラジオストクではあまり雪は降らないし、降っても積もらないと
言っていた。冬の気温は寒いときで−25度、普通は−10〜−15度くらい
で、夏は+20〜+25度になり、6、7月はよく雨が降ると言っていた。車
の中にお客さんが落としていった日本の小銭や昔のルーブル硬貨を見せてくれ
て、くれるという。空港には12時に着き、300ルーブルと言っていたが、
24日にガリーナには400ルーブルで乗っているので彼にも400ルーブル
(2000円)渡した。

 国際線ターミナルビルは最近できたらしくまだ新しい。5年前に来たときは
ぼろぼろの空港で、待合室で蚊に刺されたのを覚えている。さほど大きくない
空港ビルにはまだ誰もお客さんは来ておらず、一人ぽつんと待っていた。1時
を過ぎたあたりから、ぼつぼつと人が集まり始め、受付が始まったのは2時少
し前だった。このくらいの時間にくれば間にあったのだ。搭乗手続きをすませ、
2階の待合室に行くと窓から北朝鮮の飛行機が停まってるのが見えた。珍しく
て写真を撮る。


北朝鮮の飛行機

 飛行機は予定通り14時50分に出発し、1時間20分で新潟に着く。時差
1時間を引き、3時過ぎには新潟着。空港の搭乗待合室で久しぶりに日本のビ
ールを飲む。やっぱり日本のビールが一番美味しい。4時25分発の名古屋行
に乗ると5時20分には名古屋に。暖かい。今までずっと氷点下の世界にいた
のに、いきなりプラスの世界に来ると、暖かさを通り過ぎて、暑くさえ感じる。
家に帰って風呂に入り湯船に浸かると、日本に帰ってきたことを実感した。(了)

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