オウガバトル・サーガ 第7章
「手をとりあって」
Let Us Cling Together
 
《第4章 手をとりあって》
 オープニング 

フィダック城陥落に関する知らせは瞬く間に広がり、多くのバクラム人を驚愕させた。
 
敵軍の指導者がわずか16歳の若者であったことや、司祭ブランタが信用するに足りない男であったこと、
無敵のはずの暗黒騎士団が敗退したこともそうだが、何よりもドルガルア王の娘が生きていたことにある。
 
人々は長く続く戦乱の世に疲れ果てており、民を導く正統の統治者を渇望していた。
カチュアの出現は救世主の再来に他ならなかった。
 
ランスロット・タルタロスはローディスの代表として、カチュアをヴァレリアの正式な王位継承者と認め、
後継者争いに端を発した内戦の終結を宣言した。
 
ランスロットはこうした行為によって、これまでの争いを民族やイデオロギーなどの対立ではなく
権力を欲したエゴイスト達の反逆と位置づけ、世界的な立場から内戦自体を否定したのである。
 
しかし、こうした主張を受け入れ、支持したのは、一部の特権階級と財をなした富裕層のみで、各地に
広がっている反バクラム主義を封じ込めるだけの力はなかった。
 
ヴァレリア戦乱は、もはや民族紛争などではなく、支配する側とされる側の対立、言い換えるなら
束縛を逃れ、自由を得るための戦いへと、その姿を変えていたのである……。

 
 
 
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