2003 / FEBRUARY


<CD> THE BEST OF THE CLASSIC YEARS / KING SUNNY ADE

ナイジェリアのキング・サニー・アデの初期作品集(録音は1971〜74年頃)で、「SYNCRO SYSTEM(SYNCHRO SYSTEM) 」のオリジナル・ヴァージョンなどを収録。まだまだ小編成ながら、トゥンデ・ナイチンゲールらのジュジュ・スタイルから脱し始めつつ、ビートを重ね音を紡いでいくような彼独特のフィーリングも現れていて、そしてそれがまた呪術的な雰囲気を醸し出しているあたりは、さすがに興奮させられる。硬質なトーンのギターは魅力的だし、すでに長尺な曲ばかりなのも好ましい。
リマスタリングの結果も抜群で、「SYNCRO SYSTEM MOVEMENT」に至っては、私の持っているLPとは全く別物の音となっている。他の曲もLPからは(オリジナル盤との比較はしていないが)格段に音質向上が図られている。アフリカ音楽初心者という方には、WRASSE/オフィス・サンビーニャから出たベスト盤とともに、お勧めの一枚だ。なお、収録音源は以下の通り。(2/10)

(1)〜(5)が『VOL.11』(AS15)のA面
(6)が『SYNCRO SYSTEM MOVEMNET』(AS26)のA面
(7)が『VOL.9』(AS9)のB面
(8)が『VOL.7』(AS1)のA1
(9)が『VOL.3』(LAPS8009)のA面
(10)が『VOL.4』(LAPS8010)のA1

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<CD> ZAIONE / SALLY NYOLO

来日間近の歌姫、カメルーン出身ベルギー育ちで、元ザップ・ママのサリィ・ニョロの第4作目。カメルーンのリズムやピグミー的ヴォイシング、そして欧風なサウンドなどが巧妙にミックスされた中、サリィのちょっとハスキーな声が舞う素晴らしい一枚。気分良く素直に楽しめるアルバムである。(2/22)

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<CD> HAAI BO / ARTHUR

クワイトの雄アーサーの最新作。南アのクワイト・シーンを単純化すると、ブレンダの背後にはチッコ(CHICCO)が、アバ・シャンテの背後にはアーサーがいて、それぞれの独特で力強いベース・トラックを生み出している訳だが、やはり世代が若い後者のサウンドの方が今は魅力的だ。この作品にしても、ちょっと聴いただけではチープでシンプルなビートを刻んでいるだけにしか思えないような曲ばかりなのだが、それが見事なヒップホップ・サウンドに到達しているあたりに圧倒される。(2/10)

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<CD> THE GREEN ARROWS 1974-1979

CD−Rを紹介するのはルール違反だろうが、内容が良かったのでCD化を期待して取り上げたい(残念なことにリリース会社が決まらないらしい)。
Zexie Manatsa のよって75年頃に結成されたジンバブウェのグリーン・アローズは、ジンバブウェ〜ザンビア域に独特な弾むビート感と南アのポップ感覚とを兼ね備えた人気グループで、ブンドゥー・ボーイズの先駆的サウンドとでもいったところか。とにかくウキウキするような楽しい曲揃い。この編集盤には彼らの70年代のシングル曲19曲がコンパイルされていて、南アの大物ウエスト・ンコシのプロデュース作も多いようだ。(2/10)

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<CD> THOMAS MAPFUMO COLLECTED: CLASSIC CUTS & RARE
         TRACKS FROM THE LION OF ZIMBABWE [1978-2002]

このジンバブウェのトーマス・マプフーモの編集盤は、リリースされてから1年ほど経つけれど、これまで紹介する機会がなかった1枚。遅ればせながらここで取り上げておきたい。
というのも、近作CDの曲に90年代の現地盤LPの曲を混ぜ合わせた選曲が、何とも中途半端に思えたし、彼の最近の現地盤にしてもそれほど面白いと感じなかったので、まじめに聴こうとせずに過ごしてしまった。しかし、LPでは印象の薄かった曲も含めて、トーマスってこんなに良かったかなと引き込まれてしまった。やはり彼がまじめにやったときは、そのビートのもつパワーは凄い。くせになりそうな1枚です。(2/10)

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<< comment>>

すでに2月に入ったというのに、アフリカ盤のリリース状況は相変わらず今ひとつ盛り上がらない感じです。ミリアム・マケーバの初期録音集2種なども発売されているが、私は未聴のままです。そんな中、サニー・アデの初期作品集の音と内容の充実振りにはとにかく圧倒された。もしかするとサニー・アデの再評価に繋がる一枚ではないかと考えたくらいだ。(2/10、22)


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