THE WORLD OF THUMB PIANO [1]


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[1] WHAT'S THE THUMB PIANO?

1.1 親指ピアノとは・・・

1.2 親指ピアノの名称・・・

1.3 親指ピアノの分類・・・


1.親指ピアノとは・・・

太鼓やコラ、バラフォン(木琴)などと並ぶアフリカを代表する民族楽器。板きれや木箱の上に10数本の細長い鉄片(キー)が並んでいて、その一端が固定されており、これらのキーを両手の親指で弾いて演奏するものが一般的である。キーはそれぞれ長さが異なっていて、その長さに応じた高さの音を出す仕組みになっている。

親指ピアノはサハラ以南のブラック・アフリカのほぼ全域に分布するが、中でも、ジンバブウェ、タンザニア、コンゴ、といった国々のものがよく知られており、「親指ピアノ大国」と言える。

2.親指ピアノの名称・・・

国、と言うよりも民族ごとに異なる名前が付けられている。

ナイジェリア   : 「アギディボ」
タンザニア    : 「イリンバ」、「チリンバ」
コンゴ(ザイール): 「リケンベ」、「チサンジ」
ザンビア     : 「カリンバ」
ジンバブウェ   : 「ンビーラ」
ボツワナ     : 「デング」(または「ドンゴ」)
ナミビア     : 「ダンゴ」

、、など数え上げていくと切りがなく、恐らく数百通りある。「サンザ」という名や英語名の「サムピアノ」もよく使われる。「サンザ」、「カリンバ」は、親指ピアノの総称として用いられることもあるが、これらは本来あくまでも限定された地域の親指ピアノを指すものである以上、好ましい使われ方ではない。

3.親指ピアノの分類・・・

この楽器は、名前と同様にその種類も実に豊富で、例えば以下のように分類することができる。

(1)大きさ
ミカン箱大のものから、手のひらに収まるものまで、大小さまざま。

(2)本体の構造
共鳴箱の有無によって、箱型と板型に分けられる。

(3)本体の素材
木製が普通だが、ひょうたん、亀の甲羅、金属などを利用したものもある。

(4)共鳴器
箱型は本体そのものが共鳴器の役割を果たす。板型は音を増幅させるために、ミルク缶やひょうたんなどが共鳴器として使われる。

(5)バズ音発生のしくみ
ビリビリ、ジャラジャラいうバズ音(ノイズ)を出す仕組みが備わっていることが多い。こうした音は、スネアドラムのスネア(響線)や三味線のサワリと同じ発想からきている。貝殻やビンの王冠をいくつも付ける、本体にチェーンを取り付ける、本体の小さな穴にクモの卵嚢の薄い膜を貼る、キーに薄い金属片を巻き付ける、共鳴箱の中に小石を入れる、などさまざま。

(6)キーの素材
ほとんどが鉄で作られるが、竹製のキーもある。

(7)キーの本数
3本程度しかないものから、80本程度並ぶ大型のものまで、いろいろ。

(8)キーの配列
ピアノの鍵盤のように左から音の低い順に並んでいるものばかりでなく、最低音が中間に位置するV字型やW字型もある。2段並ぶタイプも多いが、3段のもの(デング)、左半分だけ2段のもの(ンビーラ)もある。

その他、電気増幅するものや、親指は使わず人差し指で演奏するものさえある。しかし数ある親指ピアノを大別すると箱型と板型になるだろう。繰り返し来日しているタンザニアのフクウェ・ザウォセの大型イリンバで見慣れた箱型は、コンゴ(旧ザイール)、ウガンダ、リベリア、ナイジェリアや、奴隷によって伝えられたと考えられる、キューバやドミニカでも使われている。一方の板型はコンゴ、ジンバブウェなどに多いが、ブッシュマンのデングなどもこのタイプだ。


(2000/05/05 Ver.1.0)

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