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県学労ニュース329号     2005/8/18発行
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はじめに給与減額ありき
       人事院はもう死んだ

 人事院は8月15日、国家公務員給与に関する勧告及び報告を行った。

 勧告ではまず月例給を〇、三六%、一三八九円引き下げるとともに、配偶者の扶養手当も五〇〇円引き下げるとしている。勤勉手当については〇、〇五月分引き上げるとしている。全体としてみると今回も引き下げ勧告である。

 景気回復が言われており、最低賃金も引き上げられているというのに、民間給与実態調査の信憑性に大きな疑問を抱かせる結果となっている。始めに公務員給与の削減ありきで、調査方法、調査対象などを変更してでも政府に都合のよい結果がでるように操作され、人事院勧告制度はすでに機能しなくなった。また、今回も前回の引き下げ勧告の時と同様、4月に遡って給与を引き下げるとしていることは不利益不遡及の原則を踏みにじるもので断じて許されない。

 また今回の勧告は来年度以降 5年間で給与構造の抜本的な改革を行うよう勧告しており、県学労ニュースで3回にわたって紹介した給与の大改悪を実施することを求めている。

 全職員の給与の引き下げと、成績主義の導入によって、公務員給与全体の削減を狙いとしている。

 その背景にはサラリーマン増税や消費税率引き上げなどの「大増税路線」を進める政府・財界の狙いがあり、その突破口に公務員の総人件費削減を位置づけ、人事院勧告に対する圧力を露骨にかけ続けた結果である。

 労働基本権を制約しておきながら、政府・財界の言いなりの勧告を出し、有無を言わせず強行してくるやり方は断じて許すことができない。
 
 愛知県人事委員会がこのような政府・財界の政策に迎合するような恣意的な勧告を出さないことを要求する。

給与改定に関する勧告内容
〈月例給〉官民較差△1,389円△0.36%
行政職俸給表(一)すべての級の俸給月額を同率で引下げ
(改定率△0.3%)
扶養手当 配偶者手当支給月額を500円下げ(13,500円→13,000円)
〈期末・勤勉手当等(ボーナス)〉
民間の支給割合に見合うよう引上げ 4.4月分→4.45月分
 
 
 [実施時期等]
公布日の属する月の翌月の初日(公布日が月の初日であるときは、その日)から実施。

 本年4月からこの改定の実施前日までの官民逆較差相当分を12月期の期末手当で調整する措置は、2003年勧告時の「定率方式」を踏襲

給与構造の改革
(1)行政職俸給表(一)の見直し
・地域別の官民較差の3年平均値を参考として、俸給表の水準を全体として平均4.8%引下げ
・若手の係員層については引下げを行わず、中高齢層について7%引下げることにより、給与カーブをフラット化
・現行1級・2級(係員級)及び4級・5級(係長級)の統合。従来の本府省課長の職責を上回る職務に対応した級の新設(11級制→10級制)
・きめ細かい勤務実績の反映を行うため現行の号俸を4分割
・現在在職者がいないか、在職実態が極めて少ない初号等の号俸をカット
・現時点の最高号俸を超える者の在職実態を踏まえ、号俸を増設
・最高号俸を超える俸給月額に決定し得る枠外昇給制度を廃止
・中途採用者の初任給決定の制限、昇格時の号俸決定方法について見直し

勤務実績の給与への反映

(1)勤務成績に基づく昇給制度の導入
・特別昇給と普通昇給を統合し、昇給の区分を5段階(A〜E)設けることにより、職員の勤務成績が適切に反映される昇給制度を導入
・年4回の昇給時期を年1回(1月1日)に統一。昇給号俸数は、A(極めて良好)で8号俸以上、B(特に良好)で6号俸、C(良好)で4号俸、D(やや良好でない)で2号俸、E(良好でない)は昇給なし。ただし、管理職層は、C(良好)を3号俸昇給に抑制。B以上は分布率を設定。D以下については、該当事由に関する判断基準を別に設定
・55歳昇給停止措置に替えて、55歳以上の昇給については昇給幅を通常の半分程度に抑制
(2)勤勉手当への実績反映の拡大
・査定原資を増額(2005年の引上げ分0.05月分のうち0.03月分を平成18年の6月期、12月期の勤勉手当の査定原資として配分)し、「優秀」以上の成績区分の人員分布を拡大。新たに「特に優秀」及び「優秀」の成績区分に係る人員分布率を設定
(3)昇格基準の見直し
昇給及び勤勉手当に係る勤務成績の判定結果を活用
(4)給与決定のための勤務成績の判定についての改善
当面、各府省の現行の判定手続を明確化、成績上位者の判定尺度を例示、標準的な勤務成績に達しない場合の統一的な判定基準を設定

実施スケジュール

(1)俸給表等の実施時期と経過措置
新俸給表は2006年4月1日から適用。同日にすべての職員の俸給月額を新俸給表に切替え。経過措置として新旧俸給月額の差額を支給。
(2)手当の新設等の実施方法
地域手当は2006年度から実施
(3)給与への勤務実績反映
新昇給制度は2006年4月1日から実施(新制度による最初の昇給は2007年1月1日)。勤勉手当の勤務実績反映の拡大は2006年の6月期から実施。 

映画紹介 星になった少年 名鉄東宝ほか上映

 日本人として最初のゾウ使いの道に進み、20歳で亡くなった坂本哲夢の半生を、昨年カンヌ映画祭で最優秀主演男優賞に輝いた柳楽優弥が演じるというので注目してみていた。
 中学生の哲夢は「動物くさい」とからかわれるいじめられっ子だった。動物プロダクションを経営する継父とも心が通わせることができない。そんなとき、母親がゾウの購入を決断して、連れてくる。哲夢はゾウの心が読めたような気がした。
 母の期待に応えたいという気持ちも重なって、中学生の時に単身タイのゾウ訓練学校に入校することを決意する。
 ゾウ使いになるということはゾウの気持ちばかりが理解できるだけではダメで、人間社会の中でゾウが順応できるように仕込むことも必要だと知らされる。 訓練を終え、ゾウ使いになって日本に帰ってきた哲夢は、ゾウのショウをはじめながら、将来ゾウの楽園を作ることを夢見ていたが…。 (わ)


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