2002 / MAY


<CD> PAULSON KALU : GREATEST HITS VOL.1

ポールソン・カルなんて初めて名前を聞くミュージシャンだが、内容が良いので驚いた。音の印象から判断すると録音は70年代だろうと思うのだが、ハイライフ、ジュジュ・ミュージックなどをやっていて、スークース(リンガラ)風のギター・プレイも聴けるなど、当時はやりのサウンドを広く取り入れた演奏だ。例えば、1曲目はほとんどガーナのランブラーズ・ダンス・バンドのサウンドのコピーだし、ジュジュの曲はギターやクラーベ等のパーカッションの音がトゥンデ・ナイチンゲールあたりを連想させたり、サニー・アデ風なスライド・ギターがリードをとっていたりするなど、個性には乏しいとも言えるかもしれないが、それでも文句なしに楽しめる演奏がずらっと並んでいる。

相変わらず、ガーナを中心にハイライフの復刻が全く進んでいないが、こうした無名のバンドの実力を知ると、どんどん復刻が進んで欲しいと改めて思う。きっと凄い録音がナイジェリアやガーナには相当な数だけ聞かれずに残っていること疑いなしだ。ただし、サニー・アデ、セレスティン・ウクウやヴィクター・ウアイフォなど、かなりの枚数のリイッシューCDを出しているPREMIER なるレーベル、ジャケット・スリーブも音質も、ほとんど海賊盤並のものであることは大いに不満だ。(5/26)

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<CD> SUNDAY MONDAY / KWABENA NYAMA

こちらも名前に聞き覚えのないミュージシャンのCD。パームワイン・ミュージックと言えばシエラレオネに代表される種類のギター・ミュージックだが、クワベナ・ニャマはガーナの老人で、柔和なサウンドの弾き語りの曲などを楽しめる。個人的には大型の親指ピアノが入っている点も気に入った。タイトル曲の2曲目は、アーサー・アルバーツの録音を思い起こさせたりなどもする演奏だ。(5/26)

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<CD> BANA CONGO / PAPA NOEL & PAPI OVIEDO

昔はOKジャズやアフリカン・ジャズ、そして今はスーパー・ユニットであるケケレで活躍するコンゴのギタリスト、パパ・ノエルを中心とする作品。まさにコンゴ+キューバといったサウンドが展開するのだが、これならば純粋なコンゴあるいはキューバの音楽を浴びた方がましなような気にさせられる、煮え切らない音楽と感じた。なので、繰り返しては聞いていない。しばらく振りに聞いてみたところ、そんなには悪くないが、やはり切れ味が足りないかな?という印象だった。(5/26)

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<< comment>>

今月の要チェック盤としては、国内配給もされているナイジェリアのサニー・アデの80年代のベスト盤があるのだが、彼が世界デビューした直後の乗りに乗っていた時期のインターナショナル・リリースされた音源集らしく、もちろんオリジナル盤が手元に揃っているので、買い改めてはいない。だけど、こうしたCDが出るということは、サニー・アデのオリジナル・アルバムもすでにカタログからは消えているということなのだろう。そう言えば、サニー・アデのロンドン公演が今週あったはずなのだが、どうだったのかな?(5/26)


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