1:イエローストーン国立公園 アメリカTOP
日本からイエローストーン国立公園への直行便はない。私が参加したツアーは成田からサンフランシスコに約9時間20分掛けて飛び、ここでアメリカ国内線に乗り換えてミネアポリスに到着した。時間は約3時間40分。更にここからまた国内線に乗り換えて、約1時間半でボーズマンという田舎町に着いた。到着が夜中だったのでここで一泊して、翌日より大型観光バスで国立公園めぐりを始めた。

 公園が広いので入り口が西、北、北東、東、南の5箇所ある、私どものツアーは今回ボーズマンから西口を通って入園した。
 イエローストーンはいくつもの顔を持っている。目の覚めるような鮮やかな色をした温泉や豪快な間欠泉、黄色い渓谷と壮大な滝、川が緩やかに蛇行する平原、開拓者気分が味わえる草原地帯、石灰でできた不思議な白いテラス。
 原始の森に囲まれたこの地域に、世界初の国立公園として誕生したイエローストーン。ロッジなどの施設は自然に溶け込むように造られ、間欠泉へ、滝へと歩きやすい遊歩道が続いている。イエローストーンの主役は、どこまでも深い森とそこに住む野生動物だ。
バクテリアでできた不思議な色の池:マッドポッ イエローストーン国立公園は地形的にバラエティに富んでいるばかりでなく、そこに生息する動植物は多様で魅力的だ。なかでも最も不思議な生物は、スルフォバレンというバクテリアだ。酸素を嫌う嫌気性バクテリアだ。90℃以上の高温でしかもPH1という強酸の泥の温泉(マッドポット)の中だけに生息している。マッドポットは熱水に泥や不溶性鉱物が混じって地上に出てくる。溶け込む鉱物の種類によって色が変わる。
テラスマウンテン
 地底深くから噴き上げられた温泉に含まれる石灰分が蓄積され、幾重にも重なって巨大なデコレーションケーキ状の温泉段丘が造られた。これがテラスマウンテンだ。頂上からは今も温泉が休むことなく流れ落ち、自然の造形が続かられている。毎日、2トン以上の石灰が運び上げられるため、1週間も経てば形が変わってしまうという。

アッパーテラス
テラスマウンテンの裏にはアッパーテラスと呼ばれるエリアがある。テラスマウンテンの上を通ってさらに奥に数々のテラスを回るルートで、ニュー・ハイランド・スプリングス、バスレイク、ホワイト・エレファント・バック・テラスなど次々と現れる。




リバティキャップ
 テラスマウンテンの手前に番人のようにデンと構えているのがリバティキャップ。近づいてみると意外と大きい。流失物が幾重にも重なっているのがわかる。







間欠泉
 アッパー・ガイザー.ベイスンは間欠泉で有名なエリア。65分〜100分おきに4万リットルの熱水を30〜55mの高さに噴き上げている。オールドファイスフル・ガイザは名前の通り忠実で120年間ほとんど一定の噴出時間、間隔、高さを保っている。現在は平均92分間隔で噴出している。





大火災と動植物の繁殖

1988年にイエローストーン国立公園は最悪の夏を迎えた。この夏だけで50もの山火事が発生した。5月24日に山火事が始まった。完全に鎮火したのは11月18日。これほどまでに火災が長引いたのは、その年の異常なまでの乾燥と積極的な消火活動は行わないという当局の方針が原因だった。山火事も自然のサイクルの一つと考え、落雷などの自然現象によって起きた火災は,鎮火も自然のままに任せるという方針である。
 その結果、約3213km2、実に公園の36%もの土地が焼け野原になった。もちろん生態系への影響も大きいものだったが植林などは行わなかった。
 その焼け焦げた姿から、特に植物が大きな被害を受けたように見えるが、回復は確実に進んでいる。焼け焦げた倒木は少しずつ分解されて肥料となってイエローストーンの緑を 豊かにするのに役立っている。
 バッファロー、エルクなどの大型の草食動物は火災直後の冬には食糧不足から餓死する個体が多かった。しかし次の春には、火災前には林だったエリアが草原となり、減少した分を補う以上の繁殖を見せるまでになった