2000 / AUGUST


○THE VERY BEST OF THE MANHATTAN BROTHERS
  : THEIR GREATEST HITS (1948-1959)
    (STERN'S AFRICA STCD 3013, UK/USA, 2000)

南アフリカのミルス・ブラザーズとも称されるマンハッタン・ブラザーズの復刻盤CDがようやく手に入った。強烈で軽やかなジャイブ・コーラスが楽しめる。本当に素晴らしいグループだったことを改めて実感。南アフリカというと女性歌手のミリアム・マケーバが有名だけれども、彼女もマンハッタンズのフィーチャリング・シンガーとしてデビューしており、彼女のそうした若々しい歌声もこのアルバムで聴くことが出来る。付言するとブックレットには彼らの歴史について詳細に綴られていて、読み応え十分。また選ばれた写真もどれもいいんだなぁ。とにかく文句なしの復刻で、最近聴きまくっているけれども当分飽きが来そうにない。個人的には今年の復刻盤大賞。(8/8)

○SERIE SANGOMAR 2 / STARBAND - SUPERSTAR DE DAKAR
  - INTERNATIONAL BAND FEATURING: DEXTER JOHNSON
      (DAKAR SOUND DKS 017, NETHERLANDS, 1999)

ナイジェリア出身で主にセネガルで活躍したことで知られるサックス奏者、デクスター・ジョンスンの復刻盤の2枚目(1枚目は以前、このサイトと『アンボス・ムンドス』第4号で紹介済み)。60年代に在籍したバンドの代表曲が集められている(インターナショナル・バンドが2曲、スターバンドが3曲、スーパー・スターが5曲)。「MANICERO」他、黎明期のセネガル・ポップスが楽しめる。(8/8)

○EAST OF AFRICA : PIONEERS OF AFRICAN POPULAR MUSIC 
      (DAKAR SOUND DKS 018, NETHERLANDS, 1999)

タイトルだけを目にすると勘違いしそうだが、あくまでもコンゴ音楽の復刻盤である。1960年代に東アフリカでシングル・リリースされた、AFRICAN JAZZ、AFRICAN FIESTA、AFRICAN TEAM、NEGRO SUCCES、GRAND KALLE、DOCTEUR NICO、等々の曲を15曲収録している。楽曲のレベルはいずれも平均的といえるだろう。(8/8)

○MEDINA / FALLOU DIENG
    (STERN'S AFRICA STCD 1090, UK/USA, 2000)

セネガルのンバラとしては久しぶりにかなり良いアルバムが出た。彼はこれまで10数本のカセットを発表しているが、それらのうちの4本から12曲が選曲されており、インターナショナルなリリースはこれが初めてのはず。どうもユッスー・ンドゥールの人脈に含まれるらしく、今回もシューペル・エトワールの面々の強力なバックアップを受けて充実した仕上がりだ。声の質はユッスーに似ているが、アリウーン・ンダールやアリウーン・カセよりも、実力ははるかに上と見た。最近の一押し。(8/8、8/15 改)

○"ENTRE NOUS" BETWEEN US, CI SUNU BIIR / VIVIANE 
      (JOLOLI,no number,2000)

ユッスーの弟の奥さんビビアン(CHUDID N'DOUR)の初CD。同タイトルの現地カセットに、ユッスーとデュエットした「XAAR MA」(『JOKO』に収録されている「PLEASE WAIT」のウォロフ語バージョン)が追加収録されている。ユッスーを始め最近のJOLOLIのアルバムの多くに参加している他、ユッスーの海外公演にも常に同行しているため、彼女のことをご存じの方も多いことだろう。さてその彼女の歌なのだが、正直言ってコーラス・シンガーでいる方が適役と思う。厳しい評価かも知れないが、そのことはユッスーの存在感に圧倒されっぱなしの「XAAR MA」が物語っている。まあそれでも気軽に楽しめる作品ではある。(8/8)

○TJE NI MOUSSO / AMADOU ET MARIAM
      (POLYDOR/UNIVERSAL 543 067-2,EU,1999)

何とも不思議なアルバムだ。ジャケットのダサさは最低だけれども、中味は悪くない。マリアン・ロックとでも称しようか、アマドゥ・バガヨコのハードに弾きまくるギターが魅力的で、1曲目なんかブルース・ブレイカーズあたりを思い起こさせるブルース・ロック風の作品。マリ音楽というとグリオの伝統の流れを汲む強烈な歌と伝統楽器の演奏がその特徴と受け止められてきたが、こんな音楽まで登場してきたのを見ると、マリ音楽の懐の深さにため息さえ出てくる。(8/8)

○IN GRIOT TIME : STRING MUSIC FROM MALI [COMPILATION] 
    (STERN'S AFRICA STCD 1089, UK/USA, 2000)

そんなマリの現状を楽しむのに最適な編集盤がこれだ。同タイトルの書籍の参考CDとして同時発売になったものなのだが、とにかく選曲が素晴らしく、サリフ・ケイタ、アビブ・コワテ、カンジャ・クヤテ、などの最近のベスト・トラックが集められていて、これからマリ音楽を聴いてみようという方に推薦したい。また、個人的にはロビ・トラオレの未発表ライブに耳を奪われた。地元のライブ・ハウスでは、こんなワイルドなギターを演奏していたとは、、、もっと聴きたい!!(8/8)

○CHIMURENGA EXPLOSION
  / THOMAS MAPFUMO AND THE BLACKS UNLIMITED 
    (ANONYMOUS ANON 0743, USA, 2000)

ジンバブウェの巨人、トーマス・マプフーモの最新作。昨年12月にリリースされたカセットに2曲追加してCD化したもの。アメリカ録音とハラレ録音が6曲ずつ。今回も以前のようなパワーが感じられず、どうもピンとこない印象なので、評価はしばらく保留したいところだ。歌詞が同封されていないため何を歌っているのか分からず、ジャケットのいたるところに古い写真が使われている意味合いも不明、このあたりもどうにも評価しにくい一因となっている。(8/8、8/9 改)

○AFRIKA VUKANI / AFRICAN JAZZ PIONEERS 
    (GALLO CDGMP 40812, SOUTH AFRICA, 1999)

南アフリカのジャズ・バンドの最新作。かつては来日公演をおこなったこともある名門バンドなので、懐かしい方が多いのでは。スターンズの店員からは「フュージョンぽいからお勧めしない」と言われたが、私は結構気に入った。確かに、演奏に緩すぎる感じがあり、また昔の方が優雅なサウンドを聴かせていたように感じるけれども、このくつろいだ感覚は好きだな〜。それと、今の南アフリカのジャズは時代遅れのフュージョン風のアルバムが多くてガッカリさせられることが多いのに比べて、この作品はそんなことなかった。南アフリカ盤しか出ていないようなのいで、入手は難しいかも。(8/8)

○KWAITO : SOUTH AFRICAN HIP HOP / VARIOUS ARTISTS 
    (STERN'S/EARTHWORKS STEW42CD, UK/USA, 2000)

3月の新譜紹介、それに『アンボス・ムンドス』第5号で、最近の南アフリカのヒップ・ホップの面白さについて簡単に紹介したが(『SOUTH AFRICAN RHYTHM RIOT』)、そうした音楽に焦点を合わせた編集盤がリリースされた(ひょっとするとまだ発売前かも知れない)。1990年代前半はブレンダ、チッコといった、バブルガム・ミュージックが全盛であった一方で、フランキー・ナックルズなどの影響を受けたハウス・サウンドも人気を高めていき、その中からアーサーなどの若手が登場した。そして94年頃こうした2つの流れが合流することで生まれた南アフリカのヒップ・ホップが現在クワイトと呼ばれる音楽である。このアルバムでも、ブレンダやアーサーの曲が際立っているが、最近、ブレンダやチッコの単独盤をいろいろと入手したので、これらも合わせて改めて紹介したいと考えている。それにしても、マンハッタン・ブラザーズの芳醇な音楽から50年、たどり着いた音楽がこれかと思うと、正直複雑な心境にならざるを得ない。(8/8)

○BAMBAY GUEEJ / CHEIKH N'DIAEL LO 
    (JOLOLI/WORLD CIRCUIT WCD 057, 1999)
    (WORLD CIRCUIT/WARNER WPCR19034, JAPAN, 2000)
○INEDITS / CHEIKH LO 
    (SYLLART/SONODISC CDS7073, 1999)

シェイク・ローの2作目のCDがようやく国内発売になった。何でもここに掲載したオリジナル・ジャケットの写真を差し替えることになり、それが原因でこんなにアメリカ盤や日本盤の発売が遅れたそうだ。だけど新しい写真にしても顔がよく分からずあまり良いとは思わないが(おそらくそれが狙いのひとつではあるのだろうが)。肝心の音の仕上がりなのだが前作と同様にどうも好きになりきれない。私のアリ・ファルカ・トゥーレ嫌いは一部の方々に知られる通りだが、考えてみるとシェイク・ローもワールド・サーキット。別にこのレーベルを毛嫌いしている訳でも、国内盤の悪口を言うことを趣味としている訳でもありません。だけど、「聞いているうちに底の浅さが見えてしまった。」(中村とうよう)という、前作に対する評価が今回にも当てはまるように思う。

もう1枚はファースト・カセット『DOXANDEM』(1990年)とセカンド『DIEUF DIEUL』(1991年)を復刻したもの。これを聞くとソロ・デビュー当時から優れた才能を開花させていた様子が分かる。彼の音楽が自分の趣味ではないのは、どうも声に問題があるのかとも考えたりしてしまうのだが、セネガル人には大変な人気なのだ。もう少しじっくりきいてみることにしようか。そうすれば何が魅力か見えてくるかも知れないなあ。(8/9)『ミュージック・マガジン』9月号でも紹介されているが、日本にはまだ入荷していないようだ。(8/15 追)

○JOMBAAJO / BAABA MAAL 
    (SYLLART/SONODISC CDS7059, 1999)

バーバ・マールの旧音源復刻CD。『SUKA NAAYO』(1987年)の6曲と『DANS GAWALA』(1993年)の4曲を収録。『NOMAD SOUL』に収録された「SUKA NAYO (I WILL FOLLOW YOU)」のオリジナル・バージョンなどを聞くことが出きる。後年の研ぎ澄まされた感じが薄い分だけ聞き易くはある。(8/9)

◎NOMAD SOUL / BAABA MAAL (1997)
◎NOMAD SOUL - 2EME PARTIE MUSIQUE DU MONDE / BAABA MAAL (1998)
◎LIVE AT LONDRES ET ST-LOUIS (VOL.1) / BAABA MAAL (1999)
◎LIVE AT LONDRES ET ST-LOUIS (VOL.2) / BAABA MAAL (1999)
◎L'EPOPEE D'EL-HADI OMAR TAAL / BAABA MAAL (1999)
◎LAAMDO / BAABA MAAL (2000)

バーバ・マールの近作カセットも大体手元に揃ってきた。まだ聞き終えていないので、とりあえずリスト・アップだけ、、、。(8/9)

○DAARA-J
    (DECLIC 8429482, FRANCE, 1997)

セネガルのラップ・グループ、ダーラ・ジィのファースト・アルバム。セカンド作はメタ・カンパニーから配給されていたが、一作目もようやく入手したので、新譜とは言い切れないがここで紹介。レゲエからの影響が色濃く、ラガ風の曲も多い。メロディアスなところなんか、アスワドあたりを連想させ、気に入って繰り返し聞いている。やはりアフリカン・ラップからはしばらく目を離すことができないと思う。(8/9)

◎S.T - SUPER THIOF / NDER & LE SETSIMA GROUP
    (SETSIMA PRODUCTIONS, SENEGAL, 2000)

『アンボス・ムンドス』第4号で紹介したアリウーン・ンダールの新作カセットが届いた。パーカッションの繰り出すリズムは小気味よく、ホーンズの締まったサウンドも気持ちよい。ンダールのボーカルも好調で、演奏に気合いが漲っている。爽快なンバラを楽しめる作品。(8/9)

◎JOKO / YOUSSOU N'DOUR
    (JOLOLI, SENEGAL, 2000)

ユッスー・ンドゥールの『JOKO』のセネガル盤も登場した。全8曲中、2曲が新録音。「XAAR MA」はビビアンのCDにも収録された「PLEASE WAIT」のウォロフ語バージョンで、サバール、アコースティック・ギター、ピコピコ・シンセのバッキングが気持ちよい。「MY HOPE IS IN YOU」は、リズムを強調したものの、平凡な仕上がり。最新情報ではさらに『REWMI』という新作カセットもリリースされたらしい。これも探さなくては、、、。詳しくは昨日更新したディスコグラフィーを参照。(8/9)

◎HOMMAGE A DEMBA CAMARA: SES 14 PLUS GRANDS SUCCES
  INTERNATIONAUX REUNIS SUR UN SEUL CD./ BEMBEYA JAZZ NATIONAL
    (SYLIPHON/SYLLART 38222-2, FRANCE, 2000)

まだまだ続くギネアの名門レーベル、シリフォンの復刻盤。ベンベヤ・ジャズのこのCDは、同タイトルのLP(SLP 44)の11曲に、シングル曲(SYL 528 の1曲とSYL 556 の2曲)を追加収録したもの。内容には申し分なく、当然、ベンベヤ・ファンにとって必聴の一枚。そう言えばベンベヤ・ジャズのディスコグラフィーはこのところさっぱり更新していないけれど、これはオリジナル重視という方針のためです(半分は面倒なためですが、、、)。(8/15)

◎SEVEN DEGREES NORTH / KING SUNNY ADE
    (MESA 91000-2, ? , 2000)

ナイジェリアのキング・サニー・アデの新作。前作同様、ドラムのリズムに主導されたポップな作り。ややあっさりした音の仕上がり具合で、昔のようにじわじわ熱くなる感覚には欠けているように感じる。かつては一世を風靡した彼も、このところは目立った話題に乏しく、日本での注目度も下降気味だけれど、時代遅れの音になってしまった訳ではなく、このアルバムもそう悪くないんじゃないかな。音楽ライターのみなさんほど、私は彼に対する思い入れがないのだけれど、是非ライブを体験してみたいミュージシャンの一人ではある。(8/15)


<< comment >>

3ヶ月振りの新譜紹介です。2ヶ月間も日本を離れている間に、CDやらカセットやらビデオやらが100枚(本)ほどたまってしまい、何から紹介したらいいやら少しばかり困っているところです。それらの半分もまだ聴いていない状態なので、今月中に紹介しきれないものは翌月以降に回すことになりそうです。そのような訳で、思いついた作品からどんどん紹介していきます。とりあえず今日は10枚をピック・アップ。(8/8)

セネガル関係のアルバムをいろいろ追加しました。(8/9)

たまった新譜の在庫整理(?)は一休み、昨日購入した2枚を追加しました。(8/15)

<< acknowledgemnet >>

ここで紹介しているCDの多くは、発売前のものも含めて、ニューヨークのスターンズ・ショップから提供していただきました。

Many discs that are introducted in this page were provided by STERN'S (NEW YORK).

Special thanks to STERN'S (NEW YORK) and Sass Diop !!!


(2000/08/15)


TOP

CONTENTS