2001 / MARCH


○KOOLA LOBITOS 64-68 / THE 1969 L.A.SESSIONS
    (BARCLAY/UNIVERSAL 549461-2, FRANCE, 2001)

フェラ・クティの旧譜が新たにCD15枚分リイッシューされたが、その中で一番の目玉はこれだろう。69年のLA録音はこれまで通りの内容だが、ボーナス・トラックとして追加収録された6曲は、フェラがナイジェリア70を結成する以前に組んでいたバンド、クーラ・ロビトスの曲で(録音は64〜68年)、これらが復刻されたのは世界初の快挙だ。ソロ廻しなどには拙さも感じるが、フェラの音楽の出自がハイライフにあることを明確に示す演奏であるとともに、粘っこいベース・ラインなどは英国仕込みのものだろう。アフリカ・イギリス・アメリカの音楽が幸運な偶然によって混ぜ合わされた奇跡的な音楽の出発点が遂に公開された。ちなみにクーラ・ロビトスの6曲はフェラのファーストLPにも収録されていたが、このバンド名義の録音はまだまだ大量にある。これらの全貌が明らかになることを期待したい。

○ROFOROFO FIGHT / FELA SINGLES
    (BARCLAY/UNIVERSAL 549380-2, FRANCE, 2001)

フェラ・クティの最高傑作アルバムにシングル曲を2トラック追加収録。「Shenshama」(72年)と「Ariya」(73年)ともに、フェラの楽曲としてもかなりの高水準なもので、フェラのボーカルやホーンズの分厚いアンサンブルを聴いて興奮を抑えられない。アフリカ音楽に関心のある者全てにとって必聴の一枚といった常套句を持ち出しても憚らない傑作と断言する。

○ZOMBIE (+BONUS TRACKS)
    (BARCLAY/UNIVERSAL 549383-2, FRANCE, 2001)

フェラ・クティの代表作『ゾンビ』に2曲追加収録。「Observation Is No Crime」は77年に録音したものの、ナイジェリア・デッカがお蔵入りさせてしまった幻のトラックと思われる。また「Mistake」は78年ベルリンでのライブ録音のアウト・テイク。極めてテンションの高い演奏が展開し、想像では当時リリースする計画があったのではないだろうかと思う。それにしてもこうした録音、一体どこから発掘されたのだろうか。

○ARMY ARRANGEMENT (+BONUS TRACKS)
    (BARCLAY/UNIVERSAL 549381-2, FRANCE, 2001)

約30分間に渡って繰り広げられる「Government Chicken Boy」はビル・ラズウェルによるオーバー・ダビングが施されてる以前のオリジナル・トラックで、これも初めて日の目を見た。

○FELA WITH GINGER BAKER LIVE ! (+BONUS TRACKS)
    (BARCLAY/UNIVERSAL 549246-2, FRANCE, 2001)

ボーナス・トラックは、ジンジャー・ベイカーとトニー・アレンによるドラム・デュオ「Ginger Baker & Tony Allen Drum Solo」(これもベルリンでのライブ録音)。それほど面白い演奏ではないが、これもこれまで未発表だったトラックだ。

○EVERYTHING SCATTER / NOISE FOR VENDOR MOUTH
○BEATS OF NO NATION / O.D.O.O.
○IKOYI BLINDNESS / KALAKUTA SHOW
○J.D.D. / UNNECESSARY BEGGING
○LIVE IN AMSTERDAM 1983
○MONKEY BANANA / EXCUSE O
○OPEN & CLOSE / AFRODISIAC
○TEACHER DONT'T TEACH ME NONSENSE (+BONUS TRACKS)
○UNDERGROUND SYSTEM (+BONUS TRACKS)
○UPSIDE DOWN / MUSIC OF MANY COLOURS

その他の10枚は以上の通りだが、これらには未発表トラック等は含まれていないという話だ。しかし、オリジナルLPの市場価格が1万円ほどする『Noise For Vendor Mouth』が初復刻された点などは見逃せない。(3/23)

○AFRICAN RENAISSANE : MUSIC FROM THE SOUTH AFRICAN
  BROADCASTING CORPORATION ARCHIVES / VARIOUS ARTISTS
    (EAGLE RECORDS SABC 001-010, UK, 2000/2001)

  VOLUME 1 : ZULU
  VOLUME 2 : VENDA
  VOLUME 3 : SOUTH SOTHO / TSWANA
  VOLUME 4 : XHOSA / SWAZI
  VOLUME 5 : NDEBELE / NORTH SOTHO
  VOLUME 6 : TSONGA / MASKANDI
  VOLUME 7 : MBUBE
  VOLUME 8 : TRADITIONAL DANCE, WEDDING, FESTIVAL
              AND COURTSHIP SONGS
  VOLUME 9 : NGUNI CHORAL / MBHAQANGA
  VOLUME10 : NGOMA / INDIGENOUS INSTRUMENTS

南アフリカ放送協会のアーカイブスに残された録音が復刻された(1959〜94年の録音)。20枚組(2枚組10セット)と量が膨大なため当分聴き終えられそうにない、、、ので、詳しいことはまだ何も書けない。聞いたことのない名前のグループの曲ばかり400曲も聴けることは貴重だが、録音年などのデータが一切記載されていないことには問題がある。(3/23)

○ANGOLA 80' : 1978-1990 / VARIOUS ARTISTS
    (BUDA MUSIQUE 82994-2, FRANCE, 2000)

アンゴラのポピュラー音楽を紹介するコンピレーション・シリーズが遂に完結。60年代、70年代(2種)、90年代、いずれのアルバムも素晴らしい内容だったので、今回も素晴らしいに違いないだろう・・・??(3/3)

○NAKAN / MAMOU SIDIBE
    (MALI K7/COBALT/MELODIE 09299-2, FRANCE, 2000)

このところ中途半端な作品が何作か続いていた感のあるフランスのコバルトだが、これは強烈にお勧めだ。マリの女性歌手のデビュー作で、今回も打ち込みと伝統楽器が自然と同居する演奏をバックに、マリの女性らしい可憐なボーカルが泳ぐ。これまでのコバルトのサウンドが好みの方なら、この不思議な気怠さは快感のはず。(3/3)

○QUESTIONS / BACO
    (COBALT/MELODIE 09300-2, FRANCE, 2000)

コバルトの作品には西アフリカのものが多いのだけれど、これはインド洋上、大陸とマダガスカル島に挟まれる形で浮かぶコモロ出身のバコの新譜。コモロの音楽については、ほとんど知識を持ち合わせておらず、この音楽をどのように形容すべきか分からないのだが、タイトなリズム、柔らかな女性コーラス、特徴的な民俗楽器の響き(ヴァリかな?)、それにホーンズやアコーディオンなどが一体となって織りなす艶やかな音楽は、なかなか魅力的、かつ都会的だ。これも推薦盤です。(3/5)

SA LII SA LEE COUMBA GAWLO
   (TALLA DIAGNE CANTINE,SENEGAL,2000)

日本では入手不可能なアルバムだが、大好きな歌手なので取り上げたい。セネガルの歌姫クンバ・ガウロ・セックの新作カセット。カセットはこれが6作目と思う。彼女の場合、その声を聴くだけでも快楽だし、歌い振りも(比較するのも悪いが)下のヴィヴィアンと比べると圧倒的にうまい。ここ数年で一番好きなアフリカの女性歌手だ。(3/3)

○NATURE / VIVIANE
    (JOLOLI JL 2001, FRANCE, 2000)

ご存じユッスー・ンドゥールの義妹、ヴィヴィアン・ンドゥールの第2作。今回はユッスーはボーカリストとしては参加していない模様だが、彼の代表曲をひとつ取り上げている。割とバラエティーに富んだ内容で、聴きやすい。フランス・プレスでスターンズが配給しているので、日本に入荷してくることを期待したいところだ。(3/3、3/23改)

○LE GRAND BAL VOL.1 & 2
   / YOUSSOU N'DOUR ET LE SUPER ETOILE
    (JOLOLI YND CD002, 2000?)
○REWMI / YOUSSOU N'DOUR ET LE SUPER ETOILE
    (JOLOLI YND CD003, 2000?)
○LE GRAND BAL A BERCY / YOUSSOU N'DOUR
    (JOLOLI YND CD006, 2001?)

ユッスー・ンドゥールの近作がいくつかCD化された。収録曲等についてはディスコグラフィーを参照下さい。これらの他に『LII』も再CD化された模様だ。ただし、いずれのCDも追加収録等はない。

それにしても、ヴィヴィアンの作品の世界配給に力を入れる一方で、ボスの商品はこうしたチープな作りなのは、何とも解せない。特に99年の世界ツアーから選曲した『LE GRAND BAL』はカセット版よりも音に力がないように感じられる。こうした作品はあくまでも国内向けのもので、セネガルの人々が購入できるのようにするには、この程度のクオリティーが限界ということなのだろうか? あれこれ言う権利がよそ者にはないのは分かっているが、個人的希望としては、彼にはやはり歴史に残るようなライブ・アルバムを残して欲しいと常々思う。だが、時すでに遅しというのが本当のところなのだろう。(3/3)

○ARGILE PRESENTS MANDINGO FESTIVAL / VARIOUS ARTISTS
    (ARGILE/INDIGO 9709-2, FRANCE?, 2001?)

最近のマンディングの歌手の曲が中心に集められた編集盤。SONA DIABATE、FAMADOU KONATE、AICHA KOUYATE、それにMIRIAM MAKEBA などを収録している。(3/3)

○AFROBEAT ...NO GO DIE! / VARIOUS ARTISTS
    (SHANACHIE/P-VINE PCD-3597, JAPAN, 2000)

国内盤が発売になり、すでにあちこちで紹介もされているが、今旬のアフロ・ビートをあれこれ楽しむには最適なコンピレーションだろう。(3/3)

○TUNGA / MAMADOU DIABATE
    (ALULA RECORDS/ANIMA MUSIC AJCD 0014, JAPAN, 2001)

マリの若手コラ奏者の話題作。コバルトあたりの音と比較すると、すいぶん優等生な音作りだなぁ。(3/23)


<< comment>>

実に久し振りとなってしまった新譜紹介です。とりあえず近作を簡単にリスト・アップしてみました。昨年紹介しきれなかったアルバムもまだあれこれ残っているのですが、これからそれらをどれだけ取り上げられるかちょっと分かりません。ともかく前に進むことにしたいと思います。(3/3)

フェラとSABC盤だけでもCD35枚。とてもじゃないが丁寧な紹介はできないので、簡単なコメントだけにしておきます。フェラについては後日あれこれまとめる予定です。(3/23)


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