2002 / SEPTEMBER


<CD> HOME COOKING / TONY ALLEN

60,70年代にフェラ・クティのバンドのドラマーを務め、実質的にフェラのアフロ・ビート・サウンドの重要なバックボーンであり続けたトニー・アレンの最新作。フェミ・クティの最近の動きとシンクロするかのごとく、米ブラック・ミュージックへと最接近した成果がみごとに集約されている重要作。はっきり言って前作『BLACK VOICES』が詰まらなかっただけに、この変貌振りは大歓迎。彼のソロ・キャリアのうちでも最高の作品なのではないだろうか。(9/10)

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<CD> NU AFROBEAT EXPERIENCE
          : ULTIMATE AFRO-FUNK DANCE GROOVES

最近のアフロ・ビート〜アフロ・ジャズの見事なコンピレーションで、フェラのサウンドの伝承者たちによるクールネスには脱帽。トニー・アレンの「JEKALEWA」やアワ−クラッシュの「AKOBA」など最初の4曲目あたりまではとりわけカッコよくて堪らない。
他には、デレ・ソシミ(DELE SOSIMI、フェラやフェミのバンドの元キーボード奏者)、オルコ・イモ(OLUKO IMO、87年頃にフェラとのレコーディングを行ったこともある?ナイジェリア人シンガー/ギタリスト)、ドゥロ・イクジェンヨ(DURO IKUJENYO、フェラのバンドの元ピアニスト)といったそこそこ名の知れたミュージシャンの新曲も多く収録されている一方で、個人的には何と言ってもファタイ・ローリング・ダラー(FATAI ROLLING DOLLAR)の新録音が収められていることには驚かされた。ファタイというのは、60年代頃からナイジェリアのラゴスなどで活動していたパームワイン・ギタ−のマエストロであり、トゥンデ・ナイチンゲールなどと同世代だったはず。実際、T.AJAYI THOMASが主宰する米国THOMAS ORGANIZATIONからは2人の録音をまとめたCDなどというシロモノも出ていた。
・・・などというのは9月4日のダイアリーに綴った通り。(9/10)

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<CD> TOWNSHIP BOP / THE BLUE NOTES

南アフリカでモダン・ジャズが全盛となった60年代を代表するセクテット、ザ・ブルー・ノーツの64年録音の復刻作。白人ピアニストのクリス・マグレガーと黒人アルトサックス奏者ドゥドゥ・プクワナを中心とするこのバンド、南ア・ジャズ史でもトップ・グループのひとつとも言えるものの、意外とその録音に接する機会は少なかった。
インパルス盤『DUKE ELLINGTON & JOHN COLTRANE』(62年)に触発されたような演奏や、マイルス・ディヴィスのモード的展開をみせる演奏など、内容は極めてオーソドックスなバップ・ジャズと言える。このあたりは、70年代、渡欧後に結成したクリスのBROTHERHOOD OF BREATHやプクワナらのASSAGAIなどの、アフロっぽさも加味した粘っこいサウンドしか思い浮かばない方には、驚きかも。こうなったら63年の大名盤、CASTLE LAGER BIG BANDのアルバムもリイッシューして欲しい。(9/26)

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<CD> CHIMURENGA REBEL + MANHUNGETUNGE
          : THOMAS MAPFUMO & THE BLACKS UNLIMITED

ジンバブウェのトーマス・マプフーモの2000年作と2001年をカップリングした2CD。90年代の一時期はメロメロだった彼も、かなり復活してきたというのが、聴いた第一印象。レゲエなどと同様に、リズム&フレーズの反復がトーマスたちのチムレンガ・ミュージックの持ち味で、篠原氏が解説でお書きになっているように、まさしく「ジワジワと心の中に染み込んでくる、、」ようなサウンドだ(余談だが、日本版解説は大変分かり易くて良かった)。
それにしても、これだけ音楽性に変化がないというのも凄い。心身疲れ切った状態で試聴したら、「ジワジワ」と効いてきた(眠くなった)。(9/15)

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<CD> TERE NELAW / VIVIANE ET LE DJOLOFF BAND

セネガルのヴィヴィアンの第4作。アオラからも出たライブ盤に続くこの作品、間違いなく彼女の最高作と言える。
線の細いヴォーカルはこれまで通りで、第2のクンバ・ガウロを期待すると肩すかしを食らうだろうが、
先輩世代で完成したンバラ・サウンドをストレートに継承しているために安心して聴けるサウンドとなっている。実際タマ(トーキング・ドラム)などのパーカッションのサウンドが力強く、今年2月にダカールのクラブ・チョサンで聴いてきたナンバーは、どれもそのときのバンド・サウンドを思い起こさせるものとなっている。そのために彼女のヴォーカルの弱さすら、さほど欠点というようには感じられなかったのは予想外だった。(9/15)

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<CD> MINA NAWE / BRENDA

南アフリカのクワイトの女王、ブレンダの2001年作にして最新作がようやく日本に入荷してきた。もちろん今作もロンドンでは大ヒットした(もちろん移民コミュニティーの中で)。
ビッグ・ボトム&グルーヴィーなチープな打ち込み、芳醇・可憐な南ア流コーラス、強烈なブレンダのヴォイスが三位一体となった、ひたすら陽気なダンス・ミュージック。
至って多作(これまでに20枚くらいのアルバムを出している)な分だけ、毎作穴埋めトラックも多いのだが、今回はそのような不満も感じられなかった。(9/15)

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<CD> LES PENETRES DE L'ORCHESTRE
          ZAIKO LANGA-LANGA 1969-1970

コンゴのザイコ・ランガ=ランガのデビュー期のシングル7曲を集めた仏盤コンピの配給を、グラン・サムライが開始した。フランコやロシュローが圧倒的存在だった時代から、パパ・ウェンバやニョカ・ロンゴなどの次世代のバンドが林立して活躍する時代への遷移に関心ある者にとって貴重な録音ばかりだろう。30数年昔のパパ・ウェンバの歌声を聴けるだけでも嬉しいが、内容も文句ナシである。(9/15)

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<< comment>>

最近のヘビー・ローテーションとなっている2枚をピックアップ。(9/10)
4作追加。これだけ毎月充実作が続くと、さすがにしっかり聴いてじっくりコメントする暇がないし、バオバブとユッスーの新作についてもまとめる時間が取れないままだ。(9/15)


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