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県学労ニュース341号     2006/3/7発行
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どこまで職員を愚弄すれば足りるのか!
まだまだ続く給与改定交渉
勤評による査定昇給を阻止しよう!

 3月3日に第5回給与構造改革に伴う給与改定(その他の事項)交渉をおこなった。

 ちなみに給与構造改革に伴う給与改定(提示)内容は 1(昇給時期)、2(標準職務)は前回と同じ 。

3として新給料表への切り替えを平成18年3月31日現在の級・号給・経過月数を基礎に切り替える(経過月数3月ごとに1号加算)ことが新たに提案された。

 これだけでは、既に主事級主任に発令され、旧5級在職3年未満の者は旧6級(新4級)に昇級できなくなり、大幅な給料ダウン(実際は現給料据え置き)になってしまう。従前9級制の時は4級から6級にワタっていた(5級は新設)ものを同一級3号経過しなければ次の級にはいけないということで在職3年経過が生じたものである。同じように旧4級へのワタリも旧3級4号給から7号給に変えたものである。現制度では28歳ぐらいで旧4級に昇級しており、 18年度は主査相当職(30歳台前半に昇級)を設けないというので、大幅な昇級延伸になってしまう。何らかの経過措置を設けて救済しなければ不平等感は拭えないとして、受け入れがたい提案だと申し入れた。

4 切替前後の差額を給料として支給する(現給保障という意味)。新規採用者には保障なし。

5 昇給制度について
勤務成績が特に優秀な者は5号(3号)以上15%、良好4号(2号)、良好でない3号以下(1号以下)とするという。
 かっこ内は55歳以上の職員に適用するという。

 5号昇給を事務職員は勤評AB評価された者、および職務貢献のあった者とするが、その他教育職や小中学校事務職員は平成18年度について勤評制度を用いないで15%確保するというのであれば、従前の特昇制度を用いることになる。県立学校事務職員にあっても同一職場で違う制度運用はおかしいので、18年 度の勤評は既に11月からを判定期間としていることでもあり、給与に反映することを予定していないので、勤評制度を用いないよう要求した。

6 昇格制度は直近上位額方式から昇格に伴う増加額を定額化するとの提案があったがその額は示されなかった。

7 初任号給は現行初任号給を切り替えた0月経過に位置づけ、前歴通算は5年前まで5/5、5年越えは類似職5/5、その他4/5通算することとし、初任給頭打ちは廃止するという。

8.9は前回の3(義務教育等教員特別手当)、4(給料の調整額)と変わらず全国人事委員会連合会が示した額に準じて改定するという。

10では、勤勉手当について勤務成績の反映や算定方法について19年度に向けて話し合うとし、18年度は従前どおりの成績率(100分の72.5)とすることが示された。

11では退職手当(別紙で退職手当調整額区分案が示された)調整額が示されたが、殆どの職員は18年3月31日に退職した場合に得られる退職金(この額を保障するとしている)と比較すると教育職(二)4級の校長の一部が超える他は全ての職員が低くなるので、50歳台ぐらいはもう退職金が上積みされることはない。また、その後の退職となる職員の中でも教育職が低く抑えられているとして、対応表の見直しを教育職員の組合から要求されていた。

12で標準職務、昇格基準(今回の職務分類表では18年度には無いからと新3級の主査相当職が消えていた)が示されたが、具体的な運用方針は事務職員組合からの要求に対して未だ具体的案が示されなかった。

13は前回の6(昇給の成績反映)と内容は変わらず、15%特昇を確保するためということで安易に勤務評定を用いることは職員の中に差別を持ち込むことであり、県学労は勤務評定を用いることの撤回を求めた。

 そのほか、再任用職員の給料月額を給料表の改定に伴って、行(一)251,000円から214.600円、教(二)282,800円から279,400円への引き下げが提案された。ただし、18年度が二年目となる再任用職員は現給料を保障するという。

 期限付・臨時的任用職員の初任給の限度号給は、行(一)2級21号給220,400円、教(二)1級69号給270,200円となりそれぞれ六千円から八千円ほどのダウンになる。現在勤務している職員であっても現給は保障されない。

 勤務に課題を抱える職員の勤勉手当成績率(30/100)についての提案もあった。そのほか、停職は40/100が36/100、減給が50/100が46/100、戒告は60/100が56/100、諭旨免職については25/100が0/100とそれぞれ減率された提案であった。

 休日(年末年始、国民の祝日)の代休日(あくまで勤務を命じた時間分)の指定期間を国に合わせて、30日以内を8週間後の日までに変更したいとの提案があった。

 さらに、介護休暇の対象範囲を、国に合わせて1親等及び2親等の祖父母、孫、兄弟(同居を条件)にしたいという提案があった。国に準じていない休暇制度に圧力が強く、現に申請件数が過去10年にわたって実績がない二親等(祖父母、孫、兄弟姉妹を除く)、三親等については実害もないので外したいとの提案があった。県学労からは実績がない二親等、三親等については廃止するとしても、祖父母、孫、兄弟姉妹については同居・別居を問わず適用してはどうかと要求した。

書評
写真で読む僕の見た「大日本帝国」  西牟田靖著 
                              株式会社情報センター発行 1600円

 昨年2月に発行された「僕の見た『大日本帝国』」の続編である。2冊とも2000年夏から2004年まで作者が旧大日本帝国の領土であったサハリン南半分、台湾、韓国、北朝鮮、中国、南洋諸島を回り、日本の残していったものを求めて旅した記録である。

 日本がかつての植民地に残していったものが今も残っている。それは建物であったり、神社の鳥居であったり、橋であったりする。そして現地の人達の中には実に流ちょうに日本語を話す人がいる。

 それらの人達が生きてきた歴史の中で日本とは何だったのか。 日本が自らの占領、領土拡大のために現地でインフラ整備をし、現地の資源を収奪し、現地の人達を搾取、酷使していたという現実だけでは言い尽くせない何かを、実際に歩き、話し、交流する中で見つけた作者の感性がすばらしい。

 戦前、日本が旧植民地で何をしてきたのか。そして第二次世界大戦の戦闘の中で、日本人や現地人はどうしたのか。

 歴史教育の中では教えてくれなかったことを、作者は自らの足と目で確認し、植民地に暮らした人々から当時の様子を生き生きと述べてもらい、それを1冊の本にまとめている。

 豊富な写真や地図、読みやすい文体でついつい本の中に引き込まれる。

 知っていたつもりで知らなかったことを、本の中で作者と一緒に旅することによって知り、旧植民地の様子がありありと目の前に再現される思いがした。 日本人として知っておかなければならないことがびっしりと詰まったおすすめの一冊である。

 ちなみに私がサハリンで撮った写真も1枚掲載されているので是非ご覧ください。(田口)


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